8/14【大分合同新聞】対岸の原発 伊方再稼働㊤

対岸の原発 伊方再稼働㊤

2016年8月14日【大分合同新聞】
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/08/14/004117123

3号機が再稼働した伊方原発(中央)、運転差し止めを求める仮処分が申し立てられている大分地裁(左下)、広島地裁(左上)、松山地裁(右下)と地図のコラージュ

大分から最短45キロ先の対岸にある四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が再稼働した。大分、松山、広島の3地裁には各地の住民が伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を申し立てており、当面の焦点は司法判断に移る。3地裁は差し止めを認めるかどうかの決定をいずれも来年3月までに出すとの見方が強い。関西電力高浜原発(福井県)と同様、動きだした後でも「即停止」となる可能性があり、住民側は「一日も早くストップさせたい」と意気込む。

「大分、松山、広島と、伊方原発を三方から取り囲む形ができた」

7月4日、大分地裁。市民グループ「伊方原発をとめる大分裁判の会」の小坂正則事務局長(63)=大分市=は、仮処分の申立書を提出した後、こう語った。

仮処分は通常の訴訟よりも審理期間が短い。さらに、訴訟なら住民側の訴えが認められても四国電側が上訴すれば確定するまで止まらない可能性があるものの、仮処分は裁判所の決定がすぐに効力を持つ。

東京電力福島第1原発の事故後、松山地裁で伊方原発の差し止め訴訟が続いていたが、今年3月に広島の被爆者らが広島地裁に仮処分を申し立てた。それが契機となり、4月に熊本・大分地震が起きたこともあって、松山も「地震が伊方に波及する恐れがあり、緊急性が高まった」と5月に仮処分を申請した。続く大分は6~7月に計4人が申し立てをした。

3地裁の審理で共通する主な争点は地震、津波、土砂災害を巡る評価だ。特に伊方原発は数キロ先の伊予灘に国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が走っており、強い地震に襲われて重大事故が起きるのではないかという不安が根強い。

耐震設計の目安となる揺れを示す「基準地震動」は最大650ガル。四国電は「(紀伊半島から大分まで)中央構造線が480キロにわたって連動した場合も想定して基準地震動を策定するなど、安全性は十分確保されている」と主張する。

だが、複数の学者は「長大な活断層が近くにあり、ましてや断層が480キロも連動して650ガルというのは過小だ」と指摘する。伊予灘や別府湾で断層調査を続けてきた高知大学防災推進センターの岡村真特任教授(地震地質学)は、中部電力浜岡原発(最大2千ガル)などと比べても低いとし「千ガル、2千ガル以上も当然あり得るものとして想定しなければ」と訴える。

仮処分の判断は再稼働に間に合わなかったが、3地裁の審理はいずれも年内がヤマ場になりそうだ。

脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士(第二東京弁護士会)は8月10日、大分市内で「動く前に止めたかったが…」とした上で、こう強調した。

「動いてから止められた方が(四国電は)ダメージが大きい」

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