【2/7東京新聞】申請の11原発、免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小(一面)/簡易施設で審査パス 原発 免震棟/「川内」の先例 コスト押える(核心)

高浜も作らないと言っている。
多重防護を止めるなんてアホちゃうか!また人災を起こそうというのか。

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申請の11原発、免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小

2016年2月7日 朝刊 【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016020702000122.html

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原発事故が起きた際の対策拠点をめぐり、電力各社が原子力規制委員会に新基準による審査を申請した全国十六原発のうち十一原発で、地震の揺れを緩和する免震機能をなくし、当初方針より規模も小さくするなどしていることが本紙の取材で分かった。必要最低限の施設を整え、低コストで早く審査を通したい各社の姿勢がうかがえ、東京電力福島第一原発事故の教訓はないがしろにされている。 (小倉貞俊)

対策拠点は、事故収束作業に携わる要員を放射能や地震から守り、関係機関と連絡を取り、食料や資材を備蓄しておく必要不可欠の施設だ。福島の事故で大きな役割を果たし、新基準の大きな柱の一つとされてきた。ところが昨年十二月、九州電力が再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、免震棟の新設計画を撤回。同社は玄海原発(佐賀県)でも計画を白紙にした。

本紙は他にも同様の動きがないか、電力各社に調査。その結果、審査申請した十六原発(川内、玄海両原発を含む)のうち、十一で免震機能のない耐震構造に変更し、規模も大幅に縮小するなどの計画に変えていたことが分かった。

当初計画通りに整備が終わったのは、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)や中国電力島根原発(島根県)だけ。北陸電力志賀(しか)原発(石川県)では、免震棟は造ったが、指揮所の放射線防護性能が足りないため、耐震構造の指揮所を免震棟に新たに併設するという。免震棟は、余震が続いても、揺れを数分の一に緩和できるかわりに、設計が複雑でコストがかかり、工期も長くなる。

川内原発の審査で、規制委は免震棟完成までの代替施設として、免震機能のない小規模な施設でも新基準に適合するとの判断をした。これを受け、電力各社はコストを抑え、早く審査をパスする状況をつくりたいと、計画変更に動いた。本紙の取材に、複数の電力会社が川内事例を参考にしたと認めている。

川内原発の免震棟撤回問題をめぐっては、規制委が今月三日、九電の瓜生道明社長に「納得できない」と再検討を求めている。

◆必要最小限のルール

<新基準と免震棟> 原発の新しい規制基準は、防潮堤を設け、防水性能の高い扉を多用することで津波から原発を守るほか、「免震など」で通信、指揮、収束要員を守る施設を整備すること、さらには放射性物質の放出を抑制するフィルター付きのベント(排気)設備の導入などを求めている。新基準を満たせば、現場は1週間持ちこたえ、事故の拡大を防げる-とされるが、規制委が認める通り「再稼働できる必要最小限のルール」にすぎない。

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簡易施設で審査パス 原発 免震棟/「川内」の先例 コスト押える

2016年2月7日【東京新聞・核心】

電力各社は、原発事故が起きた時の対策拠点を、必要最低限の施設とし、新しい規制基準にパスしようとしている。しかし、新基準の基になった東京電力福島第一原発事故の現場では、既存の免震重要棟では性能も広さも足りず、改良と増築を迫られた。 (山川剛史、小倉貞俊)

◆導 入

免震棟が原発に導入されるきっかけは、二〇〇七年の新潟県中越沖地震にさかのぼる。

想定していなかった活断層の影響で、東電柏崎刈羽原発は想定を超える地震に見舞われた。地下の消火配管が損傷し、3号機では変圧器火災が発生。事務本館一階に置かれていた緊急時の対策拠点の扉が歪んで開かなくなり、地元消防などと満足に連絡できなくなった。

その教訓を踏まえ、福島第一にも設置されたのが、免震重要棟で、地震の揺れを三分の一以下にし、通信設備や非常用の自家発電機を備えた二階建て三千七百平方メートルの施設だ。福島第一の事故では、吉田昌郎所長(当時)らがここを拠点とし、周辺で電力と通信が途絶える中でも、本店とテレビ会議で対策を練った。

「あれがなかったらと思うとぞっとする」。後に国会事故調査委員会で、事故当時社長だった清水正孝氏は免震棟の役割をこう語った。

◆不 足

東京電力が他社に先駆けて導入した免震棟が、収束作業の重要な役割を果たしてきたことは確かだ。ただ、きちんと施設が設計されたはずでも、現実の事故はもっと厳しかった。

窓からは放射線が差し込み、線量計や防護服、食料も足りない中で、疲れた作業員は防護服のまま廊下などで眠った。棟内に持ち込まれた放射性物質の付着した粉塵を除去するフィルターも不十分だった。

東京電力がまとめた作業員の被曝調査で、事故初期、発癌リスクが明確に高まる一〇〇ミリシーベルトを超える被曝をした作業員は百八人いるが、その大半は粉塵の吸い込みなどによる内部被曝が原因だったことがわかっている。

こうした現実を踏まえ、東京電力は窓を鉛板で塞ぎ、棟内を徹底的に掃除した上で各所に集塵機を設置した。支援要員が駆けつけ始めると、既存の建物では狭くなり、隣接する駐車場を潰して簡易型の建物を次々と増設。ビニールの靴カバーやゴム手袋などの着脱や、装備を確認するスペースの確保に迫られた。

◆後 退

原発を動かす電力会社なら、福島第一の免震重要棟で何が起き、必要な性能が何かは十分に認識しているはずだ。それでも多くの社が対策拠点の規模や性能を低いものにし始めたのは、余計なコストや時間を掛けなくても済み、さらに原子力規制委員会の審査にも通ることを知ったからだ。

各社が判断材料にしたのが、八月に初めて再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)の事例。九電は、免震機能も、きちんとした水道施設もなく、約百七十平方メートルと狭い代替施設を当面の対策拠点とする方針を提示。その程度の施説で、規制委は十分と認めた。

本紙の取材に対し、複数の電力会社が「川内原発の例を踏まえて決めた」などと証言。ある社の担当者は「早く審査に通って再稼働させたいので、工期の(短くなる)ことも考えた」と話した。

(図)免震重要棟の主な役割160210kakushin1

(図)増築を迫られた福島第一の免震重要棟160210kakushin2

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