3/10関係者思いさまざま/「新基準への疑問妥当」 「裁判官個人の価値観」【京都新聞・5面】小出裕章・村上朋子・伴英幸・奈良林直

反原発だけでなく推進派からも取材するあたり、京都新聞は頑張っています。

3/9大津地裁前で
「高浜止まりますよ!大津地裁で勝ちました。」と第1報のメールをして
記者会見場で貰った決定文を
「読んで泣きそうになりました。 主文 1 債務者は福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において、高浜原発3号機及び同4号機を運転してはならない。」
とさらにメールしましたら
「よかったですね。 私は京都新聞から取材を受けました。」
と小出さんからメールの返事を頂戴しました。

というわけで、その京都新聞の記事です。

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関係者思いさまざま

「新基準への疑問妥当」 「裁判官個人の価値観」

2016年3月10日【京都新聞・5面】

元京都大原子炉実験所助教の小出裕章さん

決定結果はとてもうれしい。本来なら福島第1原発事故の原因究明をしてから安全基準を策定しないといけないが、何十年とかかる。原発推進派にはそれが我慢できないため見切り発車して「新規制基準」という名前で作った。審査に合格しても、場合によっては大事故が起きるという内容であり、そこに疑問を持つことは一般常識から考えると極めて妥当な判断と言える。

住民の被害を防げるかどうかは避難計画にかかっているのに新基準には入っておらず、計画策定は行政に丸投げされている。住民が危険にさらされていることを認め、新規制基準の不備を指摘した点でも、地裁は当たり前に判断したと言える。

福井地裁で差し止め決定が出たのに異議申し立てで再稼働が認められ、日本の司法は最後に覆されるという印象を持っていた。国の施策にとらわれず、自立して勇気を持って判決を下せる裁判官は少なかったが、大津地裁の決定が他の裁判に好影響を及ぼすことに期待したい。

 

日本エネルギー経済研究所の村上朋子原子力グループマネージャー

地裁決定は、裁判官個人の価値観で判断されており、これが他の原発や、国のエネルギー政策に影響を与えることはないだろう。新規制基準について疑問が呈されたが、福島事故の究明には何年かかるかわからない。廃炉にするにしろ、何らかの安全基準は必要であり、エネルギー技術でリスクゼロはあり得ないので、現在の基準はある程度妥当なものと思う。福井地裁決定など、原発再稼働について賛否が頻繁に変わると、国民は何を信じたらいいかわからなくなる。各地で起こる訴訟に振り回されることなく、政府は原発再稼働を含めたエネルギー政策に取り組むべきだ。

 

NPO法人原子力資料情報室の伴英幸共同代表

原発を止めるために司法で争うことの有効性をあらためて証明した。決定は、関電が再稼働を急ぐあまり原発の耐震性などについて十分説明していないことを指摘しその姿勢を批判している。原子力規制委員会に対しても、福島事故の反省を踏まえていない姿勢を問題にし、規制基準の中身や審査を厳しくせよというメッセ-ジを送っている。福島ではまだ10万人が避難し、問題は解決していない。政府は2030年に原子力発電を20%超とするエネルギー政策を推し進めているが今回の決定を機に見直すべきだ。

 

北海道大原子炉工学研究室の奈良林直教授

運転中の原発を止める決定で大変なインパクトを受けた。今回の決定のポイントは、新規制基準の意義や対策について、関西電力に限らず、原子力規制委員会や 国が国民にしっかりと説明を尽くさなかった点にあると思う。基準に合格していることを証明するばかりで、国民に基準の中身を知らせるというプロセスが抜け落ちていたように思える。それを全国に示していく必要がある。原子力研究に携わる研究者たちも、市民に原発の安全性を分かりやすく説明する機会を設け、安全性を高める研究を続けなければならない。

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