4/18浪江町議選 避難所の一票 「帰りたい」託す先は 不在者投票開始「願いを国へ」「まず、除染」【中日新聞】

浪江町といえば耳なしウサギで話題となったところ。

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浪江町議選 避難所の一票 
2013年(平成25年)4月18日(木曜日)【中日新聞】

「帰りたい」託す先は 
不在者投票開始「願いを国へ」「まず、除染」

 東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く福島県浪江町の町議選(定数一六)の不在者投票が十七日、浪江町から避難した約三百人が暮らす東京都江東区の「東雲住宅」で始まった。町を離れて二年、古里への思いは募る。「町の一員だから」。選挙を通して、あらためて考える。(小林由比)

 「一年でも早く帰りたいという願いを県や国へちゃんと伝えていってほしい」。同住宅の一階に区が設けた臨時の不在者投票所。  
 豊島力さん(七七)はそんな思いを一票に込めた。立候補者は二十三人。この二年間、議会報告などを送り続けてくれた現職に投票した。
 浪江では、両親から受け継いだ田畑でコメや野菜を作っていた。十七年前に亡くなった母に教えられた作り方で栽培していたサトイモは、農家仲間も驚くほどの出来栄えが自慢だった。だが、昨秋に一時帰宅した時、放置されたままの畑はセイタカアワダチソウに覆われていた。「黄色い花、見たらさ、涙出てきた。情けなくて」
 先日、福島県内で避難生活を送る知人に会った時、「東京の人になったんでねえか」と冗談を言われた。「東京の人でねえ、浪江の人だぞ」という言葉が即座に出た。帰郷は簡単ではない、と頭では分かっていても望郷の念は抑えられない。「帰りてえな、やっぱり」。涙がにじんだ。
 妻と投票所に足を運んだ佐藤勝美さん(五一)は「地元にいないので、今回は候補者の政策がよく分からない。現職の人に続けてもらいたい」と話した。
 東京で入学した高校になじめなかった次男(17)は昨夏から親元を離れ福島県いわき市で高校生活を送る。都内の姉の家で避難生活を続ける八十代の母のことも気掛かりだ。「家族はバラバラ。町議にはまず除染を進めることに取り組んでほしい。でも、一時的に放射線量が下がっても住める状態になるかどうか」
 町の復興は、町の力だけでは進まないことが多いと思う。それでも「町議になる人は私たちと同じように避難生活を送る被災者。一番身近な議員を決める投票は絶対にしなきゃと思っていました」
 町議選の投開票は二十一日。東雲住宅の不在者投票所は十八日まで設けられている。

浪江町議選の不在者投票を終えた豊島力さん=17日、東京都江東区で

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