1年前の大村智先生の話【中日メディカル・ブレークスルー】寄生虫退治の特効薬開発/病魔から3億人守る 大村智 北里大特別栄誉教授

ノーベル賞の大村智先生のお話を、一年くらい前に中日メディカルで読んだ覚えがありました。
理研のなんちゃらとエライ違うなぁ、なんでこの先生がノーベル賞をとらへんねんやろうと思ったものです。

========

ブレークスルー 寄生虫退治の特効薬開発

病魔から3億人守る 大村智 北里大特別栄誉教授

(2014年10月28日) 【中日メディカル】
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20141029140559815

画像大村智

北里大特別栄誉教授 失明などを招く恐ろしい寄生虫病の特効薬を開発、アフリカの国々に無償提供を続け、3億人以上を病魔から守っている化学者がいる。大村智・北里大特別栄誉教授(79)。定時制高校の教師から研究者に転身して大成功した伝説的な人だ。(永井理)

なぜ高校教師から研究者になったのですか。
大学ではスポーツに明け暮れました。なんとか東京都の教員に採用されて夜間高校に。生徒は仕事を終えて授業に駆け込んで来ます。手を洗う暇もないのでしょう。指は油で汚れたまま。そんな姿を見るうち、大学まで行きながら勉強しなかったことを後悔しました。そこで教員をしながら東京理科大の大学院に入り、昼は授業を受けて週末に実験しました。指導者に恵まれ、山梨大の助手をへて、北里研究所に入りました。

薬とのかかわりは
微生物がつくる化合物から薬になるものを探す研究に就きました。大学院の経験が役立ち、研究費を持ち帰るという条件で2年の米国留学に行かせてもらいました。製薬会社のメルクと研究契約を結んで帰国しました。研究費をもらって薬候補を探すのです。当時は研究室を任され必死でした。早く何か見つけないと−。予算が尽きる夢にうなされました。

どのように特効薬にたどり着いたのですか。
いろんな場所の土を集めて中の微生物を培養し、分泌する化合物を調べるのです。まず家畜の薬に狙いを絞りました。動物薬はライバルが少なかったから。2年ほどしたころ、伊豆半島の土にいた菌から家畜に効きそうな化合物を見つけました。それが特効薬のもととなる化合物エバーメクチンです。寄生虫が退治できると分かり、メルクが改良して動物用にイベルメクチンの名で売り出しました。

DRoomura画像ガーナで子どもたちに囲まれる大村氏(中)=北里生命科学研究所提供

2年とは早いですね。
なりふりかまわず探しました。研究室の全員がポリ袋を持ち歩き、出かけるたび、あちこちの土を集めました。空き地で腐っているカボチャまで持ち帰った。「求めなければ授からない」ということです。

研究費の心配はなくなりましたか
研究所の財政も先細りで心配でした。するとイベルメクチンが売れ始め、20年以上も世界一を保ちました。研究所に入る特許料は年間16億円。求めれば授かるのですね。1%を研究費にあて、あとは研究所の経営立て直しのため新病院の建設などに使いました。私の取り分も1%あったが、好きな絵画を買って病院に飾った。ヒーリングアートですね。

人の薬をアフリカへ提供するようになったのは。
発売後、イベルメクチンが人の寄生虫にも効くと分かりました。動物薬として十分に売れたので、メルクは人向けの薬は寄生虫病に悩むアフリカの途上国に無償提供したいという。同意しました。2004年にガーナへ行きました。現地でジャパンは誰も知らないのにメクチザン(人向けの製品名)はすぐ通じる。私が開発者と知ると、子どもたちも大喜びしてくれた。泥くさく苦労したかいがあった。うれしかったです。=毎週火曜日に掲載予定

食糧増産にも貢献

微生物は外敵から身を守るため、いろいろな天然の化合物をつくる。その中から役立つ化合物を探していた大村氏は1975年、カビに似た放線菌の一種がつくる化合物エバーメクチンを発見。この化合物をもとに81年、家畜の駆虫剤イベルメクチンがつくられた。微量を注射すれば寄生虫がほぼ100%退治でき、食糧の増産に貢献した。

一方、アフリカでは人の寄生虫病「オンコセルカ症」がはびこる。フィラリアの幼虫が全身に広がり失明の危険性も高いが、イベルメクチンを毎年1回飲めば幼虫を退治できる。メルク社と大村氏は88年から薬を無償提供し、西アフリカ各国では新しい感染者はほぼなくなった。このほか「リンパ系フィラリア症」にも効き、メルク社によると、昨年提供した薬は二つの病気で計3億人分以上になる。

おおむら・さとし 1935年、山梨県韮崎市生まれ。58年、山梨大卒、都立墨田工業高教諭。63年、山梨大助手。65年、北里研究所技師補、68年、北里大助教授、75年、同教授、90年、北里研究所所長、97年、女子美術大理事長、2001年、北里大北里生命科学研究所所長、13年、同大特別栄誉教授。1990年、日本学士院賞、92年、仏国家功労勲章、2010年、テトラヘドロン賞、12年、文化功労者、14年、ガードナー国際保健賞。

広告
カテゴリー: ちたりた パーマリンク