8/3対岸の原発 迫る再稼働㊥ 【大分合同新聞】 伊方

対岸の原発 迫る再稼働㊥

2016年8月3日【大分合同新聞】

伊方原発の前面海域には「中央構造線断層帯」が走っている=6月、愛媛県伊方町、撮影・藤内教史

「日本一細長い」といわれる愛媛県佐田岬半島の付け根にある四国電力伊方原発。目の前の伊予灘海域には、紀伊半島から続く国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が走っている。さらに西へと進めば大分県だ。

「大地震による事故が心配」。参院選に合わせて7月上旬に大分合同新聞社が実施した電話世論調査で、大分県内の有権者のうち59・5%が伊方3号機の再稼働に否定的で、肯定的な意見の2倍を超えた。反対理由で多数を占めたのが、地震の問題だった。

「最新の科学的知見を踏まえて対策を講じている。中央構造線が(紀伊半島から大分まで)480キロにわたり連動する地震や南海トラフ地震などを想定して基準地震動を策定し、安全が損なわれないことを確認している」。7月26日、松山地裁。愛媛県の住民が伊方3号機の再稼働禁止を求めた仮処分申請の第1回審尋で、四国電側は答弁書でこう主張した。

基準地震動は耐震設計の目安となる揺れ。四国電の計算で伊方原発は最大650ガルに設定。原子力規制委員会はこの数値で「合格」と判断したが、複数の学者が「東京電力柏崎刈羽原発(最大2300ガル)、中部電力浜岡原発(同2千ガル)などと比べても低く、過小だ」と疑問符を付けている。

東京大学地震研究所の纐纈(こうけつ)一起教授(地震学)は「それだけ大きな断層が近くにあるのに、650ガルはちょっと小さいんじゃないかという気がする。伊方原発から近い区間だけが動いたときと、480キロが連動したときで揺れが大差ないとしているのは科学的に変だなと思う。一般論として規模が大きいほど揺れは大きくなるべきだ」と話す。

「(四国電は)地震が起こったときの断層の『滑り量』(ずれ動く長さ)を、(区間が)短かろうが長かろうが同じにして計算しているのだろう。しかし地震学者は、完璧に確立した法則ではないものの、地震の規模が大きくなれば断層の滑り量も大きくなる『スケーリング則』にのっとるべきだ、という考え方に立っている」

政府の地震調査研究推進本部は6月、長大な活断層に対する強震動予測手法(レシピ)を示した。纐纈教授は「そうした考え方に基づいて作られた手法。伊方も中央構造線が長く破壊される場合の強震動予測をあらためてする必要がある」と指摘した。

こうけつ・かずき 1956年生まれ。横浜市出身。80年、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。同大地震研究所・地震予知観測情報センター助手、地震火山災害部門助教授を経て、災害科学系研究部門教授。政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会委員などを務める。

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