10/20大阪府警機動隊員「土人」発言/ヘイト取り締まる側 暴走/沖縄・米軍ヘリパッド建設現場/「根深い、構造的差別」【東京新聞・特報右】

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ヘリパッド建股工事の出入り口付近で警備に当たる多数の機動隊員ら=今年7月、沖縄県東村高江で

大阪府警機動隊員「土人」発言

 ヘイト取り締まる側 暴走

  沖縄・米軍ヘリパッド建設現場

    「根深い、構造的差別」

2016年10月20日【東京新聞・こちら特報部・右サイド】

沖縄に派遣されている大阪府警の機動隊員が、県民に「土人」と暴言を吐く差別事件が発覚した。東村高江周辺で進む米軍北部訓練場のヘリコプター離陸帯(ヘリパッド)建設現場の警備に当たっていた職務中の発言だけに、問題は深い。非難の声はやまない。(佐藤大)

 

「土人」発言があったのは十八日午前九時四十五分ごろ。北部訓練場のゲート付近で、市民らがフェンスを揺らすなどして抗議していたところ、大阪府警から派遣された機動隊員がいら立ちを隠さず「早く立ち去りなさい、立ち去れ」などと発言、「どこつかんどるんじゃボケ、土人が」と吐き捨てた。この二十分ほど前には近くで、大阪府警の別の機動隊員が「黙れコラ、シナ人」と発言していた。これらの様子は動画で撮影され、インターネット上で一気に拡散した。

北部訓練場周辺には七月の参院選直後から、警視庁と千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡の各府県警の機動隊員が投入されている。計五百人に上るとされ、建設に抗議する市民に対する「過剰警備」が疑問視されてきた。

地元紙の報道を受け、沖縄県警が十九日に暴言の事実を明らかにした。二人の機動隊員は発言を認めているとし、同県警は「現場では常に冷静沈着かつ丁寧な対応を心掛けるよう指導してきたところだが、今回の発言については極めて遺憾.だ」とコメント。派遣元の大阪府警も「公平、中立かつ丁寧な対応を心掛けるよう指導、教養を行っているところだが、今回の発言は不適正な内容だ」とした。

だが、どんな指導をしたのかや派遣人数などは明らかにしていない。

あからさまな差別発言には、菅義偉官房長官も十九日の記者会見で「不適切な発言」と断罪。既にこの隊員を担当から外したと明かした。

石垣島出身で龍谷大の松島泰勝教授(島しょ経済論)は「土人」という言葉は、一九O三年に大阪で開催された博覧会でアイヌ民族や沖縄の人たちが見せ物として「陳列」された「人類館事件」を想起させるとして、「沖縄の人にとってショックな言葉だ」と憤りを隠さない。

「安倍政権は、沖縄で基地反対の民意が出ているのに高江や辺野古の工事を強行し、力でねじ伏せようとしている。沖縄の歴史や文化をないがしろにしている。その本音が最前線の機動隊まで伝わり、侮蔑的な言葉となって公になったということではないか。差別は今に始まったことではない」と構造的な問題を指摘する。

人権問題に詳しい大阪弁護士会の丹羽雅雄弁護士も「言葉の背景も知らないままインターネットを通じて若い人らに言葉が浸透している」と危ぶみ、「大阪は在日の方が多く、被差別部落問題を抱え、本来は『人権の街』でなければならないのだがそうなっていない」と残念がる。

とりわけヘイトスピーチ対策法が六月に施行されたことを受け、各都道府県警には警察庁から、ヘイトスピーチなどに現行法で厳しく対処するよう通達が出されていた。差別的行動に目を光らせるはずの警察官による差別発言に、弁解の余地はない。丹羽氏は「根深い構造的な差別がある。対策法の理念に基づき、警察官だけでなくあらゆる職種で研修を徹底する必要がある」と戒めた。

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