12/2セシウム蓄積 海底下30センチにも/川が新たなセシウム運ぶ 東京湾河口部汚染 本紙3回目調査【東京新聞・社会】

毎回文字おこしをしている東京新聞によるセシウム汚染調査、もう三回目にもなる。
福島第一原子力発電所の事故の影響はいまだに続いているのだと東京新聞の原発報道班は警鐘を鳴らし続けている。

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セシウム蓄積 海底下30センチにも

2016年12月2日【東京新聞・朝刊・30面】

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東京電力福島第一原発事故が及ぼした首都圏への影響はどの程度なのか。私たちの足元も見つめようと始めた東京湾の放射能調査は3回目となった。今回は海底の表面だけでなく、その下の堆積物も柱状にくりぬき採取する道具を新調。その結果から見えたのは、川を通じて新たな蓄積が続いている事実だった。   (山川剛史、小川慎一)

荒れ気味の天が続く中で、調査に選んだ九月十六、十七の両日は、暑くもなく、風もない絶好の採取日和となった。

午前七時、記者二人のほか、関東学院大の鎌田素之-もとゆき-准教授(環境工学)と学生の河原木津輔さん(二五)、山崎真さん(二二)の計五人が乗ったボートは、東京湾に注ぐ主要河川に向け、横浜市金沢区のマリーナを出発した。

横浜市のコンビナート地帯に注ぐ鶴見川での採取を終え、羽田空港D滑走路脇の多摩川河口(東京都と川崎市の境)に向かった。ここでは、柱状に堆積物を採取できる新しい採泥器も投入した。ボーリング調査の海洋版といえ、事故後にどう堆積してきたか歴史をたどることができる。

事前に霞ヶ浦(茨城県)の水路で練習した際はいとも簡単に採取できた。しかし、ボートの上から何本も鉄パイプをつなぎ、採泥器本体を数メートル下の海底に打ち込むのはとても難しかった。しかも多摩川河口の堆積物は、水とも泥ともいえないようなトロトロの状態。一時間近く格闘して採取はできたが、あるがままの形で採取できたか確信が持てなかった。

ほかの柱状試料と同様、五センチごとに放射性セシウムの濃度測定もしたが、鎌田准教授と話し合い、「確信のない試料は除外する」との結論になった。

多摩川で苦労してコツをつかんだおかげで、その後は順調だった。荒川(東京都)と花見川(千葉県)でも、きれいに堆積層を抜け、下の粘土までくりぬくことができた。

結果は図表の通り。セシウム汚染された層の上に、濃度の低い層が積もっていく展開を予想していたが、そうではなかった。海底下三十センチほどまで、大きな濃度変化はなかった。直近地点の表面の試料でも、同じような濃度が出ている。

上流から新たなセシウムが運ばれてきている。言い換えれば、まだ原発事故の影響が続いていることを示している。危うい状況とまでは言えないが、一日も早く終わることを願う。

tky161202_tokyowan_cs2花見川河口で堆積物を採取する鎌田素之准教授(手前)と学生の山崎真さん

 

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川が新たなセシウム運ぶ 東京湾河口部汚染 本紙3回目調査

2016年12月2日 07時00分【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016120290065925.html

東京湾に注ぐ主要河川の河口部で、本紙が独自に堆積物を採取し放射性セシウム濃度を調べたところ、東京電力福島第一原発事故から五年半がたっても、川で運ばれてきたセシウムが新たに蓄積され、濃度はあまり低下していないことが分かった。調査は三回目。海水魚はセシウムを取り込んでも排出するため、影響は限られるとみられるが、継続的な監視は必要だ。 (原発取材班)

採取は九月十六と十七の両日、関東学院大の鎌田素之(もとゆき)准教授(環境工学)や学生二人の協力を得て実施。鶴見川、多摩川、隅田川、荒川、旧江戸川、花見川の六河川の河口で、二種類の採泥器を使い、海底の表層のほか、海底下四十センチまでの堆積物も採取した。

最も高い濃度を検出したのは、印旛沼(千葉県)につながる花見川(同)。一キログラム当たり四五二~七八九ベクレルと、他の河口より突出して高かった。基準値はないものの、原発で使ったコンクリートや金属を再利用できる基準は同一〇〇ベクレル。この値に比べ、大幅に高い。河口から七百メートルほど離れると七六ベクレルに急減していた。

海底にステンレス管でできた採泥器を打ち込んで柱状に堆積物を採取。五センチごとに濃度も調べた。表層から深さ二十センチまでは七四二~七五七ベクレルと高く、印旛沼から流れてきたセシウムが継続的に蓄積しているとみられる。その下はやや下がり、三十センチを超えると四五ベクレルまで下がった。

荒川(東京都)河口は二年前に比べると低めだが、昨年とほぼ同水準の一二〇~二八二ベクレル。底から四十センチまでの層の濃度分布は、表層五センチが最も高い三七三ベクレル。三十センチまでは二〇〇ベクレル前後で、その下は六〇ベクレル前後だった。

東京と千葉の境を流れる旧江戸川河口は二〇〇ベクレルほど。多摩川河口(東京と神奈川の都県境)は一〇〇ベクレル強で、過去二回の調査と同水準だった。隅田川(東京都)河口は二〇〇ベクレル弱で、大きな変化はなかった。

魚介類への影響がポイントになるが、水産庁が、各地の検査機関による水産物の放射能調査をまとめたデータによると、二〇一六年度は東京湾で八十一件の魚などが調べられた。うち六件でセシウムが検出されたものの、魚種はいずれもスズキで、一ベクレル未満と検出できるぎりぎりの値だった。食品基準(一〇〇ベクレル)の百分の一未満の低い水準で、食べても何ら問題のないレベルといえる。

◆水環境に流れ込む

<鎌田准教授の話> 首都圏の河川の河口では、いまだにセシウムが継続的に供給され、蓄積し続けていることが確認できた。森林域では放射性物質は土壌にとどまり、水環境には流出しにくいが、都市部では河川など水環境に流れ込みやすいことが指摘されている。

<本紙の東京湾放射能調査> 2014年から毎年9月に実施。結果は、14年は10月13日、15年は11月13日付朝刊で掲載した。海底の堆積物は乾燥後、4~8時間かけて放射性セシウム濃度を測定した。

(東京新聞)

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