2/23原発事故 川柳で伝える 元県職員 第3句集を自費出版【東京新聞・ふくしま便り】

火曜日は元(充)デスクの坂本支局長のふくしま便りの日でもあり、二週間に一度の火曜日は上牧行動の日。そして2月28日(日)は年に一回の高槻deパレード。
鶴彬の精神が乱鬼龍さんや伊東さんに正く継がれている。
短歌より俳句、それより川柳が難しい。

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原発事故 川柳で伝える 元県職員 第3句集を自費出版

2016年2月23日【東京新聞・ふくしま便り】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2016022302000201.html

伊東功さんは被災者のこまやかな心情を川柳に詠む(写真は福島県内の仮設住宅(右)と線量計(左))

写真fukusimatayori160223

元福島県職員の伊東功さん(65)=同県本宮市=が原発事故に苦しむ故郷の日常を川柳に詠み、二百三十五句をまとめて「脱原発 福島からの風 放浪編」として自費出版した。伊東さんは震災後に川柳作りを始め、すでに二冊の句集を出版している。「最初は酒の席の冗談で作った。仲間が褒めてくれるので、その気になっちゃった」という伊東さんだが、一句一句をかみしめると、笑いの陰に怒りや悲しみや被災者のこまやかな感情が詠み込まれているのがよくわかる。

さあ、皆さん、ご一緒に、ほろり、くすりとしませんか。

寒空に明日を信じて草むしる

震災の前年に早期退職した伊東さんは庭の草むしりが日課だ。「無心になれるから」と黙々とむしる。ほんの微量でもセシウムが抜ける期待もある。

黙ってちゃわからんぜよと一番星

映画「トラック野郎」で「一番星・星桃次郎」を演じた菅原文太さんが、あの世でも寡黙な高倉健さんに話しかける。「再稼働反対、辺野古(へのこ)移設反対と声を出そうぜ」。二人の大ファンだからこその妄想。

あの時も雨から雪へ三・一四

聖夜。山下達郎を口ずさんで思い出した。寒かったなあ。

フクシマを忘れないよと友ポツリ

息子のいる茨城県へ友が去った。事故前から「原発はいかん」が口癖だった。かの地でも同じ言葉を言い続けるだろう。

一番はばあちゃん作った凍(し)みお餅

全村避難の葛尾(かつらお)村は凍みお餅が名産だった。かさ増しに混ぜる山野草の名は「ごんぼっぱ」。ばあちゃんの味が恋しい。

デジタルの線量計に空っ風

アナログ人間に冷たく映る。

金目には糸目つけずの育ちかな

ようするに招致したのは金目でしょ

除染廃棄物の中間貯蔵施設は建設が難航。「最後は金目でしょ」と発言した政治家もいた。

関西弁飛び交うコンビニ駐車場

賑(にぎ)わいはいつか来たよな見たような

全国から除染作業員がやってくる。なぜか目立つのは関西弁だ。このにぎやかさ、原発建設ラッシュのころもそうだった。

被災者はオリンピックの陰で泣き

五輪招致の際、「東京は福島から遠く離れて安全」と言った人がいた。

文章は言い訳すると長くなり

安倍晋三首相の戦後七十年談話を読むとよくわかる。

鎮魂へ漏れてましたの贈り物

粛々と水を流して再稼働

記者会見漏れた漏れぬのリサイクル

汚染水はきょうも流れる。

戻りてぇー、戻りてぇーけど山がねえー

故郷の山。清い沢に魚が躍り、山菜が茂っていた。戻ってもそんな山は今はない。

五年間これが現(うつつ)と言い聞かせ

まだ夢のような気がする。

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句集の希望者は返信用の切手三百円分を同封し、〒969 1166 福島県本宮市本宮近江内五六の三、伊東功さんへ。(福島特別支局長・坂本充孝)

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