10/29 川崎市積もる落ち葉心配 (東京新聞)

川崎市厳しい「除染は毎時0.19マイクロシーベルト」積もる落ち葉 心配
(東京新聞「こちら特報部」10月29日)
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-1254.html
 

木枯らしが吹き始めた。秋が深まる落ち葉シーズンが、今年は心配のタネにもなっている。公園や学校などでの堆積物が、福島第一原発事故による放射線量が高めに測定される場所となっているからだ。こうした「ホットスポット」の除染が首都圏で進められている中、川崎市は除染の対象を毎時〇・一九マイクロシーベルトを目安にしているという。国よりも厳しい根拠とほかの自治体への影響を考えた。 (川崎支局・山本哲正、出田阿生)

高線量を検出

 JR南武線平間駅から歩いて約十分。川崎市中原区の平間公園は住宅街の中にある。入り口からは児童用の野外プールが見える。夏の開業前、この底にたまった土砂や落ち葉を積んだ公園プール管理棟の脇から比較的高い線量を測定し、ホットスポットと騒がれた。
 近くに住む女性(40)が生後四カ月の男児を乳母車に乗せていた。ホットスポットの存在や、市が除染作業したことは知らなかったという。「あまり放射能のことは気にしていない。でも、線量が高かったって聞くと、ちょっと気になる」と不安げな表情になった。

 木々は紅葉し、茶褐色の落ち葉がカサカサと吹き寄せられていた。この女性の妹(37)も「遊ばせるときに特に気は使っていない」。五歳になる娘は、落ち葉を踏んで走り回っていた。計測した数値が示されなければ存在している実感もわかず、対策もとりようがないのが放射性物質だ。
 ホットスポットは八月中旬、市民グループによる測定で発覚した。市の測定器でも地表から五センチで毎時〇・九マイクロシーベルトを計測。土壌を調べると、放射性セシウムが一キログラム当たり一万二四〇〇ベクレルと高い濃度が出た。市は汚泥の仮置き場をブルーシートで囲い、周囲約六メートルを立ち入り禁止とした。

 これをきっかけに、市の姿勢はがらりと変わった。以前は測定場所が公園なら中央部、学校の場合は砂場は測るものの、校庭も中央部のみ。六月、四百四十七カ所で地表五センチまで測り、安全の目安とした毎時〇・一九マイクロシーベルトを上回る地点はなく、「問題なし」とした。

搬出に1ヶ月も

 しかしホットスポットの判明後は、公園の落ち葉や土壌が集まる場所など、放射性物質が集約しやすい地点の調査に変更した。そして目安を超える地点は外部被ばくを防ぐため除染してきた。
 だが、平間公園を除染するまでには一カ月を要した。ようやく九月十六日、土砂などは八袋の大型土のうに包んで運び出し、トラックで川崎区・浮島一期埋め立て地の一時保管場所に移した。ただ、高濃度のため最終処分は決まっていない。

地表5センチ、447ヶ所で再測定

 除染後、線量は目安を大幅に下回る毎時〇・〇七マイクロシーベルトにまで下がった。担当課は「国が対処法を示さない中で市としてどうするか、検討に時間がかかった」と説明した。
 二歳の孫をブランコに乗せていた東京都板橋区の武田玲子さん(55)は、川崎市の除染基準について「泥とか落ち葉とかにたまるんですよね。何せ小さい子のことだから…。自治体の基準が厳しいのは、良いんじゃないでしょうか」と話した。

 川崎市の除染対象の基準は厳しいほうだ。外部被ばくは、国際放射線防護委員会(ICRP)の示す年間一ミリシーベルト(一〇〇〇マイクロシーベルト)以下とするものの、自治体によって基準は異なる。基準を緩めるほど除染地点は減る。各自治体の立場が透けて見えそうだが、次に、川崎市の毎時〇・一九マイクロシーベルトの計算根拠を見てみたい。

過小評価 基準緩め

 実は、川崎市も国に準拠している。外部被ばくの時間数について環境省は、一日のうち屋外にいるのは八時間で、屋内にいる十六時間は遮へい効果(五分の二)があるとし、その合計である十四時間二十四分に三百六十五日をかけ、「年間五千二百五十六時間」という数字を出した。
 そして、この数字で年間一ミリシーベルトを割ったのが毎時〇・一九マイクロシーベルトだ。
 ところが、環境省はさらに、宇宙や大地から受ける自然放射線量毎時〇・〇四マイクロシーベルトを足して、同〇・二三マイクロシーベルトを目安にしている。しかも、基本は地表から一メートルの値だ。

 一方、川崎市は地表五センチで測定している。高津区の緑道で同〇・二四マイクロシーベルトだった値は、地表一メートルでは三分の一に減ったことから、環境省基準よりもかなり厳しい。
 しかし、この目安値が一時揺らいだ。除染の目安が厳しすぎるのではないかとして、庁内会議で「環境省基準の考えを導入したいとする声もあった」(出席者)という。

国は「0.23」、各地ばらばら

 数週間の協議の末、市は今月二十五日、同〇・一九マイクロシーベルトの目安を緩和せず、堅持すると決めた。阿部孝夫市長は「国の決める数値より厳しくきめ細かに対応し、市民の不安を解消する」と話した。十一月にかけて行う四百四十七カ所の再測定も、ホットスポット狙いに重点を置いている。

 これに先立つ二十一日、国が自治体に行う除染支援の基準をめぐり、首都圏などのホットスポットについて文部科学省は、環境省より緩い「地表一メートルで、周辺よりも一マイクロシーベルト以上高い場合」との方針を公表した。ちなみに、この基準は年間時間数をかけてみると、年八・七六ミリシーベルト以上だ。
 川崎市と同じく毎時〇・一九マイクロシーベルトで除染するのは東京都東村山市。首都圏の自治体の基準はまちまちだ。豊島区と埼玉県川口市は同〇・二三マイクロシーベルト、練馬区では同〇・二四マイクロシーベルトを採用。いずれも地表五センチで測定する。

 隣の横浜市は屋内分をゼロ査定するなどして同〇・五九マイクロシーベルトと緩かったが、二十六日、環境省基準の地表一メートルで同〇・二三マイクロシーベルトを基本とした。
 環境政策シンクタンク「環境総合研究所」(品川区)の青山貞一所長は「屋内の放射線量が低いと仮定すること自体、過小評価につながる。屋外の放射性物質が室内に少しずつ持ち込まれ、室外と室内で汚染レベルがあまり変わらない事例もある」といい、一年八千七百六十時間で算出する毎時〇・一二マイクロシーベルトを目安に提唱している。

「剪定、除去を急いで」

 首都圏でホットスポットが多いのが千葉県北西部だ。市民団体「こども東葛ネット」の増田薫代表(45)は「梅林の剪定(せんてい)だけで大幅に空間線量が下がったと聞いた。公園などで落ち葉を除去するのは、子どもたちが浴びる線量を減らすのに有効だと思う」と期待する。

 増田さんが住む松戸市では、公園や学校などで毎時〇・三マイクロシーベルト以下に除染する目標を掲げている。「山林に比べて都市部の除染は物理的に可能なので、どんどんやってほしい」と要望する。

 一方で、汚染された落ち葉は焼却すると高線量になるため、市は資源ごみとして回収。清掃施設の敷地内に山積みにされている。増田さんは「自治体には厳しい基準でできる限り除染をしてほしいが、ごみの行き先がなければそれも難しい。放射性物質は消滅しないので、とにかく移動させるしかない。最終処分について国や東電に方向を示してほしい」と話す。

<デスクメモ> 産廃問題では人けのない里山が狙われ、ダンプが続々と谷間を埋めていった。だが放射能汚染物はより深刻で満足な処分場がない都市部の苦悩は大きい。家庭ごみの焼却灰をカネで過疎地に引き取ってもらうようにはいかない。リサイクルもできない。狭い日本が恨めしい。新たなゴミ戦争が起きる。 (呂)

カテゴリー: 小出裕章 タグ: パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中