10/21「福島」が生んだ本当の危機とは 連鎖する破綻と無責任/もんじゅ 投入1.2兆円・・・高速増殖炉固執/異次元緩和 物価動かず 金利も目標に/白紙領収書 裏金の温床 過去分は不問【東京新聞・特報】

もんじゅの費用で学費がどれだけ賄われるかについて、以前の高槻アクション(第4日曜日の午後4時からJR高槻駅西武側、あっ明後日10/23だわ)の交流会で話題になったことがある。

うちは関電ではなくHTBエナジーから電気を買っているのに、なんで廃炉費用を払わなくちゃならないの?
日銀とGPIFのせいで、もう年金は貰えなくなるの?
白紙領収書に書きこんだ領収書ってサギじゃないの?会社でこんなことして監査でバレたら懲戒免職だわよ。

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「福島」が生んだ本当の危機とは

  連鎖する破綻と無責任

2016年10月21日【東京新聞・こちら特報部】

一昔前なら、数カ月は大々的に報道されそうな「破綻」が続く。だが、徹底解剖される間もなく、次の破綻が起き、灰色の弥縫(びほう)策で誰が責任を取ることもなく、忘れられていく…。そうした日常が繰り返されている。無責任は「何をやっても痛い目に遭わない」のでモラルの崩壊を引き起こす。この国の社会が直面する最大の危機は、この無責任の連鎖ではないか。弾みをつけたのは福島原発事故だ。 (木村留美、三沢典丈)

 

もんじゅ 投入1.2兆円・・・高速増殖炉固執

政策破綻の典型は、かねて無理が指摘されてきた国立研究開発法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖原型炉「もんじゅ」だ。「夢の原子炉」をうたい、一九九四年に運転を始めたが、翌九五年にナトリウム漏れの火災事故が発生。その後もトラブルは続き、稼働できたのは二百五十日だけ。廃炉の方向で調整が始まった。

かかった費用は、関連施設も含めると約一兆二千億円。原子力機構の試算では、廃炉にも三十年間で三千億円の費用がかかる。

ちなみに三~五歳児が通う幼稚園や保育所を全て無償にした場合、それに必要な費用は年約七千四百億円で、もんじゅの費用は二年間無償にできる計算だ。

当然、責任問題が関われる。ところが原子力機構の児玉敏雄理寧長はもんじゅの主要機器を設計、製造した三菱重工業の出身。そもそもが「利益相反」の疑いを持つ。さらに規制する立場である原子力規制委員会の田中俊一委員長も、原子力機構の前身の日本原子力研究所副理事長だ。

もともとは旧科学技術庁(現文部科学省)傘下の「もんじゅ」だったが、文科省が処理をもたつく間、廃炉問題で主導権を奪ったのは経済産業省。その経産省は、仏政府と同国のアレバ社による高速増殖実証炉「アストリッド」計画との共同研究の検討を掲げて、もんじゅの「破綻」を不鮮明なものにした。これで責任問題も、うやむやになってしまった形だ。

 

異次元緩和 物価動かず 金利も目標に

無謀な実験に失敗したのは、日銀も同じだ。二O一三年四月、黒田東彦総裁は数字の2をキーワードに、日銀が市場に流す通貨量を二年で二倍にすることや二年程度を念頭に2%の物価引き上げ目標を掲げた。

だが、注目された物価上昇目標は三年半が迫っても達成できず、先月、修正を余儀なくされた。事実上の白旗といってよい。一方、通貨量を増やすため、日銀は国債を大量購入し、これが財政健全化を一段と遠ざける状況を生んでいる。

ところが、黒田総裁は目標を達成できなかった理由について、石油価格の大幅下落や消費税増税後の消費や新興国経済が弱かったことなどを列挙。「これらは金融政策でコントロールできない外的な要因」と責任を転嫁してみせた。

さらに今後は金融緩和に加えて、長期金利も重要な目標とするという枠組みの変更を打ち出した。肝心な物価目標も引き続き2%を目指すとしたが、もはや明確な達成時期は示していない。しかし、目先を変えることによって「破綻」を覆い隠してしまった。

これで黒田総裁はとりあえず、責任を回避。その総裁の任命権者である安倍首相も、枠組み変更について「2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するためだと理解している」と擁護。責任を取るどころか、出口の見えない政策を深追いし続けている。

 

白紙領収書 裏金の温床 過去分は不問

政策の破綻とともに、あぜんとさせられたのが自民党の「白紙領収書」問題だ。民間では通用しない慣行がまかり通っていた。

国会では、菅義偉官房長官と稲田朋美防衛相が政治資金パーティーに出席して支払った会費について、主催者から白紙領収書を受け取り、金額や日付を自分の事務所で記入していたことが明らかになった。菅氏は約二百七十枚で計千八百七十五万円分、稲田氏は約二百六十枚で計五百二十万円分が判明している。

しかし、政治資金規正法を扱う高市早苗総務相は「法律上の問題は生じない」と断言。菅、稲田両氏も「出席者の多いパーティーでの混乱を避けるための慣行などと居直った。

だが、白紙領収書は裏金づくりの温床にもなりかねない。一人二万円のパーティーに議員一人が出席し、二万円を支払ったとする。この際、主催者から受け取った白紙領収書に秘書ら十人が出席したとして二十万円と書けりば、差額を裏金に回すことができる。

市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大教授は「パーティー出席は、領収書が唯一の確認手段となるケースがほとんど。その領収書を主催者ではなく、報告者が書くのではチェックの意味がない。規正法が求めているのは真正の領収書。当然、大臣は辞任するべきだ」と批判する。

だが、世論の非難をかわすように自民党は十一日、今後はパーティー主催者が記入した領収書を出席者に渡すよう通知。これで責任問題もうやむやにした。

稲田氏については先月の資産公開の際、夫が防衛関連企業などの二十六万株を保有していることも判明している。失に防衛関係の情報を漏らせば、違法なインサイダー取引になりかねないが、稲田氏は説明責任を果たすどころか、「配偶者の資産公開、プライバシー公開は抵抗がある」と、逆ギレしただけだった。

こうして政府・与党中枢で無責任が横行する。専修大の大庭健教授(倫理学)は現況を「構造的な無責任」と呼び、福島原発事故との関連を指摘する。この事故では今日まで、誰も刑事責任を問われていない。それどころか、国民は税金や電気料金で事故処理費用を転嫁させられている。さらに経産省の有識者会合「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」は十九日、福島第一原発以外の廃炉費用二兆九千億円まで、新たに電気料金に上乗せする方針を固めた。

大庭教綬は「現在は選択次第で、多くの人命にかかわるような重大局面ほど、能動的な意思決定がなされない。問題が起きても『結果的にこうなった』という成り行きの言葉でしか語られない」と説明する。

こうした風潮は社会のモラルを劣化させる。大庭教授は、歯止めをかけるには「責任を取る(取らせる)」ことが重要と強調する。それは過去のみならず、未来のためだという。

「物事がうまくいかなかった時、『私はこうした』と語ることで、意思決定の過程のどこで間違いがあったのかを点検できる。そして間違いを認めることで、初めて謝罪もできる。これを繰り返すことで、意思決定のシステムが改善され、未来において同様のミスを犯さなくなる」

同時に無責任の問題は、現在進行形でもある。大庭教授はこう指摘する。

「このままでは、この国は先の戦争と同じような破局に向かう。戦争でなくても、次の原発事故かもしれない。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、未曽有の巨額損失を出して年金制度が崩壊することかもしれない。これ以上の『お上頼み』の姿勢は死活問題に直結する」

 

(((デスクメモ)))
魚は頭から腐る。沖縄での大阪府警の機動隊員による「土人」発言を聞き、そう思った。頭にも共通する稚拙な万能感。言葉の怖さなど理解の外なのだろう。ただ、沖縄の現状が差別の産物である以上、私(たち)も差別と無縁ではない。自らを腐らせぬため、その責任は自覚したい。(牧) 2016・10・21

廃炉方針が固まった高速増殖原型炉「もんじゅ」=先月、福井県敦賀市で

(上)黒田・日銀総裁 (下)参院予算委で共産党の小池晃・書記局長が示した稲田防衛相の白紙領収書の資料=今月6日

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