1/12「共謀罪でなくテロ準備罪」 政府・自民苦しい言い換え【東京新聞・核心】法務省、国会提出予定の法案リストに「共謀罪」を掲載(一面)

「共謀罪でなくテロ準備罪」 政府・自民苦しい言い換え

 表紙変えても…問題点は同じ

2017年1月12日【東京新聞・核心】

犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となる「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、政府・自民党が「共謀罪」の呼称を打ち消そうと神経をとがらせている。二十日召集の通常国会に提出する法案では「テロ等組織犯罪準備罪」と呼び変える方針で、負の印象を拭い去る狙いがある。 (大野暢子)

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 ◆反論

「共謀罪という言はない」。十一日の自民、公明両党の幹部会合後、自民党の竹下亘国対委員長は「共謀罪を含む法案は・・・」との質問を遮り反論した。

政府高官も「テロ等組織犯罪準備罪と呼んでほしい。略す場合はテロ等準備罪(テロ準)」と記者団に注文。出席者によると、五日の自民党役会では幹部の一人が「共謀罪」と口にした際、別の出席者が「テロ準、テロ準」と打ち消し、安倍晋三首相は「名前を変えた方がいいというので変えた」と念押しした。

政府・自民党には「共謀罪」の名称は印象が悪いとの自覚がある。法案は二OO三年から国会に三度提出され、すべて廃案になった。審議では、参考人の識 者が捜査当局の恣意-しい-的運用 や拡大解釈の懸念を指摘するなど世論の反発が広がり、以降は提出されていない。

 ◆懸念

各法案の名称を巡っては、昨年十二月に成立した「統合型リゾート施設(IR)」整備推進法(カジノ解禁法)でも、推進派から「カジノ法と呼ぶべきではない。誤解につながる」との意見が相次ぎ「IR法」になった経緯がある。安全保障関連法でも野党は「戦争法」と追及したが、政府は「平和安全法制」と命名。政府官は、国民の知る権利を侵す恐れが指摘される特定秘密保護法を引き合いに「名称が悪いから世論の反対の声が上がった。名称は大事だ」と語る。

だが、表紙を変えても、犯罪に至らない段階で罪を問われかねないのは同じ。「テロ準」の名称採用に伴い、処罰対象を従来の「団体」から「組織的犯罪集団」にするなど、ほかにも変更が加わる方向だが、思想、内心の自由が侵されるとの懸念は根強い。

 

公明「慎重に協議」

  法律の必要性は認める

「共謀罪」を巡っては、自民党と連立を組む公明党の対応も焦点になる。党内に慎重論が強いためで、井上義久幹事長は十一日の自民党幹部との会合で「慎重に協議したい」と求めた。

公明党が慎重な理由に、重視する東京都議選が通常国会直後の夏に控えていることがある。党関係者は「支持層に『共謀罪』への抵抗感があり、都議選に影響しかねない」と話す。

公明党は、テロ対策の法律の必要性は認めている。山口那津男代表は「国内法が未整備のまま東京五輪・パラリンピックなどを迎えることに、国際社会の不安がある。情報の連携不足が(テロなどの)まずい結果に結び付くことを懸念している」と指摘する。

法案提出に反対はしないが、政府案を丸のみしないというのが公明党の対処方針。法案の内容を議論する与党協議が始まれば、対象犯罪の絞り込みなどを求めていくとみられる。(山口哲人)

 

 

法務省、国会提出予定の法案リストに「共謀罪」を掲載

2017年1月12日 朝刊【東京新聞・政治】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201701/CK2017011202000115.html

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を、法務省が二十日召集の通常国会に提出する予定の法案リストに盛り込んだことが十一日、関係者への取材で分かった。同省はリストに従い、与党幹部に対して法案内容などの説明を始めた。

同法案は小泉政権下の二〇〇三~〇五年に三度提出されたが、いずれも廃案となった。一二年の第二次安倍政権発足後もテロ対策を念頭に提出が検討されたものの、提出予定法案リストへの掲載は今回が初めて。リストは「新規提出予定法案」と「検討中」の二段階があり、同法案は新規提出予定法案に盛り込まれた。

法務省はリストの中で同法案の趣旨について、近年の犯罪が国際化や組織化していると指摘した上で、国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約の締結に伴って、日本も「組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画などの行為についての処罰規定、犯罪収益規制に関する規定を整備する」としている。

政府は、国連が〇〇年に採択した国際組織犯罪防止条約を批准するため、国内法整備が必要だと訴えてきた。自民、公明両党は十一日の幹部会合で、同法案について、慎重に取り扱うことを確認した。公明党は法務省の説明を受け、党としての対応を話し合う。

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