11/12東京新聞「日印 原子力協定署名」記事

 

2016年11月12日 朝刊【東京新聞・政治】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201611/CK2016111202000148.html

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安倍晋三首相は十一日、インドのモディ首相と官邸で会談し、日本の原発輸出を可能にする原子力協定に最終合意した。署名式にも立ち会った。インドは事実上の核保有国で、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。日本はこれまでに十三カ国・一機関と協定を結んでいるが、現時点での非加盟国はインドが唯一となる。政府は来年の通常国会での承認を目指す。
両首脳は、インドが核実験をした場合に協力を停止することで合意したが、別文書で確認するにとどまった。協定署名後の共同記者発表で、安倍首相は「インドを国際的な核不拡散体制に実質的に参加させることにつながる」と述べた。
協定では、原子炉や核燃料、核関連技術の提供などは平和目的に限るとした。提供された核物質や技術の平和目的外の使用、核爆発装置の研究や開発のための使用を禁止した。
平和目的外で使用した際の措置などは記述がなく、協定の終了について、当事国の一方が書面で通告してから一年後にできると定めたのみ。別文書で、インドが核実験の一時停止を表明した二〇〇八年の声明を協力の「基礎」とし、これに変更がある場合は、日本側が協定終了の手続きを開始できるとした。日本はNPT非加盟だった中国やフランスと協定を結んだが、九二年に両国は加盟した。第二次安倍政権以降での協定署名は、アラブ首長国連邦とトルコに次ぎ、三番目。
安倍首相は、日本の新幹線方式を導入するインド初の高速鉄道計画について、ムンバイとアーメダバード間(約五百キロ)で一八年に着工し、二三年の開業を目指すことを明らかにした。

 

被爆国「核なき世界」に逆行

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201611/CK2016111202000147.html
2016年11月12日 朝刊【東京新聞・政治】
写真tk161112_kakunaki
安倍晋三首相とインドのモディ首相が署名した日印原子力協定により、安倍政権が成長戦略の一環として進める原発の海外輸出は核拡散防止条約(NPT)の非加盟国に広がった。国連で先月、核兵器禁止条約の制定を求める決議案に反対したのに続き、被爆国として核兵器廃絶を訴えるべき立場に逆行する行動が続いている。
日本が原発輸出を決断したのは、米国の存在が大きい。米国など主要先進国でつくる「原子力供給国グループ(NSG)」は二〇〇八年にインドが核実験の自発的な凍結を続ける声明を出したことを受け、原発輸出を特例的に解禁。米国は同年に協定を結び、今年六月には六基の原発建設で基本合意した。
安倍首相は協定署名後の共同記者発表で、協定について「核兵器のない世界を目指すわが国の立場に合致する」と強調した。だが、今回の協定では、原発技術を軍事転用する懸念が消えたわけではない。
協定には、インドが国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れることも盛り込まれたが、査察できる施設は一部に限られる。日本の協力分野には、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理や高濃縮ウランの生産など、核兵器開発にすぐに転用できる技術もある。
NPT体制の弱体化が指摘される中、今回の協定が核軍縮に逆行する動きにつながれば、被爆国としての訴えの説得力は大きく揺らぐ。 (宮尾幹成)

 

 

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