4/28無責任核サイクル 鎌田慧【東京新聞・本音のコラム】

無責任核サイクル 鎌田慧

2015年4月28日【東京新聞・本音のコラム】

これまでも、裁判所への幻滅は少なくなかったが、二十二日、川内原発再稼働差し止め請求を却下した、鹿児島地裁の百九十九ページにもおよぶ決定書は、九州電力の主張をなぞっただけのもので、一読して唖然、だった。

たとえば、福島事故を踏まえた「重大事故が発生し得ることを前提とする安全対策」の見直しによって、「重要な施設・設備に問題を生じた場合でも、放射性物質の外部環境への大規模な放出を相当程度防ぐことができることとなった」と書かれている。

原発事故では事故を想定した「多重防護」の理論など机上の空論で、あっさり吹き飛ばされた事実こそ、フクシマの教訓だったはずだ。前田郁勝裁判長のこの根拠のない楽観主義は無責任だ。

その八日前の福井地裁.樋口英明裁判長の決定書は僅々(きんきん)四十六ページだが、「深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容」が再稼働の基準だとして、原子力規制委員会の「新規制基準は緩やかにすぎる」と断じている。主張は明快である。

田中俊一委員長の「基準の適合性は見るが、安全ということは申し上げない」との発言も無責任にすぎる。それでも彼は「審査を粛々と進める」としている。つまりは「国策民営」、親方日の丸。再稼働のスイッチを押す九電に、事故の責任を取る気があるのか、聞いてみたい。(ルポライター)

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