1/23「図書貸出券」3方式に マイナンバーカード利用 乱立なぜ/ 「IT業界へ公共事業」指摘も【東京新聞・特報】

国民総背番号制にして税徴収だけではなく、徴兵制もにらんでいるであろうこのシステムを憎悪するのは、私だけではあるまい。
どうして大阪市や東京都ではなく、姫路市や新潟県三条市でしか利用が進まないのかというと、人口が多くてデータ量が多い市町村だとシステム変更にかかる金額が膨大になるからなんだよ。

「IT業界へ公共事業」というのも、このマイナンバー制度は東日本大震災で一時後退したけれどキャノンの会長が推進していたのを覚えている。つまり、このブログ始める前より3.11より前から注目していたことだ。

==============

「図書貸出券」3方式に

マイナンバーカード利用 乱立なぜ

すでに2方式が活用

 暗証番号で本人確認/アプリ導入

  「自治体ごとに判断」

かさむ費用 見合う成果は

 「IT業界へ公共事業」指摘も

新たなシステム改修必要

【東京新聞・こちら特報部】2017年1月23日
昨年、交付が始まったマイナンバーカードを図書館利用カード(貸出券)として利用する自治体がある。総務省が推進するマイナンバーカードの多目的利用の一環だ。自治体がこの貸出券機能を導入するために、現在は二つの方式があるが、今夏以降、さらにもう一つの方式が加わるという。なぜ三種類も乱立するのか。調べてみると、IT企業などへの「ばらまき」ともいえる実態が浮かび上がってきた。 (三沢典丈)

 

 

th170123_hikakuマイナンバーカードを図書館の貸出券として利用する3方式の比較

マイナンバーカードを貸出券として本を借りる利用者。兵庫県姫路市ではJPKI方式で実現した=同市提供

マイナンバーカードの表面(上)と裏面(下)。持ち歩く際には、マイナンバーの部分が見えないように交付時にもらえる半透明のカードケースに入れることが推奨されている

総務省の行政事業レビューシート。2015年度のマイナンバー関連の支出先として、大手IT企業や地方自治体の名が並ぶ。

兵庫県姫路市の十五図書館は昨年十一月から、マイナンバーカードで本の貸し出しができるサービスを始めた。カード搭載機能のうち、インターネット閲覧時などに本人確認をする「公的個人認証サービス(JPKI)」を使った方式。同方式では全国初の試みだ。

利用できるのは従来の図書館利用カード(貸出券)と同じで、同市と周辺七市八町でつくる「播磨連携中継都市圏」の住民や同市内に通勤、通学している人。図書館の窓口で登録手続きをする。有効期限はJPKIによる電子証明書の期限である五年で、従来の貸出券よりも二年長い。

借りる際、カードをICカードリーダーにセットして、暗証番号四桁を入力する。担当者は「確実に本人確認でき、従来の貸出券のように他人に使われる心配がない。今後、播磨連携中枢都市圏の計三十七館で、カード一枚で本が借りられることを目指す」と語る。

とはいえ、昨年末までに貸出券として登録した人はわずか二十四人という。そもそも人口五十三万人の同市の場合、マイナンバーカードの普及は昨年来までで、約一割が申請済みという程度にすぎない。

新潟県三条市では、マイナンバー制が施行された昨年一月から「カードAP」方式で貸出券機能を実現した。カードを交付する「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」提供のアプリを導入する方式で昨年六月現在、全国で計七自治体が活用している。

同市は、前身の住基カードでも貸出券として使えるサービスを実施。その継承で、有効期限はマイナンバーカードと同じ十年だ。

両方式とも、本の貸し出し履歴がカードに残ることはない。マイナンバーカードの図書館での活用が単一ではない理由について、総務省住民制度課の担当者は「自治体ごとに判断してもらって、カードの利活用を図るため」と説明する。

ただ、どちらの方式も導入には費用がかかる。JPKI方式を採用した姫路市の指当者は「数十万円程度」と話すが、利用者も更新時に、二百円程度の手数料がかかる可能性がある。

カードAP方式では、JーLISが図書館の貸出券のほか、職員証などにも利用できるシステムの初期導入・運用費を三百五十万~一千万円と案内している。

いずれの方式でも、マイナンバーカードの発行は任意なので、従来の図書館カードのシステムも維持しなければならず、その分、自治体のコストはかさむ。

同省住民制度課の担当者は「多目的利用が進めば、コスト高とは言えない」と説明するが、はたして、こうした費用が「持ち歩くカード枚数を減らす」といった程度の利点に見合う投資といえるのだろうか。

今夏以降に予定 「マイキーID」

一方、総務省はこれらニ方式とは別に今夏以降、新たな貸出券機能として「マイキープラットフォーム」を活用した方式を立ち上げる予定だ。

どんな方式なのか。

国が提供するインターネットのサイトに、図書館がある全国約千三百五十の自治体が、貸出券の番号を登録する。一方、利用希望者は自分の「マイキーID」をこのサイトで作成したうえ、利用したい図書館にネットで登録。登録した図書館で、マイナンバーカードを貸出券として利用できるのだという。簡単にいえば、国が図書館と利用者の双方をマイナンバーカードを使って仲介する仕組みだ。

マイナンバーカードを更新する限り、マイキーIDは有効だ。マイキープラットフォームは、マイレージなどを自治体が独自に設定したポイントと交換できる機能などを盛り込む構想で、カードの多目的利用の決め手と期待されている。

だが、JPKIやカードAPを採用した自治体がこの方式に乗り換えれば、従来の方式のために使ったお金はムダになりかねない。

プラットフォームを担当する総務省大臣官房の猿渡知之審議官(地域情報化担当)は「プラットフォームは地域経済活性化策への活用が主観。こちらの構想が持ち上がったのは昨年一月で、それ以前の事業はどうしようもなかった」と理解を求める。ちなみに、こちらも立ち上げには十数億円程度かかり、見合った成果が出るか否かは不透明だ。

来月出版の自著で、この問題を扱ったジャーナリストの明石昇二郎氏は「マイナンバー制度の場合、制度導入で、すでに国や全国の自治体などのシステム改修に、多額の費用が投じられている」と指摘する。

行政事業レビューシートによると、総務省関係では「番号制度の実施に必要なシステム整備等事業」として、ニO一四年度は約二百五十九億円、一五年度は約四百六十億円が使われた。大半は地方自治体への補助金だ。厚生労働省関係でも「社会保障・税番号活用推進事業」に一四年度は約二十五億円、一五年度は約四百十七億円が支出された。

だが、問題はこうした投資による事務経費の削減効果などが不明な点だ。「はじめに制度ありき」という実情が見え隠れする。

明石氏は「自治体はシステム改修をIT企業に委託しており、その大半は大手が受注している。原資は税金。結局はITバブルの後、業績が伸び悩んでいるIT業界向けの公共事業ともいえる」と批判する。

ITジャーナリストの佃均氏は「図書館に限らず、マイナンバーカードで利用できるサービスが一つ揃唱えるごとに、必ずお金がかかる。しかし、国が多目的利用を推進している以上、各自治体は住民から求められれば、サービスを増やさざるを得ない」と説く。

だが、最大の問題点は「成果が自に見えないこと」という。「マイナンバー制度導入で、一般企業もシステム改修を迫られたが、入手不足などの理由で、通常の三~四倍の料金を吹っかけられたケースもあると聞く。しかし、箱物とは異なり、積算根拠が分からないので文句も言えない」

大阪経済大の黒田充非常勤講師(地域情報論)は三方式が乱立するマイナンバーカードの図書館利用について、「ほとんど普及しなかった住基カードの失敗を繰り返したくないと、官がありとあらゆる手を使っているだけだ」と断じる。

「マイナンバーカードの多目的利用がどう展開しようと、根本にある『他人に見せないように慎重に扱え』と『手軽に持ち歩く』という相反する性質は決して両立しない。制度設計があまりにもずさんだ」

デスクメモ

年末にマイナンバーカードを持たぬ知人の物書きが憤った。「額とは無関係に、仕事をした会社全てから、マイナンバー通知のコピーを貼って送ってこいと求められた。こんなにばらまいて、漏れない個人情報なんてない」。ごもっとも。ところで住基ネット失敗の責任は誰が取った?(牧) 2017・1・23

広告
カテゴリー: 中日東京新聞・特報 タグ: パーマリンク