9/24中日新聞 新貧乏物語 第6部・年金プア <特集>日本の制度、現状は?

中日新聞 新貧乏物語の第6部の連載が終了した。多分、今週末には読者の声が聞こえてくると思う。
まだ年金貰えていないだけに、この特集で一番切実に感じるシリーズ。
年金のお金を株式につっこんで、国のせいで皆貧乏になってきている。もっと怒れよ、自分。

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第6部・年金プア (1)老老介護(9月10日 紙面から)
第6部・年金プア (2)老後格差(9月11日 朝刊)
第6部・年金プア (3)弱者いじめ(9月13日 紙面から)
第6部・年金プア (4)切迫(9月14日 紙面から)
第6部 年金プア (5)短期保険証(9月15日 朝刊)
第6部 年金プア (6)余命の対価(9月16日 紙面から)
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新貧乏物語 第6部・年金プア <特集>日本の制度、現状は?

http://www.chunichi.co.jp/article/feature/binboustory/list/CK2016092402000235.html
2016年9月24日 【中日新聞・紙面から】

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◆収入、現役時の35%に

現代の貧困や格差に目を向ける連載「新貧乏物語」は「敬老の日」(19日)があった今月半ばに第6部「年金プア」を掲載し、年金をもらいながらも生活苦に直面している高齢者を取り上げた。老後を豊かに過ごすための年金だが、日本は世界一の長寿国でありながら他国よりも制度面で見劣りする部分がある。低所得で年金の掛け金を支払えない現役世代が増え、将来的な制度維持を危惧する識者もいる。年金の今をデータなどから検証する。

■34カ国中30番目

老後の年金は現役時の給料に比べて、どれくらいもらえるものなのか-。その割合を示すのが、年金の平均支給額を所得で割った「所得代替率」だ。

経済協力開発機構(OECD)の二〇一四年の調査では、日本の代替率は35・1%。加盟三十四カ国の中で五番目に低く、退職して年金生活になると、収入は働いていたころの約三分の一に落ち込む計算になる。

OECD加盟国全体の平均は52・9%。現役時の所得の五割を超える年金を支給している国が、半数の十七カ国に上る。代替率が最も高いオランダは90・5%。スウェーデン56・0%、フランス55・4%、韓国は39・3%。米国とドイツは日本とほぼ同じ水準で、英国の21・6%が最も低い。

これらの割合を支給額に換算して比較すると、日本の月額約十四万三千円に対し、スウェーデンは約二十二万八千円、フランス約十九万九千円、ドイツ約十六万五千円(九月一日時点の為替レートで換算)。金額でも日本より高い国が目立ち、物価の違いなどを考慮しても日本の老後は「豊か」と言えそうもない。

■軽くはない負担

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現役時の年金負担も軽くはない。収入に対する年金掛け金の割合を示す「保険料率」は、会社員など厚生年金の加入者で法定17・828%。この料率を雇用主と本人が折半して約8・9%ずつ負担し毎月の給与天引きなどで国に納めている。

スウェーデンやフランスも17%台だが、雇用主の支払率を日本より高い10%台に設定しており、個人負担は抑えられている。米国とドイツは日本と同じく労使で折半。保険料が高い英国は、雇用主が13・8%、本人が12・0%を負担している。

日本は世界一の長寿国だ。人口に占める六十五歳以上の割合を示す高齢化率は、昨年の時点で26・7%(内閣府調査)。米国の14・8%、英国の17・8%、ドイツの21・2%などを大きく上回っている。

今後も加速する高齢化に備えて国は年金支給額の見直しを進め、二〇〇〇年代に入ってからしばらくは削減が続いた。

主に自営業者が加入している国民年金は、ピークの一九九九~二〇〇二年度は月額が六万七千十七円あった。しかし、財政難などを理由に〇三年度から引き下げられ、一四年度にはピーク時に比べて二千六百十七円減の六万四千四百円に低下。賃金の伸びなどに連動して昨年度から六百八円増え、現在は六万五千八円が支給されている。

高齢人口の増加と財政のバランスは、支給開始年齢にも影響している。会社員などが加入する厚生年金は現在、定年後の特例措置として男性は六十二歳、女性は六十歳から前倒しで受給できるが、法改正により段階的に引き上げられ、男性は二五年度、女性は三〇年度までに、一律「六十五歳以上」になる。

支給年齢をめぐる議論は国外にも共通し、現行六十六歳の米国は二七年までに六十七歳、六十五歳四カ月のドイツは二九年までに六十七歳に引き上げる方針を決めている。慶応大経済学部の駒村康平教授(社会政策)は「日本に限らず先進国では少子高齢化が進み、年金の運営が厳しくなっている」と指摘。実態に合った制度への見直しが各国で進んでいる。

(鈴木龍司、斎藤雄介)

◆納付、最低25年から10年に 無年金者対策で短縮へ

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日本の公的年金(国民年金と厚生年金)は、保険料を最低二十五年納付しなければ老後に受給することができない。主要国の制度を調べてみると、受給に必要な支払期間は米国と、今年から制度が変更された英国が十年、ドイツが五年。日本の長さが際立つが、国は無年金者対策の一環として納付期間の十年への短縮に踏み切る。

二十歳以上の国民全員に公的年金への加入が義務づけられている日本では、年金保険料を二十歳から六十歳までの四十年納めることで老後に満額を受給できる。納付が途切れても、最低期間の二十五年に達していれば少額でも受け取れる。ただ、たとえ二十四年十一カ月納めたとしても、二十五年に一カ月でも足りなければ、原則、六十五歳になったときに一円も受け取ることはできない。

「払い損」とも呼ばれる現状は、国の議論でもしばしば取り上げられてきた。特に、二〇〇七年の社会保険庁(当時)の調査で六十五歳以上の無年金者が四十二万人に上ることが判明すると、有識者会議からの「納めた保険料に応じて給付を受けられるよう、期間を短縮するべきだ」との指摘が一層強まった。

経済的に困窮する高齢者が年々増え続ける日本。一五年のOECDのまとめでは、六十五歳以上の貧困率は加盟三十四カ国中、七番目に高い19・4%。お年寄りの五人に一人が、平均的な所得の半分以下で暮らしている。

国は困窮の一因となっている無年金者の対策を税と社会保障の一体改革に組み込み、一二年八月に年金機能強化法が成立。消費税の10%への引き上げ時から納付期間を十年に短縮することを決めた。今年六月に消費税率の引き上げ延期が決まると、期間短縮も先送りされたが、安倍晋三首相は夏の参院選後に「来年度からスタートできるよう準備したい」と明言。今月二十六日開会の臨時国会に提出予定の改正法案では、期間短縮の施行期日を「一七年八月一日」としている。

成立すれば、これまでの納付が二十五年に満たずに無年金だった高齢者も、過去の支払期間に応じた額の年金を受け取ることができるようになる。救済対象は六十四万人に上る見込み。ただ、「年金は十年納めればいい」と誤解する人が増え、将来の低年金につながる恐れもある。

十年で納付をやめてしまうと、受給できるのは四十年払って受け取れる国民年金の満額の四分の一、月額約一万六千円に限られる。厚生労働省年金局は「十年では不十分。あくまで納付期間は四十年であることを強調したい」と話している。

(戸川祐馬)

◆免除制度増える利用者 国民年金保険料払えない…

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経済的な理由により、国民年金の保険料を支払えない加入者が増えている。日本年金機構が低所得者向けに設けている免除制度の利用率は、三人に一人に当たる37・9%。十年前に比べて10ポイント増加している。

国民年金の加入者数を過去十年で比較すると、二〇〇六年度の二千百二十三万人が一五年度には千六百六十八万人へと約二割減少。これに対し、一五年度の免除者は六百二十三万人で、〇六年度よりも三十九万人増えている。加入者全体に占める割合は〇六年度が27・9%。一〇年度に30%を超え、直近の三年間は38%前後で推移している。

特に増加が目立つのは、「単身で年間所得五十七万円以下」などが条件の「申請全額免除」で、〇六年度から約二十三万人増えた。次いで、生活保護受給者らが対象の「法定免除」が二十一万人増。「全額免除」よりも所得額が高い人に適用する「一部免除」など、十年間で対象者が減った項目もあった。

厚生労働省は免除者の増加について「制度の周知が進み、本来免除されるべき人の申請が進んだため」(事業管理課)と説明。非正規など比較的賃金が低い労働者の増加で保険料を払えない加入者が増えているのではないかとの疑問には「そのような分析はしていない」と答えた。

これに対し、早稲田大人間科学部の植村尚史教授(社会保障政策)は「免除制度はもともと一時的に支払えない人を想定した制度だが、非正規雇用の拡大などにより長期で払えない人が増えている」と指摘。その上で、「長期免除者が今後も増えれば制度が立ちゆかなくなる。年金の仕組みそのものを考え直す時期だ」と話している。

年金制度全般についての問い合わせは、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」や、各地の年金事務所の窓口で受け付けている。

(戸川祐馬)

(CGデザイン・金子亜也乃、紙面構成・山田和宏)

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