【12/22日刊県民福井】もんじゅ廃炉 政府閣僚会議決定 費用30年で3750億円超 知事「容認してない」/地元置き去り 唐突の転換に落胆 元区長 機構、政府へ不信感 もんじゅ廃炉/もんじゅ廃炉、後継の実証炉開発へ 政府決定【中日新聞・一面】

もんじゅ廃炉 政府閣僚会議決定

【中日新聞・福井発】2016年12月22日
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016122202000226.html

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費用30年で3750億円超

知事「容認してない」

日本の核燃料サイクルの要とされてきた高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)について、政府は二十一日、原子力関係閣僚会議を開き、廃炉にする方針を正式決定した。「夢の原子炉」は一兆円以上の国費を注ぎ込まれながらも、トラブル続きで未完成のまま姿を消す。

政府はもんじゅの運転を再開する場合、新規制基準への対応などで五千四百億円以上かかると試算。菅義偉官房長官は会議で「運転を再開せずとも実証段階の研究開発が可能。再開には相当の期間と費用がかかる」と述べ、「原型炉」から一段階先の「実証炉」開発に着手することも併せて決めた。政府は来年改定するエネルギー基本計画に反映させるとみられ、核燃料サイクル自体は延命させる。

政府の廃炉方針を巡っては、十九日に開かれた国と県との協議会で、西川一誠知事はもんじゅの運営でミスが相次ぐ日本原子力研究開発機構が廃炉も担うことなどに反発し、方針の見直しを強く求めていた。

閣僚会議に先立って二十一日午前に改めて開かれた協議会で、国側は廃炉に向けて新たな国の監視体制を構築し、事前に地元の理解を得た上で進めるとした。西川知事は「納得できる回答とは言えない。地元が納得できなければ物事は的確に進まない」と継続協議を要求。会合後、記者団に「(廃炉を)容認はしていない」と明言したが、方針の見直しまでは求めず、事実上、廃炉決定を黙認した。

もんじゅは一九九四年に試運転を始めて間もなくナトリウム漏れ事故で停止。二〇一〇年に試運転を再開したが、トラブルや大量の点検漏れが相次ぎ、運転実績はほとんどなかった。松野博一文部科学相は会議後に記者会見し「運転停止期間が長期に及び、期待された成果のレベルに至らなかったのは事実」と述べ、責任を取って就任から五カ月分の大臣給与と賞与全額を自主返納すると表明した。

文科省は、廃炉には三十年間で三千七百五十億円以上かかると試算。四月までに廃炉の具体的な体制などを固めるとしている。

高速増殖炉は原発の使用済み燃料からプルトニウムとウランを取り出して繰り返し燃料に使うため、エネルギーの自給自足を実現するとされた。各国が開発に取り組んだが、技術的な困難さなどから撤退が相次ぎ実用化されたことはない。

 

 

地元置き去り 唐突の転換に落胆

2016年12月22日【中日新聞・福井発】
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016122202000234.html

高速増殖原型炉「もんじゅ」について話す橋本昭三さん=敦賀市で
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元区長 機構、政府へ不信感

廃炉が決まった高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)を建設前から半世紀にわたって見続けた住民がいる。同市白木地区の元区長、橋本昭三さん(88)。事故や相次ぐトラブルで迷走し、ほとんど動かないまま転換を迫られたことに落胆の色を隠せない。「動燃(現日本原子力研究開発機構)は建設当初、しっかり運転すると言っていた。唐突じゃないか」 (古根村進然)

もんじゅ廃炉

熱気にあふれていた。今月三日、もんじゅを望む敦賀半島の先端にある白木海岸であった反原発市民団体の全国集会。「もんじゅを廃炉に」。六百人がシュプレヒコールを上げてデモ行進していた。一九九五年のナトリウム漏れ事故後から続く光景を、高台から眺めた橋本さんは穏やかではなかった。「道が突然、崩れてしまったようだ」

十五世帯の白木地区が建設候補地となった七〇(昭和四十五)年、漁師の橋本さんは区長だった。動燃から、もんじゅ建設の申し出を受けたのを覚えている。

当初案は集落移転の恐れがあり、いったんは申し出を断った。ただ、ちょうどその頃、半島で二基の原発が営業運転に入った。周辺に道路や港が造られ、白木の男たちが現場で働く姿を見た。「集落にある道は狭く、地区を支える漁業も頼りない。この機を逃すと集落が消えてしまう」と誘致に傾いた。翌年、集落から約一キロ離れた棚田に造る案を住民一致で受け入れた。

しかし、手放しで歓迎できたわけではない。橋本さんは八三年に市議に初当選した。議長だったナトリウム漏れ事故のときは、動燃の意図的な情報隠しなどに対し、市長とともに首相に永久凍結を訴えた。その反省もあり、動燃は二度の改組を経て、現在の原子力機構になった。

機構は二〇一〇年に運転再開を果たすが、歓喜の涙も乾かないうちに燃料を交換する装置が炉内に落下。冷却材のナトリウムは空気に触れると燃え、水と違って中も見えないため修理は難航した。さらに大量の機器点検漏れも発覚し、原子力規制委員会から失格の烙印(らくいん)を押された。

住民が機構に勤めるなどし、今も十五世帯が暮らせるのはもんじゅのおかげと思う。

だが、数々の失態を見守ってきて「今考えると機構は何か失敗しても涼しい顔だった。気の緩みがあったんだろう」と感じる。

不満の矛先は政府へも向く。「建設する時だけ『お願いします』と頭を下げて廃炉の時には一言も地元に説明がない」。廃炉のかわりに新たな試験研究炉を県内に設置する動きに触れつつ、語気を強めた。「政府を信頼できない。そんな姿勢じゃ、地元民で協力する人は一人もいない」

今後の交渉優位に

知事反発のぞく思惑

西川一誠知事は二十一日の政府とのもんじゅ関連協議会で、年内決定にこだわる政府の顔を立てつつ、現時点で地元は納得していないことを明確に示した。廃炉そのものは黙認しても、今後の作業では安全対策や地域振興策を巡り、地元同意権を駆使し、具体的な交渉を優位に進めたい思惑がのぞく。

西川知事は十九日の関連協議会で廃炉方針に「到底受け入れられない」と反発。運営体制の方向性を明らかにすることなどを求めたが、県議の一人は「国と戦うのが厳しいのは、みんな分かっている」といい、国と全面対決する気はなかったとみる。

県にとって、新たな協議会の日程が、わずか二日後の二十一日に決まった時点で、納得いく回答が得られないことは想定内だった。県幹部は「国が運営主体を提示できるまでは時間がかかる。地域振興策も並行してやることになる」と示唆していた。

「原子力の大きな変更を伴うときには、県に了解をとる先例がある」。西川知事は二十一日、県を無視して廃炉作業に入らせない根拠として、電力事業者と県が結んでいる安全協定を持ち出した。国と地元のせめぎ合いが続きそうだ。 (高橋雅人)

 

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もんじゅ廃炉、後継の実証炉開発へ 政府決定

http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016122202000126.html
2016年12月22日 朝刊【中日新聞・一面】
廃炉が正式に決まった高速増殖原型炉「もんじゅ」=21日、福井県敦賀市で
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政府は二十一日午後に開いた原子力関係閣僚会議で、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を廃炉にするとともに、核燃料サイクル政策は維持し、より実用化に近い「実証炉」開発を進めることを正式に決めた。もんじゅには一兆円以上の国費が注ぎ込まれたが、トラブル続きで二十年以上ほとんど動かないまま、廃止措置に移行する。

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菅義偉官房長官は会議で「運転を再開せずとも実証段階の研究開発が可能。再開には相当の期間と費用がかかる」と述べた。来年改定するエネルギー基本計画に反映される見通し。文部科学省はもんじゅの運転を再開する場合、新規制基準への対応などで五千四百億円以上かかると試算していた。
政府の廃炉方針を巡っては、十九日に開かれた国と福井県との協議会で、西川一誠(いっせい)知事はもんじゅの運営でミスが相次ぐ日本原子力研究開発機構が廃炉も担うことなどに反発し、方針の見直しを強く求めていた。
閣僚会議に先立って二十一日午前に改めて開かれた協議会で国側は、廃炉に向けて新たな国の監視体制を構築し、事前に地元の理解を得た上で進めるとした。西川知事は「納得できる回答とは言えない。地元が納得できなければ物事は的確に進まない」と継続協議を要求。会合後、記者団に「(廃炉を)容認はしていない」と明言したが、方針の見直しまでは求めず、事実上、廃炉決定を黙認した。
もんじゅは一九九四年に試運転を始めて間もなくナトリウム漏れ事故で停止。二〇一〇年に試運転を再開したが、トラブルや大量の点検漏れが相次ぎ、運転実績はわずか二百五十日。昨年十一月には原子力規制委員会が機構を運営主体として「不適格」と宣告した。
松野博一文科相は会議後に記者会見し「運転停止期間が長期に及び、期待された成果のレベルに至らなかったのは事実」と述べた。
廃炉には三十年間で三千七百五十億円以上かかる見通し。文科省は四月までに廃炉の具体的な体制などを固めるとしている。
高速増殖炉は、原発の使用済み燃料からプルトニウムとウランを取り出して繰り返し燃料に使うため、エネルギーの自給自足を実現するとされた。各国が開発に取り組んだが、技術的な困難さや経済性の問題などから撤退が相次ぎ、実用化されたことはない。

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