10/6美浜3号機「適合」 「40年廃炉」骨抜き 延長容認はや3基目/初の設備 検証尽くさず/「なぜ審査急ぐ」無視 規制委【東京新聞・核心】美浜発電所3号機の原子炉設置変更許可について

 

美浜3号機「適合」 「40年廃炉」骨抜き 延長容認はや3基目

初の設備 検証尽くさず

「なぜ審査急ぐ」無視 規制委

2016年10月6日【東京新聞・核心】

「例外中の例外」とされた老朽原発の延長運転がまた認められることになった。早くも三基目となる。原子力規制委員会は、関西電力美浜原発3号機(福井県)が十一月末に四十年の運転期間満了を迎えることから「時間切れ廃炉」を避けるため、急いで審査を進めた。国内で導入実績のない設備を十分に検証しないまま、新規制基準に「適合」と判断するなど、拙速さも目立った。 (高橋雅人)

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 ◆老朽

五日の規制委の決定は、形式的には美浜3号機が耐震工事などを進めれば、東京電力福島第一原発事故後に定められた新しい規制基準を満たすというもの。これだけで延長運転が認められるわけではなく、十一月末までに老朽対策の工事認可も受ける必要がある。ただ、原子炉本体や建屋に問題はないとされ、新基準をクリアしたことで、事実上、規制委は運転延長に道を開いた。

運転延長は高浜1、2号機に次いで二原発三基目となる。原子炉等規制法を改正し、四十年廃炉を導入した当時の細野濠志原発担当相は「例外中の例外」と明言。政府のエネルギー政策の文書にも「四十年制限を厳格に適用する」と明記されたが、骨抜きが確定的になった。

新基準ができて以降、六基の廃炉が決まったが、いずれも出力が小さく、対策工事費に見合わないとの判断からだった。他の原発は中型か大型が中心で、電力会社は延長運転を求めてくる見通しだ。

 ◆怒り

美浜3号機の審査は、運転期限の十一月三十日を強く意識して進められた。この日までに新基準と老朽化の両方の審査をパスしないと廃炉が決まるからだ。

関電による基準地震動(耐震設計で基準となる揺れ)の見直しや設計変更に時間がかかり、規制委は慌ただしい審査を迫られた。

その好例が、使用済み核燃料プール内で核燃料をきれいに収めるラック(容器)を巡る審査だ。関電は当初、床面にラックをボルト固定する従来通りの構造にする予定だったが、十分に耐震性があると納得させるデータを提出できなかった。

「これだけ急いで審査しようとしているのに、何でデータが出てこないのか。検討中とか言っている時間じゃない」

期限まで一年を切った昨年十二月九日の審査会合で、規制委の審査担当者は関電に怒りを爆発させた。関電は免震型にすることで規制委の了承を得た。

初の設備 検証尽くさず

 ◆不安

ただし、免震型のラックは国内の導入実績がない。実験データがあるというものの、関電によると、実験は福島事故より前で、美浜3号機での使用を前提にもしていない。規制委の担当者は「工事計画認可と使用前検査で確認する」と強調するが、不安要素の一つとして残る。

もう一つの不安要素は、耐震設計の目安としている地震の揺れの強さだ。

地震学者で前規制委員長代理の島崎邦彦・東大名誉教授は、主に採用されている地震動の計算式は想定される地震の揺れの強さの過小評価につながると、問題提起した。美浜原発でも同じ計算式を使っている。

規制委は独自に検証しようとしたが、失敗。反論の裏付けとなる具体的なデータがないまま、島崎氏の問題提起は「学会のコンセンサスになっていない」として退けた。

原発の地震動評価を検証する長沢啓行・大阪府立大名誉教授(生産管理システム)は「審査が期限ありきで進んでいるため、今の規制委は疑問が生じても見直す余裕がない。規制のあり方が問われている」と指摘する。

関西電力美浜原発の3号機(手前)。左奥は1号機、中央は2号機=福井県美浜町で

 

「なぜ審査急ぐ」無視 規制委

原子力規制委員会は五日の定例会合で、四十年の運転期間満了が十一月末に迫る関西電力美浜原発3号機(福井県)について、耐震化など追加対策をすれば新規制基準に適合するとの審査書を正式決定した。老朽原発の新基準適合は関電高浜1、2号機に次いで三基目。設計が古く、中性子を長期間浴びたことで原子炉圧力容器がもろくなっている懸念がある。規制委は最大二十年間の運転延長を認める見通し。

運転期間は原則四十年となっており、それを超える老朽原発は、新基準に適合したうえで、耐震試験などが必要となる。規制委が八月三日から一カ月間実施した意見公募には、千三百九十件の意見が寄せられた。「なぜ審査を急ぐのか」と規制委の姿勢を疑問視する声も多かったが、規制委側は「厳格に審査している。(意見公募は)科学的.技術的な意見をいただくもの」と取り合わなかった。

田中俊一委員長は、会合後の会見で「時間切れを避けたいということで注力してきた」と述べた。

新基準の導入後、廃炉が決まった原発は、美浜1、2号機や日本原子力発電の敦賀1号機など六基。いずれも出力が比較的小さく、一基につき一千億円を超える対策費に見合わないと電力会社が判断したためだ。

関電は今後、緊急時対策所の建設や耐震補強など千六百五十億円をかけた追加工事を実施するが、関電は「現時点で経済性はあると判断している」とし、「早期の再稼働に全力で取り組む」とコメントした。完了は二OニO年三月ごろの予定で、再稼働はそれ以降になる。

規制委が新規制基準に適合したと判断した原発は、これで八基目。現在十二原発十八基の審査を進めており、九州電力玄海3、4号機も近く適合の判断が示される見通し。規制委は、高浜と美浜の審査を優先したことで後回しになっていた関電大飯3、4号機の審査も再開する考えを示した。

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関西電力 2016年10月5日【プレスリリース】
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2016/1005_1j.html

美浜発電所3号機の原子炉設置変更許可について

当社は、本日、原子力規制委員会より、美浜発電所3号機の原子炉設置変更許可申請について許可をいただきました。

美浜発電所3号機の原子炉設置変更許可申請については、平成27年3月17日の申請以降、これまでの審査の中でいただいた地震や津波、重大事故対策等に係るご指摘を踏まえ、補正申請を行ってきました。

当社は今後も引き続き、工事計画認可申請、運転期間延長認可申請の審査に真摯かつ的確、迅速に対応し、立地地域をはじめ、社会の皆さまのご理解を賜りながら、安全性が確認された原子力プラントの早期の再稼動に全力で取り組んでまいります。

以 上

添付資料:美浜発電所3号機の原子炉設置変更許可について
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2016/pdf/1005_1j_01.pdf

 

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カテゴリー: 関西電力, 再稼働, 中日東京新聞・特報 タグ: パーマリンク