4/3川内原発モニタリングポスト報道 規制委員長ら「圧力」/住民「どっち側を向いているのか」と批判【しんぶん赤旗】

これは、先月中頃の話題だった。すったもんだ言うてるのは覚えている。
昨日4/3のしんぶん赤旗の記事だけど【もう動かすな!原発 福井県民署名】さんに出ていた。
http://fukuikenminsyomei.web.fc2.com/pdf/genpatusinbunkiji671.pdf

文字おこしをしようかと思ったけれど探したら【日本共産党嶺南地区委員会】 さんのサイトに出ていた。

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規制委員長ら「圧力」・・川内原発モニタリングポスト報道/住民「トンチンカンな対応だ」

規制委員長ら「圧力」・・川内原発モニタリングポスト報道/住民「トンチンカンな対応だ」

【日本共産党嶺南地区委員会】 2016年4月3日

原発事故が起こった際に住民避難を判断するためのモニタリングポスト(放射線量測定局)の態勢について論じた朝日新聞の報道について、田中俊一原子力規制委員長が「犯罪的」など強い言葉で非難しています。原子力規制庁は同様の報道をした他社への「事実関係の確認」にも乗り出しました。報道への威圧的対応や異論を排除する姿勢に、住民は「どっち側を向いているのか。トンチンカンな対応だ」と不信感をつのらせています。

(中村秀生)

 

低線量計と高線量計の両方が設置されている環境放射線監視センターのモニタリングポスト(川内原発から約11キロメートル)。

再稼働した九州電力・川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の周辺に設置されたモニタリングポストのうち約半数は、住民をすぐに避難させるかどうかを判断する基準値(毎時500マイクロシーベルト)を測定できない・・。

朝日新聞は3月中旬の記事で、こうした実態を紹介し、「住民避難の態勢が十分に整わないまま、原発が再稼働した」と指摘。社説でも取り上げました。

これに対して規制庁は3月15、17の両日、記事は「誤解を生ずるおそれがある」と見解を発表。判断に必要十分な性能をもつ線量計が適切に配置され、国の原子力防災会議で了承されていると主張しました。

16日の規制委会合で更田(ふけた)豊志委員は、測定の″守備範囲″の違う線集計を、ばらけて配置した方がぜいたくだという考え方もあると説明。田中委員長は会見で、高線量を測れない検出器があるのは「当たり前のこと」だと繰り返しました。

説明責任は

では、国や電力会社は、検出器の配置の考え方や状況を十分に広報し、原発の周辺住民に伝えていたのか。

「反原発・かごしまネット」の向原祥隆代表は、今回報道されるまで、毎時500マイクロシーベルトを測定できないモニタリングポストがあるという事実は、ほとんどの住民に伝わっていなかったのではないかと指摘します。鹿児島県原子力安全対策課は「測定値は公表しているが、ご存じない方もいらっしゃるかもしれない。(どれくらい伝わっていたか)見立ては難しい」と言います。

規制委会合で伴信彦委員が、記事に批判的な見解を示しつつも、情報発信についての努力や工夫を規制庁側に注文したことは、筋が通った対応です。

ところが、会合での田中委員長の発言は、国や電力会社の説明責任を棚に上げ、矛先を報道に向けたものでした。「原発の立地自治体とか周辺の方たちに無用な不安をあおり立てたという意味では、非常に犯罪的だと思っている」。攻撃的な表現が、ほかの委員の発言と比べて際立ちます。

さらに23日の会見では、十分な態勢かどうか、無用な不安かどうか、評価が「分かれるはずがない」とまで言い切り、異なる見解を切り捨てました。

規制庁は、朝日新聞に厳重抗議し、同様の報道をした他社にも「どういう経緯でこういう記事になったのか」など事実関係の確認を行い、それを踏まえて取材対応すると表明。言論への圧力には当たらないとする一方で、同様の記事を載せた産経新聞を名指しして「記事は最初に(ネット上に)アップされたけれども、すぐ消された」ので取材対応の制限はしないと、うけあいました。

住民の思い

低線量計のみが設置されている市比野小学校敷地内のモニタリングポスト(川内原発から21キロメートル)=上記の写真とも=日本共産党の井上勝博・薩摩川内市議提供

田中委員長と規制庁の異論封じとも受け取れる過剰反応を、住民はどう受け止めているのか。

向原さんは、「無用な不安をあおった」という田中委員長の発言に反発します。「住民はもともと不安をもっている。『よらしむべし、知らしむべからず』ということか。不都合な情報を隠そうとする姿勢が鮮明になった」と批判。モニタリングポストの25台が2年間も断続的に測定不能だったことを県が隠していた問題(昨年11月発覚)や、九電が免震重要棟の設置を再稼備後に撤回した問題をあげて、「またか、という感じだ。態勢の充実を求めるのが、規制委の当たり前の姿ではないか」と訴えます。

「川内原発建設反対連絡協議会」(鳥原良子会長)は18日、鹿児島県に対して、毎時500マイクロシーベルトを測定できる検出器の追加設置などを求めました。本紙の取材に県は、現在の態勢で十分であり、検出器を追加する予定はないとしています。

鳥原さんは言います。「私たち地域住民は、事実の隠蔽(いんぺい)や矮小(わいしょう)がなされることが、もっとも不安なのです。事実をきちんとしかも早く知らせることで、信頼関係は築かれると思いますが、電力会社も規制委も政府も逆のことを行ってきているので、彼らを信頼できないでいるのです」

原発事故での避難の判断

規制委が定めた原子力災害対策指針は、緊急時の避難などの判断について示しています。

■原発から約5キロ圏内(予防的防護措置準備区域=PAZ)では、放射性物質の放出前に予防的に避難します。

■原発から約5〜30キロ圏内(緊急時防護措置準備区域=UPZ)では、屋内退避が基本ですが、各地域の空間放射線量率にもとづいて避難します。毎時20マイクロシーベルトが1日読いたときには、1週間程度で一時移転。毎時500マイクロシーベルトを測定したときには、(移動困難な場合を除き)数時間以内に即時避難します。

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規制庁は、緊急時モニタリングには一般的に3種類の検出器が使われており、ヨウ化ナトリウム式検出器(通常レベル〜毎時80マイクロシーベルト程度)、電離箱式検出器(毎時1マイクロシーベルト〜10万マイクロシーベルト程度)、半導体式検出器(毎時0・2マイクロシーベルト〜1万マイクロシーベルト程度)など、検出器の種類によって測定できる範囲が異なると説明。低線量計(ヨウ化ナトリウム式)と高線量計(電離箱式)の検出器を、同一箇所に配置するケースと、分散して配置するケースのどちらも選択できるとしています。

鹿児島県によると、川内原発ではUPZ内に48カ所のモニタリングポスト(検出器49台)があり、高線量計と低線量計の両方を設置しているのが1カ所(2台)。即時避難め判断基準となる毎時500マイクロシーベルトを測定できない低線量計のみの設置が22カ所。高線量計のみの設回が25カ所です。その他に、可搬式のモニタリングポストが44台あり、そのうち30台は毎時100マイクロまでしか測定できないタイプです。

川内原発に読いて再稼働し、トラブルや大津地裁の仮処分で運転を停止した関西電力・高浜原発がある福井県に隣接する京都府では、UPZ圏内に設置したすべてのモニタリングポストで、複数の検出器を組み合わせるなどして、低線量から高線量までの測定が可能だといいます。

(「しんぶん赤旗」2016年4月3日より転載)

========== 件の記事 ==============

川内原発周辺の線量計、半数が避難基準値測れず

【朝日新聞デジタル・石川智也、関根慎一】2016年3月14日05時04分
http://www.asahi.com/articles/ASJ346QWDJ34UTIL076.html

写真・図版
九州電力川内原発から約21キロの地点にあるモニタリングポスト。毎時80マイクロシーベルトまでしか測れない=鹿児島県薩摩川内市

運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)周辺に設置されたモニタリングポストのうち、ほぼ半数が事故時の住民避難の判断に必要な放射線量を測れないことがわかった。9日の大津地裁の仮処分決定で運転が止まった関西電力高浜原発(福井県)の周辺でも、計画する数が設置できていなかった。事故時の住民避難の態勢が十分に整わないまま、原発が再稼働した。

東京電力福島第一原発事故後、国は原子力災害対策指針を改定。原発から5キロ圏は大事故が起きたら即時に避難し、5~30キロ圏はまず屋内退避したうえで、ポストで測った放射線量の値をみて避難させるかを国が判断することにした。毎時20マイクロシーベルトが1日続いたら1週間以内に、毎時500マイクロに達したらすぐに避難する。

指針などでは、原発から30キロ圏の市町村に避難計画の策定を、道府県にはポスト設置と、地区ごとに避難の判断基準とするポストを定めることを求めた。

鹿児島県は昨年8月の川内原発1号機の再稼働までに、5~30キロ圏に判断の基準となる48台のポストを設置。うち22台は毎時80マイクロまでしか測れず、すぐに避難する判断には使えない。

県原子力安全対策課は「緊急時には近い別のポストで測ったり、(持ち運んで据え付ける)可搬型ポストを配備したりするので問題ない」と説明。だが、県が配備した可搬型ポスト44台のうち30台は毎時100マイクロまでしか測れない。

原子力規制庁が作った指針の補足資料では、固定されたポストで平常時から測定することを前提としている。継続的に測ることで急な放射線量の上昇を速やかに把握するためだ。可搬型では地震などで道路が寸断された場合に必要な場所で測定できない恐れがあることも考慮している。

京都府は高浜原発の5~30キロ圏で、規制庁の「5キロ間隔程度」との目安に基づき、おおむね小学校区ごとに41カ所でポストを整備する計画を定めた。しかし、3号機に続き4号機が再稼働した2月末時点で66%にあたる27カ所で未設置だった。府環境管理課は「設置場所の選定を進めていたが、先に再稼働してしまった」と説明し、今月末までに27台を設置する。

避難対策は国の審査の対象外で、ポストの設置基準もあくまで目安だ。だが、規制庁は「不十分だったり未設置だったりする状態で再稼働するのは問題だ」としている。全国のポストの性能や設置状況を調査中という。(石川智也、関根慎一)

〈モニタリングポスト〉 大気中の放射線量を継続的に測る装置。固定型のほか、測りたい所に運べる可搬型もある。測定値は自治体のホームページなどで公開されている。福島第一原発事故では、福島県が設置していた固定型24台のうち23台が地震や津波の影響で使えなくなった。測定器を積んだ車もガソリン不足などで動けない場合もあった。原子力規制庁は事故後、原子力災害対策指針の補足資料を自治体向けに作り交付金で設置を後押ししてきた。

■記者の視点 避難計画も客観的に審査する態勢を

放射線量測定に万全さを欠いたまま原発の再稼働が先行していた。事故時の住民避難に責任を負う自治体がもう大事故は起きないと高をくくっているなら、「安全神話」が続いていると批判されても仕方ない。

住民避難の計画作りは、原発30キロ圏の全国の自治体で進むが、渋滞や複合災害の想定が不十分で、実効性に疑問の声が出ている。こうした指摘に、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は会見で「マイナーな話」「計画が実際にワークするケースもほとんどないだろう」と語っている。

原発事故が起きた時に国が避難指示を出すには、状況を正確に把握する必要がある。福島第一原発事故ではそれがなされず、情報も伝わらずに大混乱した。まずは屋内退避を求められ、線量次第で逃げる5~30キロの住民の不安を解消するためにも、測定が漏れなく行われることは大前提だ。

避難を円滑に行うには綿密な避難計画が欠かせない。だが、その計画づくりは自治体の責任とされ、規制基準による国の審査の対象外だ。避難対策は原発の規制基準と並ぶ「安全の両輪」。国が責任を持ち、計画の実効性を客観的に審査する態勢を整えるべきだ。(石川智也)

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規制委、朝日新聞記事に抗議 本社、避難の判断指標重視

2016年3月17日03時00分
http://www.asahi.com/articles/ASJ3J5R66J3JUTIL03D.html

朝日新聞が14日付朝刊1面で「川内原発周辺の放射線量計 避難基準値 半数測れず」と報じた記事について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は16日の定例会で「立地自治体や周辺の方たちに無用な不安をあおりたてたという意味で犯罪的」と発言した。規制委の報道官は朝日新聞に取材の経緯を説明するよう求めた。

避難基準値、半数測れず 川内原発周辺の放射線量計 高浜再稼働時、京都66%未設置

この記事は、運転中の九州電力川内原発(鹿児島県)の5~30キロ圏に設置されたモニタリングポスト48台のうち22台が毎時80マイクロシーベルトまでしか測れず、事故後すぐに住民を避難させる判断の指標となる毎時500マイクロを測定できないことなどを指摘したもの。

田中委員長は「半分測れるとか、測れないとかが問題ではない。我々がモニタリングによって(避難を)判断するために必要十分かどうかだ」と強調した。

記事について規制委は15日夕、「誤解を生じるおそれがある」としてホームページで見解を公表。低線量を精度よく測れる線量計と高線量まで測れる線量計を組み合わせて配置することで、避難を判断できる仕組みが「整備されている」とした。一方で、「緊急時モニタリングの体制は継続的に充実していくことが重要であると認識している」とした。

また規制委は、記事にある原子力規制庁のコメントについて、「職員が言ったことではないことが書かれている」として事実関係の説明を求めている。

この記事は自治体の避難態勢が少しでも充実することを目指して掲載したもので、朝日新聞は「当該記事については複数回、原子力規制庁幹部に取材を重ねたものです」とのコメントを出した。

朝日新聞は、原発事故で放射線量が急上昇した場合に5~30キロ圏の住民をすぐに避難させる大切な指標になると考え、毎時500マイクロを測定できる設備が配備されているかどうかに注目した。

東京電力福島第一原発事故後、国は原子力災害対策指針を改定した。原発から5キロ圏は大事故が起きたら即時に避難し、5~30キロ圏はまず屋内退避したうえで、ポストで測った放射線量の値をみて避難させるかを国が判断することにした。毎時20マイクロが1日続いたら1週間以内に、毎時500マイクロに達したらすぐに避難することになった。

朝日新聞は今年に入り、住民の避難対策を義務づけられた21道府県に5~30キロ圏のポストの設置状況を聞いた。川内原発がある鹿児島県を除く20道府県は、すでに設置したものと計画中のものも含め、すべての地点か、ほとんどの地点で毎時500マイクロまで測れるようにしていた。

自治体の担当者たちは「福島の事故では高い放射線量の地域が広範囲に広がった。毎時500マイクロまで測れるのは当然」「500マイクロまできちんと測れるようにすることが県民の安心・安全につながる」と話した。

自治体からこうした声が出るのは、福島第一原発の事故があったからだ。数キロ離れた地点で放射線量は大きく異なることがあり、車で移動しながらの放射線量の測定も当初はガソリン不足などでうまくできなかった。地震などとの複合災害では、道路が寸断されるなどして測定機器を運べなくなる可能性もある。

川内原発5~30キロ圏の48台のポストは、地区ごとに避難の判断基準とするためのものと位置づけられている。川内原発について、原子力規制庁の担当者は今月の取材で、再稼働前の2014年に国が原発周辺の避難態勢を「了承」した際に、規制庁の当時の部長が鹿児島県にモニタリング態勢の拡充を強く要望していたことを明かした。また規制庁は、モニタリング態勢の現状について、全国の原発周辺のポストの設置状況や性能を調査中だ。

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圧力かけた 規制委員会

https://www.nsr.go.jp/news/160314.html

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線量計報道の後追い記事削除 産経の卑劣な朝日叩き

2016年3月23日 09:45【ニュースサイト ハンター】
http://hunter-investigate.jp/news/2016/03/post-851.html

産経新聞紙面

川内原発の30キロ圏内に設置されたモニタリングポストの半数が、重大事故時の緊急避難を判断する放射線量(500マイクロシーベルト)を測れないことを報じた朝日新聞の記事に、原子力規制委員会が筋違いの猛反発。双方が反論、再反論を行うという異例の展開を見せるなか、権力側に立って朝日叩きに躍起となったのが産経新聞だ。

朝日の第一報を受けて規制委が反論を公表した15日以後、規制委側の言葉を借りるなどしてその報道を批判。誤報騒ぎの再燃を狙ったと見られていたが、主張はお粗末。朝日叩きの手口も、“卑劣”と言うに相応しいものだった。

産経の朝日叩き

朝日の報道内容と規制委側の見解については、18、22の両日に報じた通り。鹿児島県における放射線監視態勢や避難計画の不備に警鐘を鳴らした朝日の記事は、説明不足とはいえ、誤報扱いされるようなものではない。

一方、新規制基準に基づき川内原発再稼働にゴーサインを出した規制委は、避難計画が審査対象外であったにもかかわらず、朝日の報道を激しく非難。田中俊一委員長は、「犯罪的」という表現で朝日の記事を罵り、報道への圧力を強める姿勢を示している。

双方が反論、再反論を行うという異例の展開を見せるなか、他の大手メディアはいずれも沈黙。産経新聞だけが、一連の動きを追いかけ、この時とばかりに朝日叩きを行っていた。時系列に従ってネット上で産経の報道を追うと、次のような見出しが並ぶ。

◇「言ってないこと書いた」原子力規制庁、朝日記事に抗議 川内原発の観測装置めぐり(3月15日)

◇朝日の記事「原発の不安あおる」 鹿児島県、規制委が猛反発 川内原発周辺のモニタリングポストに有識者「問題なし」 (3月16日)

◇朝日記事「非常に犯罪的だ」、規制委が定例会で批判 川内原発の観測装置報道「立地自治体に無用な不安を与えた」と(同)

◇問題となった朝日新聞の記事(同)

これだけで、記事の方向性がうかがい知れよう。産経は、規制委側が発した激しい言葉を拾い、見出しに使うことで朝日がさも誤報を犯したかのような記事を発信していた。下は、17日の産経新聞朝刊。九州・山口版の大半を割いて、朝日・線量計報道への批判を展開している。

産経新聞1

産経はこの記事の中で、規制委側や鹿児島県による朝日の報道内容を否定するコメントを引用。権力側の言い分に沿った独自の解説を加えて、朝日を徹底的に叩いていた。記事の最後に記されたのが、次の一文だ。

原発・脱原発を論じることは必要だろうが、不安を扇動する記事は、冷静な議論を封じ込めるだけで、話にならない。

『不安を扇動』、『話にならない』――産経はつまり、これが言いたかったのだろう。規制委同様、朝日の報道内容を事実上「誤報」と決めつけた形だ。

お粗末な反論

人の言葉を借りて競争相手を批判する姿勢は、ジャーナリズムの邪道だ。お粗末な報道姿勢そのままに、産経独自の解説は、子どもにも笑われそうな低レベルなものとなっている。例えば、記事中に出てくる次のくだり。

高線量と低線量、双方が測れる装置を組み合わせて配置したのには、わけがある。低線量用の計測装置で高い放射線は測れない。逆に高線量用の装置で、低い放射線は正確には計測できない。

体重計で1グラムの重さを量れないことを想像してもらえばよい。高線量に対応する装置しかなければ、仮に原発から放射性物質がわずかに漏れた場合、把握できない恐れもある。

思わず笑ってしまったのが、体重と放射線量を同列に論じたところだ。一般的な体重計に1グラム単位の重さを求めるケースなど皆無に等しく、必要があるとすれば、低体重出生の場合くらい。たとえが幼稚過ぎて、それこそ「話にならない」。そもそも、鹿児島県が設置している高線量(10万マイクロシーベルト)測定用のモニタリングポストは、低線量も測れる機材。このことは鹿児島県も認めており、まったく低線量が測定できないわけではないという。高線量用のポストには極めて低い線量を測るまでの精度がないというだけ。しかし、緊急避難が必要な事態では、微量を測る必要などあるまい。朝日が指摘したのは、重大事故時の対応が不足しているという点。これは、間違ってはいないのだ。

何度も述べてきたが、80マイクロシーベルトまでしか測れないモニタリングポストでは、500マイクロシーベルトを基準とする即時避難の判断は不可能。低線量用の機材をあてがわれた地域は、万が一の時の避難に、遅れが生じる可能性がある。『低線量用と高線量用を組み合わせて使う』というのは、県や規制委のお仕事の都合。実際に避難する側の住民には、そうした言い訳は通用しない。産経の記事は、一貫して権力側の言い分を補強するものであり、住民がどう見るかという視点を欠いているのは明らかだ。

朝日の第一報以上に底の浅い産経の記事。主張を証明するため記事に添付されたモニタリングポストの配置図も、正確さを欠くものだった。下は、ネット上の産経ニュースと前述の紙面で使われた配置図である。

震源

川内原発の30キロ圏内で、80マイクロシーベルトまでしか測れないとされる問題の機材は22台。これに対し、図に示された低線量対応装置の設置点は20か所。産経の図では、2台足りない。1台は甑島にあり、地図上に載り切れなかったとして、姶良市に設置された1台が抜けているのである。

産経が参考にしたのは、鹿児島県が公表している「環境放射線水準調査、県内の測定局設置状況」だと見られるが、慌てて作ったのか、意図的に減らしたのか、とにかく1台省かれたのは確か。主張を補強する資料がこの程度なのだから、産経の力量が知れようというものだ。これまたお粗末と言うしかない。

朝日の後追い記事、自社サイトから削除
さて、ネットや紙面で朝日叩きに余念のなかった産経だが、じつは同紙に朝日を批判する資格などない。その証拠がこれ。ネット上に残された、線量計問題に関する「産経ニュースの第一報」である(赤い矢印はHUNTER編集部)。

産経3

見出しは≪監視装置、半数が性能不足 川内原発の放射線測定≫。ネット上に残ってしまった記事の前半は、次のようなものだった。

昨年再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)周辺の放射線監視装置(モニタリングポスト)のうち、ほぼ半数の48台中22台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できないことが14日、同県への取材で分かった。 県原子力安全対策課は「高い…

記事の方向性は、朝日の第一報とほぼ同じ。鹿児島県が川内原発30キロ圏に設置したモニタリングポスト48台のうち、ほぼ半数の22台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できない、というもの。産経は、朝日の報道後、ネット上で、線量計問題を後追いしていたのである。

翌日、規制委側から朝日への猛反発が出ていることを知った産経がどうしたかというと、まずは「証拠隠滅」。ネットで流した自社の記事を、サイトから削除していたのだ。産経ニュースの記事を見ようとクリックしても、画面はこうなる。

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産経は、自社の流した線量計についてのニュースを棚に上げ、いったんは追いかけた朝日の報道を、規制委などの言葉を借りて攻撃していた。卑怯、姑息、悪辣……。どれだけ並べても、この新聞のやった行いを表現することができない。それほど悪質。まともな報道機関のやることではあるまい。

一体、どういう神経をしているのか――。一読者として、産経新聞側に話を聞いた。応対したのは、産経の記者だ。

Q:朝日新聞の線量計報道を批判しているが、産経も同じ内容の記事を配信していたのではないか?
―― あれは、共同通信が配信したもの。

Q:どこの配信だろうと、「産経ニュース」として流した以上、産経の報道と見るのが普通。しかも、記事には「共同」の二文字は入っていない。
―― 内輪の話だが、共同の配信モノを、そのまま流すことがよくある。

Q:説明になっていない。記事には「同県への取材で分かった」という記述があり、読者は産経の記者が取材したものとしか思わない。
―― ……。

あとは何を聞いても逃げの一手。自社サイトの記事を削除した理由も、その後の朝日叩きについても、きちんとした説明を聞くことはできなかった。

共同の配信記事を確認もせずに垂れ流しているとすれば、それは検証能力を欠いた証拠。他社の記事を批判する資格などあるまい。産経は、線量計報道後の規制委の反応を見て、朝日叩きに利用できると判断。身勝手な方針転換を行い、ネットの記事を削除したということだろう。規制委田中委員長の言葉を借りるなら、産経の行為こそ「犯罪的」だ。

ちなみに、産経新聞が公表している「記者指針」の冒頭には、こう謳われている。

「ベストワンの新聞」をめざす産経新聞の記者は報道や論評の質の高さだけでなく、その行動でもまた高い信頼性と品性が求められる。そのことに思いを致し、ここに「記者指針」を定めた。「産経信条」と合わせて、産経新聞記者は常に心に刻み込んでおかなければならない。
どうやら産経は、「恥」という言葉を知らないらしい。

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