4/25 石棺葬る巨大ドーム チェルノブイリ15年に密閉へ 事故から27年【中日新聞】

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23日、ウクライナ北部チェルノブイリ原発で、事故を起こした4号機の石棺を覆うために建設が進む巨大ドーム=共同

石棺葬る巨大ドーム  

  チェルノブイリ15年に密閉へ   

   事故から27年

【中日新聞】 2013/04/25

 旧ソ連時代の一九八六年に起きたウクライナ北部のチェルノブイリ原発事故から二十六日で二十七年。事故を起こした4号機を覆う石棺が老朽化したため、石棺全体を覆い放射線の拡散を防ぐかまぼこ形の巨大ドームが全容を現した。ウクライナ政府が二十三日、共同通信などに公開した。現地では、東京電力福島第一原発の周辺と同様、放射線との長い闘いが続いている。
 ドームは鉄製で重さ一二万九千トン、幅二百五十七メートル、高さ百十メートル。石棺の隣接地で昨年三月に建造が始まり、既に基本構造はほぼ完成。耐用年数は百年だ。

丸く湾曲した屋根が陽光を受けて銀色に輝く。くすんで角張った石棺とは対照的だ。準備が整えばレールの上を約三百メートル移動させ、二0一五年十月には石棺密閉作業が完了する。
 同原発の安全担当責任者アレクサンドル・ノビコフ氏は「チェルノブイリには二つの色がある。悲劇の色と未来の色だ」と述べ、計画が順調に進んでいることを強調した。
 作業の状況は外部から見えないが、クレーンを動かすような低音と、鐘を鳴らすような金属音が絶え間なく響く。
 石棺周辺の放射線量はこの目、手元の線量計で毎時約七マイクロシーベルト。百三十キロ離れたキエフ市内の三十倍を超す。長時間の作業は難しい。
 石棺の耐周年数は約三十年で、2016年には極めて危険な状態となる。ドームが完成する一五年十月は「滑り込み」に近い際どい期限だが、問題はその後にある。密閉した石棺と原子炉を解体、内部に残る核燃料をどのように処理するかは全く未知の領域。ドーム建設には欧州を中心に国際社会が資金を出したが完成後の計画内容は事実上白紙の状態だ。  
 石棺から約十八キロ離れた敷地に、核廃棄物を貯蔵する国営施設がほぼ完成していた。ウクライナで稼働する四原発のうち、三原発の使用済み核燃料の貯蔵を十一月にも始める予定だ。ウクライナは史上最悪の原発事故を体験したが、原発存続を選択した。施設のユーリー・レイヒマン次長は「危険はないのか」との質問に「安全を確信するから、今ここで働いているのです」と胸を張った。    
 事故直後から除染の仕事にかかわってきたというキエフ在住のワシーリー・マフノさん(六四)から話を聞いた。「事故の後で死んだ仲間を何人も葬ってきた。福島の人々のつらい気持ちは分かる。われわれの経験が役に立つなら力を貸したい」。虹のようなドームの曲線が死者を慰める墓標のようにも見えた。(チェルノブイリ・共同)

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