【10/17東京新聞】再稼働の資格関われる東電(第二面)/脱原発の民意、証明 争点化で急速に浸透/新潟知事に米山氏(核心)

放医研で推進派だったかもしれない医師が反原発に鞍替えしたというそういう経歴が好きだ。

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再稼働の資格関われる東電

2016年10月17日【東京新聞・二面】

「福島故の検証なしに再稼働の高論はない」。東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県に、再稼働に厳しい姿勢の知事が再び誕生した。福第一原発故を収束させる責任すら果たせていない東電に、世界最大級の原発を動かす資格はそもそもない。

福島事故の規模は、損害賠や事故収束、放射能汚染の処理(除染や中間貯蔵施設)で十二兆円に達している。最終的にどこまで膨れあがるか不明だ。

賠償費用などは政府が肩代わりし、電力各社が返済金を都合している。そのおかげで東電は存続できているにすぎない。原子力規制委員会は、柏崎刈羽の新規制基準による審査で、東電の資金力も審査対象にするが、対策工事の費用を工面できるかをチェックしているにすぎない。

もし柏崎刈羽で新たに事故が起きれば、兆円単位の被害規模となるのは必至。しかし、どこまでを東電が負担し、残りはだれが負うのかは不明。政府内で責任を明確化する検討が始まっているものの、何も決まっていない。現時点での事故の備えは、わずか千二百億円の保険金しかない。

福島第一では、いまだ溶け落ちた核燃料の状況もほとんどつかめていない。廃炉の手前にある汚染水問題も収束できていない。厳しい現実に、規制委や東電の幹部から「核燃料を取れるだけ取って、残りは固めるなどいろいろな選択肢がある」など、廃炉が三十~四十年では終わらないとの発言も聞かれる。

福島事故後、柏崎刈羽では防潮堤が建設され、非常用電源が強化されるなどしたが、最低限の対策にすぎない。「備えても事故は起きる」を想定するのが福島の教訓。福島の責任も果たせないのに、東電は新たな事故の収束をする能力があるはずもない。新知事に求められるのは、こうした現実を見据え、交付金など目先の利得に踊らされないかじ取りだ。(山川剛史)

 

脱原発の民意、証明 争点化で急速に浸透/新潟知事に米山氏

2016年10月17日【東京新聞・核心】

東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働問題が争点となった新潟県知事選で、反対を鮮明にした共産、自由、社民三党推薦の米山隆一氏が当初の予想を覆して勝利した。再稼働反対の民意が米山氏を後押しし、東電福島第一原発事故以来、原発が選挙の勝敗を左右する争点であり続けていることを証明した。民進党を含む野党四党の結集にもつながった。 (山口哲人)

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■柏崎刈羽原発を巡る経過■

2004年10月 泉田知事が自民、公明両党推薦で初当選
07年7月   新潟県中越地震。東京電力柏崎刈羽原発で、変圧器の火災や放射性物質を含む水漏れなどが発生
11年3月   東日本大震災、東電福島第一原発事故
13年7月   柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向け原子力規制委員会への審査申請を事前相談なく決めた東電の広瀬直己社長を泉田知事が批判
9月      泉田知事が条件付きで、審査申請を承認。東電が審査申請
15年8月   規制委が優先審査を決定
16年2月   東電が福島事故後、炉心溶融(メルトダウン)の判断基準が示された社内マニュアルを5年間見過ごしていたことを公表
3月      耐震設計を巡る東電の準備不足が原因で規制委が優先審査を取り消し。他原発と並行審査に
10月16日  新潟県知事選で米山隆一氏勝利

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知事選では、柏崎刈羽原発の再稼働に厳しい姿勢で臨んできた現職の泉田裕彦知事が八月末に四選不出馬を表明。この後に自民、公明の与党が森民夫氏の推薦を決め、森氏優位は動かないとみられていた。

米山氏は告示直前になって、共産、自由、社民三党に推されて立候補を決めたが、大幅に出遅れた。野党第一党の民進党は、最大の支持団体の連合新潟が森氏支持を決めていたことから自主投票にとどめ、四党共闘は実現しなかった。

変化の兆しが見えたのは、選挙戦が始まってから。米山氏が「泉田後継」を宣言し、争点を再稼働問題に絞って「認められない」と訴え続けると、急速に浸透。共同通信が七~九日に県内で行った世論調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に「どちらかといえば」を含め「反対」が60・9%を占め「賛成」「どちらかといえば賛成」を合わせた24・2%を大きく上回った。

自民党の独自調査などを合わせ、米山氏が森氏に追いつき、二人が激しく競り合う情勢も鮮明になった。

民進党は所属議員が勝手連のように米山氏を支援していたが、民意に押され、蓮舫代表が米山氏応援のため十四日に新潟入りした。党首が自主投票の選挙で特定候補を応援するのは異例だ。「できる限り共産、自由、社民と協力する」(幹部)方針への軌道修正で、四党は最終盤で連携を強化。共闘が与党に対抗し得る力になることも示した。

九州電力川内原発(鹿児島県藤摩川内市)の稼働への賛否が争点となった七月の鹿児島県知事選でも、与党支援の現職が運転の一時停止を主張した新人に敗れた。与党内には「反原発の民意が全国に波及すれば、次期衆院選や来夏の東京都議選に影響を及ぼしかねない」(公明党ベテラン議員)と懸念の声が出ている。

  「野党共闘に弾み」

野党は十六日、新潟県知選で共産、自由、社民三党推薦の医師米山隆一氏が勝利したことについて「極めて大きい政治的意義を持つ」(小沢一郎自由党共同代表)として次期衆院選に向け、共闘の弾みがついたと歓迎した。

共産党の志位和夫委員長は党本部で記者会見を開いた。三党に加え、自主投票だった民進党の蓮舫代表が最終盤で米山氏の応援に入ったことを踏まえ「事実上の共闘態勢がつくられた。野党で協力できれば自公政権を倒せる」と語った。

民進党の江田憲司代表代行は取材に「原発政策は安倍政権への対立軸となり得るテーマだ。原発ゼロへの国民の思いは大きい」と強調した。別の党幹部は「最後に蓮舫氏が米山氏の応援に入ったのは正解だった」と話した。

 与党「厳しい結果」

与党は十六日の新潟県知事選で自民、公明両党の推薦候補が野党系候補に敗れたことに関し「非常に厳しい結果だ」(公明党幹部)と深刻に受け止めている。自民党では「安倍政権の緩み、おごりの表れだ。高い内閣支持率に慢心した」(幹部)と今後の政権運営への影響を懸念する声も出ている。

自民党の古屋圭司選対委員長は談話で「誠に残念だ。敗因をよく分析して党組織の拡充強化に努め、県民の期待に応えられるよう努力していく」と強調した。

公明党の斉藤鉄夫選対委員長は「推薦候補の訴えが十分に浸透せず残念だ。国政への影響はないと考える」とのコメントを発表した。

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