12/4原子力機構の不透明契約身内で税分配、変わらず/「競争なき契約」5割超【東京新聞・核心】

原子力機構の不透明契約身内で税分配、変わらず

「競争なき契約」5割超

【東京新聞・核心】 2015年12月4日

四年前、日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)は「疑義が持たれないような入札や契約に改善する」との方針を打ち出した。しかし、本紙の調査で、機構OBらが経営する「ファミリー企業」への巨額の発注はあまり減らず、年間二百数十億円の水準が続いていることが分かった。使われているお金は税金。仲間内で巨額の税金を分配する構図は変わっていない。 (山川剛史、小倉貞俊)

 ■ファミリー

都心から北東に百十キロ、機構が立地する茨城県北部の東海村には、機構のさまざまな研究施設や日本原子力発電東海第二原発がひしめく。JR東海駅周辺から海近くの機構の施設群まで四キロほど。狭いエリア内に、機構OBが役員を務め、機構から多額の受注を続けるファミリー企業が本社などの拠点を構えている。
ファミリー企業同士で株を持ち合っているケースも少なくない。施設保守を手掛ける「検査開発」の本社ビルには、運送会社「エイ・ティ・エス」の本社が入居。保守・分析会社「アセンド」の本社には、警備会社「ナスカ」の本社が入居していた。

 ■ギャップ

機構は、二OO八年度は約34% (金額ベース)に上っていた競争性のない契約が、一三年度には5%強にまで改善したと、契約状況のまとめで自己評価。「目標値の6・7%に対し、目標を達成した」と強調している。
しかし、機構が公表している一四年度後半から一五年度前半の個別の契約データを集計すると、発注額の四割強までが競争に疑いのある随意契約だった。核施設の情報管理を理由にファミリー企業に発注したケースのほか、「競争入札」にカウントされていても、入札参加者がおらず、受注実績のある企業に発注したケースもあった。
さらには、一社しか入札しない名ばかりの競争入札も多く、これらを合わせると、競争原理が働いていない契約は50%を超える。機構の自己診断とは大きなギャップがある。

 ■参入に壁

こうした状況が続く大きな理由には、原子力という特殊性のほか、ファミリー企業などががっちり業務を握る中で、新規参入が難しい環境ができあがっていることが挙げられる。
入札を断念した企業を対象に、機構が実施したアンケートでは「得意分野と異なる」「不慣れな業務を確実に履行するにはリスクがある」のほか、「実績要件が厳しかった」「入札から業務開始までの期間、納入期限が短かった」など、参入に壁があるとの答えも多かった。
専門性は低いのに、警備や清掃業務はほぼファミリー企業が独占している。特に、警備は「核不拡散」を理由にして、機構は今後も随意契約で独占させる方針だ。
だが、同様に強固なテロ対策が求められる空港では、レーダーの保守や警備、手荷物検査などの開放はかなり進んでいる。ここでも長らく財団法人が事業を独占してきたが、各地で業務の説明会を開いたり、契約期間を数年にして人材確保をしやすくしたりして、新規参入を促してきた。
機構は、入札要件を緩和するとともに、ネット上で入札募集の情報を積極的に発信したり、募集期聞を長くするなど、努力を強調するが、改善の実績は上がっていない。

原子力機構の周辺には、13のファミリー企業・団体が集中立地していた。左は原子力エンジニアリング、右は検査開発の各本社=茨城県東海村で

((((原子力機構関係の深い企業・団体への発注。データは昨年9月~今年9月))))

受注した企業・団体名 主な所在地 機構OBが役員 受注額(億円)
高速炉妓術サービス(株) 福井県敦賀市 35.4
検査開発(株) 茨城県東海村 ○ 20.8
(株)NESI 福井県教賀市 ○ 17.8
原子力エンジニアリング(株) 茨城県東海村 ○ 16
日本アドバンストテクノロジー(株) 〃 ○ 15.6
(株)アセンド 〃 ○ 14.8
(株)TAS 福井県敦賀市 ○ 13.9
(株)アトックス 茨城県東海村 ○ 13.7
人形峠原子力産業(株) 岡山県鏡野町 ○ 11.7
(株)トータル・サポート・システム 茨城県東海村 ○ 9.2
(ー財)高度情報科学筏術研究機構 〃 ○ 8.9
東興機械工業(株) 〃 8
(株)E&Eテクノサービス 茨城県ひたちなか市 ○ 7.3
(株)原子力セキュリティサービス 茨城県東海村 ○ 5.7
(株)ナスカ 〃 ○ 5.5
三菱マテリアル(株) さいたま市 3.6
(株)ペスコ 京都港区              ○ 3.5
エイ・ティ・エス(株) 茨城県東海村 ○ 3.3
(一財)放射線利用振興協会 〃 ○ 2.6
ビームオペレーション(株) 群馬県高崎市 ○ 2.4
(公財)放射線計測協会 茨城県東海村 ○ 0.7
(公財)原子力バックエンド推進センター 東京都港区 ○ 0.5
(公財)日本海洋科学娠興財団 東京都台東区 0.5
(公財)放射線影響協会 東京都千代田区 ○ 0.3
(公財)原子力安全研究協会 東京都港区 0.3
(公財)つくば科学万博記念財団 茨城県つくば市 ○ 0.2
(公財)原子力安全技術センター 東京都文京区 ○ 0.1

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(公財)日本分析センター 千葉市 ○ 0.1

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カテゴリー: 再稼働, 放射能汚染, 中日東京新聞・特報 タグ: パーマリンク