4/19【映画】「ある精肉店のはなし」 問いかける「食」の本質【中日新聞・石川】纐纈あや監督に聞く

うーん。フォトジェニックでない。実物の纐纈あや監督はもっとキレイだ。

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【映画】「ある精肉店のはなし」 問いかける「食」の本質

   2014年4月19日 【中日新聞・石川】
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/bunka/list/201404/CK2014041902000191.html

 映画「ある精肉店のはなし」の一場面
 
来月10日から金沢で上映

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「自分がイメージしていたことと実際に見たものとのギャップが映画を撮る一番の動機」と語る纐纈あや監督
纐纈あや監督に聞く
 
 江戸時代から大阪で続く精肉店家族の日常に寄ったドキュメンタリー映画「ある精肉店のはなし」が五月十日から金沢市のシネモンドで上映される。牛はどのように「肉」になり私たちの口に運ばれるのか。「生きものを食べる」という「食」の本質を考えさせられる。監督の纐纈(はなぶさ)あやさん(39)に聞いた。 (松岡等)

腑に落ちる実感
 「暗くて、重く冷たいとイメージを持っていたと畜場を初めて見たとき、そんな悲愴(ひそう)感は全くないのに驚いた。すごい熱気にあふれていて、いつか映画にしたいと思い続けていた」

 機会が巡ってきたのは二〇一一年。「知人に『大阪にすごい肉屋があるんやで』と知らされて」。大阪府貝塚市で七代続く北出精肉店。自分たちが肥育した牛を家族で手さばきし、食肉とし小売りする。「と畜場は半年後の閉鎖が決まっていたから、まず技術を記録させてほしい」と撮影が始まった。

 牛の解体が始まる場面は息をのむ。機械化が全盛の中、ナイフ一本での解体作業。繁忙期には家族が総出で行う食肉の出荷作業。同時に差別の中でどのように精肉店を営んできたか、地域の盆踊りがいかに楽しみだったか、家族の結婚、太鼓づくりとだんじり。それら家族と地域の日常が語られていく。

 前作「祝(ほうり)の島」では三十年にわたり上関原発計画に反対している山口県・祝島(いわいしま)に住み、暮らしを記録した。「今回も近くに部屋を借り、撮影のないときも北出家を訪れた。映画でもたびたび登場する食卓で私も仕事をさせてもらい、世間話をする。そこから見えてくるものがある」

 
 
 ドキュメンタリー映画について「原発でも、被差別部落でも、社会問題を、問題として取り上げようとすると、どうしてもすべてに『問題』というフィルターがかかり、本当の理解からは遠ざかる。タブー視され、取り上げられにくい問題を身近にたぐり寄せるために、実際に暮らしている人たちの表情を見て、体で感じ、腑(ふ)に落ちる実感を得たいという思いがある」

 日常を撮るには家族と地域の人々との交わりが不可欠。ただ被差別地域でも「匿名にしたり、モザイクをかけるようなことはしたくなかった」。映画として公開するのは簡単ではない。

 「地域の部落解放同盟の人たちから『私たちが撮影されることにどれだけ覚悟が必要なのか分かっていますか。映画になるのは地域全体がカミングアウトするのと同じ。子や孫の人生にもかかわる。あなたにはそれに対する覚悟がありますか』と問われた」

 「責任を負えるかを考えても答えは見つからない。けれど『絶対に逃げません、自分自身全身でぶつかります』と。最後は『お互い、何かあれば一番に駆けつける。そんな思いでやりましょう』と言ってもらえた」

 「『命をいただく』という言葉が使われるが、本当に分かっているんだろうかと、北出さん家族を見ていて思わされた。食のオートメーション化を告発する映画をきっかけにベジタリアンになったという大学生から『映画を見て肉が食べたくなりました』と言ってもらえたのがうれしかった」

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 シネモンドでは五月十日正午からの上映後、纐纈さんの舞台あいさつがある。

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