2/22尊厳死法制化 是か非か 法案提出 動き再び 生きる権利侵害 懸念も【中日新聞・特報】

(写真)尊厳死法制化を考える議員連盟総会であいさつする増子輝彦会長=衆議院第二議員会館で
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 生きているのに良くなる見込みがないなら、親を殺せという法案。

 2/21の東京新聞特報『尊厳死法案再び浮上 今国会提出へ 「生きる権利奪われる」難病患者反発』を誰も文字おこししてくれないし、中日メディカルもWeb上にあげてくれないみたいだ。

 2010年秋だったか、重篤な患者の家族にとても残酷なアンケートが政府からあった。看護士さんは「お書きにならなくてもかまいませんよ」と言ってくれたので病室で破り捨てた。EM-Xを胃ろうで入れて人工呼吸器をつけるのが罪だというのか?父は生きているというのに。「人工呼吸器を家族が外しても罪にならない制度」というような内容だったような。思い出すだけで吐き気がする。

記事文末の中西理事の「難病患者や障害者は人工呼吸器をつけてまで生きる必要はない、尊厳ある死を迎えよといった風潮にならないか」といった懸念が、実現しそうで怖い。

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尊厳死法制化 是か非か

法案提出 動き再び 生きる権利侵害 懸念も

【中日新聞・特報】2014/2/22

 超党派の議員連盟が「終末期医療における患者の意思尊重法案」、いわゆる「尊厳死法案」を今国会に提出しようとしている。法案が作成されたのは二年前。しばらく動きがなかったが、いま再び、議論を始めようとする狙いはー。(篠ケ瀬祐司、上田千秋)

 ★議連「今国会で」

 「五月の連休前までを視野に入れながら話を進めていきたい」
 二十日開かれた超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」総会で、議連幹事長の山口俊一衆院議員(自民)は尊厳死法案の提出時期に踏み込みながら、今国会にかける思いを語った。
 議連会長の増子輝彦参院議員(民主)は、記者団に「拙速は避ける」と慎重な態度を示しつつ、今国会での法案提出について、「そういう思いを強く持っている」と意欲的に語った。
 議連がまとめた尊厳死法案は二案ある。
 両案に共通するのは、回復の可能性がなく、死期が間近だと判定された「終末期」に延命治療を行うかは、患者の意思を尊重する。それに、十五歳以上の患者が延命措置を望まない意思を書面で示していれば、医師は法的、行政的責任を問われない点だ。
 違いは、患者の望む「延命措置」の内容。第一案は新たな措置を始めない。第二案は新たに始めないに加え、実施中の措置の中止も希望することができる。
 議連が法案をまとめたのは二0一二年春。当時、国会提出に向けた各党内の議論に入っていたが、同年末に衆院選になった。二二年夏には参院選があり、議論が事実上凍結された。さらに、両選挙で自民党が大勝して議員が大幅に入れ替わり、議論もし直された。
 各党の態勢が固まり、昨年末ごろから法案提出への動きが再開することになった。自民党はプロジェクトチームをつくり、関係団体などからの聞き取りを進める。民主党は十九日に議連メンバーが、党内手続きを急ぐ方針を確認した。

 ★「最期は自分で」

 法制化を求める日本尊厳死協会の岩尾總一郎理事長は議連総会に出席し、議連の動きに期待を膨らませた。「一日も早い法制化を望む。自分の最期を自分で決め、表明できる制度を求めている」
 議連は、法案を一つにまとめず、二案をそのまま国会に提出する方針だ。
 ただ、議連内にも温度差がある。日本医師会の元副会長でもある羽生田俊参院議員(自民)は「私は法制化にブレーキをかけるために議連に入った」と議連総会で、反対論をぶった。
 「法制化で医師が免責される意味は大きいが、法律ができると、法からはみ出した行為が罪に関われないかという心配もある」。厚生労働省や医療関係団体が終末医療についての指針を持っている。指針に従えば問題はなく、法規制は医師にも患者にもかえって害があるという考え方だ。

 ★難病患者ら反発

 尊厳死の法制化には反対意見も多い。影響を懸念している難病患者や身体障害者、その家族らは「医師が怒意的に医療行為を中断できるようになり、患者の生きる権利が奪われてしまう」と批判する。
 日本ALS(筋萎縮性側索硬化症)協会理事の川口有美子さんは「法律ができると、『家族ら周りが大変だし、もう治療しなくていいだろう』という考え方が強まる。命が軽いものになる」と訴える。ALSは全身の筋肉が徐々に萎縮して死に至る難病で、国内の患者は約九千人。
 ALSだった母親を十二年間介護した川口さんが危慎するのは、「本当に本人の意思が反映されるのか」という点だ。健康時にリビングウイルと呼ばれる「尊厳死の宣誓書」を書いた人も、病気になれば気が変わるかもしれない。法案では「いつでも撤回できる」と規定するが、そう簡単な話ではないという。
 「治療費もかかるし、介護も大変。本人が尊厳死の意思を示していれば、周りはその方向で動く。『やっぱり生きたい』と言いにくくなり、患者の思いは踏みにじられるかもしれない」
 法案が定義する終末期も「あいまいだ」との批判がある。都内などで在宅医療を手掛ける佐々木淳医師は「終末期をはっきりと線引きできないし、患者の意思によっても変わる。法律ではなく求められるのは、医師と患者の緊密なコミュニケーションだ。法律ができると、『従っておけ』となり、患者は不満足な最期を迎えてしまう」と話す。
 欧州各国では法制化が進む。立命館大の立岩真也教授(社会学)は「欧州ではどんどんエスカレートする流れになっている。日本も法制化をきっかけに、同じように進む可能性を否定できない」と主張する。

 ★議論進まず拙速

 国民の閣で尊厳死に対する理解ほ深まっておらず、法案提出は拙速との見方もある。立岩教授は「終末期の定義などについて数多くの意見が出ているにもかかわらず、この二年間、議連で議論が進んだようには思えない」と指摘する。佐々木医師も「尊厳死と安楽死の区別がつかない人も少なくない。そんな状況で法律を作ろうというのは違和感がある」と強調した。
 DPI(障害者インターナショナル)日本会議の中西正司理事は「人の生き死にに関して、国家が関与して法制化しようとすること自体に無理がある」と説く。「難病患者や障害者は人工呼吸器をつけてまで生きる必要はない、尊厳ある死を迎えよといった風潮にならないか。西洋と日本は考え方が異なる。欧州各国の流れに引きずられるのではなく、命のあり方について議論を深める必要がある」

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終末期医療における患者の意思尊重法案

(終末期の定義)
全ての適切な医療措置を受けても回復の可能性がなく、死期が間近と判定された状態

(終末期の判定)
2人以上の医師が医学的知見に基づいて行う

(意思表示)
患者本人が書面などで意思を示す。いつでも撤回できる

(不開始・中止の対象行為)
第1案 新たな延命措置
第2案 新たな延命措置と行っている延命措置

(免責)
不開始・中止について医師は刑事、民事、行政上の責任を問われない

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尊厳死「自然な死」が出発点 「安楽死」とは一線

 日本学術会議はニ00八年、終末期医療のあり方に関する報告書をまとめ、尊厳死を「過剰な医療を避け、尊厳を持って自然な死を迎えさせることを出発点として論じられている概念」と定義した。一方、薬物などを投与して患者の生きる期間を短くする狭義の安楽死は「医療行為の範疇を逸脱する」として議論の対象から外した。
 海外では、既に尊厳死を合法とする国もある。日本尊厳死協会の岩尾理事長によれば、フランスやドイツなどで認められている。
 ベルギーやオランダなどは安楽死を認めている。ベルギー下院は士ニ日、年齢制限を廃止して未成年の安楽死も認める改正法案を可決した。上院は既に通過している。がんなどの末期段階で、改善を期待できない耐え難い苦痛がある患者が対象だ。キリスト教団体を中心に「倫理に反する」と反対意見も根強い。

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