1/27東芝蝕ばむ「原発」赤字 焦げ付けば国民にツケ/損失最大7000億円/米企業買収 経営判断に甘さ/ 政府系銀行に支援要請ヘ/リスク抱えた輸出戦略「見直すべき」【東京新聞・特報】

東芝なんか潰れたら良いのです! みんなそう思っているはず。

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東芝蝕ばむ「原発」赤字

 損失最大7000億円

  米企業買収 経営判断に甘さ

焦げ付けば国民にツケ

 政府系銀行に支援要請ヘ

  リスク抱えた輸出戦略「見直すべき」

2017年1月27日【東京新聞・こちら特報部】

東芝が米国での原発事業で、最大で7000億円の赤字を出した。原発はやはりビジネスとして割に合わない。だが、東芝は原発から撤退しないようだ。その一方で、政府系の日本政策投資銀行(政投銀)に支援を求める。焦げ付いたら、また国民につけが回る。政投銀は国際協力銀行(JBIC)とともに、日立の英国での原発事業に融資する話も出ている。赤字の恐れがある海外の原発事業に、公金を投入するのはやめるべきだ。 (池田悌一、白名正和)

 ◆東芝の経営をめぐる経過◆

2006年10月 東芝が米原子力大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を買収
11年3月 東日本大震災・東京電力福島第一原発事故が発生。国内の原発が相次ぎ停止
15年7月 不正会計問題で田中久雄社長ら歴代3社長が引責辞任
11月 WHが巨額の損失処理をしていたと発表
12月 WHを通じ米CB&Iストーン・アンド-ウエブスター(S&W)を買収
16年3月 医療機総子会社「東芝メディカルシステムズ」と白物家電事業の売却や原発、半導体を核とする再建計画を発表
5月 16年3月期連結決算の営業損益が7087億円の赤字
6月 綱川智社長が就任。不正会計に関わった幹部を刷新し新体制に
12月 S&Wの減損処理を発表

tkh170127_karikre(図)東芝の金融機関からの借入残高

(写真)
会見で巨額損失の可能性について結す東芝の綱川智社長=先月27日、東京都港区で

WHが建設するボーグル原発3、4号機。後方は稼働中の1,2号機=2013年8月、米ジョージア州ウェインズボロで(共同)

 

 

東芝が七千億円規模の損失を出すことになった元凶が、原発建屋の建築などを手がける企業「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」だ。米原発子会社ウェスチングハウス.エレクトリック(WH)がニO一五年十二月に買収し、東芝の傘下に入った。

O六年、東芝はWHを子会社化し、米国の原発市場に乗り出す。当時、温暖化対策で、火力発電の代替として再び原発が注目されていた。だが、流れは一一年の東京電カ福島第一原発事故で一転する。米規制当局は、全電源喪失などに耐える安全対策やテロ対策を求め、「コスト増」が事業者にのしかかってきた。

そんな中、米国で原発の新設を請け負っていたWHが、建屋建築を発注したS&Wとの間で、コスト増の負担を巡ってトラブルになる。工事が遅れて負担が膨らむ悪循環に陥り、WHが採った解決策がS&Wの回収だった。

決断は大きな間違いだった。買収額が「ほぼゼロ」というのが、既にあやしい。S&Wはこの時点で、巨額の負債を抱えていたようだ。

先月二十七日、東芝の綱川智社長は数千億円の損失を公表した。この日の記者会見で、原発事業担当者はS&Wの資産査定について「十分に確認した」と述べたが、当時、不正会計や大規模なリストラで混乱を極めていた時期でもある。不十分だったのではないか。

かつて東芝で原子力プラントの設計技術者を務めた後藤政志氏は「東芝は事業の主力に原子力を据え、福島事故後も突き進んできた。WHとS&Wのトラブルに焦り、十分に検討することなく買収にゴーサインを出したのだろう。経営判断が甘いと言わざるを得ない」と批判する。

「もともと東芝の原子力部門は、海外ビジネスに精通しているわけではない。その上、S&Wは本業とは縁の薄い建設会社だ。そういった弱みが重なったことも、貧乏くじを引くはめになった一因だろう」

東芝は「膨大なデータに基づく検証作業が必要で精査に時間を要している」ため、損失額の確定は来月十四日と説明する。

それにしても、東芝はWHについても企業価値を過大評価し、昨年、約二千五百億円の損失計上を迫られている。今回も評価を誤ったわけだが、なぜそんなに甘いのか。

経済ジャーナリストの磯山友幸氏は「東芝がWHの経営陣をコントロールできていないことに根本的な問題がある。S&Wの買収も、WHの言うままに踏み切ったのだろう。だからS&Wがどんな建設工事を手掛けているか、実態が十分に把握できておらず、損失額もなかなか固められないのではないか」と推察する。

「福島の事故を機に世界の原発事業の流れは変わったのに、東芝は積極姿勢を取り続けた。環境の変化に目をつぶり、経営陣が『チャレンジ』とハッパばかり掛けるような会社だ。経営の甘さのツケが回ったのでは」と突き放す。

決算期末の三月の時点で、負債が資産を上回る債務超過に陥った場合、東芝は東京証券取引所第一部から第二部に降格となる。

「降格になれば、市場は盛りを過ぎた時代に合っていない企業だとみなす。再生も難しくなる」と、経済ジャーナリストの町田徹氏は指摘する。

東芝は取引のある銀行に支援を求める。半導体事業を分社化して株式の20%程度を売却し、二千億~三千億円を調達する形になるようだ。この株式取得に政投銀が関わると、市場関係者たちはみる。政投銀に尋ねると、広報担当は「個別企業との取引についてはコメントできない」と話した。

町田氏は関係者の話を基に、内情をこう説明する。「ある銀行は、経済産業省から『政投銀に出資させるから、追加融資をして救ってほしい』とプレッシャーを受けている。だが、銀行側は本音では、資本注入が不調に終わることを望んでいる。不良債権化が確実とみられる東芝への追加融資を避けられるからだ」

昨年末の時点で、東芝の金融機関からの借入残高は一兆一千億円弱。回収するため、追加融資で東芝を延命させる選択肢もあるが、「バブル期ならそういう選択もあっただろうが、今は自分たちの傷をこれ以上深めないよう追い貸しは避ける」と町田氏は言う。

原発事業における東芝の傷は深い、と多くの銀行は分析しているのに、政投銀が出資をして大丈夫か。

原発事業に絡む政府系銀行の関与は、東芝にとどまらない。安倍政権は原発輸出を成長戦略の一つに位置付けており、企業を積極的に支援しようとしている。

日立は一二年、ドイツの電力会社から、英国の「ホライズン・ニュークリア・パワー」を買収した。英国中部ウィルファなどニカ所で計四~六基を建設する計画を引き継ぐ。この事業に、政投銀と、同じく政府全額出資のJBICによる一兆円規模の融資が検討されている。昨年末、クラーク英ビジネス・エネルギー・産業戦略相と、世耕弘成経産相が、原子力分野で協力する覚書を交わした。

その後、話は進んだのか。JBICの広報担当者は「個別の案件には答えられない」としている。

ほか、トルコで、三菱重工業がフランスの原子力大手アレバと合弁会社を設立し、原発四基を建設する計画がある。ブルガリアでは、東芝子会社のWHが原子炉の増設計画を進める。今後、原子力協定を結んだインドへの原発給出が検討されるだろう。

だが、コスト増に加え、市民の反発により、海外でも原発建設は容易ではない。リトアニアでは、日立が原発建設を事実上受注していたが、昨年の選挙で野党「農民・グリーン同盟」が勝利し、前途は多難だ。ベトナムでも昨年、安全対策費の高さから、日本の原発導入が白紙撤回された。原発輸出にはさまざまなリスクがあるため、政府系金融機関が融資をするというわけだが、それでいいのか。

「原発輸出を戦略として掲げている以上、政府系金融機関による支援は間違いではない。ただし、公金が原発輸出時にも使われていることは、もっと国会などで議論されるべきだ」と、一般社団法人「環境金融研究機構」の藤井良広代表理事は指摘する。

藤井氏は「そもそも、原発輸出が政策として良いか議論が必要だ。東電と東芝という二つの大企業が原発でしくじり、原発はビジネスにならないことが示されている。それなのに国が政策として推進し、公金を投入し続けることについて、広げて考えなければならない」と指摘した。

デスクメモ
福島の事故後、市民の反対で、国内では原発の新設をできない状況なのに、日本の企業が海外で原発を造ること自体、おかしい。それでも企業が海外で受注を目指すというのなら、その動きは止められないが、資金は民間の銀行から借りればいい。国民の税金に頼るな、と言いたい。(文) 2017・1・27

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