【10/23東京新聞・政治】沖縄米軍ヘリパッド再着工3カ月 えぐられた森/ヘリパッド予定地の森 周囲見張る警備員/「高江の住民抗議10年続け」 映画「標的の村」三上監督に聞く

沖縄米軍ヘリパッド再着工3カ月 えぐられた森

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016102302000112.html
【東京新聞・政治】2016年10月23日 朝刊

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米軍北部訓練場(沖縄県東村など)で、米側が部分返還の条件としているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設に日本政府が再着工して22日で3カ月となった。東村高江で抗議する住民らと機動隊の衝突が激化する中、日本政府が目指す12月の返還に向けて工事は急ピッチで進んでいる

 

ヘリパッド予定地の森 周囲見張る警備員

【東京新聞・政治】2016年10月23日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016102302000114.html

tokyo161023_heripad切り株が残るヘリパッド建設予定地。警備員らしき人々が周囲を見張っていた=19日、沖縄本島北部の米軍北部訓練場で
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深緑の森に突然、褐色の「穴」が現れた。直径約七十五メートルの円形に木々が取り除かれてむき出しになった地面には、重機やトラック、作業員。北部訓練場を十九日に上空から取材すると、ヘリパッドを建設予定の四カ所とも樹木の伐採がほぼ完了し、その形がはっきり確認できた。一部では土地の造成工事も進んでいた。

那覇市から北東に約七十五キロ。ヘリコプターで北部訓練場に達すると、眼下には国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がる。訓練場の外には、抗議する市民らや活動拠点のテントが見えた。

上空を旋回していると、丸眼鏡の形に切り開かれた土地が視界に飛び込んできた。二カ所のヘリパッドを並べて建設する予定の「N1地区」だ。

そこにあったはずの緑の樹木は一本もない。土地を平たんにするため、広い範囲で地面が掘られ、赤茶色の土がのぞく。流出を防ぐためか、ブルーシートで覆われた場所も。そばには重機五台とトラック三台、白いヘルメットをかぶった複数の作業員の姿があった。

区域の外周には、反対派の侵入を防ぐように青い柵が張り巡らされ、現場につながる進入路に機動隊員が立っていた。

この東側にやや離して一カ所ずつヘリパッドを設ける「H地区」「G地区」でも、N1地区ほどではないが工事が進捗(しんちょく)している。G地区では、伐採が終わったばかりなのか、至る所に切り株が残る。外周には柵がなく、民間の警備員らしき人々が等間隔に立って周囲を見張っていた。 (共同)

 

「高江の住民抗議10年続け」 映画「標的の村」三上監督に聞く

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201610/CK2016102302000115.html
【東京新聞・政治】2016年10月23日 朝刊

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沖縄県の米軍北部訓練場(東村、国頭村)の一部返還を巡り、東村高江地区のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事に反対する住民と警察当局の衝突が相次いでいる。集落から最も近いところで四百メートルしか離れておらず、騒音被害や米軍の事故を懸念した住民は約十年前から抗議活動を続けてきた。その姿を記録した映画「標的の村」の監督、三上智恵さん(52)は「政府による住民弾圧は安倍政権であからさまになった」と指摘する。 (生島章弘)

「まるでゴーカートの練習場のよう。耐えがたい騒音に見舞われている」。三上さんは、完成した二カ所のヘリパッドで米軍が新型輸送機オスプレイの訓練などを行う様子を表現した。

北部訓練場の一部返還は一九九六年に日米両政府が合意した「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)最終報告に盛り込まれた。六カ所のヘリパッドを人口百数十人の集落を取り囲むように新設することを条件に、訓練場の約半分の四千ヘクタールが返還される。

工事が始まったのは〇七年七月。高江地区は区民総会で二度にわたり建設反対を決議し、住民は工事車両や資機材の搬入を防ごうと道路に座り込んだ。だが、政府は〇八年に「通行妨害」だと訴え、八歳の少女を含む十五人の座り込み禁止を裁判所に求めるなどして、工事を続けた。

三上さんは座り込みについて「金も権力も体力もない市民ができる最後の抵抗手段。戦後の沖縄では、多くの闘争で結果も出してきた」。それにもかかわらず「政府は、裁判にかけて脅せばやめるだろうと住民を見くびっていた。この弾圧を絶対、白日の下にさらそうと考えた」。映画は一三年に完成し、全国で自主上映され、反響を呼んだ。

政府は今年中の返還に向け、七月から残る四カ所の工事に着手した。「古くなった基地を返す代わりに新しい基地を造らせるのは、米国の常とう手段だ」と批判。日本政府は長く、オスプレイがヘリパッドで訓練する計画を伏せていたとして「沖縄はどうにでもなる、安全保障は専権事項で口出しさせない、という国の姿勢を象徴している」。

三上さんは、政府が高江の工事の先に米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設を見据えていると指摘する。「辺野古が『本丸』で、高江で(住民の反対を抑え込む)前例をつくろうとしている。沖縄で負けたら、全国でどんな問題にも反対の声を上げることさえできなくなる」

<みかみ・ちえ> 1964年、東京都生まれ。87年、毎日放送(大阪市)にアナウンサーとして入社。95年、琉球朝日放送(那覇市)に移る。2014年に退社した後、フリーのジャーナリスト、映画監督として活動。初監督作品の「標的の村」はキネマ旬報文化映画部門1位に選ばれるなど17の賞を獲得した。沖縄県在住。

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