9/27鶴彬の「沈黙しない」見習いたい 川柳で反戦 戦前に訴え【東京新聞・社会】鶴彬川柳選【日本ペンクラブ「電子文藝館」】

嬉しい!私の大好きな川柳人の乱鬼龍さんの写真が載っていた。
和歌より俳句の方が文字数の制限があって難しい。
季節感なんかより、その中に世相を批判するんだから川柳の方が難しい。
そんなことを言っていたら、俳人だった祖母に叱られそう。

「ジョニーは戦場へ行った」をふと思い出した--「手と足を もいだ丸太に してかへし」

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鶴彬の「沈黙しない」見習いたい 川柳で反戦 戦前に訴え

2014年9月27日 夕刊【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014092702000244.html

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ベニヤ板に川柳を書く乱鬼龍さん=東京・霞が関で

日本が戦争へ突き進んだ昭和初期に川柳で反戦を訴え、当局に逮捕されて短い生涯を終えた鶴彬(つるあきら)(一九〇九~三八年)。その生き様をテーマとした演劇や映画観賞、講演会が相次いで企画されている。研究者らは、特定秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認の閣議決定が強行された現代と当時を重ね「鶴彬のように沈黙しない勇気が必要だ」と声を上げる。 (杉戸祐子)

「日中戦争が始まるころ、草の根の文芸の広がりを絶とうとする『言葉狩り』が広まり、鶴彬も逮捕された。今、国は着々と戦争へと進んでいるが、大衆の表現を黙らせてはならない」。二十日に東京都文京区で開かれた講演会で、文芸評論家の楜沢健(くるみさわけん)さんは訴えた。

鶴彬は石川県出身。貧しい家庭環境で育った。十代から新聞に川柳を投稿し、日本が対中開戦に向かう中、世相を批判する反戦川柳を発表した。

「手と足を もいだ丸太に してかへし」

「タマ除けを 産めよ殖やせよ 勲章をやろう」

戦時下の女性の立場にも心を寄せた。

「胎内の 動き知るころ 骨がつき」

「肺を病む 女工故郷へ 死に来る」

軍国主義に迎合した作品をつくる他の川柳人に同調しない鶴彬は、特別高等警察に告発された。三七年、治安維持法違反で逮捕され、獄中で赤痢に罹患(りかん)。翌三八年九月、東京・新宿にあった豊多摩病院で亡くなった。

新宿区で十一月六日から演劇「手と足をもいだ丸太にしてかへし-鶴彬の生涯-」が上演される。呼び掛け人に名を連ねる川柳人の乱鬼龍(らんきりゅう)さん(63)は、さいたま市の公民館が「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という俳句の月報掲載を拒否した問題に触れ「表現の自由が弾圧されている。民衆が押し黙ったら国の針路は危うくなる」と訴える。

新宿に鶴彬の句碑を設けるための募金活動にも取り組む乱さんは、鶴彬の訴えを引き継ぐ決意を作品に込める。「世直しへ幾千万の鶴よ翔(と)べ」

杉並区の市民団体「高円寺南9条の会」は今月二十八日、鶴彬の生涯を伝える映画の観賞会「鶴彬ってだれ?」を開く。事務局の小林宏康さん(75)は「治安維持法施行を経て戦争に突き進んだ当時と現代は似ている。鶴彬を知ることで現代について深く考えられる」と話す。

演劇は十一月六~九日、新宿区のTACCS1179。問い合わせは実行委=電03(3978)4311=へ。映画観賞会は杉並区の日本学生キリスト教友愛会(SCF)会館。問い合わせは小林さん=電090(2226)4106=へ。
 

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鶴彬川柳選【日本ペンクラブ「電子文藝館」】

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招待席・反戦反核
鶴彬
つるあきら川柳作家1909.1.1 - 1938.9.14 石川県生まれ。高等小学校卒業後勤めた機屋の倒産により大阪に出る。プロレタリア川柳論争に出会い、共鳴。故里に帰り全日本無産者芸術連盟(ナップ)支部を結成するが、間もなくプロレタリア川柳会員として検挙される。昭和五年、金沢第七連隊に入営するも赤化事件で軍法会議にかけられ収監、拷問を受ける。刑期一年八ヶ月、二等兵のまま除隊するが常に警察の圧迫を受ける。掲載最終五句は「川柳人」(昭和十二年十一月二八一号)に掲載された最後の作品だが、掲載と同時に密告告発により治安維持法違反に問われ留置。不潔不衛生で有名な留置場で、そこで赤痢にかかり移送先の病院で死亡(官憲の手により赤痢菌を盛られたという説もある)。二十九歳。ベッドに手錠で括りつけられていたという。「川柳人」を主宰し鶴彬の理解者だった井上信子は同時に検挙されたが高齢のため不拘束となった。掲載作は「鶴彬川柳選」と付し、『鶴彬全集』(たいまつ社昭和五十二年九月)より抄録。
鶴彬川柳選

昭和三年

飢えにける舌–―火を吐かんとして抜かれ
人見ずや奴隷のミイラ舌なきを
ロボットを殖やし全部を馘首する
昭和四年

つけ込んで小作の娘買ひに来る
銃口に立つ大衆の中の父
自動車で錦紗で貧民街視察
神殿の地代をとりに来る地主
出征のあとに食へない老夫婦
昭和五年

勲章やレールでふくれたドテッ腹
ゼネストだ花が咲かうが咲くまいがよ
主人なき譽の家にくもが巣を
昭和九年

瓦斯タンク! 不平あつめてもりあがり
跳ねさせておいて鱗を削ぐ手際
昭和十年

凶作を救へぬ仏を売り残してゐる
暁の曲譜を組んで闇にゐる
ふるさとの飢饉年期がまたかさみ
生き仏凡夫とおなじ臍をもち
飯櫃(めしびつ)の底にばったり突きあたる
地下へもぐって春へ春への導火線
銃剣で奪った美田の移民村
ふるさとは病ひと一しょに帰るとこ
武装のアゴヒモは葬列のやうに歌がない
赫灼の火となるときを待つ鉄よ
牧場へもえ出て喰はれる春の草
冬眠の蛙へせまる春の鍬
良心を楽屋においたステージの声
縛られた呂律のまゝに燃える歌
これからも不平言ふなと表彰状
血を吸ふたまゝのベルトで安全デー
玉の井に模範女工のなれの果て
売り値のよい娘のきれいさを羨まれてる
フジヤマとサクラの国の失業者
みな肺で死ぬる女工の募集札
昭和十一年

けふのよき日の旗が立ってあぶれてしまふ
ざん壕で読む妹を売る手紙
修身にない孝行で淫売婦
貞操と今とり換へた紙幣の色
仲間を殺す弾丸をこさへる徹夜、徹夜
暁をいだいて闇にゐる蕾
枯れ芝よ! 団結して春を待つ
転向を拒んで妻に裏切られ
売られずにゐるは地主の阿魔ばかり
神代から連綿として飢ゑてゐる
日給で半分食へる献立表
王様のやうに働かぬ孔雀で美しい
昭和十二年

鉄粉にこびりつかれて錆びる肺
息づまる煙の下の結核デー
タマ除けを産めよ殖やせよ勲章をやろう
葬列めいた花嫁花婿の列へ手をあげるヒットラー
ユダヤの血を絶てば狂犬の血が残るばかり
凶作つづきの田は鉱毒の泥の海
十年はつくれぬ田にされ飢えはじめ
殴られる鞭を軍馬は背負はされ
バイブルの背皮にされる羊の皮
正直に働く蟻を食ふけもの
蟻食ひの舌がとどかぬ地下の蟻
蟻食ひを噛み殺したまゝ死んだ蟻
パンを追ふ群衆となって金魚血走ってる
稼ぎ手を殺してならぬ千人針
枕木は土工の墓標となって延るレール
高梁(コーリャン)の実りへ戦車と靴の鋲
屍のゐないニュース映画で勇ましい
出征の門標があってがらんどうの小店
万歳とあげて行った手を大陸において来た
手と足をもいだ丸太にしてかへし
胎内の動きを知るころ骨がつき

注)作品により仮名遣い、送り仮名の乱れがあります。作者の意を生かし、原文表記のままにいたしました。

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