1/28ヘイトあおる偽ニュース 「韓国、日本人女児強姦で無罪」/気軽な「小遣い稼ぎ」/25歳男性「嫌韓派にウケると思い」/ネット右翼が大量拡散/米大統領選で横行/虚構気にせぬ排外主義者/かつて戦争の原因にも【東京新聞・特報】

先週だったかこのタイトルだけ目にした覚えがある。あーまた馬鹿やってるんだと思ったらやっぱり。
嘘でも構わないから流しちゃえというところは安倍でんでん首相そっくり。

「米西戦争」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E8%A5%BF%E6%88%A6%E4%BA%89

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ヘイトあおる偽ニュース 「韓国、日本人女児強姦で無罪」

25歳男性「嫌韓派にウケると思い」

 ネット右翼が大量拡散

気軽な「小遣い稼ぎ」

 米大統領選で横行

  虚構気にせぬ排外主義者

   かつて戦争の原因にも..

2017年1月28日【東京新聞・こちら特報部】

「韓国人による日本人女児強姦(ごうかん)事件でソウル市裁判所が一転無罪判決」-。「大韓民国民間報道」と称する偽(フェイク)ニュースサイトが今月中旬、ヘイトをあおる偽記事を公開すると、ネット右翼(ネトウヨ)らの手で大量に拡散された。サイトを運営していた東海地方在住の無職男性(25)は「嫌韓の人たちにウケると思った」と語る。米大統領選では偽ニュースが飛び交ったが、男性もこれに触発されてフェイクに手を染めていた。 (安藤恭子、三沢典丈)

男性は、今年に入ってから「大韓民国民間報道」を立ち上げた。「こちら特報部」が二十七日、同名のツイッターlアカウントを通じて取材を申し込んだところ、サイト運営者の男性が電話取材に応じた。

「すべて自分一人でつくったフェイクニュースです」。男性は、記事がデマであることをあっさりと認めた。続けて「失業中の小遣い稼ぎ。広告収入が得られればと思って」。悪びれる様子もなく、偽サイトを始めた動機を明かす。

「大韓民国民間報道」の画面には「事件」「政治」「芸能」といったタブが並び、普通のニュースサイトと間違えそうだ。人気上位の配車の見出しは、「人肉工場摘発 缶詰に高齢者バーガー  韓国」「韓国財閥系企業三社、合同で慰安婦像建設に百億円拠出へ」などと衝撃的である。

サイト説明には「日本で知られているニュースは韓国で報道される1%だけ。日本に出てないニュースをかき集めて伝えます」とある。中でも注目を浴びたのが、十七日に配信された「韓国、ソウル市日本人女児強姦事件に判決 一転無罪へ」という記事だった。

二OOO年、ソウルを観光に訪れた日本人の十一歳と九歳の姉妹が強姦される事件が起き、ソウル市裁判所が、韓国人の男に一審を覆す無罪判決を出した-。これが偽記事の骨子である。デパートの非常階段に連れ出して刃物で姉妹を脅すという詳細な手口や、「被審者が日本に帰国したため無理に罰する必要はない」とする裁判長のコメントまで紹介し、加えて韓国内にも、判決への異論が相次いでいるなどとウソを重ねた。

もちろん、記事には「ウソです」との断りはない。事実ならば、外交問題に発展しかねない大ニュースだ。実際、この記事はツイッターやフェイスブックなどで拡散され、閲覧数は七万八千件に逮した。

とりわけ拡散に大きく貢献したのが、へイトスピーチ団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元会長の桜井誠氏だ。記事配信から三日後、ニュースへのリンクとともに「これこそへイトです。日本は強姦大国韓国に行くべきではありません」とつぶやくと、二千件超もりツイート(転載)された。

フォロワーから「これってウソ記事?」「このサイトのニュース、全般的に信信憑-しんぴょう-性が怪しいんですが」と批判されると再び投稿し、「虚構だったとの話がありますが『韓国ならばさもありなん』という話をもってきた」「虚構記事を流した本人から謝罪も釈明もないから本物の記事として見なす」と強弁した。

男性によると、韓国ネタの偽ニュースサイトを開設したのは今回で二度目。きっかけは、米ニュースサイト「バズフィード」が流した「米大統領選で若者たちがフェイクニュースサイトを作って収益を稼いだ」という記事だった。偽ニュースで広告収入を得ようというわけだ。

さっそく昨年十一月、「大韓民国現地ニュース」と題するブログをスタートしたものの、運営側から公開停止に追い込まれた。あらためでつくったのが「大韓民国民間報道」である。

男性は他のニュースサイトの文章を参考に、一つの記事を三十分程度で仕上げたという。「韓国が嫌いな人や、韓国の話題が好きな人が対象。二つのサイトを合わぜて百六十~百七十以上の記事をつくったと思う。やっていくうちにへイトをあおる記事や、韓国をばかにしたり、危ういと思わせる記事が拡散されやすいと分かった」と振り返る。

思惑通り、ネトウヨたちが偽ニュースに釣られた。拡散に貢献した桜井氏については「インフルエンサー(ネット上で大きな影響を与える人)として期待はあったが、政治団体もやっているので、真偽に気を使うと思った。桜井さん周辺のフォロワーが反応するとは思っていたが、ご本人が拡散してくれたのは想定外だった」と評する。

目的が小遣い稼ぎだけに、男性自身の韓国観を尋ねると、「好きでも嫌いでもない。政治思想なんて持っていないし、慰安婦問題なども詳しくないから、語れない」と素っ気なかった。「デマで韓国の人たちが傷つくとは思わないのか」という質問には「僕自身、国家への帰属意識があまりない。だから、韓国の人たちやだまされた人たちへの罪悪感はない」と断言した。

これからもサイトは続けるのだろうか。「批判を浴びるリスクや記事をつくる作業量を考えると、収入が少なくて割が合わないから、もうやらないと思う。生活が切迫しているわけでもないので、たぶん今日中にはサイトをたたむ。良い社会実験になった」。取材後の二十七日午後には「大韓民国民間報道」は閲覧できなくなった。

識者は今回の偽ニュース騒動をどう見るか。

奥薗秀樹・静岡県立大准教授(現代韓国政治外交)は「釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像が設置された問題で、韓国に辟易ーへきえきーとしたムードが高まる中で、今回の偽ニュースが広まった」とみる。

情報源を探ればウソと分かりそうなものだが、奥薗氏は「偽ニュースを拡散した排外主義者から見れば、虚構でも、嫌韓の流れをつくれれば良い。韓国語に翻訳されれば、韓国内でも反日の世論が高まることになる」と危ぶむ。

運営者の男性がヒントを得た米大統領選では、選挙戦の終盤、フェイスブックなどで「いいね!」やコメントが付いた関連ニュースのうち、「ローマ法王がトランプ氏を支持」などの偽ニュースの方が、新聞、テレビなどの報道より多かったとの分析がある。

八田真行・駿河台大専任講師は、偽ニュース横行の背景について「この二十年、民主党、共和党ともほぼ中道。報道が公平、中立にとらわれ、本音でないと感じる保守層が大量にいた」と解説する。

トランプ大統領誕生を後押しした「オルト・ライト」と呼ばれる保守層は、白人至上主義者や女性差別主義者など多様で「他者から不当に攻撃されていると感じている」(八田氏)。

そこに目を付けたのが、米ネットニュースサイト「ブライトバート」の会長を務めていたスティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問。八田氏は「閲覧数を稼げばもうかるネットの仕組みを活用し、真偽は二の次に、この層に受ける話題を提供した」と説く。

映画評論家の町山智浩氏は、今回の偽ニュース騒動の題材が「強姦事件」だったことに注目する。「他民族による女性への性的暴行は、人間の本能的な恐怖を呼び起こすため、何度も偽ニュースに使われてきた」

町山氏は「トランプ氏自身も選挙中、『メキシコは強姦魔を米国に送っている』とあおり、このウソが決め手となって当選した」と嘆く。「今、個人のニュース発信カは飛倒的に向上した。だが、偽ニュースによって米西戦争(一八九八年)すら勃発した歴史を肝に銘じておくべきだ」

デスクメモ

ネット上の「へイトスピーチ拡声器」と言えば、日本では「まとめサイト」が知られているが、これからは、米国ばりに偽ニュースサイトが増えていくのだろうか。いや待てよ。既存の一部右派メディアは偽ニュースサイト化していないか。この点では、日本の方が米国より進んでいる?(圭) 2017・1・28

「韓国人による日本人女児強姦事件の判決」について報じる大韓民国民間報道のホームページ

トランプ大統領の側近が会長を務めていた「ブライトバード」のホームページ

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