11/24「土人」発言の真相 暴言浴びた目取真俊さんに聞く【東京新聞・特報】11/27(日)は脱原発高槻アクション 16:00~17:00 JR高槻駅北側にて ご参加ください。

作家・目取真俊さんが沖縄で身体を張って抗議されている記事を新聞うずみ火で以前読んだことがある。これもアジアプレスに載っていた。

「土人」と罵られた作家・目取真俊さんが語る沖縄ヘリパッド問題(1) 一番評判悪いのは大阪府警
「土人」と罵られた作家・目取真俊さんが語る沖縄ヘリパッド問題(2) 「本土」でやらないことを沖縄でやっている(写真3枚) 新聞うずみ火 栗原佳子
あぁ・・・今年は1月に新聞うずみ火講座に行ったきりだ。編集部の方々とは2月にお会いしたけれど。

なお、目取真さんのブログはこちら。
『海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊』
http://blog.goo.ne.jp/awamori777

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「土人」発言の真相

 暴言浴びた目取真俊さんに聞く

差別の土壌前から そして広がる

ヘリパッド、辺野古 本来は沖縄ではなくヤマトゥの問題

なくすために抵抗を形で示す

2016年11月24日【東京新聞・こちら特報部】

米軍のヘリパッド建設工事をめぐり、反対闘争が繰り広げられている沖縄県東村高江で起きた「土人」発言から一カ月余。鶴保庸介沖縄北方相の「差別とは断定できない」との見解について、政府は訂正や謝罪を不要とする答弁書を閣議決定した。公務中の機動隊員による差別発言。それを見過ごす政府。その土壌に何があるのか。暴言を浴びせられた当事者である沖縄在住の作家、目取真俊さん(56)に聞いた。 (編集委員・佐藤直子)

めどるま・しゅん 作家。1960年、沖縄県今帰仁村生まれ。県立高校教諭だった97年、「水滴」で芥川賞。2000年、「魂込め(まぶいぐみ)」で木山捷平文学賞、川端康成文学賞。「眼の奥の森」、「虹の烏」、「沖縄『戦後』ゼロ年」など.

『次期大統領のドナルド・トランプ氏による人種差別発言があれこれ批判されていますが、彼が大統領になるからといって、なにも驚くことはない。日本はもう十年以上も前から”トランプ現象” を先取りしていた。『シナ人』という言葉を公然と使ったのは(元東京都知事の)石原慎太郎氏です」

目取真さんは開口一番、そう語り始めた。

「『戦時中、慰安婦は必要だった』と語った前大阪市長の橋下徹氏もそう。東京、大阪という大都市で、市民は過激で差別的な発言をする首長を選んできた」

むしろ、この時期に高江で工事に反対する市良に対して、「土人」とともに「シナ人」という言葉が浴びせられたことに、目取真さんは注目する。

「高江のへリパッドも辺野古の新基地も、中国への軍事対抗を想定している。経済大国になった中国に、日本は軍事的にも単独では対抗できない。対抗するなら米国に付いていくしかなく、その最前線が沖縄。基地建設に抵抗するのは、中国を利する者だというわけです。実際、中国の工作員が資金を流して抵抗運動を組織しているというデマがネットで拡散される。こんな言説を権力側にいる機動隊員が内面化しているからあんな差別発言が出る」

「『シナ人』という中国に対する脅威と絡まった言葉が出たことが、新しい現象が生まれたことを端的に示している」

約五百人の機動隊員が七月二十二日から工事に抗議する市民を排除している。ゲート付近で警備を担う大阪府警は他県の隊員に比べても乱暴だという。「土人」発言以外でも、親や祖父母世代の市民に「ボケ」「クソ」と罵声を浴びせる。殴る、蹴る。「彼らに乱暴を強いる構造があることを見逃してはならない」と目取真さんは強調する。

それは何か-。「安倍政権の意思ですよ。何が何でも年内にへリパッドを完成させ、オバマ政権の間に引き渡すという。その圧力があるから、機動隊の弾圧も激しくなる。抵抗者をテロリストとみて痛めつける」

目取真さんは「これくらい言ってもいいと、社会全体で差別に対する感覚が緩み、昔なら言えなかったことが平気で言えるようになった」と話す。

「発言者が反省できればいいが、松井一郎大阪府知事みたいに擁護する声も出る。抗議する市民たちの言葉遣いも荒いといって『どっちもどっち』と相対化し、問題を暖昧にしたり。本来なら率先して、差別を改めるべき立場の公務員が差別する側に回れば、差別の土壌は広がる」

目取真さんが懸念するのは、ヤマトゥ(本土)に住む沖縄人が、再び以前のような差別、偏見にさらされて苦しむことが僧えるのではないかということだ。

「過剰反応だと言われるのかもしれないが、沖縄人に対して都合のいい沖縄人像を押しつり、その枠にはまっている間は歓迎し、新基地建設を拒否すれば弾圧に出るのだから」

生活保護受給者。ひとり親家庭。高齢者。障害者。昨今の社会はより弱者や少数者に対し、鬱憤晴らしをしているかのようだ。その根は沖縄差別と共通する。横たわるのは没落する中間層の不安や怒り、危機意識だと目取真さんはみる。

「没落する中間層の問題は山口定というファシズム研究者によって、三十年も前から指摘されてきた。日本では中曽根、米国ではレーガン、英国ではサッチャー政権誕生のころで、新自由主義が始まった。バブルが崩壊し、本来なら政府や自民党に向かうはずの怒りが、弱者や少数者に向かう連鎖を起こしている。それは世界共通。日本の安保・基地政策の場合、矛盾の矛先は沖縄に向かっている」「対米追随の安保政策こそ変えるべきなのに、トランプ氏が『日本が安全保障を米国に依存するなら、もっと金を出せ。でないと駐留米軍を撤退する』と本気で言い出すことに、リベラルといわれる人々にも恐怖心がある。撤退になれば、自主防衛論から『自衛隊強化、核武装』ということになりかねない。ならば、差し当たり基地を抱わされている沖縄は現状維持でいい、沖縄は仕方がないと」 沖縄は戦後一貫して、日本の安保政策のしわ寄せを受けてきた。目取真さんは「米軍基地だけではなく、この二十年間、自衛隊基地も強化されてきた」と指摘し、そうした矛盾を背景にして「土人」発言も起きているのだと指摘する。

「(普天間基地の移設先とされる)辺野古も、高江も、既存施設の代替として認めるから、問題解決が困難になる。日本政府が米国政府に求めるべきは無条件の全面返還。それが最も国際的に支持を得られ、問題解決への近道になる」

「へリパッド建設も辺野古の新基地建設も、本来は沖縄の問題ではなく、ヤマトゥの問題。オスプレイを離着陸させようがさせまいが、軍事施設のために貴重な高江の森を切り開くこと自体が許されない。沖縄県民だけで阻止できればいいが、沖縄の人口は日本全体の百分の一。抗議行動には沖縄の百倍のヤマトゥンチュ(本土の人)が来なくてはならないはずだ」

二つのへリパッドが造られた二年前に続き、目取真さんは日々、高江の森に入って工事現場を監視している。なりふり構わない政府は、計画通りに年内に四つのへリパッドの完成を目指し、来月二十日にはへリパッド建設地以外の森の返還式典が予定されている。

「だが、それは沖縄差別の上に成り立つ式典。それを日本人は知るべきだ。こんなものを造らせたのは日本人全体の責任です」

目取真さんは抗議の記録をブログ「海時りの島から」で発信し続けている。へリパッドが造られたから負けなのではない。県民が無条件に受け入れたのではなく、これだけの抵抗をしても政府があらゆる手段を使って強引に造ったと、後の世代に残すために。 「黙って泣き寝入りしてはいけない。屈服して諦めたらおしまい。許さない、絶対に認めないと、力ずくでもはね返す。抵抗を形で示すことが、差別をなくすことになる」
(デスクメモ) 自らの行いに正当性はないが、任務を拒めば、クビになる。だから暴言で虚勢を張る。その差別性はけしかける上司、組織、権カを貫く文化だ。機動隊員はそれに屈服した。ただ、屈したのは機動隊員のみならず、事態を看過する本土の人間全てだろう。土人と言ったのは私でもある。(牧)2016・11・24

政府の年内完成方針を受け、ヘリパッド建設は急ピッチで進められている=沖縄県国頭郡で(目取真さん提供)

米軍へリパッド建設に反対し、座り込みをしていた男性を強制排除する機動隊員ら=先月、沖縄県東村高江で

工事が進む2つのへリパッド.今月中旬撮影。右側は芝を貼る最終工程に入っている=ジャーナリスト桐島瞬氏提供

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