11/17核燃料サイクル事業費 青天井 推進側も実現懸念/責任論や対米同意「撤退」決断阻む/再処理場完成 延期 日本原燃、MOX工場も【東京新聞】

核燃料サイクル事業の費用一覧(本紙調べ)

151117核燃料サイクル事業費青天井

核燃料サイクル事業費 青天井 推進側も実現懸念

 責任論や対米同意「撤退」決断阻む

平成27年(2015)11月17日(火)【東京新聞】
繰り返し核燃料を再利用できる一。こんなうたい文句で国が推し進めてきた核燃料サイクル事業だが、12兆円超もの巨費を投じながら、実現されたものはなきに等しい。原発を推進してきた人の中にも、事業の実現性に懸念を抱く人はいる。廃炉の可能性が浮上した高速増殖原型炉「もんじゅ」の問題は、事業からの撤退を決断する好機との指摘もある。  (山川剛史、小倉貞俊)

核燃サイクルを構成する施設のうち、完成したものといえば、実は原発くらいしかない。
青森県六ケ所村に造られた使用済み核燃料再処理工場はトラブル続きで、完成時期は延び延びになってきた。混合酸化物(MOX)燃料工場も建設中。高速炉の輪も、もんじゅは一九九五年のナトリウム漏れ事故以降、ほとんど稼働していない。
再利用の「輪」はブツブツに途切れ、現状では回らない。にもかかわらず、国は事業からの撤退を決断できずにいる。理由は主に三つある。
一つ目は、既に投じられた資金があまりに巨額で撤退すれば責任問題が浮上するという思い。二つ目は、米国と長く交渉し、いちいち米国の許可がなくても核燃料からプルトニウムを抽出できる「包括的事前同意」する権利を一九八七年に認めさせた。これを捨てられるのかという思いだ。
三つ目は、撤退すれば、事前の取り決めに基づき六ケ所村内に貯蔵されている核のごみを青森県外に運び出せ、と言われかねないとの懸念からだ。
だが、今ある施設を維持するだけで年間千六百億円のお金が消える。経済的に成り立たないと困る電力会社は、必ずしも核燃サイクルに賛成ではない。
「誰があんな高いMOX燃料を使いたいものか。使用済み核燃料の体積を減らす処理は必要だが、使用済みMOXはやっかいな存在だ。通常の核燃料より、冷めるまで時聞がかかり、有害物質が大幅に増え、最終処分にも影響が出る」。東京電力原子力部門の元トップはこう語る。
核燃サイクルを長年調べてきた原子力資料情報室の沢井正子氏は自らの調査経験と本紙の集計結果を重ねながら、「再処理工場をみても、トラブル続きのひどいありさまだ。コストはもっと膨れあがっていてもおかしくない」と指摘。
その上で、「事業の全体像が分からないので費用の天井もなく、『足りなければ国民から取ればいい』という認識で続いてきた。だが、もんじゅの問題で注目が集まれば、国民の疑念も高まるのではないか」と話した。

 

再処理場完成 延期 日本原燃、MOX工場も

日本原燃の工藤健二社長は十六日、青森県六ケ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の完成目標時期を二年程度延期し、二O一八年度上期にすると発表した。混合酸化物(MOX)燃料工場についても一年半程度延期して一九年度上期とする。
両工場は原発の使用済み燃料からウランやプルトニウムを抽出して燃料に加工、再利用する核燃料サイクル政策の中核施設。現在、原子力規制委員会で新規制基準への適合性審査を受けている。
工藤社長は青森市内で記者会見し「審査に時間を要し(目標時期の)実現が難しくなった」と説明した。
一方、安全対策面で「内容や工期に一定の見通しが得られた」と述べ、審査と並行して緊急時の対策拠点となる建物を新設することを明らかにした。
原燃は従来、それぞれの完成目標時期を一六年三月、一七年十月としていた。再処理工場の完成延期は、時期を未定としたケースを含めて二十三回目となる。

トラブル続きで、完成時期が何度も延期されてきた再処理工場=2013年11月、青森県六ケ所村で

広告
カテゴリー: 再稼働, 中日東京新聞・特報 タグ: , , パーマリンク