本日(11/14)東京・国立能楽堂で新作能 鎮魂ちんこん-<能楽>鎮魂「アウシュビッツ」「福島」 2国で来月上演-【10/14東京新聞・伝統芸能】【銕仙会】

銕仙会(てっせんかい)といえば、お能マンガ『花よりも花の如く』で有名。たしか「清経」も誌上で開演間近。東京に居てたら観られるのに残念。
きっと作者の成田美奈子さんはこの新作能をマンガに取り込んでくれると思う。だって阪神淡路大震災もNYの9.11もあったから。

============

<能楽>鎮魂「アウシュビッツ」「福島」 2国で来月上演

2016年10月14日【東京新聞・伝統芸能】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/tradition/CK2016101402000180.html

tessennkai161114 第二次大戦中、ナチス・ドイツが大量虐殺を行ったアウシュビッツ強制収容所と、東日本大震災で津波と原発事故の被害を受けた福島で犠牲になった人々の霊を弔う能「鎮魂」(笠井賢一演出)が11月、ポーランドと東京で上演される。手掛けたのは「3.11」の時、駐日ポーランド大使だったヤドビガ・ロドビッチさん。「残された人にできることは、戦争や災害(被害)が起きないよう努力し、亡くなった大切な人を思い出し、祈ること」と強調する。 (藤浪繁雄)

 

「福島と長崎、広島。発電と兵器の違いはあっても、放射能の被害ということからすれば同じ人類の負の遺産。アウシュビッツと同じように記憶されなければならない」。能に登場する強制収容所博物館の日本語案内人のせりふに、鎮魂と愚行を繰り返さない誓いのメッセージを込めた。

日本留学で能楽を学んだロドビッチさんは、母国で演劇の仕事に携わっていた。ショパンを扱った新作能「調律師」を手掛け、両国で上演したこともある。そのポーランド訪問では、シテ(主役)の観世銕之丞(てつのじょう)や演出の笠井さんらがアウシュビッツの収容所跡地にあるビルケナウ博物館を見学。笠井さんらから「鎮魂の芸能である能でこそ、ここの死者の魂を鎮めるべきだ」と提案され、構想を練った。

物語は同博物館を舞台に津波で息子を亡くした福島から来た日本人男性、遺骨を集めている謎の老人が無念の胸中を告白し合う。後半は政治犯として獄死したロドビッチさんの叔父をモデルにした男性の霊が登場、福島の男性と思いを互いにぶつけ魂を鎮めていく。

ロドビッチさんは「私が能を書くのも、残された人が悲しみを超えて、受け継ぐことができるようにとの思いを最も優れた形で表現できるから」。二年前に一部を上演し、今回もシテをつとめる銕之丞は文化や宗教の異なる両国での上演に「人間の悲しみを慰霊する行為は洋の東西は問わない。能の普遍的な表現がそれをより深める。声や立ち姿に祈りが込められると、宗教観の違いを超えて伝わる」と実感を込める。

能の台本には「岸」をお題とした大震災翌年の歌会始で、天皇陛下の「津波来し 時の岸辺は 如何なりしと 見下ろす海は 青く静まる」と、皇后さまの「帰り来るを 立ちて待てるに 季(とき)のなく 岸とふ文字を 歳時記に見ず」の歌を節にして入れた。「鎮魂にふさわしい和歌。これだけ深い祈りとして表現できる歌は類を見ない」とロドビッチさんは強くこだわったという。

十一月一日のアウシュビッツ・聖ユゼフ平和教会などでの公演に続いて、同十四日には東京・国立能楽堂で上演。東京公演の問い合わせは銕仙会=(電)03・3401・2285=へ。

=====

日本・ポーランド国際共同企画公演

新作能 鎮魂

―アウシュヴィッツ・フクシマの能

【銕仙会のサイト】

http://www.tessen.org/schedule/kikaku/161114_chinkon

能「清経」観世銕之丞
新作能「鎮魂」観世銕之丞

会 場 国立能楽堂
日 時2016年11月14日(月)18時30分開演(17時45分開場)
■入場料(全席指定)

A席 10,000円
B席 8,000円
C席 6,000円

能が六百年にわたって人間の根源的な真実を表現し、魂を鎮めてきたことが新作能と古典の名作で証される。

アウシュヴィッツの聖ヨゼフ教会での奉納公演と、EU文化首都ブロツワフのシアター・オリンピックで世界に向けた鎮魂の為の能公演を経ての日本公演。

大震災と津波への鎮魂の和歌「帰り来るを立ちて待てるに季のなく岸とふ文字を歳時記に見ず」(皇后陛下)と「津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる」(天皇陛下)が節付された新作能。

お申込・お問合せ
銕仙会 TEL:03-3401-2285(平日10時〜17時)FAX:03-3401-2313
銕仙会WEB予約はこちらからどうぞ

 

 

新作能 鎮魂ちんこん

前シテ、後シテ 熊手を持つ老人 アチュウの霊 観世銕之丞
ツレ    福島から来た日本人 西村 高夫
アイ    アウシュヴィッツ強制収容所博物館の日本語案内人 深田 博治

笛 藤田六郎兵衛
小鼓 大倉源次郎
大鼓 原岡 一之
太鼓 小寺眞佐人

地謡 葬られざる人々の霊(遺骨)

安藤 貴康 北浪 貴裕
谷本 健吾 柴田  稔
長山 桂三 馬野 正基

後見 鵜澤  光
観世 淳夫

東日本大震災の津波で息子と家を失い、原発事故で故郷をも失った福島から来た男(ツレ)がアウシュヴィッツを訪ねる。アウシュヴィッツの公式ガイドの日本人(アイ)が案内をする。その二人の前に庭掃きの老人(前シテ)が現れ、大地をくしけずり骨を拾い、箱に納め、話しかける。政治犯として獄死したアチュウ青年が拷問のすえ、61617番として、この地の数え切れぬ死者に先駆けて昇天したと語り、戦争にとられていた父が帰還したのは、アチュウ青年が空の棺のまま葬られて五年も経ってからだったという。福島の男も津波に見舞われ、原発事故が起きて故郷と息子を失ったことを語り「息子よ!」と呼びかける。庭掃きの老人は「父よ!」と言い残して消える。(中入)

福島から来た男の、日本人がなぜアウシュヴィッツのガイドをするのかという問いに、この地は「歴史と真実の出会いの場」であり、世界遺産に認定されている、負の遺産とも言われる。日本の原爆ドームも世界遺産であり、それは2度と同じ過ちを繰り返さないための「記憶の場」であり、戦争を知らない私たちも、こうした負の遺産から現代に向かい合わなければならないという。さらに庭掃きの老人が常に語るアチュウ青年についても物語る。

やがて在りし日のアチュウ青年(後シテ)が胸にミルテ(銀梅花)の胸飾りをつけて現れ、「清めの涙よ、もっと流れよ」と再生と昇天の舞を舞い、世界を緑の庭と讃えて天に昇っていく。

2011年、日本とポーランドで共同制作・上演された新作能『調律師‐ショパンの能』の演出家笠井賢一の発案により始まったこの新作能は、20世紀の負の遺産アウシュヴィッツの悲劇の鎮魂を主題に、同年3月の大震災を目の当りにした能本作者ヤドヴィガ・ロドヴィッチ駐日ポーランド大使(当時)が創作した。さらに2012年の歌会始にポーランド大使として招かれ、両陛下の詠まれた津波への鎮魂の和歌「帰り来るを立ちて待てるに季のなく岸とふ文字を歳時記に見ず」(皇后陛下)と「津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる」(天皇陛下)に感動して二つの和歌を能の詞章に取り入れて完成させた。日本とポーランドの長い文化交流の成果といえる作品。

広告
カテゴリー: ちたりた, 中日東京新聞・特報 パーマリンク