(4/7東京中日新聞)「社会通念」盾に安全軽視 川内原発停止認めぬ決定 高裁支部 災害リスク「無視し得る」【核心】川内原発抗告審 福島の教えはどこへ【社説】高浜と真逆「なぜ」 福岡高裁・川内差し止め棄却【中日新聞・福井】

「社会通念」ってなんっつうねん?

法律学における社会通念[WIKI]
-裁判や法学に関する文章などでは、「社会通念」という言葉は民事法の世界では「慣習」や「取引通念」などと同義に使われ、刑事法の世界では「常識」と同義に使われる傾向がある。また、しばしば裁判官または法学者が妥当と考える結論を述べる際の枕詞として使われることも多い。職業裁判官と陪審員とどちらがより社会通念を体現した判断ができるか問題になるが、それぞれ一長一短があるとされている。

そんな言葉使うなら原発事故を起こして「想定外」って使うんじゃねぇ。

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「社会通念」盾に安全軽視

 川内原発停止認めぬ決定

  高裁支部 災害リスク「無視し得る」

2016年4月7日【東京新聞・核心】

またも異なる司法判断をもたらしたのは「社会通念」という新しい物差しだった。九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを認めなかった福岡高裁宮崎支部の決定。稼働中の関西電力高浜原発(福井県高浜町)を停止させた三月の大津地裁決定とは正反対となり、福島第一原発事故以降の原発をめぐる司法判断の揺れがあらためて際立った。 (谷悠己)=決定要旨(7面)社説(5面)

 ■独自の理論

「これまで聞いたことのない独自の理論だ」

宮崎市内で開いた報告集会で、森雅美弁護団長は何度も苦笑した。

決定理由は、原発の安全性の判断は「どの程度の危険性なら容認するかの社会通念を基準にするしかない」と指摘。巨大な火山噴火のように影響は極めて深刻でも発生の可能性が低い災害は「社会通念上、無視し得る」との考えを示した。

脱原発弁護団全国連絡会(東京)によると、他の原発訴訟でこれほど「社会通念」が押し出された判断はない。高浜仮処分申請の弁護団長で裁判官出身の井戸謙一弁護士は「安全性の判断で社会通念を基準にすることはあってもいいが、決定は一般建築で火山災害発生の確率が考慮されていない点を『社会通念』の根拠にするなど、方法論があまりにも間違っている」と憤った。

  ■判例を無視

「こんな判断枠組みを取るとは、びっくりした」

報告集会に出席していた宮崎市在住の元裁判官、海保寛さん宅らが指摘するのは、判例との相違だ。一九九三年、大阪地裁の裁判長として高浜2号機運転差し止め訴訟で住民敗訴の判決を出したが、その際にならったのが四国電力伊方原発訴訟の最高裁判決(九二年)。他の訴訟でも何度も用いられた判断の枠組みはこうだ。

「原発の安全性は、ほとんどの資料を持つ国や電力会社がまず立証すべきで、立証が尽くされない場合は審査基準に誤りがあると推認される」

大津地裁決定はこれに沿って新規制基準の合理性を否定した。

宮崎支部決定も新基準に基づき策定された「火山影響評価ガイド」について「噴火時期が事前に的確に予測でさることを前提としている点で不合理だと言わざるを得ない」とし、住民側の主張を認めている。その一方で、九電側の立証は「相当の棋拠、資料に基づけば足りる」とした。伊方判例には明確には触れておらず、弁護団からは「最高裁の判例を無視した」「他の(原発)裁判への影響は少ない」との声が出た。

  ■にじむ希望

弁護団は、最高裁に特別抗告をするか、決めていない。全国連絡会の共同代表でもある海渡雄一弁護士は「どのフィールドが最も効果的か、十分に見極める必要がある」と説明する。

「伊方判例に反する」として抗告するのは可能だが、重大な法令違反や事実誤認が無い限り、最高裁で差し止め決定を得るのは難しい。鹿児島地裁で係争中の本訴訟にかけるか、隣接する宮崎や熊本地裁への仮処分申し立ても含め最善策を選ぶという。

住民側の主張を認める記述もあった判決文。司法はまだ揺れている。「単純に私たちを負かしたいならここまで書く必要はない。他の裁判でも有効利用できる認定がないか探していく」。不満げな表情は崩さなかったが、海渡弁護士が力強く言った。

(図)争点に対する主な判断

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(図)原発差し止めをめぐる近年の主な司法判断

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川内原発抗告審 福島の教えはどこへ

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016040702000164.html
2016年4月7日【東京新聞・社説】

司法がまた揺れている。福岡高裁は、巨大噴火のリスク評価や事故時の避難計画に問題があったとしても、九州電力川内原発の稼働には合理性があるという。3・11の教訓無視だ。納得できようか。

争点は大きく三つ。

基準地震動(最大の揺れ)の想定が妥当かどうか。火山による危険性はあるか。そして、事故に備えた避難計画は有効か。

福岡高裁宮崎支部は、これらを踏まえた原子力規制委の審査について「極めて高度の合理性を有する」「九電は説明を尽くした」として、川内原発の停止を求める住民側の訴えを退けた。

新基準に疑問を投げかけ、高浜原発の停止を認めた先月の大津地裁などとは正反対の判断だ。

原審同様、九電側の主張をほぼ受け入れたとも言えるだろう。

川内原発は、桜島周辺の姶良(あいら)カルデラ(陥没)などに囲まれた、巨大噴火のなごりをとどめる“火山銀座”の内側にある。

火山の影響について裁判長は、巨大噴火の予測を前提とする規制委のリスク評価を「不合理」と指摘した。

ところが、原発の運転期間中に破局的噴火が起きる根拠がないとして、川内原発の立地が客観的に見て不合理だとも言えない、と断じている。巨大火山と共生する住民の不安には、まったくこたえていないと言っていい。

専門家から「机上の空論」との批判が強い避難計画についても「問題点を指摘できるとしても、人格権を違法に侵害する恐れがあるとは言えない」という結論だ。

不合理な火山の評価、問題があるやも知れぬ避難計画、住民の安全安心に照らして見れば、どこに、どのような「合理性」が存在すると言うのだろうか。

福島の被災者は、どのように受け止めているのだろう。

想定外のことは起きる。核の制御は本当にできるのか-。

3・11がのこした大きな教訓だ。その教訓の上に立ち、司法の中にもようやく「原発の安全性については、原則、専門家の指針に基づく行政の判断に委ねる」(一九九二年、伊方原発訴訟)という古い最高裁判断よりも、住民の生命と安全を守るという視点から、自らの判断を明らかにするようになったはずではなかったか。

このような安全軽視の「不合理」は、規制委や規制基準への信用を、なおさらおとしめるだけではないのだろうか。

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高浜と真逆「なぜ」 福岡高裁・川内差し止め棄却

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20160407/CK2016040702000012.html
2016年4月7日【中日新聞・福井】

九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めを求めた住民側の抗告を退けた六日の福岡高裁宮崎支部の即時抗告審での決定。一カ月前には大津地裁が関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の運転差し止めの仮処分決定を出したばかり。裁判官によって分かれる判断に県内からは、違和感を訴える声が上がった。

高浜原発が立地する高浜町商工会の田中康隆会長(59)は、高裁判断を評価した一方で、「なぜ(これだけ短期間で)真逆の判断が出るのか理解できない」と指摘。「早く統一したルールを作ってほしい」と国に求めた。

同町の野瀬豊町長は「高裁で客観的な判断がなされ、原発の継続運転を認めたことは評価したいし、今後の司法判断の指針になると感じている」とのコメントを出した。

分かれる判断に、昨年末に高浜3、4号機の再稼働に同意した県議からも批判が上がった。同町が選挙区に含まれる田中宏典県議(自民党県政会)は「現在の制度では、今後も裁判官によって判断が分かれる状況が生じることはありうる」と見通す。その上で「国策に協力している地元としてはそれでは困る」といら立ちを見せた。

一方、高浜3、4号機の再稼働に反対した細川かをり県議(無所属)は「決定を歓迎はしないが、事業者の説明が丁寧だったかどうかも影響したのでは」と大津地裁の判断との違いを推測。「裁判官次第というより、審尋の中で主張が尽くされたかどうかではないか」と冷静に分析した。

(塚田真裕、平井孝明)

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