【9/28東京新聞】原子力政策3つのほころび/発電費用安く「ない」 高速炉に夢は「ない」 ごみ捨てられ「ない」【2面】原子力政策のほころび次々 原発廃炉の国民負担議論スタート【1面】

原子力政策3つのほころび

 重くなる国民負担

 東電福島第一原発他の原発

  発電費用安く「ない」

  高速炉に夢は「ない」

  ごみ捨てられ「ない」

2016年9月28日【東京新聞朝刊・2面】

東京電力福島第一原発の事故から五年半がたち、政府の原子力政策の問題点が再び浮かび上がってきた。原発の廃炉費用は膨らみ、「夢の原子炉」と言われた高速増殖炉もんじゅの廃炉に向けた調整が始まった。放射性廃棄物の最終処分の先行きも見通せない。「安くない」「夢がない」「ごみを捨てられない」という現実が横たわる。(吉田通夫)=1面参照

 ■見積もり超過

経済産業省は昨年、原発の発電費用は一キロワット時当たり一09・一円で、石炭火力(一二・三円)など、ほかの電源より安いとする試算をまとめた。「一キロワット時」は、エアコンを一時間動かせる程度の発電量だ。

だが試算の前提は既に崩れている。福島第一原発の廃炉に必要な費用は二O一三年の見積もりを超過。五・四兆円としていた賠償費用は六兆円を超え、二・五兆円と見込んでいた除染費用も、一七年度当初予算案に向けた概算要求の段階で三・三兆円に膨らんだ。さらに廃炉費用は二兆円では足りないことが確実視されている。有識者の間には「百年で三十兆円は必要」「上限は見えない」などの見方がある。

福島第一以外の原発の廃炉費用も一基当たり数百億円を四十年かけみ立てねばならない。この費用の負担を国民に求めるのは、電力自由化で大手電力が顧客を失っても廃炉費用を工面できるようにするためだ。「安い」はずの原発は、国の保護策がないと管理できないのが実態。立命館大の大島賢一教授は「上限の見えない費用があるのに、原発が『安い』という説明は成り立たない」と指摘する。

 ■再利用進まず

使い終わった核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の計画も実現していない。もんじゅは二十一日に廃炉を含めた抜本見直しの方向が打ち出された。経産省は、もんじゅに替わる高速炉の開発は続けるが、理由は使用済み核燃料を再利用する姿勢を示さないと、核兵器への転用を懸念する国際社会に説明できないから。つじつま合わせの側面が強い。

 ■処分場先送り

核のごみの行き場がないという政策の根本的な欠陥も残されたままだ。一般的な工場は、産業廃棄物の行き場がなければ稼働できないが、政府は原発を特別扱い。最終処分場の建設の難題を先送りして原発を稼働したため、ごみはたまり続け、小泉純一郎元首相は「トイレなきマンション」と批判する。

政府は使用済み核燃料などから出る高レベルの放射性廃棄物について三百メートル以深の地下に埋める方針で、受け入れ自治体を探している。しかし地震が多い日本で最長十万年も安全に管理できる保証はなく、選定は難航が予想される。

このほか廃炉が決まった原発の部品など、さまざまな廃棄物の行き場も白紙の状態。九州大の吉岡斉-ひとし-教授(原子力政策)は「さまざまな側面で原子力政策が破綻しているのは明らか。その場しのぎの延命を続けるのではなく、原子力発電をやめることを明確にし後始末に力を入れるべきだ」と話した。

(写真)
重くなる国民負担

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行き詰まる使用済み核燃料のリサイクル策と処理策hokorobi3-2

 

高速増殖炉もんじゅ=福井県敦賀市で、本社へリ「あさづる」からhokorobi3monjy

 

 

原子力政策のほころび次々 原発廃炉の国民負担議論スタート

2016年9月28日 朝刊【東京新聞・経済】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201609/CK2016092802000110.html

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政府の原子力政策のほころびが次々に明らかになってきた。政府は「原発は安い」と説明してきたが、廃炉費用を国民に負担させるための議論を二十七日に開始。「夢の原子炉」と言われた核燃料の高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉とする方向だ。使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の行き場もない。経済産業省はそれぞれの課題の解決に向け、年末に一定の方針を示す考えだが、その場しのぎの対策に終わる可能性がある。(吉田通夫)

経産省は二十七日、有識者会合「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の初会合を開催。原発の廃炉費用を電気料金に含まれる送電網の利用料「託送料金」に上乗せする方向で議論を始めた。十月に始まる「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」の議論も踏まえ、東京電力福島第一原発の廃炉や賠償に必要な費用の上乗せも検討する。

政府はこれまで原発による発電費用は安いと強調してきた。だが福島第一原発の処理に必要な費用は一三年に見積もった十一兆円を超えることが確実。福島第一を除く全国四十八の原発の廃炉に必要な費用には数兆円が見込まれる一方、大手電力会社の積み立ては不足。経産省の資料によると、一三年三月末時点で不足額は一・二兆円に上る。

「使った以上の核燃料を生み出す」とされたもんじゅは一兆円の税金を使いながらほとんど稼働せず廃炉の方向だ。経産省は代替の高速炉の開発方針を年末に示す考えだが、建設が実現するめどは立っていない。

核のごみの問題もある。高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地について政府は自治体の立候補を待ったが方針転換。自ら前面に出て、年末に最終処分場を建設できる地域を色分けした地図を示す。しかし「国民との議論が不十分」(東京工業大の今田高俊(いまだたかとし)名誉教授)との指摘があり、決定できるかは見通せない

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カテゴリー: もんじゅ, 核燃サイクル, 中日東京新聞・特報 パーマリンク