3/26被害者DV被害深刻 先見えず、ストレスのはけ口に【中日新聞・特報】

3/24の東京新聞の特報「深刻化する被災地のDV被害 表に出る差別・不平等」と多分同じはず。誰も文字おこしをしてくれない。男性ならそうだろう。
「DVという言葉をこの頃聞かなくなった、もうそんなのはなくなったんだろう」と世間では思われてでもいるのだろうか?DVでなくても女性でもちょっとしたことで激しく対応するヒトがいる。自分より目下のものは何も感情がないとでも思っているのだろうか、被災地でなくてもサディストはいる。要するに「はけ口」なんだろう。
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被害者DV被害深刻

 先見えず、ストレスのはけ口に

【中日新聞・特報】2014年3月26日(水曜日)

 

 東日本大震災から三年がたち、深刻化している問題がある。女性への暴力だ。水面下で進行し、解決が難しい特徴がある。民間支援団体による電話相談では、被災三県からのDV(ドメスティックバイオレンス=配偶者や交際相手からの暴力)や性暴力の訴えが、激増しているのだ。何が起きているのか。(出田阿生)
 二重の苦しみ
 

 「東京に来てから、少しは気持ちを吐き出せるようになった」。こう話すのは、福島県内から避難してきた柳井かおるさん(四四)仮名=だ。東京都内の公営住宅で、六歳と四歳の息子ニ人と暮らす。夫の暴力や暴言は罷災前にもあったが、震災後にさらにひどくなっていったという。
 福島第一原発の二度目の爆発後、家族四人で空港で雑魚寝をして搭乗機を待ち、関西ヘ避難した。夫の親族の家では「まず銭揚で放射能を落とせ」と言われた。その後、いったん福島に戻ったが、夫の勤務先は休業。物資不足と放射能の恐怖の中、夫婦げんかが増えた。夫が「関西に逃げよう」と主張し、再び関西ヘ避難したところ、夫の暴力と暴言は激化した。
 夫から逃れるように、東京で親族のワンルームマンションに身を寄せた。しかし狭すぎる部屋。母子でインフルエンザにかかり、意識がもうろうとしたまま街をさまよった。
 「自分が自分じゃないみたいで・・・。何度も電車に飛び込もうと思った」。必死に携帯構話でネット検紫して、母子避難者のための支援団体を見つけた。住宅を借り、行政のDV相談窓口にもたどりつけた。現在、夫との離婚調停を進めている。
 夫からは殴る蹴るといった身体への暴力に加え、「死ね」「生きている価値がない」と言葉の暴力も受けてきた。あらがってもカではかなわず、「子どももいるし、自分さえ我慢すれば」とあきらめていたという。DVの後遺症に苦しみ、抗うつ剤を処方されている。だが、もともと明るく気丈な性格だ。最近、少しずつ笑顔が戻ってきた。
 柳井さんは「私みたいな人はたくさんいるんじゃないかな」という。母子避難者が招待された観劇会で、隣の女性と話していると「私も夫に殴られていた」と打ち明けられた。福鳥の女友達は、前夫からDVを受けた後遺症で不安定になり、子どもにつらくくあたってしまうと悩んでいた。住んでいる避難者用の住宅でも、女性の悲鳴が時折聞こえる。「こうした被害を世の中の人に知ってほしい」

 被災三県での警察に寄せられた二0一二年~八月のDV相談件数は、福島県では前年同期比64%増の八百四十件、宮城県では33%増の千八百五十六件と、いずれも過去最高となった。
 岩手県は2%減の二百九十八件だったが、支援団体は「孤立した被害者が訴え出ることができないのではないか」と分析している。
 被災地のDV被審者らの支援活動をしているNPO法人「ウィメンズネット・こうべ」の正井礼子代表は「阪神大震災の後には、夫の暴力に悩む女性から『被災で大変な時に家庭内のつまらないことを相談するのはわがままだろうか』という相談があった。この女性のように訴えることができない人が大半なのに、当時は女性の暴力被害は『なかった』ことにされた」。
 被害女性は、DVと震災というニ重の苦しみに声を殺して耐えなければならなかった。
 
 
 3年の二番底
 
 
 東日本大藤災では、こうした教訓を生かし、さまざまな活動が立ち上がった。その一つが「ウィメンズネット・こうべ」などが参加した「東日本大震災女性支援ネットワーク」。正井さんは「災害が起きた後には、DVや性暴力、児童虐待が増える傾向にあることが、各国の調査で明らかになっている」と話す。
 この団体のメンバーで「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」という調査報告審をまとめた米ミシガン大の吉浜美恵子教授は「報告事例の大部分が、震災前から暴力が継続していたか、何らかの兆しがあり、震災をきっかけに悪化、再発する傾向があった」と解説。「災害時には男尊女卑や家父畏制的な考え方が強まり、暴力に対する許容度も高まる。DVや性暴力は災害によって突然超きるのではない。平常時からの差別や不平等が深刻化し、経済・社会的に弱い立場の女性がさらに追い詰められている」と指摘する。
 報告事例は指摘を裏打ちする。「震災後に仕事が減った夫のアルコール依存が進み、妻の頭を一升瓶で殴った」(六十代女性)「被災して家を失ったため、暴言や暴力が原因で別居中の夫とやむなく同居。夫が携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)を使い妻の監視を始めた」(四十代女性)「薬物使用が止まっていた夫が、原発事故への不安から妻に暴力をふるい始めた」(二十代女性)
 加害者は顔見知りであるため、それが被害者の訴えを封じ込める要因ともなっている。周囲に被害を訴えても「加害者も大変なのだから」と反応はつれない。仮設住宅などでは、引っ越し先もなく被害者側が沈黙を強いられる。
 あるシングルマザーは、「女手一つで大変だ」と買い物を手伝ってくれた近所の男性に、「面倒を見たんだから」と突然襲われかけた。性暴力の被害を受けた女性が警察に相談したのに、加害者と同じ避難所に帰されたケースもあったという。
 一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」で東北六県のコーディネーターを務める山屋理思さんは「今や深刻な『震災から三年のニ番底』が到来している」と警告する。「二番底」とは、誰もが助け合おうとする被災直後の「災害ユートピア」が消え、先の見えない生活で被災者の状況がどんどん悪くなっていく状態を指す。
 
 
 増えるSOS
 
 
 こうした環境の悪化は、これまで耐えてきた被害女性たちの背中を押し、SOSを出させる結果につながった面もある。
 同センターは二十四時間無料電話相談「よりそいホットライン」を実施。一三年四月~一四年一月の相談内容をみると、DV・性暴力は、被災地以外の地域が4・95%に対して、被災三県では8・1%に上った。
 被災地では離婚の相談も増えているが、「震災後に母子家庭になった理由の八部が離婚で、その理由の八割がDV。逆にいえば、これほどの災害がなければ、世調体を気にして女性が別居や離婚に踏み切れなかった表れでもある」。
 「よりそいホットライン」のように、支援者が専門家や行政窓口まで同行し、問題解決を目指す仕組みは少ない。ホットラインでも入手は不定している。年間一千万件超の電話相談があるが、回線混雑で通話に至るのはわずか4%未満だ(一三年度)。
 山屋さんは訴える。「被災自体は大変な苦難だが、これをきっかけに暴力から逃れ、新たな人生を歩み始める女性も出てきている。被害を再び埋没させてはいけない。表に出てきた被害者の声に耳を傾け、もっと支援策を充実させなければならない」

 

 

柳井さんと息子2人との生活は、ようやく落ち着き始めている=いずれも東京都内で
上「本当に困っている人には、こちらから支撮の手を差し出すことが大事」と話す山屋理恵さん
下 電話相談を24時間受け付ける「よりそいホットライン」。2人1組で悩みを聞く

 

 

 

 

 

 

 

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