12/26原発作業でがん「損賠」高い壁/「被ばくで発症」立証どこまで/原告勝訴なし「労災」では認定例【東京新聞・核心】

この方の記事を覚えている。やはり片山夏子記者のもの。

11/17数足りず 防護ベスト着ない日も 元作業員 消えぬ将来不安/白血病発症で労災認定の元作業員 東電と九電を損賠提訴へ【東京新聞・社会】
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原発作業でがん「損賠」高い壁

「被ばくで発症」立証どこまで

 原告勝訴なし「労災」では認定例

2016年12月26日【東京新聞・核心】

 

東京電力福島第一原発の事故収束作業に関わり、甲状腺がんを発症した東電社員の四十代男性が今月十六日、労災認定された。収束作業に絡むがん(白血病を含む)の労災認定は三人目。厚生労働省はいずれのケースも「医学的因果関係は明らかではないが、労働者救済の観点から認定した」とする。このうちの一人の元作業員は今も働くことができず、裁判で損害賠償を求めているが、法廷では厳しい因果関係の立証を求められることが予想される。 (片山夏子)

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 ◆不安を口に

「小学生の三人の子どもたちを、これからも育てていけるだろうか・・・」。収束作業などの被ばくで白血病になったとして、東電などに損賠を求めて十一月に提訴した元作業員の男性(四二)=北九州市=は将来への不安を口にする。

男性は二O一一年十月~一三年十二月、二次下請けの溶接エとして福島第一や福島第二、九州電力玄海原発(佐賀県)で働き、計一九・七八ミリシーベルト被ばくした。

一四年一月に急性骨髄性白血病と診断され、後に死への不安からうつ病に。白血病とうつ病で労災が認められ、給料の八割と医療費は補償された。今も息苦しくて眠れないなどの症状に苦しむが、働けるようになったと判断されれば補償は打ち切られる。

 ◆病名も否定

弁護団によると、これまで原発作業員が被ばくで病気になったとして損害賠償を求めた訴訟で、原告側が勝訴した例はない。中には血液のがんである「多発性骨髄腫」と労災認定されながら、一審判決でその病名すら否定された例もある。

原告の主張が認められるかどうかは、裁判所が放射線と病気の因果関係の立証をどこまで求めるかが大きく影響する。

被ばく労働を対象とした労災認定で、白血病はがんの中で唯一、認定基準が決まっている。内容は「最初の被ばくから一年以上を経て発症し、被ばく線量は年間五ミリシーベルト以上」。弁護団は男性がこの基準を満たしていると主張。その上、「ウイルスや遺伝的な要因が否定され、労災認定時の専門家会議でも、原発での業務が原因ということを否定する理由は見つからなかった」と訴える。

弁護団はO九年の原爆症認定集団訴訟の東京高裁判決に注目する。判決は、複数ある病気の発症原因のうち、一つが放射線である場合や、放射線で発症が進んだと判断される場合も「放射線が原因と肯定するのが相当」とした。弁護団は「これ以上の立証は、原告に不可能を強いることだ」と強調する。

 ◆補償もなく

元作業員の男性を診察した虎ノ門病院血液内科の谷口修一部長は「放射線の影響は否定できない」と話す。「医学では『何ミリシーベルト以下は安全』と線は引けず、低線量でも影響を否定できない」と説明。放射線との因果関係を科学的に立証するのは不可能だという。

白血病以外のがんは労災認定でもハードルが高い。胃や肺がんなどは明確な基準はないが、「被ばくから発症まで五年以上、累積一00ミリシーベルト以上」を考慮し、個別に検討する。

原発作業員はがんなどの病気になっても、労災認定されなければ、補償は何もない。谷口部長は「事故収束の作業員は被災地や国のために働いている。被ばくと病気の因果関係が否定できない場合は補償していくべきではないか。生涯、健康状態を調べ、治療費なども補償すべきだ」と話す。

kakushin161226_zu22013年2月、福島第一原発の収束作業に当たる元作業員の男性。放射線防護のために着なくてはいけない鉛ベストは数が足りず着ていない(男性提供、顔と防議服を画像処理しています)

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カテゴリー: 裁判, 放射能汚染, 中日東京新聞・特報 パーマリンク