【12/22東京新聞】もんじゅ廃炉 技術未確立 危険なナトリウム壁に/プルトニウムの行方 課題 大量保有 国際社会注視/【核心】机上の新高速炉で延命 核燃サイクル、膨らむ国民負担/第一面/社説

Web上で読める今日の東京新聞の第一面
もんじゅ廃炉決定 税金1兆円投入、稼働250日

それから社説
もんじゅ廃炉 原発依存にサヨナラを

東京新聞原発取材班デスク の山川剛史さんの「核心」の前に、東京新聞・科学部の原発担当の永井理記者の記事が載っていた。
原発取材班といえば山川さんだし、たしか永井理さんは今中さんの退官講演の記事を書かれた記者さんのはず。

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もんじゅ廃炉 技術未確立 危険なナトリウム壁に

2016年12月22日【東京新聞・第2面】

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高速増殖原型炉「もんじゅ」は廃炉が決まり、解体処分に向け検討が始まる。燃えやすいナトリウムが原子炉を満たすなど、一般の原発とは大きく違う炉だ。一般は四千億円近くと試算されるが技術は未確立で、最終的にどのぐらい膨らむのかは分からない。

文部科学省の試算では廃炉は約三十年かかり、費用は三千七百五十億円に上るという。内訳は、核燃料の取り出しに百五十億円、炉や建物の解体に千三百五十億円、人件費や電気代など維持管理費が二千二百五十億円。これに使用済み燃料を保管するプールの耐震対策費が別途かかるという。

もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構では試算について「一定の前提をおいて計算した結果」と説明する。ナトリウムの扱い方が未確定だからだ。

一般の原発では、炉心に水を循環させて核反応の熱を取り出す。もんじゅでは水ではなく液体のナトリウムを循環させている。

ナトリウムは空気や水分に触れると激しく燃えるため扱いが難しい。外気に触れないよう密閉した作業の必要があるうえ、水のように透明ではないので炉内の様子が分かりにくい。

もんじゅでは二O一O年八月に核燃料の交換器具が誤って炉内に落下。すぐに引き上げようとしたが難しく、何度か失敗し、成功したのは翌年六月だった。

もんじゅのナトリウムは約千七百トン。その半分近くが炉内を循環し放射性物質を含む。これほど大きな炉からナトリウムを抜き出し処理する方法は確立されておらず技術開発が必要だという。実際に何年かかり費用がどれほどになるのかまだ分からない。(永井理)

 

プルトニウムの行方 課題 大量保有 国際社会注視

2016年12月22日【東京新聞・第2面】

もんじゅの廃炉決定で、日本が大量に保有するプルトニウムをどう使い切れるか、国際社会の厳しい目が注がれることになる。米国が日本にプルトニウムの抽出を認めた日米原子力協定の改定を二O一八年に控え、政府はもんじゅにかわる実証炉を将来的に国内に建設する考えだが、実現する保証はない。

日本は、海外保管分も合わせると、核兵器にも転用できる四十八トンものプルトニウムを保有。原爆数千発分に相当するとされる。このため日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」との国際公約を掲げてきた。

一九九五年に起きたもんじゅのナトリウム漏れ事故後、政府はプルトニウムの利用目的として既存の原発で消費するプルサーマル発電に注力し始めた。しかし、各地で猛反発が起こり、導入する原発は計画の四分の使い切る見通しはない上、国内の原発や青森県六ケ所村の再処理施設には、大量の使用済み燃料が眠っている。これらも再処理すると、さらに使う当てのないプルトニウムが増え国際公約から離れていくことになる。

再処理によるプルトニウムの抽出は、核兵器と表裏一体。米国は七七年の日米交渉で日本に再処理を認めたが、米議会では反発が強かった。日本の核保有を容認するかのような発言をしたこともあるトランプ次期大統領の誕生で先行きは不透明感が増しているが、元外交官の遠藤哲也氏は「(協定継続には)サイクルが回ることを米国にきちんと説明できなければならない」と指摘する。

原子力委員会前委員長代理の鈴木達治郎長崎大教授は「使用済み燃料をすべて再処理する政策は破綻している。直接処分できるよう政策を見直すべきだ」と求めた。(中崎裕)

 

 「廃炉は機構で」規制委員長 説明

  福井県知事は懸念

2016年12月22日【東京新聞・第2面】

原子力規制委員会の田中俊一委員長は二十一日の記者会見で政府が廃炉を正式決定したもんじゅについて「原子力機構以外に廃炉を担える組織はない」と述べた。

福井県の西川一誠知事は、規制委がもんじゅの運営主体として不適格とした原子力機機構が廃炉作業を担うことに懸念を示している。田中委員長は「(機構に)任せっ放しというところには懸念がある。規制委なりに配慮して取り組まなければならない」と説明した。

 

机上の新高速炉で延命 核燃サイクル、膨らむ国民負担

2016年12月22日【東京新聞・核心】

政府は、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉を決める一方で、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業の継続も決めた。この事業には十二兆円がつぎ込まれながら、全く機能していない。フランスと共同研究し、もんじゅに代わる高速炉を開発するというが、実現する確証はない。さらに国民負担を広げる結果になる恐れがある。 (山川剛史)=1面参照

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核燃料サイクルの現状

 先行の仏も行き詰まり

 ◆機能不全

核燃サイクルは、原発で出る使用済み核燃料を溶かしてプルトニウムを取り出し、MOX燃料に再生して原発で再び使う。さらに資源を節約するために構想されてきたのが、もんじゅなどの高速炉だ。

日本では、青森県六ケ所村に再処理工場とMOX燃料工場の建設が進められてきたが、どちらも未完成。国内でリサイクルの輪は完結しない。稼働中の四国電力伊方原発3号機(愛媛県)や、再稼働後に司法判断で停止に追い込まれた関西電力高浜3、4号機(福井県)が使うMOX燃料はフランス製だ。

特に、再処理工場は一九九三年に着工しながら、二十三回も完成時期を延期。二O一八年度上期が完成目標とされるが、どうなるか分からない。燃料工場は一九年度上期の予定だ。

もんじゅの廃炉決定により、高速炉を中心とする輸は完全に消滅。あらためて日本の現状を見ると、核燃サイクルといっても、通常の原発以外は何の実体もないという現実が浮かぶ。

 ◆一輪走行

核燃サイクルで先行するといえば、フランスだ。五十八基から出る使用済み核燃料は、イギリス海峡に近いアレバ社ラ・アーグ再処理工場で再処理。取り出したプルトニウムは、トラックで南東約八百キロの同社メロックス工場に運ばれてMOX燃料になり、二十二の原発で再利用されている。

アレバ社のギョーム・デュロー副社長は「原子力に注力する国では、再処理が主力になっていくと確信している」と、核燃サイクルの好調さを強調する。

その一方で、フランスも手を付けられないでいるのが使用済みMOX燃料だ。ラ・アーグ工場や原発のプールに計約三千トンがたまり、年百二十トンぺースで増えている。

通常の核燃料に比べて冷えるまで時間がかかり、有害な放射性物質が格段に多い。「科学的には再処理が可能」(デュロー氏)ともいうが、実際にはコスト面も含め再利用は難しい。

フランスは、再処理で出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地にめどがつきつつある。だが、原発と高速炉というこつの輪を回す構想は、片方しか実現できていない。

◆複雑構造

行き詰まりを解消したいと、日仏両国政府が期待するのが、新型高速炉「ASTRID(アストリッド)」をフランスに建設する計画だ。ただし現状は机上の構想に近い。しかも、複雑な構造のため一兆円以上かかるといわれるのに、出力は六十万キロワットと新しい原発の半分程度しかない。もんじゅで構想されたウラン資源の増殖機能もない。

もし実現すれば、使用済みMOX燃料に含まれる有害物質を大幅削減できる可能性もあるが、運転開始目標は三O年ごろ。フランスでの経験を踏まえ、日本にも新型炉を造ろうとすれば、さらに十年単位で先になる。

高速炉 

核分裂反応を起こすために、飛ぶスピードが速い「高速中性子」を使う原子炉の総称。炉心の熱を取り出す冷却材に水を使う一般の原発(軽水炉)と異なり、中性子を減速させないために液体ナトリウムを使う。炉心の周りに増殖用の燃料を置き、使った以上の燃料を生み出すものを「高速増殖炉」と呼ぶ。燃料を組み替え、放射性廃棄物を減らす研究にも使われる。フランスは廃棄物対策に主眼をいて研究開発を行うが、ロシア、中国、インドなどは燃料増殖志向で開発を進める。

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もんじゅ廃炉決定 税金1兆円投入、稼働250日

2016年12月22日 朝刊【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122202000149.html

廃炉が正式に決まった高速増殖原型炉もんじゅ=21日、福井県敦賀市で

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◆核燃サイクル 失敗認めず維持

政府は二十一日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を廃炉にし、より実用炉に近い「高速実証炉」の開発に着手する方針を決めた。発電に使った以上の核燃料を生み出す「夢の原子炉」と言われたもんじゅは国民の税金を一兆円も投じながら、稼働日数二百五十日で退場する。しかし政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」事業は続ける方針だ。 (吉田通夫)

政府はもんじゅを核燃サイクルの中核に位置付けてきた。一九九四年に稼働させたが、爆発しやすいナトリウム漏れ事故が発生。その後もトラブル続きで、ほとんど稼働しなかった。

二〇一二年には機器の大量の点検漏れが発覚。原子力規制委員会は昨年、運営主体を文部科学省所管の「日本原子力研究開発機構(原子力機構)」から代えるよう求めたが、見つからなかった。また、再稼働には八年間で五千四百億円以上かかるとの見通しから廃炉を決定した。松野博一文部科学相は「一定の成果はあった」と失敗を認めなかったが、「フル出力での運転はできなかった」として議員歳費とは別に受け取る五カ月分の大臣給与と、賞与の計六十六万円を自主返納する考えを示した。原子力機構の児玉敏雄理事長も給与の10%の六カ月分の約六十六万円を返上する。

政府は一方で使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物(核のごみ)」を減らすためにも、「高速炉開発を推進することが重要だ」(菅義偉官房長官)と強調。仏政府が計画する高速炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を拠出するなどして続け、原型炉の次の段階の「実証炉」の建設を目指す。開発の工程表を一八年中に作る。

政府は廃炉には三十年で少なくとも三千七百五十億円かかると試算。二二年までに使用済み核燃料を取り出し、解体作業に入る工程を示した。だが、福井県の西川一誠知事は原子力機構が廃炉作業を担うことに「極めて不安」と反発している。政府は福井県と継続的に協議する場をつくり、説得を続ける。

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<もんじゅ> プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉。実用化までの4段階のうち2段階目の原型炉で出力は28万キロワット。政府は使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」の中核の一つに位置付けていた。

<核燃料サイクル> 原発で燃やした使用済み燃料から再処理工場でプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜてMOX(モックス)燃料に加工し、通常の原発や高速炉で使う構想。青森県六ケ所村に巨費を投じ、再処理工場とMOX燃料工場が建設されているが、いずれも未完成。高速炉開発も、原型炉の「もんじゅ」の段階でつまずき、ウラン資源のリサイクルは行き詰まっている。本紙の調べで、核燃料サイクルには、少なくとも計12兆円が費やされてきたことが判明している。

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もんじゅ廃炉 原発依存にサヨナラを

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016122202000156.html
【東京新聞・社説】2016年12月22日

高速増殖炉がだめなら高速炉-。それではあまり意味がない。もんじゅだけのことではない。原発依存の仕組み自体が、実は“金食い虫”なのだ。サヨナラもんじゅ、そしてその背景の原発依存。

莫大(ばくだい)な費用がかかる。危険なナトリウムを大量に使っているのに管理はずさん、だから動かせない-。国民の側から見れば、もんじゅを残す理由はない。

廃炉の決定はむしろ遅すぎた。

何度も書いてきたように、トラブル続きで長年ほぼ止まったままのもんじゅの維持に、毎年二百億円もの費用をかけてきた。

建設費と運転・維持費を合わせると一兆四百十億円にも上る。廃炉にも三千七百五十億円かかるという。そのすべてが税金だ。

さらに大きな問題は、政府の意図が廃炉というより、高速炉への置き換えにあることだ。

政府がもんじゅの“後継”に位置付けるのが高速炉。もんじゅとの違いは、核燃料を増やせないことである。しかし、高速中性子を使って使用済み核燃料を燃やすことはできるという、ハイレベルの原子炉には違いない。

しかも、原型炉のもんじゅよりワンランク上の実証炉をめざすという。さらに莫大な費用を要することは、想像に難くない。

フランスが計画中の高速炉「アストリッド」は、現時点で最大一兆円の建設費が見込まれており、日本に共同研究、つまり費用負担を求めているのが現状だ。

文部科学大臣は「国民の皆さまに納得していただけるもの」と繰り返す。

だが、国民の過半が原発再稼働に異議を唱える現状で、看板を掛け替えただけで、新型原子炉に巨費を投入し続けることに、納得できるはずもない。

高速炉開発の背景には、既に破綻が明らかな核燃料サイクル、つまり使用済み燃料を再処理して再リサイクルする仕組み、ひいてはごみ処理にめどを付け、原発依存を維持したいという意図がある。

経済産業省は、再処理事業の総費用を十二兆六千億円と見積もっていた。その一部は電気料金にすでに転嫁されている。

燃やすだけの高速炉ではリサイクルはなりたたない。破綻を繕う文字通りの弥縫策(びほうさく)にも、納得できるわけがない。

繰り返す。高速炉計画も白紙に戻し、核燃料サイクルは中止して、安全で安価なもんじゅの廃炉と、核のごみ減量の研究に、地元福井で専念すべきだ。

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