(8/27高浜・28大飯原発事故訓練)甘い想定に疑問だらけ 老人ホームは電話報告だけ/スクーリングは45分間 高浜原発の広域防災訓練/こんなにうまくいく? 住民避難課題新たに 大飯原発訓練【中日新聞・県民福井】

先週の週末にあった国と県の原発事故訓練。しないよりましだけど、絵に描いた餅にすぎない。
だってバスなんか待たずに皆自家用車で逃げるはずだ。
バスの運転手は当然拒否するだろうし、知事は命令すらできない。

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甘い想定に疑問だらけ 老人ホームは電話報告だけ

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20160828/CK2016082802000030.html
【中日新聞・福井】 2016年8月28日

自主的な訓練として、入所者を車に乗せる山本さん=高浜町の「であいの郷」で
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関西電力高浜原発(高浜町)での事故を想定し、二十七日実施された広域防災訓練。実効性の確認が目的だが、参加者は限られた。原発の四キロ南で有料老人ホーム「であいの郷」を営む山本勝則さん(62)は、広域避難計画とそれに伴う訓練を「絵に描いた餅」だと痛感した。

午前八時三分。施設の電話が鳴った。「入所者の避難を開始してください」。町保健福祉課からの連絡だ。ただ、訓練の段取りではこの施設の場合、避難したものとして午前九時ごろに報告をして終わり。実際に逃げる必要はなかった。しかし、それでも山本さんはスタッフに入所者を車に乗せるように告げた。

「車に乗せるだけでもどれくらいの時間がかかるのか。独自にやってみようと思って」

施設では六十~九十代の十四人が暮らす。自力歩行ができるのは三人だけ。多くが認知症を抱え、指示もなかなか伝わらない。車に乗せる順番を決めていたが、外に先に出てきてしまう人もいた。四台に分乗させるのに三十分。「実際の避難では毛布や食料も積まないといけない。スタッフも入所者もパニックの中で、想定通りには絶対にいかない」。山本さんの顔が曇った。

山本さんの義父は原発関連の仕事をしていた。「高浜は原発がないとやっていけない。事故なんて起こるわけない」。それが実感だった。二〇〇七年に施設を開いた際も原発の存在は気に留めなかった。

一変させたのが一一年の東京電力福島第一原発事故。一三年には県から施設の避難計画を作るように言われ、被災施設のリポートを集めて読み込んだ。だからこそ、県や高浜町が策定した避難計画に驚いた。

入居者の多くは京都府や滋賀県に自宅があるのに、指定された避難先は逆方向の敦賀市の施設。「知らないところに行くなら、放射能を浴びて死ぬ方がまし」。そんな入所者の声に胸が詰まった。県の試算では、五キロ圏内の住民が避難する場合、完了までは最大七時間半かかる。「高齢者を長時間、狭い車内に座らせられるのか」。疑問は拭えない。

避難先では職員が引き続き入所者のケアをするのが前提だが、多くは隣の京都府舞鶴市在住。幼い子どもを抱える人もいる。「職員も被災者になる。連れてはいけない」。考えれば考えるほど、想定の甘さが目につく。だから強く訴える。

「僕らは命を預かっている。計画を立てるのにも訓練を検証するのにも、現場の意見を聞いてほしい。そうでなければ訓練はただやったというだけになる」

(高橋雅人)

 

スクーリングは45分間 高浜原発の広域防災訓練

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20160828/CK2016082802000027.html
【中日新聞・福井】2016年8月28日

二十七日に嶺南地方を中心に繰り広げられた高浜原発の広域防災訓練で、住民は初めて越前市などの嶺北地方まで避難した。美浜町役場では放射性物質の汚染度を調べる「スクリーニング」を大規模に実施。熊本地震を踏まえ、崖崩れに伴う障害物除去など複合災害対応も想定した。

◆県「あまり混みすぎると…」

バスに放射性物質が付着していないかを検査する関西電力の職員ら=美浜町役場前で
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県職員らの手際の良さが、周到に練られた訓練を物語っていた。放射性物質による汚染を調べるスクリーニング。混雑を想定した美浜町役場の駐車場には避難途中の約四百六十人が次々に立ち寄ったが、目立った混乱もなく、四十五分で終了した。

参加したのは原発から五~三十キロ圏内の住民。県内の避難先へ向けて乗用車とバス各二十台で出発。小浜市の県若狭合同庁舎などで、車内に乗り込んだ薬剤師らから安定ヨウ素剤に見立てたあめを受け取ると、美浜町役場に向かった。

スクリーニングではまず、バスや乗用車に乗ったまま、放射性物質の有無を確認できるゲートをくぐる。車に汚染があれば代表者が降りて頭、手、足の裏の線量を測定され、基準を超えていれば、全員を対象に検査を実施する。会場では県職員ら約七十人が作業する中で、汚染したとされたのは乗用車とバス各三台のみ。そのうちの乗客の一部はウエットティッシュで拭き取り作業をした。作業に時間はかからず、ゲートに列ができるのも一時的だった。

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県の担当者は、汚染車両の設定を少なくした理由を「あまり混みすぎると見いだすべき課題も見つからないので」と説明。「きちんと訓練をやるのが先」と理解を求める。

一方、バスで避難した若狭町日笠の団体職員橋本朋美さん(53)は「思ったより簡単だった」と意外な様子。ただ「訓練なので安心していたが、事故ならパニックになっているだろう」と付け加えた。

県外への避難者が立ち寄った京都府綾部市のあやべ球場でも混乱はなし。原子力事業の相互協力協定を結ぶ関西、北陸などの電力五社が連携作業の一環として、バスと乗用車の計十四台をチェックして通した。

(高橋雅人、中場賢一、米田怜央)

◆テレビ会議回線を使って情報収集 3府県対策協

高浜原発から七キロの距離にある高浜町薗部の高浜原子力防災センター(高浜オフサイトセンター)では、内閣府や福井、京都、滋賀の三府県で組織する「原子力合同対策協議会」の運営訓練があった。関係職員らがテレビ会議回線を使って市町幹部と情報収集し、応急対策を決めた。

五キロ圏に避難指示が出された直後の午前九時十分、第一回の全体会議を開催。関西広域連合と福井県などの協議で、兵庫県にも避難する方針などを決めた。

同九時四十分には、現地入りした西川一誠知事が第二回全体会議に出席。現地対策本部長の井林辰憲内閣府政務官、野瀬豊高浜町長らを交えて、五~三十キロ圏の住民の避難準備について話し合った。

その後も職員らで情報収集し、避難先に住民らが到着すると放送や映像を流し、避難訓練の進展具合をチェックした。

(尾嶋隆宏)

 

こんなにうまくいく? 住民避難課題新たに 大飯原発訓練

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016082902000190.html
【日刊県民福井】 2016年8月29日

海上保安庁のヘリに乗り込む大島地区住民=28日午前、おおい町大島のはまかぜ交流センターで
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大野市に到着し、既往症の問診など健康チェックを受ける美浜町民たち(右)=28日、同市富田公民館で
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二十八日にあった関西電力大飯原発(おおい町)の放射能漏れ事故を想定した訓練。原発構内では小型偵察用ロボットを遠隔操作する車両を初めて活用。原発の外では五キロ圏と五~三十キロ圏の住民らが時間差での県内避難を体験し、原発事故時の動きを確認した。

美浜町

大飯原発の五~三十キロ圏の美浜町では、一般住民ら七十七人が避難に参加した。放射性物質放出による避難開始が、緊急速報メールなどで知らされたのは午前十時。美浜西小学校には住民ら六十人が、被ばくを抑える安定ヨウ素剤を受け取りに続々と集まった。

同町久々子(くぐし)の会社員藤田久次さん(53)は、午前十時ちょうどに一人で自宅を出発。五分ほどで着いたが「足の悪い母もいるし、貴重品もまとめていない。事故時はこれほどスムーズに家を出られない」と不安をのぞかせた。

県職員らからヨウ素剤に見立てたあめを受け取り、大型バスに乗り換えて避難先の大野市へ。町職員が乗る自家用車に見立てた公用車なども窓からあめを受け取り、出発した。

住民らは南越前町鋳物師(いものし)の南条勤労者体育センターに寄り、放射線の汚染を調べるスクリーニングを受けた。

美浜町を出たバスや乗用車、福祉車両計九台は、到着すると駐車場で放射線を感知するゲートを通って汚染のチェックを受けた。

このうち汚染を想定した三台に乗っていた十七人は、建物内で頭や手のひら、足の裏の検査を受け、三人がぬれティッシュで汚染部分を拭き取る除染を体験した。

午前十時の出発から二時間ほどで、避難先の大野市上野の富田公民館に到着。マスクをした住民たちは、緊張した表情で公民館に入り、安否確認を受けたり、健康状態のチェックを受けたりした。

美浜町久々子の重信充志(あつし)さん(39)は「避難は家族一緒とは限らない。避難先の大野で安否確認ができることを家族全員に周知、徹底させたい」と話した。 (米田怜央、中崎裕、藤井雄次)

「全面緊急事態」本番さながら

おおい町 

大飯原発に近いおおい町大島地区では午前八時、「緊急事態」を知らせる防災無線と緊急速報メールが流れると、大島小学校では三~六年生六人が、教職員と教室から出てきた。両親と連絡が取れなかったという設定で、バスに乗り込み、敦賀市に避難した。

非常用炉心冷却装置による注水ができない「全面緊急事態」となった九時すぎには、住民十四人が自家用車ではまかぜ交流センターに集まった。住民は陸上自衛隊の車両三台と海上保安庁のヘリに分乗した。

陸自車両に乗った年配の男性からは「これで敦賀まで行くのか」と硬い座席で移動することへの不安も。隊員から町総合町民体育館でバスに乗り換えると説明を受け、ほっとした様子で出発した。 (山谷柾裕)

 

高浜原発広域防災訓練 30キロ圏住民7100人参加 230人県外避難も

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016082802000204.html
【日刊県民福井】 2016年8月28日

関西電力高浜原発(奥)の事故を想定した広域防災訓練で避難する海上保安庁のヘリ=27日午前9時28分、高浜町で、本社ヘリ「まなづる」から(榎戸直紀撮影)
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原発事故の広域避難計画 東京電力福島第一原発事故を踏まえ、原発から半径30キロ圏の自治体に策定が義務づけられた。住民が避難する施設やルートなどが盛り込まれている。関西電力高浜原発の広域避難計画は、30キロ圏に含まれる福井、京都、滋賀の3府県と国などでまとめ、昨年12月に政府の原子力防災会議が了承した。計画によると、高浜原発の30キロ圏の人口は12市町の17万9000人。

国と福井、京都、滋賀の三府県などは二十七日、関西電力高浜原発(高浜町)での放射能漏れ事故を想定した広域防災訓練を実施した。約百五十の関係機関と、嶺南地方四市町と京都府舞鶴市など計十二市町の三十キロ圏住民ら約九千人が参加。福井県初となる県外避難では、二百三十人が高速道路を使って兵庫県の宝塚市や三田市まで移動した。大きな混乱はなかった。 (尾嶋隆宏)

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終了後、西川一誠知事は「行政と住民が一体になった訓練は回を重ねるごとに防災意識を高め、互いのネットワークも強化する」と述べ、避難計画の改善に生かすとした。

若狭湾沖で震度6弱以上の地震が発生し、放射性物質が外部に放出されたとの想定。福井県からの県外避難は、舞鶴若狭自動車道を使いバスや乗用車で最大百三十キロを移動。車に放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニング検査は途中の京都府綾部市で実施し、通過台数が十四台と少なかったため混雑もなかった。

マスクをして集団でバスに乗り込む児童ら=27日午前8時23分、高浜町高浜小学校で(蓮覚寺宏絵撮影)
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朝の悪天候により、船による避難は全て中止。高浜原発から一キロの距離の半島先端部など計五カ所で予定したヘリの避難は、三カ所で中止となり、想定通りに進まない事態も起きた。高浜町の若狭高浜病院の患者避難では情報連絡がうまくいかず、救急車の出発が四十分ほど遅れ、兵庫県行きのバスが道を間違うトラブルもあった。

海と空の避難が十分に機能しなかった点について、西川知事は「代わって陸上のバス輸送で円滑に対応できた。訓練として意味があった」と述べた。昨年十二月に政府が了承した広域避難計画に沿った初めての訓練で、実効性を検証するのが狙い。内閣府の山本哲也官房審議官は、計画の改定時期を「早ければ半年後」と話した。

屋内退避を含めた住民の参加者は両府県で七千百人。うち千百人余りがバスや福祉車両、自衛隊車両などで実際に避難した。福井県側だけでみると、高浜、おおい、小浜、若狭の四市町の住民三千八百人余りが訓練に参加し、うち県内に四百九十一人、兵庫県に二百三十一人の計七百二十二人が避難した。

高浜3、4号機は今年に入り、広域避難訓練を行わないまま再稼働したが、大津地裁の仮処分決定で運転を停止している。

 

大飯原発30キロ圏2600人参加 一部嶺北へ100キロ避難  防災訓練

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016082902000179.html
【中日新聞・福井発】2016年8月29日

スクリーニングを受ける避難してきた住民(左から2人目)=28日午前11時25分、南越前町南条勤労者体育センターで(河野光吉撮影)
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県は二十八日、関西電力大飯原発(おおい町)での事故を想定した原子力防災訓練を実施した。内閣府や自衛隊など百の機関と、原発三十キロ圏内の住民ら約二千六百人が参加し、このうち、おおい、小浜、美浜の三市町の百五十人ほどは敦賀市や嶺北地方へ最長で百キロを避難した。 (高橋雅人)

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大飯原発の三十キロ圏には京都府や滋賀県も含まれるが、同原発の広域避難計画がまだ策定されていないこともあり、福井県内に限定した訓練となった。同原発の事故を想定した住民の避難訓練は、二〇一一年の東京電力福島第一原発の事故後では初めて。

住民らは、高速道路を使って乗用車やバス、福祉車両で敦賀、越前、大野の三市に避難。美浜町から大野市への移動が最長だった。同町美浜西小学校での安定ヨウ素剤の配布や、北陸自動車道南条サービスエリア近くの南越前町南条勤労者体育センターでは、汚染の有無を調べるスクリーニングの訓練もした。悪天候で自衛隊のヘリ一機が飛べず、タクシー輸送に切り替えたほかは予定通りに進み、五時間で終了した。

若狭湾沖で震度6弱以上の地震が起き、放射性物質が外部に放出されたとの想定。二十七日に実施された関電高浜原発(高浜町)の事故を想定した訓練と同様に、今回も津波で道路が水没したり、他の原発で事故が同時に起きたりする可能性までは考慮されなかった。

大飯原発を巡っては、原子力規制委員会で3、4号機が新規制基準に適合しているかの審査が続いている。関電は1、2号機も審査の申請を準備中。一方、規制委の元委員が耐震設計の基準となる地震の揺れが過小評価の恐れがあると指摘している。

事故収束ロボをテスト 専用車から遠隔操作 線量測定、がれき除去担う

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016082902000189.html
【日刊県民福井】 2016年8月29日

階段を上る小型偵察用ロボット
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ロボットコントロール車の中で、画面を見ながら小型偵察用ロボットを操作する職員ら=いずれも28日、おおい町の大飯原発で
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高放射線量下での現場把握など、事故収束作業に役立てるため、関西電力は二十八日、おおい町大島の大飯原発で、日本原子力発電(原電)と連携してロボットコントロール車から小型偵察用ロボットを遠隔操作する訓練に臨み、有効性を確認した。県内原発でコントロール車を使った訓練は初めて。 (山本洋児)

県原子力防災訓練に合わせて実施した。センター所有のコントロール車は、遠隔操作の拠点基地。長さ九メートル、幅二・五メートル、高さ三・三メートルの八トントラックを改造した。荷室に操作員ら六人が乗車でき、必要な機材を積む。放射線量を抑える機能も持ち、原発事故後の原子炉建屋に近づける。

訓練では、原発構内の研修館を原子炉建屋に見立てた。建物の目の前に止めたコントロール車に、原電と関電の職員各二人が乗車。長さ七十センチ、幅四十センチ、高さ九十センチのロボットに備え付けたカメラの映像を頼りに、コントローラーを慎重に操作した。

建物内は電波が届かない恐れがあり、この日は有線式のロボットを採用。職員は、階段の上り下りや放射線モニターの数値を確認した。原電の担当者は「従来は免震棟などを遠隔操作の拠点としていたが、距離が遠く不安があった。コントロール車は、もう一台増やす予定」と話した。有線と無線のロボット二台を使うことで、コントロール車から直線距離で三百メートルの範囲をカバーできるという。

センターは、電力会社でつくる「電気事業連合会」の依頼を受け原電が設置。原発事故時、事業者の要請により放射線量の高い場所にロボットを投入し、放射線量の測定やがれき除去など、事故収束を支援する。原電は美浜町にセンターの拠点施設を整備中で、十二月に本格運用の予定。

大飯原発ではこのほか、送水車などを用いたホースやポンプの接続訓練もあった。

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