【8/31】第86回福井県原子力安全専門委員会 議事概要

第86回福井県原子力安全専門委員会
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/

議事概要
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai86kai/giji.pdf

1. 日 時 :平成28 年8月31 日(水)10:00~12:40

2. 場 所 :福井県庁6階大会議室

3. 出席者 :
(委員)
中川委員長、三島委員、田島委員、西本委員、山本委員、大堀委員、望月委員、
田岡委員、玉川委員、釜江委員
(原子力規制庁)
地域原子力規制総括調整官(福井担当) 小山田 巧
安全規制管理官(PWR 担当)付 管理官補佐 関 雅之
安全審査官 中野 光行
(関西電力)
原子力事業本部 副事業本部長 大塚 茂樹
原子力保全担当部長 中野 守人
高経年対策グループ チーフマネジャー 南 安彦
電気設備グループ チーフマネジャー 今井 和夫
(事務局:福井県)
清水安全環境部部長、木村安全環境部危機対策監、坪川安全環境部企画幹、
野路原子力安全対策課課長

4. 会議次第:
・ 高浜発電所1、2号機の工事計画および運転期間延長認可について
・ 前回の委員会(5/13)における委員からの質問に対する回答

5. 配付資料:
・会議次第
・出席者および説明者
・資料 No.1-1
関西電力㈱高浜発電所1・2号炉の工事計画認可等について [原子力規制庁]
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai86kai/no.1-1.pdf

・資料 No.1-2
関西電力㈱高浜発電所1・2号炉の運転期間延長認可の概要 [原子力規制庁]
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai86kai/no.1-2.pdf

・資料No.2
前回の委員会(5/13)における委員からの質問に対する回答について[関西電力㈱]
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai86kai/no.2.pdf
6.概要

○原子力規制庁より、資料No.1-1「関西電力㈱高浜発電所1・2号炉の工事計画認可等について」および資料No.1-2「関西電力㈱高浜発電所1・2号炉の運転期間延長認可の概要」を説明

(田島委員)

・ 今回の規制庁からの説明にはなかったが、前回(5月13 日)の委員会の後、熊本地震の状況が明らかになったり、元規制委員会委員の島崎氏による規制庁への大飯発電所の基準地震動の再計算の要請があるなど、様々な問題があった。

・ 基準地震動は非常に重要な問題でもあることから、規制庁にお願いしたい点を含めて申し上げる。

・ 私は、この委員会で、これまで何度も、設定されている基準地震動は安心できる科学的根拠がないと主張してきた。

・ 今年の6月に、原子力規制委員会の委員長代理であった島崎氏が、規制庁に対し、大飯1、2号機の基準地震動再計算の必要性を求め、規制庁は2度までも再計算を行った。

・ すでに規制委員会が審査を認容していながら、専門家の指摘を受けて再計算をするということは、審査が十分でなかったためであると考えられる。

・ 原子力発電所の基準地震動に関する審査は安全上の根幹であるので、十分に信頼できる審査ができていないのではないかと大変不安に思う。

・ この件について、いまだに島崎氏との意見の差は埋まっていないと聞いている。また、島崎氏以外にも、地質や防災の専門家や、元原子力安全委員会の委員など、関連した人々が基準地震動の策定にあたり、多くの問題を指摘しており、その多くは過小評価であるという意見である。

・ 私は、以前、この委員会で、現在採用されている基準地震動の計算は、どの程度、実測に裏打ちされており、信頼できるものなのかと質問した。その際、釜江委員は、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)以降に計算手法は大きく前進したと説明された。

・ しかし、今回、島崎氏の主張により再計算となった事態は、計算方法は前進した面もあるが、地震に関する学会から全面的に支持する信頼されたものではないことを示している。また、規制委員会の田中委員長も、学会としての統一見解を作ってほしいと言っている。

・ 地震の予測は実験できないため、過去の事実に学ぶしかない問題である。1995 年の兵庫県南部地震から約20 年が経過しているが、結果を解析することはできても、信頼性の高い予測ができるまでには成熟していないと言えるのではないか。

・ 原子力発電所の基準地震動には、現在、最も曖昧さが少ないと考えられる計算方法を用いているとされているが、計算には多くの情報が必要であり、設定に曖昧さが含まれる。

・ この件について、曖昧さを安全側にとって計算していると主張されているが、安全であるという明確な根拠がない。このような基準地震動の導出の不確定さからくる危険性は、これまでに行われた原子力発電所の基準地震動の設定において、これは国会事故調査委員会の報告書にもあるが、過去10 年間に4つの原子力発電所で合計5回にわたり、基準地震動を超過するという事実に、はっきりと表れている。

・ また、熊本地震に関しても、ある識者は、(日本国内の)どこでも、同じような地震災害がいつ起こっても不思議ではないとおっしゃっている。

・ 原子力発電所周辺の活断層が全て見つかっているわけではない。地震が発生してから活断層の存在が判明した事例もある。

・ 以前にこの委員会で述べたこともあるが、基準地震動の計算に必要な入力情報を全て得るには、原子炉周辺の地面全体を、深さ数km にわたって剥ぎ取るという、人間には不可能な作業が必要になる。

・ 根本的欠陥は、地震が発生する地下深くの断層構造が、まだ明らかになっていないということ。日本独自の断層モデルができていないということである。

・ 原爆投下2回、原子力発電所の過酷事故1回と、原子力による大きな災害を3度も経験した日本では、絶対安全性を求めることが社会通念であると思う。

・ 原子力発電所が近くにあるか否か、原子力発電所の運転に賛成か反対かにかかわらず、過酷事故は2度とごめんだというのが圧倒的多数の意見である。

・ 日本は地殻変動が激しい環境にあり、原子炉の絶対的安全性を保障するための基準をつくる土台となる研究は、十分に信頼できるまでに至っていない。その上、地震の活動期に入ったのではないかと再び指摘されている。

・ 日本における原子力発電所の運転は適当ではないと考える。今、原子力発電所を使用するためには、2006 年以降、福島第一原子力発電所事故後も変更されていない基準地震動の策定方法を見直し、地震に関連する学会のお墨付きを得た科学的な策定方法を作ることができるかを検討すべきである。

・ 福島第一原子力発電所事故を踏まえた改定が、なぜ行われなかったかはわからないが、規制庁には、基準地震動の策定方法の見直しをお願いしたい。

・ 例として、神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、震源を特定して策定する地震動も本質的には知ることが不可能であるとおっしゃっている。

・ 日本において、地震が発生する地下深くの断層構造を明らかにして、日本で観測される地震動の最高値、これは柏崎刈羽原子力発電所で観測された1700 ガルということだが、これらを参考に、関連学会からお墨付きを得られる地震動の値を、全原子力発電所の基準地震動に適用することが適当ではないかと考えている。

・ 1700 ガルが適当であるかはわからないが、これらについて、規制庁にお願いしたい。
(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)

・ いろいろご意見をいただいた。本日、基準地震動に関する担当が来ていないため、私が把握している範囲でお答えする。

・ まず、島崎前委員長代理の指摘に関しては、手法を変えて計算するようにという提案であった。規制庁で指摘を踏まえた計算をやってみたが、なかなか現実的な方法、あるいは、妥当な方法ではないという結論が得られ、最終的には島崎前委員長代理が言っていた内容というのが、熊本地震を踏まえて、ご自身が考えた疑問ではあったが、手法も含めて、学会でオーソライズが得られた手法ではないのではないのかということであり、新知見として捉えるのであれば、学会の方でしっかりご検討いただきたいということであった。

・ また、基準地震動に関しては、全原子力発電所共通の基準地震動を、という指摘もあったが、地震の発生は地域ごとに違っている。断層などの状況により変わってくるものであり、その場所々々によって決めるということが適当ではないかと思う。その手法については、これまでの知見に対して、不確実性という指摘もあったが、それらも十分考慮し、さらには、震源を特定しない地震動の設定も行っており、その中で行うことかと思う。
(中川委員長)

・ 基準地震動の審査に関しては、現状では今のままで行うということである。これまでも問題になっていたと思うが、震源を特定せずに設定する地震動により、不確定さを補充しているという考え方で、これまで規制庁で取り入れていると思う。現状はそういう考え方ということで。

・ もう一つは、地下断層が明らかにならない限り、という意見があったが、この点に関してはどうか。
(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)

・ 新しい技術基準においては、三次元で当該場所を確認するようになっている。これは、例えば、これまでの浜岡や柏崎刈羽のサイトにおいて到達する地震動が違っていたという経験を踏まえ、三次元的に地下構造まで含めて確認するということになっている。

・ ご指摘の、さらに地下の深い所という話もあると思うが、最も基準地震動に影響してくるものは、やはり浅い所の揺れが、サイトに対して相当な影響を及ぼすと思っており、より影響の大きな所を中心に見ていくということだと考えている。
(中川委員長)

・ 深さという点では、例えば20km 深さになると、(基準地震動策定において)ほとんど考慮する必要がないと。

・ ただ、10km 程度や、田島委員が述べられた5~10km 深さについては、いわゆる震源断層帯として重要な領域だが、そこまで掘り調べるのは不可能である。現状では、地表近く、2~3km の地盤を調べて、地震動の減衰状態を考えるという状態になっており、それ以上はなかなか進めないと思う。規制庁もそういう考え方だと思う。
(田島委員)

・ 規制委員長も、学会から統一した見解を出してほしいと言っている訳であり、地震学会等いろいろあると思うが、学会のお墨付きがあり、初めて安心できるというか、日本の科学技術としては安心できると思う。そのあたりを浅い所でしか影響しない等、独自に判断するのはおかしいと思う。そのようなことを行うと、様々な人から意見が出てくるため、きちんとした判断をしていただきたいと思う。
(中川委員長)

・ 浅い所の影響しか出てこないということではなく、浅い所の地盤を詳細に調べ、いわゆる地震波の減衰定数が正しく評価されているかどうかが重要であると思うが、このあたりについて、学会では議論されているのか。
(釜江委員)

・ 田島委員が述べられたことについては、中身的には正しい所もたくさんあったし、「曖昧さ」という言葉を使われたが、自然現象であり、不確かさがある。少し事実誤認もあったかと思うが、私が答える話ではなく、規制庁も今日担当者が来られていないということであり、そのあたりは後日クリアにしていただきたい。これは、県民や国民の不安につながるところであり、少しでもクリアにしておいた方が良いと思う。

・ 規制委員長も、学会の見解を、という意見があったが、これは、レシピの是非の話であると考えている。島崎前委員長代理は、当初、熊本地震を引用されて大飯サイトは過小評価だと。あるスケーリング則の使い方が悪いということもあり、それは規制委員会で対応されたが、少し事実誤認があったりした。また、熊本地震からまだ4か月しかたっておらず、国の方もまだ活断層関係の調査をしている。レシピについては、規制基準の規則ではなく、地震調査研究推進本部のような科学的な観点からの枠組みの中にあり、少しそれを見直すことがあるのかということも含めて、新たな知見を得ようということで、地震調査研究推進本部を含め、現在検討しているところだと思う。

・ それとともに、学会レベルでもいろいろ発表されており、新知見が出れば、規制委員会も反映するということは前回の委員会でも規制庁から説明があり、当然の話だと思う。

・ そのあたりも含めて、今回の結果だけで、まだ、我々のやっている枠組みが変わるということにはなっていないと私は思っているが、もう少し議論を深めて、考え直すべきところがあれば、レシピや最終的には規制委員会の規則にも反映させ、知見として導入していくことは必要だと思う。

・ 学会の総意として、この方法論を、100 人が100 人賛同する方法というのがどうなのか。不確かさが存在する中で、統一見解を出すのは、学会の役割ではないと思う。学会の中で個別に行っていることについて、出てくる情報を取り込んでいくということは当然あると思うが、それを一つの枠組みにしていくということは、学会の役割ではないと思う。このため、学会として(見解を出す)ということにはならないと考えている。
(中川委員長)

・ 地震動の問題は、常に大きな問題になるが、現状ではまず、露頭している活断層の評価を行うということが1点。また、それだけでは、まだいろいろな不確かさがあるため、いわゆる震源を特定しないという形で、さらに基準地震動の設定を強化するということになっている。

・ 不確かさがあるということは、皆、認めているわけだが、その意味では、リスクゼロというのはあり得ない。リスクの問題を考えるときは、リスク競合を常に考えておく必要がある。
(山本委員)

・ 資料No.1-2 について、3点伺いたい。

・ まず、今日説明いただいた経年劣化に関する検査等については、今までに確立された方法を用いているという意味では妥当かなと思う。ただ、美浜3号機の二次系配管の破断があったことを覚えておられると思うが、検査の見落としが起因であった。原子力発電所は、コンポーネント数がかなり多いため、品質管理が重要になると思うが、その点について、審査の中でどのように確認されたのか教えていただきたい。

・ 2点目は、今回ご説明いただいたのは、従来からあるコンポ―ネントが今後20 年間でどのように劣化していくか、それをどう保全するかについて、話をしていただいたと思う。今回様々な設備を追設しており、どのように経年変化していくのかについて経験がないものもあると思う。それらについては、先ほど10 年毎の定期安全レビューの話もあったが、どのような形でモニタしていくのか、考えがあれば教えていただきたい。

・ 3点目は、先ほども最新知見の話があったが、米国等で高経年化プラントの運転経験がかなり積まれているはずで、最近の知見で考慮すべきものがあったかどうか、情報を収集しているかも含めて、教えていただきたい。
(原子力規制庁:関 管理官補佐)

・ まず1点目、美浜3号機の事故があったが、現状保全に関する品質管理の点だと思う。私自身、美浜3号機の事故については、現場調査等々担当しており、その観点から見ると、当時見落とした点があったのではないかと。その中で、現状保全をしっかりやっていくためには、品質管理が大切ということは私も痛感している。

・ 今回の審査の中では、劣化評価していく上では、現状保全がどのように行われているのか、その結果を踏まえて評価をしているかということが大事だと思っており、主にこの審査の中で、現状保全がどのように行われているのかということについて、保全プログラムの保全計画の計画表を確認したり、その履行結果を確認したりすることにより、その状況を確認した。

・ 保全については、美浜3号機の事故の後に、当時の保安院で、保全プログラムを導入し、保全計画をしっかり立てていくということを法制化しており、これ以外の部分においても、定期安全管理審査等、また別の観点から、保全を適切な時期に設定しているのか、行われているのかを見ているというのが、規制上の立付けであると考えている。

・ 2点目、追設設備が今回多いという指摘については、我々もまずは工事計画の中で、設備が決まっていくところをよく確認しながら、運転延長も審査を行った。基本的には、設計上どうなのかということは工事計画で扱われており、そちらの審査になるが、新しく追設した設備は、劣化ゼロの状態から、どのような状況で劣化していくのかというところを当てはめていくことが重要かと思う。

・ 新設する設備についても、同じような劣化を当てはめていき、どうなのかということを審査の中で確認し、概ね現状の劣化の知見の中で扱えるのではないかと評価結果の中で出ており、その妥当性についてもそういうことだと考えている。

・ 審査の中では、そのように扱った上で認可しているが、今後については、やはり新しいものであり、今評価したものが、どのように範囲内で劣化していくのか、合っているのかということは、確認していくことが大事であると考えている。その中で、今後の状況については、検査等で確認していく。

・ 最新知見の反映については、運転延長のガイドにおいて、まず事業者に何を反映したのかを要求している。この点については、事業者から説明していただきたい。規制側で、知見を反映した規制基準にしている点を挙げると、先ほども出てきた、PTS(加熱熱衝撃)評価のところで、最新のJEAC の知見を踏まえた改定をし、それを要求事項としているという点が主に最新知見を反映したところである。

・ また、事業者に求めた内容が、現在、我々が把握している技術情報から見て、反映すべき情報が入っているかどうかを確認したということである。
(田島委員)

・ 前回の委員会において、高浜1、2号機では、溶融した燃料が原子炉容器の下に落ちることを想定し、原子炉下部キャビティへの注水設備を設置するという説明があった。

・ 重大事故等により炉心の冷却機能が喪失し、炉心温度が1,000℃を超えたところでジルコニウムの被覆管が溶け出し、2,800℃で燃料ペレットが溶けるとされており、鉄の融点が約1500℃であることから、燃料ペレットが溶け落ちると、原子炉容器も溶け出し、溶融炉心が下へ落ちることになる。

・ それを想定して、あらかじめ下部に水を注入するということだが、心配なのは、水蒸気爆発を起こさないかということと、PWR の事故進展は非常に早いと思っており、これに起因することだが、ジルコニウムと水の反応による水素が短時間で大量に発生と考えている。

・ 仮に、ジルコニウム全量が水と反応した場合、水素爆発が起きない基準値以下に収まるのか、また、水素の発生スピードにもよるが、イグナイタを用いることで、水素爆発を回避できるのか。

・ 水素爆発は福島第一原子力発電所事故において非常に大きな影響を及ぼした事象であり、審査の過程で規制庁も水素の発生量は計算されていると思うが、どのような結果になっているのか。
(中川委員長)

・ 田島委員のご質問は、下部キャビティへの注水により原子炉容器から落下した燃料を冷やすこととしているが、高温の燃料が溶け落ちた場合に、いわゆる水蒸気爆発の恐れがあるが、その点はどのように評価されているのかというのが1点。

・ もう1点は、PWR は非常に進展が早いというのは、必ずしもそうではなく、BWR の事故進展と比較した結果、同じ程度になるというデータがあるが、それはそれとして、水素爆発に関して、どのように考えているのかということだと思う。
(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)

・ 手元に用意している資料では、下部キャビティに注水を行う場合の手順等は記載しているが、ご指摘いただいた水蒸気爆発に関する内容を確認できないので、後日、確認した上で、改めて回答させていただく。

・ イグナイタを用いた水素の燃焼効果に関しては、水素の放出量を考慮した評価が行われているが、具体的な内容については事業者の方から回答いただきたい。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ ジルコニウムと水との反応により発生する水素への対策については、イグナイタによる燃焼に加え、電源を必要としないPAR(静的触媒水素再結合装置)を設置している。

・ これらの水素低減効果に関する具体的な数値は、現在、手元にないが、保守的な評価を行った場合においても、水素濃度は7~8%程度に抑えられることを確認しており、定量的に、水素爆発を起こすことはないと評価をしている。

・ イグナイタについては、格納容器内に、予備を含めて13 個設置しており、様々な要因による水素の発生に対応できる設備構成となっている。
(中川委員長)

・ 今まで聞いてきたところによると、イグナイタや触媒式の再結合器を使わなくても、格納容器の大きさから、全ジルコニウムが水反応を起こし水素が発生したとしても、水素の爆轟領域には至らないと聞いていたと思う。
(田島委員)

・ ジルコニウムが100%反応しているということか確かめていただきたい。
(中川委員長)

・ 使っているジルコニウムの全量が分かるため、それと水が反応した時に、どれだけの水素が発生するかは計算で分かる。その結果と、格納容器の体積の比較から、爆轟領域には入らない。しかし、そのまま放っておいたら危険なので、やはり触媒式の再結合器とイグナイタを使って、水素濃度を減らす。

・ もう一つは、それが、建物に溜まらないよう、アニュラス部を通して外部に放出する機構を持っていると理解しているが、それでよろしいか。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ そのとおりである。格納容器から漏れてきた水素については、アニュラス部のファンを強制的に回し、フィルタを通すことで屋外に排出することとしている。
(中川委員長)

・ 水蒸気爆発に関してはどうか。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 水蒸気爆発に関する評価については、手元に資料がないが、おそらく圧力条件が低いため、溶融炉心が下部キャビティへ落ちたとしても、蒸発して当然水蒸気は発生するが、爆発することはないと認識している。これは、確認して、後日回答する。
(中川委員長)

・ 水蒸気爆発を起こす条件があると思うが、そのあたりを説明いただきたい。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 了解した。
(田島委員)

・ 先ほど、劣化状況評価の中性子照射脆化について、5月の委員会の資料とは言葉が違う。「破壊靭性値」と「破壊に対する抵抗力」、これは多分同じものだと思うが。

・ 一番気になるのは、100℃くらいの温度のところで結構近いこと、おそらくコンピュータ計算だと思うが、モデル計算ではないので、必ず精度の低い入力を入れたりすると思う。その際、必ず誤差が出る。このため、今回新しい評価手法で実施したとのことだが、こういうものがデータとして表されるときは、誤差がどの程度入っているのかということが分からないと、100℃の値のところで、2つの応力拡大係数とどの程度近いのかが評価できない。

・ 要するに、理論物理の現象解析家であれば、これにエラーバーを付けて判定するが、不確定性の範囲はどれくらいなのか。
(原子力規制庁:中野 安全審査官)

・ この件に関しては、先ほど申し上げたとおり、新しい評価方法を用いており、様々なばらつきを考慮し、より安全側にみた評価を行っている。また、破壊靱性値の曲線は、下限包絡線となっており、様々なばらつきを考慮しても、これ以上は低くならないという曲線を表している。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 田島委員からご指摘のあった破壊靭性値、これはKⅠc と呼ばれており、分かりやすく破壊に対する抵抗力と称しているものである。また、KⅠc の曲線は、(監視試験片による観測結果を)60 年時点までシフトさせ、予測値として評価している。

・ 先ほど、規制庁からも説明いただいたが、60 年目の破壊靭性値の曲線は、最新のJEACに基づき、更にマージンを取り、保守性を考慮した評価となっている。

・ また、き裂の先端に作用する応力拡大係数側の評価に関しても、保守性を持った評価を行っており、60 年の今時点の脆化に対して、一定の保守性を確保したPTS の評価により、健全性を確認している。
(田島委員)

・ 1号機と2号機の運転開始時期は1年しか差がないということだが、関連温度は97℃と50℃、上部棚吸収エネルギーは65J と104J と、大きな差がある。号機ごとにこのような差が生まれるのはどういうことか。

・ また、上部棚吸収エネルギーが68J以下の場合は、き裂進展評価を別に行うということはどういうことか、別の評価により安全性を確認するということか。
(原子力規制庁:関 管理官補佐)

・ 関連温度や上部棚吸収エネルギーが号機ごとに異なる理由に関しては、簡単に言うと、運用開始時点から既に差があったということである。

・ 40 年前の時点で脆性評価を行っているが、上部棚吸収エネルギーは、高浜1号機が98Jで、高浜2号機が141Jであったということを確認しており、それが、これまでの運転により、65J、104Jという値になったということである。

・ 当然のことながら、使用前検査において、これらの試験結果が技術基準をクリアしていることを確認しており、基準はクリアした上で、このような違いがあったということが要因であると考えている。

・ また、上部棚吸収エネルギーが68Jを下回った場合の評価については、資料No.1-2 の15 ページにおける「主な要求事項」に記載している通りであり、上部棚吸収エネルギーの評価で68J以上であるかを確認するとともに、68Jを下回った場合には、「延性き裂進展性評価」、「き裂不安定性評価」、「欠陥深さ評価」等を行い、要求事項を満足することを要求している。

・ これに関して、1号炉は、上部棚吸収エネルギーが65Jと評価されたので、前述した4つの評価を行い、要求事項を満足していることを確認したということである。
(田島委員)

・ き裂進展評価がよければ、65Jでも問題ないということか。
(中川委員長)

・ 68J以下の場合は、この4つの評価を行い、要求事項を満足すれば良いという認識でよいか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 資料No.2の参考資料の11 ページをご覧いただきたい。

・ 原子炉容器の照射脆化に関しては、大きく2つの事象があり、一つは脆性遷移温度、いわゆる関連温度が上昇すること、もう一つは高温域の十分靭性のある領域における吸収エネルギー、いわゆる上部棚吸収エネルギーが低下することである。

・ 資料No.2の参考資料の13 ページに関連温度の上昇の様子を図示しているが、先ほど規制庁からも説明があった通り、初期から靭性値の違いがあり、その後、1、2号機とも4回にわたり監視試験片の評価を行い、関連温度の推移を確認している。

・ その上で、最新のJEAC に基づく予測曲線を図示しているが、初期値が違うことや、原子炉容器の銅含有量等の照射脆化に影響する因子が異なることから、関連温度の上昇傾向が異なっている。

・ また、非常に専門的な内容になるが、上部棚吸収エネルギーに関して、16 ページに記載している。まず、上部棚吸収エネルギーが68Jを超えていれば、高温域での靭性が十分にあるということで、問題ないという評価になる。一方、68Jを下回った場合は高温域の靭性値が落ちているということで、規格に基づいて弾塑性破壊力学評価手法を用いて評価をしている。

・ そこに、3つのJ積分に基づく破壊力学評価の結果を記載しているが、供用状態「A、B」といわれる状態、あるいは、事故の荷重が働くような供用状態「C」、「D」において、原子炉容器に欠陥があると仮定した上で、高温域での荷重に対して、材料の耐性から弾塑性破壊力学的な評価を行い、原子炉容器の健全性が十分であることを確認しているということである。

・ この評価によって、延性き裂がどれくらい進展するかについても、詳細な評価を行っているということである。
(三島委員)

・ 原子炉容器の中性子照射脆化に関する検査が行われたということで、山本委員のご指摘にも関連する内容だが、完璧な検査ができないことも考えられる。例えば、小さな欠陥を見落とす可能性もある。

・ 超音波探傷などの検査方法や設定方法にもよるが、検査機器、検査手法の検出感度によっては、大きな欠陥であっても見落とす可能性があると仮定し、PTS の評価で見落とす可能性のある大きさの亀裂が進展した場合を考慮すると、どのようになるのか。そのあたりの内容はどのように取り扱われているのか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ まず、通常の定期検査では、溶接部を中心に超音波探傷検査を行っている。また、今回初めて、炉心領域の母材部全域に対して検査を行った。

・ 超音波探傷検査では、内面の浅い欠陥を検出できる斜角の超音波探傷装置を用いているが、検出の感度は、クラッドの表面から3.8mm の欠陥が検出できるというものであり、過去の国プロジェクトでも検証された手法ある。

・ これにより、5mm の欠陥は十分に検出できるとして、評価を行っている。その上で、PTS においては、原子炉容器の内表面に深さ10mm 欠陥があると仮定し、事故時の冷却水が注入された場合でも、健全性が確保されることを確認している。

・ また、非常に小さい、あるいは5mm 程度の小さい欠陥に関しては、通常の運転による60 年で想定される過渡変化を用いた評価を行った場合においても、疲労き裂の進展量は非常に小さくなることを確認している。
(三島委員)

・ 長期保守管理方針に関して、今回、40 年目の評価ということで、新たな長期保守管理方針が策定され、保安規定に反映されたということだが、今回の評価で、30 年目の長期保守管理方針に改めるべき点があったのか。

・ もう1点、山本委員の指摘にも関連するが、新規制基準対応として、既設の設備に新しい設備を追加することに関して、設計上の条件が変わることを考慮した評価を行い、期待通りの機能を発揮できることを確認していただきたいと、これまでの委員会でも申し上げてきた。

・ それに加えて、今回、高経年化対策ということで、新規制基準適合性審査における議論と同様に、運転期間延長認可において審査した内容を考慮しても、設備が期待通りに動くことを、今後、どのように確認されるのかお伺いしたい。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 30 年目の高経年化技術評価との比較に関しては、前回の委員会においても説明したが、基本的には、30 年目時点の長期保守管理方針を振り返り、大きな問題点や改善が必要な点はなく、10 年前に計画し、保安規定に記載した内容を適切に実施できたと理解している。

・ また、今回、照射脆化に係る規格やケーブルの絶縁低下に係る最新のデータを踏まえた評価など、この10 年間における最新知見の反映についても盛り込んでおり、次の10年、20 年で実施する新たな長期保守管理方針を設定したということである。

・ また、今回の高経年化技術評価では、既設の設備だけでなく、新たに設置する設備の、今後の20 年における劣化状況評価をしっかりと入れ込んで、延長認可申請を行っている。

・ 先ほど、規制庁からも説明があったが、新しい設備において想定される劣化モードを洗い出し、60 年時点までに想定される腐食や疲労等について確認している。

・ その上で、今後、長期保守管理方針が機能していることを確認していくとともに、我々が想定していない劣化が起きていないか等について、日常の管理や定期的な検査の中で確認していく。

・ 例えば、水素再結合装置など、新たに設置した設備についても、定期的な検査で機能が劣化していないことを確認するとともに、材料の劣化状況等も含め、日常的な管理の中で、劣化や異常が発生していないことを確認するとともに、それらの知見を蓄積し、今後の保全活動に反映していく。
(三島委員)

・ 設備の重要度の考え方について、既設の設備と新たに追加する設備とでは、設計上の重要度の位置づけが異なることがあると思うが、機器の重要度分類などに矛盾するところはないのか。

・ 例えば、安全上重要な機器として位置づけられていた設備に重要度の低い機器を取り付けて、そこが不具合の原因になるということはないということでよいか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 劣化状況評価に関して、従来の高経年化技術評価では、安全上重要な機器に加え、高温あるいは高圧の系統機器等を対象としてきた。

・ 今回は、新規制基準を踏まえて、例えば重大事故等対処設備のうち恒設設備に属するものについては、小さい設備を含めて対象としている。また、耐津波安全施設や浸水防護施設等についても対象設備として評価を行っている。

・ 一方で、可搬設備や、定期的に取り替える設備については、高経年化の評価から外しているものもある。
(三島委員)

・ 逆に、今回の対策で、重要度の低い系統に重要度の高い設備が取り付けられたということはないのか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 新規制基準において、事故の観点からクラスが上がっている設備も対象設備に含めており、基本的には、すべての恒設設備を対象とした評価を行っている。
(西本委員)

・ 今回は高経年化プラントの評価ということで、従来から評価されている劣化事象に加えて、耐震・対津波性の信頼性評価をされたことが特徴であると認識しているが、この評価を行う際、これまでに問題視されてきた劣化事象との重畳で起こる問題点についても評価されたのか確認したい。

・ 例えば、2相ステンレス鋼の熱時効脆化に関して、材料が極度まで劣化した場合、貫通記録まで同定して延性破壊しないということであったが、この時の外部応力については、地震による振動時の応力を考慮した評価が行われているのか。
(原子力規制庁:関 管理官補佐)

・ 耐震安全性評価については、添付資料として配布している「高浜1号炉の114 条への適合性に関する審査結果」の28 ページに記載しており、事業者に対し、「応力等評価」や「想定き裂(欠陥)に対する破壊力学評価」など、大きく4つの評価を求めている。

・ この中で、29 ページの「2.2.9.2」の(1)における2ポツ目に、「評価対象機器・構造物の抽出は、耐震安全上考慮する必要のある劣化事象に該当する機器・構造物」としている。また、(2)①における3ポツ目に記載しているように、「中性子照射脆化や熱時効等の靱性低下を伴う劣化事象」を入力条件に含めた評価が行われている。
(西本委員)

・ その場合、「材料が最大まで劣化が進行した」という状態は、具体的にどのような劣化を想定しているのか。
(原子力規制庁:中野 安全審査官)

・ 熱時効に関しては、これまでの研究成果からすると、ある程度まで進行すると飽和することがわかっており、運転時間にかかわらず、その材料が持つ最大の時効時の靱性低下幅を想定した評価を行っていることを確認している。
(田島委員)

・ 地震に関連して、熊本地震では大きな地震が何度も繰り返されたというのがあるが、今回の規制庁の審査の中に、熊本地震のような地震が何度も繰り返されることについての対策や、正確には分からないが、長周期地震動が熊本地震で大きかったという話があった。長周期地震動の場合、大きな建物への影響が大きいため、そのあたりについてどのように反映されているのか教えていただきたい。
(原子力規制庁:関 管理官補佐)

・ 地震の影響だが、まず疲労評価のところで、どのくらいの地震力が入るかということだが、基準地震動を基にした評価であり、長周期側も考慮して基準地震動の中に含まれているという考え方で、評価を求めており、それに従い審査を行っている。繰り返しの地震動について、熊本地震のような地震がどのようにくるのかというのと、この若狭サイトでどのような地震がくるのかということがあり、一概に熊本地震と比較するのは適当とは思っていないが、基本的な考え方としては、原子炉施設は基準地震動に対して、かなり低いところでトリップ設定値をかけており、ある程度の大きさの地震により止まることになっており、それに従い、基準地震動に応じた耐震の評価を求めている。

・ また、トリップ設定値に満たないような地震動が加わった場合は、基本的には疲労評価で考えると、応力がそれほど大きく加わるはことはないと考えている。
○関西電力より、資料No.2「前回の委員会(5/13)における委員からの質問に対する回答について」を説明

(田島委員)

・ 難燃ケーブルの話について、5月の委員会によって事業者から出された資料に基づいているのだが、難燃ケーブルの評価期間というのがあり、ループ室のケーブルの評価期間は106 年とあるのだが、106 年保つという意味だと思うが、劣化の仕方というのは、毎年一定の割合で劣化するとは限らないため、例えば40 年を過ぎたら、もう完全に劣化しているということもあると思う。そのような可能性はないのか。それから、私は分からないが、106 年という長い時間の絶縁低下をどのように計測したのかを知りたい。

・ もう一つは、この前の委員会で質問したことに対し、今回の資料ではっきりしたが、計測ケーブルが防火シートと複合した複合ケーブルになっている。イグナイタに繋がるのは計測ケーブルの中にあるのか。要するに、計測ケーブルは原子炉の中のパラメータを探るものであり、イグナイタに繋がっているもの等、他の様々なデータを探るためのケーブルが、事故のときに断線すると復旧が非常に困難になるのではないか。事故のときは、PWR の場合、たかだか30 分ほどの争いだと思うが、計測ケーブルの復旧は、それほど早くできるのか。

・ もう一つ、防火シートの中の温度はどの程度上がるのか。設計基準事故を想定した試験では最高190℃とされていると、前のデータに出ていたが、190℃というのは低く、200℃、300℃となるのではないかと思う。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 最初の質問の劣化の評価だが、資料No.2の参考資料の5、6ページで説明させていただく。規制庁からの説明にもあったが、ケーブルの評価が5ページにあり、長期健全性試験を実施しており、その結果も踏まえて、どの程度大丈夫かということを評価する。健全性試験は通常運転時の熱と放射線により徐々に絶縁抵抗が低下していくことを考慮して、その上で、さらに事故時の放射線と熱に対して急激に絶縁性能が落ちるというところも併せ持って評価を実施している。

・ 5ページのフローチャートの一番上で、熱と放射線を同時にかけて加速させた評価を実施しているが、ここでは100℃あるいは94.8Gy/h、こういうものを長期的に徐々に劣化していく条件として、確認している。この条件をアレニウスの式等を用いて、通常運転中は40℃以下という条件だが、実際のケーブルが置いてあるところの温度、放射線量を用いて評価期間を評価している。

・ 田島委員から指摘があったように、1号機は、6ページのように評価しているが、上段の1号機の評価結果では、加圧器室上部にあるケーブルでは99 年くらい、2号機は100年以上が評価期間となっているものもある。この評価期間は、運転開始からの年数として表示しているが、先程の試験などを踏まえ、各ケーブルがおかれている温度、放射線量、放射線量は低いところが多いが、徐々に劣化している期間を評価している。この評価結果として、ケーブルのリプレースなども考慮して評価しているが、先程の赤で書いてあるように、54 年目までしか試験で確認できていないということで、54 年目までに取替えると、2号機には47 年までというものがあり、実際には今、停止期間中に取替える計画であるが、この期間までに取替える必要があると我々が評価しているものである。そのような試験も踏まえ、徐々に劣化しているものを評価している。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ イグナイタのケーブルについての質問について、まず先程、大塚から説明をしたが、水素の発生に対しては、静的なもので水素除去をするもの、さらに電源を用いて除去するイグナイタを設置している。先程、先生も話をされたが、実際に電源を用いるため、電源ケーブルと計装ケーブル、制御ケーブルというものがある。こちらは新たに今回設置するものであり、格納容器内にあるため、電線管の中に入れて難燃ケーブルを敷設するという形をとっている。

・ 当然、普段からケーブルの絶縁抵抗の確認等をおこなうが、イグナイタを13 個設置しており、これらについて、すべてが全部断線等することはないと思う。そういうことがないように日常から定期点検等を実施していく。また、190℃という話があった。参考資料の5ページ目、先程、南が説明をしたように、実際に格納容器が事故が起こった時に、格納容器の中の温度が190℃になるという形で試験をしている。実際の設計温度では、122℃程度にしか上がらないが、実際に事故が起こったときに、ケーブルの電気的機能が維持できるかどうかということに関しては、この190℃の温度を使って試験をしている。少し誤解が生じているかと思うが、実際にシートを巻いて、燃やしたときにどのような感じになるかというと、同じ資料の4ページ目になるが、これは非難燃性ケーブルをシートで巻いている。実際にシートを巻いた中のケーブルが燃えたらどうなるかという試験をしており、これについては、ここに書いてあるように、マイクロヒーターで650℃まで上げ、中のケーブルを燃す。試験した結果、中の炎が外に出てこないことを確認しており、中のケーブルが燃えたときはこのような形になる。事故時の試験の温度と、中のケーブルが燃えたときの温度というのが少し分かりにくい説明になったかと思うが、このような形で区分けしている。
(田島委員)

・ 防火シートに包まれたケーブルというのは、イグナイタにはつながっておらず、全て計測値用のものばかりということか。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ 先程も申し上げたが、イグナイタは電源が必要になるため、電気を送るケーブルは、先程の本文の2ページで言うと、電力ケーブルと我々は呼んでいる。
(田島委員)

・ 理解した。計測ケーブルの中には、計測に関するものばかりだと、1、2本切れることがあるかもしれないが、問題ないということか。また、106 年の長い評価時間というのは、放射能の累積で測っているということか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ そうである。各ケーブルの放射線量と熱の累積で行っている。
(田島委員)

・ 徐々に低下するのであり、106 年と評価したものが、途中40 年ですでに十分低下している可能性はないということか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 通常運転での徐々に低下しているもので、ここまで確認できていると評価している。
(田島委員)

・ 低下している可能性があるのか、ないのか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 我々としては、通常運転だけで絶縁機能がここまで悪くなるということは考えていない。100 年と長いがそのような状況で、さらに事故で低下することがあっても大丈夫という評価をしている。
(田島委員)

・ それは分かるが、結局40 年ですでに十分低下している可能性はないということか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ そうである。絶縁抵抗の性能という面では大丈夫と評価している。
(田島委員)

・ 防火シートの中の温度は100℃ちょっとであり、190℃になることはないのか。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ ヒーターでケーブルを650℃に加熱しても、内部の火炎が防火シートから露出することがないことの確認結果を、4ページ目では説明している。
(田島委員)

・ それは理解した。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 5ページ目の190℃というのは、耐環境温度である。事故が発生し、格納容器内の最高温度が190℃、集積放射線量が1500kGy になったことを想定した上での耐電圧試験で、健全であることを確認したということであり、この190℃というのは防火シート内の温度とは、関係ない。
(田島委員)

・ しかし、設計基準事故試験条件の中の最高温度は190℃とされているが。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ これは、防火シート内ではなく、格納容器内の雰囲気温度が190℃の想定ということである。
(田島委員)

・ 理解した。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 防火シート内火災の耐延焼性試験を650℃で行っているというのが4ページ目になる。
(田島委員)

・ 計装用のケーブルなどが、防火シートの中で破断した場合、どの程度の時間で修理可能なのか。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ 破断している場所によるが、ケーブルの引き替えという形になると思う。

・ 先程も説明したが、重大事故等対処設備は多重性を有しており、本当に事故が起こった場合は、他のイグナイタ等で対応をすることになると思う。

・ 実際に事故が収束した後に引き替える場合は、数日程度を要することになると思う。
(中川委員長)

・ 最悪の場合、どの程度の時間で復旧できるという評価はされているのか。

・ 場所によって違うとは思うが、概略として、どのように考えておられるのか。一日なのか、1週間なのか、1ヶ月なのか。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ ご指摘いただいたイグナイタに関しては、格納容器中に設置されているため、イグナイタが必要な事態ということは、格納容器内は重大事故環境下に至っており、そこを人が立ち入って修復することは事実上不可能となる。

・ 一方で、イグナイタは複数設置しているため、まずは、それらを用いて事故を収束させ、その後、ケーブルを引き替えることになる。この場合は、定期検査における通常のケーブル引き替えと同じになり、数日程度で引き替えできると思う。
(田島委員)

・ 前回の委員会における事業者の資料に記載されている配管の減肉に関してお伺いする。

・ 減肉の予測肉厚により耐震安全性を確認すると記載されているが、この予測肉厚というのは、どのように評価するのか教えていただきたい。例えば、配管内に実際にファイバースコープを入れて確認するのか、あるいは、シミュレーションによる予測に基づくものか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 配管の減肉に対する耐震性安全評価に関しては、実際の減肉を想定した上で、地震による応力が作用した場合においても健全性が確保できるかについて評価を行っている。

・ 基本的には、エルボの下流部や接続部等が必要最小肉厚まで一様に減肉した状態を前提とした評価を行っており、その状態で、耐震安全性が確保できることを確認している。

・ 一部の耐震性が厳しい配管については、定期検査の中で、定期的に超音波による肉厚計測を実施している。この計測はかなり細かいメッシュで実施しており、どの程度減肉しているかを確認している。

・ このため、50 年あるいは60 年時点で、どの程度、減肉が進展するかということを評価している。また、エルボ部等において、実際にはどこか一点が局所的に減肉するところ全域が一様に必要最小厚さまで減肉した状況を仮定し、耐震安全性評価を実施している。

・ 今回、長期保守管理方針として、一部の配管サポートの強化を挙げているが、これらの予測において、評価上、厳しい箇所があり、その箇所については、長期保守管理方針に基づき、サポートを強化していくということである。
(中川委員長)

・ 予測肉厚をどうやって決めているのかという質問だったと思うが。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ 予測肉厚は、定期検査における超音波で肉厚計測の結果に基づくものである。
(中川委員長)

・ それは実測値か。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ その通りである。定期的に測定しているので、どれ程度の速度で減肉が進行するかに関するデータを持っており、それを保守的に評価して、50 年時点でどこまで減肉が進行するかを評価している。
(中川委員長)

・ 外挿していくということか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ その通りである。
(田島委員)

・ 前回の委員会における説明資料において、コンクリートの強度低下に関する記載があった。この中で、原子炉容器の支持構造物、その直下部の最高温度は、温度分布解析の結果、約64℃であるとされている。ところが、温度制限値は「65℃を下回る」ことであり、1℃しか余裕がない。

・ 1℃の余裕しかない状況で、強度や遮蔽能力に本当に問題ないのか。
(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)

・ ご指摘の箇所は、原子炉容器の本体をノズルのところでサポートしている部分である。1次遮蔽のコンクリートにあたる箇所であるが、高浜1号機の場合は、ノズルが計6箇所あり、それらの箇所で原子炉容器をサポートしている。

・ この部分は、原子炉容器からの伝熱で、コンクリートの温度が高くなるが、この現象については非常に保守的な条件で評価している。

・ この点に関しては、規制委員会の審査会合においてもご質問いただいており、詳細な評価結果を提出しているが、評価上保守的な条件のもと評価した結果が64℃であることを説明している。

・ また、サポートのところに温度計を設置しており、コンクリートの中の温度を計測しているが、その温度計においても解析結果よりも低い温度が検出されている。つまり、この64℃は保守側に評価した値であることを実測値からも確認している。

・ また、65℃という温度制限値に関しても、実際の耐力はもう少し高いと認識しており指標として65℃と設定していること、また、その制限値についても満足しており、評価上、保守的になっていることを審査の中で説明している。
(望月委員)

・ 資料No.2の10 ページに記載されている中央制御盤取替え工事に関連して、重大事故に対する最適化ということで、前回の委員会における質問への回答という形で、テスターやジャンパ線などを準備し、仮にSA 監視操作盤が機能を喪失した場合等における代替手段・手順書を整備しているという説明があった。

・ 一方で、従来のアナログ式の制御盤の運用においても、様々な事態を想定し、可搬型機器も含めて、多くの対策が整備されていたと理解している。その点について、デジタル盤への取り換えに対して、テスターとジャンパ線の確保で十分なのか。あるいは、資料には記載していないが、他の対策も考えておられるのか。これらについて、もう少し詳しく教えて頂きたい。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ 基本的に、万が一、重大事故に至った場合の対応に必要なパラメータの確認や操作は、テスターとジャンパ線の確保対応できる形になっており、多重化も有している。

・ これらの装置が故障することも想定されるが、その場合においても、資料に記載しているように、信号は現場から流れてきている。また、このSA 入出力盤の必要数が27 個であるとすると、テスターやジャンパ線については40 個程度確保しており、それらを中央盤やリレーラック室等に分散して設置し、計測するという形で対応する。

・ また、SA 関係の可搬設備も用意はしているが、それは本当に重大事故時に施設が壊れた場合に使用するものであり、SA 監視操作盤が故障した場合は、これらのテスター等で実際に値を確認して、必要に応じて必要なレンジのテスターを用意しながら対応する。

・ また、このような対応が実際にできるかという点に関しても、普段から訓練を通じて確認していくことを考えている。
(望月委員)

・ 新しい設備を導入して、仮にその運用がうまく行かない場合でも、これまでのアナログの制御盤と同等ないしはそれ以上の多重性は有している。そのための準備は行っているということでよいか。
(関西電力:今井 電気設備グループ チーフマネジャー)

・ ご指摘のとおり、アナログ式の制御盤において、万が一、故障等があった場合、同様の形でテスター等を用いて計測するという形になるので、この点は従来とあまり変わらない。
(田島委員)

・ 高浜1、2号機の再稼働に向けて、過酷事故時の汚染水対策をどのように進めるのか。高浜3、4号機と同様の対策をとるのか。

・ シルトフェンスは網の目が大きいため、放射性物質そのものの拡散を抑えるのではなく、放射性物質を泥に吸着させた上で、シルトフェンスで泥を補足するということである。このため、放射性物質の抑制効果は約50%しかないということである。

・ このため、高浜3、4号機では、(発電所敷地内の側溝等に)ゼオライトを配置することで放射性物質を吸着するということだが、いずれにせよ、シルトフェンスはあまり効果がないと認識している。

・ 今後、汚染水対策をどのように進めるのか。何か計画があれば教えていただきたい。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 前提として、設計基準事象を超える事態に至った場合でも、炉心が溶融しないような対策を行うこと、また、炉心が溶融した場合でも、格納容器の健全性を維持して放射性物質の放出を防ぐということが基本になる。

・ シルトフェンスおよびゼオライトを使用するというのは、万が一、格納容器が破損した場合において、放射性物質の放出をできるだけ抑えるという位置づけのものである。

・ 汚染水対策については、田島委員のご指摘のとおり、放水口等にシルトフェンスを設置するとともに、構内の側溝等にゼオライトを配置して、放射性物質を吸着するという、高浜3、4号機と同様の対策を高浜1、2号機に関しても講じていきたいと考えている。

・ これに加え、放水砲を用いた放射性物質の拡散抑制対策についても整備している。
(中川委員長)

・ いずれにしても、放射性物質の拡散を抑制するということである。

・ その後のことに関しては、これまでの委員会でも議論しているが、大量の汚染水が発生する状況に対して、それに対応できる設備(の調達)計画は整備されていると理解してよいか。
(関西電力:大塚 副事業本部長)

・ 浄化系(の設備の調達・運用)を含めて、環境に影響を与えないよう対応していく。
(田島委員)

・ 新規制基準ではテロ対策は重要な項目とされているが、高浜3、4号機に関して、原子力規制庁は、十分に効果的な対策がないまま許認可を出している。

・ 本委員会による昨年12 月の高浜3、4号機に関する審議の取りまとめでは、「テロ全体の対応強化のためには、国が積極的に関与することが重要」であることを、要望事項としてまとめている。

・ また、使用済燃料の危険性に関して、以前、この委員会において、あと10 年もすれば使用済燃料ピットは満杯になり、(ピット内で保有する)放射能量はチェルノブイリ事故(で放出された量)の1.5 倍に達し、非常に危険であると指摘した。

・ これらの問題について、西川知事が、今月25 日に、全国知事会でまとめた「原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言」を規制庁等に提出しており、これらの問題の対策を国に訴えている。

・ このため、これ以上、私の方からは言わないが、早い時期に効果的な対策を整備していただきたい。
(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)

・ テロ対策に関して、高浜3、4号機の特定重大事故等対処施設について審査を進めており、8月3日に審査書の案を取りまとめるとともに、現在、原子力委員会および経済産業大臣からの意見を求めているという状況であり、その結果を踏まえて対応を進めていく。

・ 使用済燃料に関しては、今後の処理・管理の問題ということで、安全の観点からは、規制庁として確認していくが、実際にどのようにすすめるかについては、原子力政策、エネルギー政策の範疇になると思うので、規制庁からの回答は控えさせていただく。
(中川委員長)

・ 今日は、2つ議題があり、高浜1、2号機の工事計画および運転期間延長認可に係る審査結果について、規制庁から説明を受けた。また、それについて、関西電力から前回の質 問プラスアルファの説明を頂いた。

・ 議題1に関しては、以下のような意見が出された。

 基準地震動を決める際の不確かさや、曖昧さをどのように考えていくかは、今後も続いていく問題である。

 品質管理や保全に関しては、検査での見落としなどをどうしていくか。

 高浜1、2号機の場合は追加施設や設備がいくつも工事計画で計画されているため、こういうものの検査方法とこれまでの既存設備との安全上の競合を考えていく必要がある。

 中性子による劣化の問題に関して、色々な問題があるが、高浜1、2号機では現状40 年の現状ではクリアできているが、今後、炉内構造物の取替えなども考えていかなくてはならない。その時に、破壊靭性値や応力拡大係数をどのように評価していくか考えていく必要がある。

 長期保守管理方針は、30 年、40 年、50 年で策定していくものだが、この間の整合性、30 年の場合と40 年の場合でどのような違いがあるか、50 年を考える時にはどうなるかなどを押さえていく必要がある。

 劣化事象を考える時の内部応力の考え方について、地震力を内部応力に付け加えており、問題ないと思うが、熊本地震のように繰り返し大きな地震が生じた場合、応力としても繰り返しかかることになるので、その場合の安全性はどうか。

・ 議題2に関しては、いくつか意見があったが、前回の委員会で出された質問に対する説明はなされたと思う。

・ テロ対策や使用済み燃料の問題については、言わば永遠の課題のようなものであり、この点も国を中心にして徐々に解決していっていただきたい。

・ 高浜1、2号機の工事計画および運転期間延長は認可されたが、今後現場において安全対策工事や設備改造等を踏まえた訓練が行われていくことになる。工事の実施にあたっては、防火シートの施工など規制庁がその手順・方法を始め、認可の内容について確認するとしており、事業者および規制庁の対応状況について、この委員会でも確認していく必要がある。

・ 本委員会としては、工学的安全性の観点から今後もハード、ソフトの両面において、確認すべき事項が特に高浜1、2号機の場合はあると思う。そういう意味で、高浜3、4号機とは少し状況が違うという認識を持っている。

以 上

広告
カテゴリー: 福井県原子力安全委員会 パーマリンク