12/30「プルトニウムもう増やすな」 パグウォッシュ会議声明/”日本産”が世界の2割【日刊県民福井】

「プルトニウムもう増やすな」  パグウォッシュ会議声明 (回らぬ核サイクル)

 ”日本産”が世界の2割

2015年12月30日【日刊県民福井】

日本の核燃料サイクル政策の要となる高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の先行きが見えない中、核兵器の廃絶を目指す各国の科学者ちの国際会議「パグウォツシュ会議」が、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理の中止を求める評議会声明を出した。日本を含む各国政府に中止を働きかけていう。同会議評議員で前原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎・長崎大教授は本紙などに「地域紛争やテロのリスク拡大が背景にある。これ以上プルトニウムを増やすべきではないというのが、科学者の共通認識だ」と語った。

同会議はこれまで、平和利用としての再処理を容認してきた。だが、今年十一月に長崎市で開かれた会議では、増え続けるプルトニウムへの懸念が相次いだ。日本を含め世界のプルトニウム在庫量が増え続けているほか、中国の核物質に関する透明性などが議議になったという。

鈴木氏は六ケ所村(青森県)の再処理工場が動きだせばさらに量が増えるという日本の現状が、議論に与えた影響は大きい」と説明する。六ケ所村の再処理工場は、商業用の原発で出た使用済み燃料からまだ使えるウランとプルトニウムを取り出す。電気料金などを原資にした建設費は二・二兆円に膨らんだが、完成が延期され続けてきた。

日本のプルトニウムは、既に海外に再処理を委託したものも含めて約四十八トンあり、世界全体の五分の一を占める。再処理した燃料を使う高速増殖炉の原型炉もんじゅは、一九九五年のナトリウム漏れ事故以降もトラブルや点検漏れなどが相次ぎ、原子力規制委員会が十一月、運営主体の変更を文部科学省に勧告するなど存続が揺らいでいる。

政府は既存の原子炉でプルトニウムを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を消費する「プルサーマル」を進め、今月二十二日に福井県知事が再稼働に同意した関西電力高浜原発3号機にもMOX燃料を使う予定だ。

しかし、鈴木氏は「フランスはプルサーマルをかなり円滑にやっているが、プルトニウム在庫量が増え続けている」と指摘。根本的な解決に向け、「使用済み燃料の直接処分を可能にするべきだ。これ以上、再処理で増やすのは説得力が無い」と、核燃料サイクル政策の見直しを求めた。

(パグウォッシュ会議)

核兵器の廃絶を掲げる国際会議。英国の哲学者ラッセルが提案し米国のアインシュタインや日本の湯川秀樹ら科学者が連署した宣言をきっかけに、1957年にカナダ・パグウォッシュ村で初会合を開いた。冷戦終結や核弾頭の削減に一定の貢献をしたとされ、95年にノーベル平和賞を受賞した。原爆投下から70年のことし、長崎市で世界大会を開催。核保有国に核兵器廃絶の確約を求め、原子力技術の危険性を封じ込める大切さを説く「長崎宣言」を発表した。

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