7/18トラブル続出、偶然か必然か JR北海道 発煙や出火 特急運休 人減らし、保守点検に影響か【中日新聞・特報】

これが福島第一の原発作業の中で起きないか?
「合理化による人員整理で、ベテランが不足している。保守点検を十分にできていないのだろう」
この指摘が全てを物語っている。

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トラブル続出、偶然か必然か JR北海道 発煙や出火

【中日新聞・特報】 2013/07/18

特急運休
人減らし、保守点検に影響か

 JR北海道の特急列車から出火したり、発煙したりする事故が後を絶たない。原因はさまざまで、同型エンジンの車両は八月末まで運休になった。道内は本格的な夏の観光シーズンを迎え、影響の拡大を懸念する声が上がる。ただの偶然とは思えないトラブルの続発。JR北海道に今、何が起きているのか。 (上田千秋、小坂井文彦)

 「一割から二割、お客さんは減ったかもしれない。これからが一番の書き入れ時なのに」。JR函館駅前の「函館朝市」で乾物店を営む土田末子さん(七五)は心配顔だ。
 約二百五十の店や食堂などが所狭しと立ち並ぶ同朝市は、新鮮な海産物や野菜などを目当てに国内外から年間百五十万人以上が訪れる函館市有数の人気スポット。事故が続いて、客足は落ち込んでいるという。

 観光にも影

 「今のところ、大事故になっていないからまだいいものの、JRはどれだけトラブルを起こせば気が済むのか」と土田さん。昆布などを販売していた女性(六四)も「安全が第一だけど、事故原因を究明して一日も早く元の状態に戻してほしいと思っている」と訴える。
 JR千歳線を走行中の特急スーパーおおぞら3号(八両編成)の3号車から出火したのは、十五日午前九時すぎ。焼け焦げたにおいに車掌が気づき、緊急停車させた。乗客百三十五人は避難し、けが人はなかった。車両後部の配電盤から出火していた。
 同型車両で昨年二月、配電盤の空調スイッチ部分が破損し、発煙するトラブルが起きている。JR北海道は当時、同型の空調スイッチをすべて交換していた。
 今月六日にも、函館線の特急北斗14号で床下のディーゼルエンジンから出火する事故が発生。潤滑油が漏れて異常燃焼したとみられる。乗客二百人にけがはなかったが、JR北海道は詳しい原因が分かるまでの間、同型エンジンを搭載する三十六両の運行在取りやめることを決めた。
 特急北斗(札幌-函館間)と特急サロベツ(札幌-稚内間)の十本は、少なくとも八月いっぱいは運休となる。青函トンネル経由で本州につながる札幌-函館間の特急は、年間百八十五万人余りが利用するドル箱路線。運休となる特急は一部とはいえ、観光業界への影響は必至だ。函館朝市の組合関係者は「一番お客さんが増えるこれからの時期、ある程度の打撃は避けられないだろう」と不安を口にした。
 JR北海道の列車をめぐる出火や発煙などのトラブルは相次いでいる。ニ月には、トンネル内で特急スーパー宗谷2号の床下のゴムベルトが溶けて発煙。三月には停車中の特急北斗5号の床下から煙が出た。さらに、四月に特急北斗20号の床下から出火した。五月には特急スーパーカムイ6号の床下から出火する事故があった。このうち三月と四月は、今年六日の出火した車両と同じエンジンだった。
 今月六日の出荷事故を受け、鶴保庸介国土交通副大臣は十一日にJR北海道の野島誠社長を国交省に呼び、安全確保に努めるよう注意喚起。野島社長は「安全向上に努めてきたが、また重大なトラブルを生じさせてしまい、深く反省している」と頭を下げた。それなのに、十五日の事故がまた起きた。
 こうした事態に、太田昭宏国交相は十六日の閣僚後の改憲で「大変遺憾に思っている。(社員が)一丸となって努力してもらわないといけない」と強く注文を付けた。

 発生数突出

 JR北海道は一昨年の五月、石勝線のトンネル内で、特急の脱線・炎上事故を起こしている。負傷者は七十九人。六月には室蘭線で特急から白煙が上がり、七月には函館線で特急のタンクに穴があく油漏れ事故も発生した。
 トラブルが相次ぎ、当特の社長(六四)が九月に自殺した。遺書には「お客さまの安全を最優先にする」ことを求めていたが、事故はその後も続き、昨年二月と三月に普通列車が立て続けに脱線事故を起こした。
 事故やエンジントラブルなどで、運休か三十分以上の遅延をした輸送障害の件数は異常に多い。JR北海道広報部によると、ニ0一二年度は百八十九件と一0年度の九十一件の倍以上で過去二十年で最多。在来線の走行百万キロ当たりの発生割合は三・五四件で、他のJR旅客五社で最多のJR東日本の一・六九件を大きく上回る。
 JR北海道は昨年十一月、十年間で約千三百億円の投資を盛り込んだ安全基本計画をまとめたが、それでも改善には向かっていない。
 北海学園大の上浦正樹教授(鉄道工学)は「出火した後も特急が緊急停止しないで走行を続けたケースがあったことが気になる。一歩間違えれば大惨事。人命を預かる企業なのに、ギリギリのところまで来ていると感じた」と話す。
 鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は「合理化による人員整理で、ベテランが不足している。保守点検を十分にできていないのだろう」とみる。
 JR北海道の今年三月期決算の経常損益は三期ぶりに黒字となる九億八千六百万円だったが、実際には経営安定基金の運用益約二百七十億円がなければ大幅な赤字だった。地元の反対で、不採算路線は廃止できず、駅員、事務職をギリギリまで減らし、合理化が保守点検要員にまで及んでいるという。
 極寒の冬、地面が凍って線路がゆがみ、車両や線路の保守点検の面で、他のJR五社よりも置かれた条件は厳しい。さらに、北梅道は広く、ディーゼル車が三百キロ以上を通しで走行することがエンジンに負担をかける面もあるという。「速度を落とせば負担が減り、事故も減るだろうが、パスや自家用車との競合があるため、遅くすることはできない」
 梅原氏は「JR北海道は民営化の前から、独立採算は難しいといわれていた。いずれは第三セクター方式にするなどの対処が必要になるかもしれない」と指摘する。
 交通評論家で元国鉄監査委員の角本良平氏は企業体質について「事故原因を徹底的に調べることが大切だ。技術的な面でおカネを惜しんではいけないのは、どんな企業も同じ」と指摘した。

特急北斗14号の事故車両のエンジンを調べる鉄道事故調査官ら=9日、札幌市のJR北海道苗穂工場で

エンジン付近から出火した特急北斗14号。側面がすすけ、塗装がはがれた=6日、北海道八雲町で( JR北海道提供)

JR函館線の特急火災について陳謝するJR北海道の野島誠社長(中央)ら=10日午後、札幌市で

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