7/17 戦前回帰の「軍法会議」 自民・石破幹事長、9条改憲後の設置力説【中日新聞・特報】

自民党は次の選挙で勝ったら戦争するんだって。赤紙が来て「いやだ」といったら死刑なんだって。
戦争になったら儲かるからって、ヒトを殺しに行くんだぜ。それをわかっていて「自民党」に入れるんか?
清打ちする時にAcrobatに相性の良いのは、PDFをカラーじゃなく白黒2階調に取ることらしい。こんなこと誰だって知ってるかもしれないけど。

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戦前回帰の「軍法会議」 自民・石破幹事長、9条改憲後の設置力説

【中日新聞・特報】2013年7月17日

憲法は「特別裁」禁止 名称変え抜け道?

 自民党は同党の改憲草案で、憲法九条を変更して自衛隊を「国防軍」にすることを掲げた。それに伴い、国防置に「審判所」という、現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)の設置を盛り込んでいる。防衛相の経験もある同党の石破茂幹事長は四月に出演したテレビ番組で、審判所設置に強い意気込みを見せた。「死刑」「懲役三百年」など不穏な単語も飛び出した石破氏の発言とは-。    (小椋貞俊)

(左) 陸上自衛隊第10師団創立50周年記念式典で行進する隊員たち。改憲の動きをどう見つめているのか=昨年9月、名古屋市守山区で
(右)海軍・第二遣支艦隊の軍法会議庁舎。194211月、庁舎移転の記念に撮影された=北博昭氏提供
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「審判所の目的はただひとつ軍の規律を維持すること」と話す自民党の石破幹事長=4月21日、BS-TBSから
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 「軍事法廷とは何か。すべて軍の規律を維持するためのものです」。四月二十一日放映の「週刊BS-TBS報道部」。憲法改正を問うというテーマで招かれた石破氏は持論を展開した。
 国防軍になると具体的に何が変わるのかと問われた石破氏は、まず「(改憲草案に)軍事裁判所的なものを創設する規定がある」と述べた。
 改憲草案九条二の五項には「軍人その他の公務員が職務の実施に伴う罪か国防箪の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、国防軍に審判所を置く」とある。
 続けて石破氏は、現在の自衛隊で隊員が上官の命令に従わない場合は、自衛隊法で最高でも懲役七年が上限であることを説明し、こう語った。

 懲役300年

 「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないという保証はどこにもない。だから(国防軍になったときに)それに従えと。それに従わなければ、その国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役三百年なら三百年。そんな目に遭うぐらいなら、出動命令に従おうっていう。人を信じないのかと言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」
 こうした重罰を科すために審判所は必要で、石破氏は「公開の法廷ではない」と付け加えた。
 自民党のホームページにある「日本国憲法改正草案Q&A」でも、国防軍審判所を「いわゆる軍法会議のこと」と説明、設置理由を「軍事機密を保護する必要があり、迅速な裁判の実施が望まれるため」と解説する。裁判官や検察、弁護側を軍人から選ぶことを想定。審判所が一審制か二審制なのかは「立法政策による」と記され、上訴ができるか否かは不透明だ。

 教訓無視

 この発言について、山口大の纐纈(こうけつ)厚教授(歴史学)は「戦前の軍隊のあり方自体を否定することから戦後日本は出発し、現行憲法がつくられた。石破発言は、平和国家日本のありようを根底から覆して、戦前と同様の軍事組織の立ち上げを意図している。歴史の教訓をほごにするもの」と話す。
 早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)も「戦争体験世代の政治家にあった抑制は皆無。戦前の反省はどこへいったのか」と批判し、「審判所」という表現に注目する。
 「現行憲法も自民改憲草案も、七六条二項で「特別裁判所」の設置を禁じている。軍法会議はこの特別裁判所にあたるため、通常の行政機関を装った『審判所』という名にしたのではないか」

人権より「国防軍」の危険性

 軍法会議は現在も、米英をはじめ、多くの国で制度が存在する。自国の軍人や軍属裁くのが目的だが、戒厳下などでは民間人も対象になる。
 旧日本軍では陸海軍にそれぞれ置かれ、一審の場合には五人の裁判官のうち軍人四人、法曹資格を持つ文官一人(後に全員が軍人)で構成されていた。平時では公開されて被告の上訴権もあり、弁護人も付いたが、戦地や戒厳下で開かれる特設の軍法会議では、それらが認められなかった。
 「二二六事件(一九三六年発生のクーデター未遂事件)では一審、非公開、弁護人なしの過酷な密室審理のもと、青年将校や民間人が銃殺刑になった」(纐纈教授)

 不当判決

 「戦場の軍法会議」の共著がある大阪経済法科大の北博昭客員教授(日本近代史)は「軍法会議の目的は軍隊を団結させ、組織を維持することにある。だから軍から裁判に干渉が入り、不当判決が起きるケースは少なくなかった」と語る。
 北教授が法曹資格を持つ当事者の裁判官から聞き取った不当判決の事例がある。フィリピンで一九四五年二月に開かれた軍法会議で、食料調達のため、部隊を抜け出した海軍の兵士が死刑になった。海軍刑法では交戦中の敵前逃亡罪は最高で死刑だが、このケースは戦闘中ではなかった。
 「この兵は英語が上手だったので、もし敵に捕まった際に軍の内情が知られないよう、見せしめに処刑されたようだ。裁判官は軍上層部から圧力を受けていたとみられ、(兵には)かわいそうなことをした』と言っていた」(北教授)

 ちなみに自衛隊の内部問題への対処は、現状でも危うさがちらつく。 
 航空自衛隊小松基地に所属していた池田久夫一等空尉(50)はニ00九年五月、「基地の情報が入ったUSBメモリーを盗んだ」という窃盗の容疑で二十日間にわたり警務隊から取り調べを受け、自白を強要された。  
 池田氏にはアリバイがあった。だが、それは黙殺され、警務隊は自白以外に証拠もないまま、金沢地検に書類送検。一0年十月に不起訴の決定が出たものの、いまだ名誉回復はされていない。 
 池田氏の支援団体は「当時の上司に意見したことで煙たがられており、ぬれぎぬを着せられたのでは」と推測する。 

 上司第一

 自衛隊員の裁判に取り組んできた佐藤博文弁護士は「警務隊員も身分は自衛官で、上両の指示に従う立場。公平性、客観性が担保されていない」と言う。佐藤氏が担当した女性自衛官の事件では、強姦未遂に匹敵する被害だったのに、それより軽微な強制わいせつで処理された。捜査に当たった警務隊員は女性自衛官に「上司の命令には逆らえない」と弁明したという。
 佐藤氏は「国防軍審判所ができれば、組織防衛のために原告の訴え自体が認められなかったり、人身御供にされたりする危険も生まれる」と案じる。「自衛隊員やその家族こそ九条によって人権を守られている」
 纐纈教授は「国防軍裁判所ができたら、すでにある有事法制に加え、戦前の吋国防保安法」「軍機保護法」のような法律が整備される可能性が出てくる」と指摘する。
 水島教授も「法に基づて判断する普通裁判所と違い、絶対的な上意下達のシステムの下、機密保持や軍の閉鎖的な論理が優先されかねない。戦前の恐怖支配の足音が聞こる」と懸念する。

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