【12/20日刊県民福井】敦賀市長「配慮ない」憤り 地元軽視と国に不信感 もんじゅ廃炉方針/もんじゅ廃炉知事反発 政府方針受け 「国の反省不十分」/12/20矛盾増殖!?実証炉 第2段階もんじゅ廃炉なのに第3段階に転換とは【東京新聞・特報】

敦賀市長「配慮ない」憤り

 地元軽視と国に不信感 もんじゅ廃炉方針

2016年12月20日【日刊県民福井】
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016122002000226.html

政府方針に対する敦賀市の考えを述べる渕上隆信市長=19日、敦賀市役所で

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国が高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の廃炉方針を西川一誠知事に伝えた十九日、敦賀市長や県議からは、国に反発した西川知事に同調する声が聞かれた。敦賀市の脱原発派の住民は「廃炉は当然」と受け止めた。

もんじゅの立地する敦賀市の渕上隆信市長は、市役所で報道各社の取材に応じ、使用済み核燃料や冷却材のナトリウムを敷地外に搬出する計画が示されていないとして、政府方針について「受け入れ難い」との考えを示した。

もんじゅ廃炉後に新たな試験研究炉を敷地内に設置するほか、施設を引き続き活用して研究に生かすという方針にも疑問視。「(もんじゅで働く)千人を雇用すれば、あんたたちは何も文句を言わんだろう、と上から押さえ付けられているよう」と不快感をあらわにした。

もんじゅの廃炉作業を、原子力規制委員会から運営主体失格の烙印(らくいん)を押された日本原子力研究開発機構が担うことについて「廃止措置に触っていいと言えるか。議論がない」とし、西川一誠知事の姿勢に同調した。

渕上市長は取材前、文部科学省の板倉周一郎大臣官房審議官と面談。「地元の意見に何の配慮もないまま廃炉が決定されることに憤りを感じる」と地元を軽視する政府の姿勢を批判した。

また、もんじゅ関連協議会の中で松野博一文部科学相が、敦賀市の広域的な経済圏構築のハーモニアスポリス構想に「しっかりと協力していく」と述べたことには「ありがたい。実質的な部分にどこまで踏み込んでやっていただけるのか」と語り、国による具体的な支援プランの提示を希望した。有馬茂人市議会議長も板倉審議官と面談した。 (古根村進然)

 

もんじゅ廃炉知事反発 政府方針受け

 「国の反省不十分」

2016年12月20日【日刊県民福井】
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016122002000217.html

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高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)について国と県が情報共有する「もんじゅ関連協議会」が十九日、文部科学省で開かれ、政府は西川一誠知事にもんじゅの廃止方針を示した。西川知事は「到底受け入れられない。方針の見直しを強く求める」と反発。松野博一文部科学相は「改めて回答したい」と述べた。政府は二十日にも原子力関係閣僚会議を開いて廃炉を正式決定する予定だったが、ずれ込む見通しとなった。 (高橋雅人)

もんじゅ関連協議会で発言する西川一誠知事=19日午前10時2分、文科省で(平野皓士朗撮影)

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もんじゅ関連協議会では、世耕弘成経済産業相が高速炉開発会議の議論を紹介。松野文科相がもんじゅの再稼働には八年、五千四百億円以上がかかり「不確実性が高い」などと説明した。廃炉はもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構が実施し、燃料の取り出しに五年半、その後に施設を解体するとの見通しも示した。

これに対し、西川知事はもんじゅが一九九五年のナトリウム漏れ事故以降、ほとんど稼働していない事実に触れ「国としての反省が十分になされていない」と批判。「抽象的な代替案の説明で廃炉にするのでは地元として納得できない」と訴えた。「運営主体として不適格とされる機構では安全な廃炉ができないのでは」と不安も示した。

協議会ではもんじゅ敷地内での研究炉新設や、市が掲げる広域経済圏構想への支援など地域振興策も示されたが、西川知事は「まだ振興策前の段階」とした。終了後に記者団に「年内にどうこうというのは重大事項ではない」と述べ、年内に廃炉を正式決定しようとする政府の動きをけん制した。

 

 

矛盾増殖!?実証炉 第2段階もんじゅ廃炉なのに第3段階に転換とは

2016年12月20日【東京新聞・こちら特報部】

今回公開の議事録では・・・「仏からデータ」▼入手は不確実「常陽も活用」▼9年間ストップ

高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉がほぼ決まる一方、政府はワンランク上の「実証炉」の新設を検討している。もんじゅ開発に一兆円超の税金が投じられたが、十分なデータを得られなかった。失敗の反省がないまま、先に進めば、また一兆円超を失うのではないか。松野博一文部科学相は「国民の皆さま」の「納得」が必要と発言しているが、納得する国民は多くはないだろう。 (安藤恭子、白名正和)

政府は九月、もんじゅ廃炉の方向性を固める一方、十月に資源エネルギー庁に「高速炉開発会議」を設置した。十九日に第四回会合が開かれ、高速炉開発の方針(案)がまとめられた。

この案の内容がどうにも不可解だ。もんじゅについて、「トラブルが相次いだが、その間も、わが国は国際的に評価されるさまざまな成果を獲得し、内外から『もんじゅ』再開には高い期待が寄せられてきた」「知見の蓄積を粛々と図ってきた」と説明する。

もんじゅは一九九五年に冷却用の液体ナトリウム漏れによる火災事故を起こした。稼働は約二十二年間でわずか二百五十日で、40%出力の発電データしか得られていないが、エネ庁の担当者は「日本はもんじゅを建設し、米国やフランスとの共同研究や、高速炉の安全設計の国際標準化を進めてきた」ことで、「成果」を得て、「知見」を積んだと説明する。

これに対し、NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は「共同研究は、机上の取り組みが中心だった。もんじゅも動かせない中で、成果とは言いがたい」と反論する。

そもそも、会議は「高速炉」ありきで議論が進んでいる。この日、冒頭以外は非公開だった第三回会合(先月三十日)の議事録も公表された。その議事録によると、議長を務める世耕弘成経済産業相はロ頭で、「高速炉開発を進化させていく第一歩として、今後のロードマップや体制のあり方を詰めていく必要があります」と述べている。

だが、高速増殖炉の開発は、実験炉、原型炉、実証炉、商用炉と段階を踏む必要があるのに、日本は原型炉のもんじゅ、つまり第二段階でつまずいている。なのに、松野博一文科相は「もんじゅを再開した場合に獲得が見込まれる成果・知見について(中略)おおよそ代替的に獲得できるとの見通し」と述べた。

フランスが建設予定の実証炉「ASTRID(アストリッド)」など国際協力などで、必要データを得られるとする一方、松野文科相は「アストリッドから本当に必要なデータや知見を入手できるかは、質問や相手国との交渉次第で、不確実性が伴う」とも発言している。確実ではないのか。

必要な知見は、第一段階の実験炉「常陽」の活用でも得られるとするが、原子炉のトラブルで二OO七年から停止しているのに、再稼働が可能なのか。

「十分な知見が獲得できない場合には、実証炉の設計裕度の確保などで対応が必要になる」という発言もあるが、そんな状況で、実証炉を建設できるのか。

伴氏は「あまりの非論理性に篤がくを禁じ得ない。もんじゅの実績がないままに、常陽から第三段階の実証炉に向かうのは飛躍しており、現実として施設が造れるかどうかも未知数だ」とあきれる。

「次の実証炉は建設費だけで一兆円を超えるだろう。もんじゅの反省や検証もないまま、開発ありきで政治的議論が進んでいるが、核燃サイクルそのものを見直す時期なのではないか」

「国民の皆様に納得」?

  再稼働ですら反対58%なのに

   「事故から学ぶ姿勢感じぬ」

「高速炉開発の方針は、地元も含め、国民の皆さまに納得していただけるものであるとともに、実行可能なものでなければなりません」。議事録によると、第三回会合で、松野文科相はそうも発言している。

だが、どれだけの国民が納得するのか。原発の再稼働ですら、反対の声が強い。本社加盟の日本世論調査会の先月の調査では、再稼働に「反対」が58%で、「賛成」の35%を上回った。調査対象は三千人で、千七百四十人が回答した。

もんじゅは結局、安全面での問題を最後まで払拭できないまま廃炉になることがほぼ決まった。それなのに、ワンランク上の実証炉を建設、運転して危険はないのか。

「事故という失敗から学ぼうとする姿勢が感じられない。情性で続け、今度はうまくいく、と予算をつぎ込もうとしている。これで国民の理解を得ることは難しいだろう」と元原子力プラント設計技術の後藤政志さんは話す。

日本原子力研究開発機構によると、もんじゅの建設費は計五千八百八十六億円。運転・維持費を合わせると一兆四百十億円になり、廃炉には三千七百五十億円以上かかる。そのほぼ全ては税金で賄われる。

新たな実証炉の建設費はいくら必要になるのか。後藤氏は「分析するのは正直、難しいが、問題があれば対策費などがかさみ費用が膨らむ。もんじゅの後の施設だから想定額より多くなることは考えられる」と話す。

政府は想定額を示していないが、フランスのアストリッドが参考になるだろう。建設費は五千億~一兆円と見積もられているようだ。同額程度を提示されて、国民が納得するとは思えないが。

松野文科相が「国民の皆さま」の前に言及した「地元」への対応はどうするつもりなのか。

「福井県が高速炉開発の拠点として担ってきた役割等を踏まえ、わが国の高速炉開発の基盤を引き続き維持する観点から、基礎基盤的な研究開発の実施や、この分野の優秀な技術者・研究者の育成・確保の重要性についてもご留意いただきたい」

具体的には、もんじゅ廃炉の代わりとして、福井県内に一般的な商業用の原発より出力の小さい研究用の小型炉を新設するという。研究者を呼び込むなど、廃炉後の地域振興につなげる狙いらしい。

しかし、発言牽索直に受け取ると、実証炉を福井県内で建設することにならないか。県原子力安全対策諜の担当者に実証炉について尋ねると、「答えられない」。ちなみに、「(実証炉を誘致したことは)ない」と話した。

原発再稼働に反対する市民団体「経産省前テントひろば」代表の淵上太郎さんは「もんじゅが研究を全うしたならまだしも、目的を果たせていないのに、なぜ、次の実証炉なのか。いろいろと理屈をつけているが、要は新たな原発を建設するということだ。反対の声がある中、なぜ設置を進めるのか」と話す。

原発事故以降、民主党政権は原発の新規建設をしない方針を打ち出してきたが、安倍首相は一三年一月に「時間をかけて検討していきたい」と容認する姿勢を示している。

「政府は実証炉を手始めに今後、新設をしていこうという考えだろう。絶対に認めることはできず、反対を訴えていく」

(デスクメモ)
高速炉開発の方針(案)の「昨今の四つの状況変化」のくだりも驚きだ。第一として「東電福島原発事故後の安全最優先の考え方の徹底」を挙げる。福島の事故前、原発の「安全神話」がまかり通っていたが、本音では、第一はもともと「安全」ではなく、「経済性」だったのか。(文)
2016・12・20

(上)もんじゅ廃炉や核燃料サイクル政策反対を訴えデモ行進する人たち=8日、東京・霞が関で
(下)高速炉開発会議の第4回会合=19日、経産省で

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