2/1米国の入国禁止に静観決め込む日本 そもそも人権後進国【東京新聞・こちら特報部】

タイトルは東京新聞のWeb版に合せた。だって短くて良いんだもの。
安倍でんでん首相がトランプに「おかしい」というはずがない。そもそも頭がおかしいんだから。
トランプのせいで世界週末時計があと残り2分半になってしまった記事も後ろに載せている。

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米突然の入国禁止

在日イスラム社会動揺

安倍首相「おかしい」と言うべき

【東京新聞・こちら特報部】2017年2月1日

イスラム圏七カ国の難民や移民の入国を一時禁止したトランプ米大統領の大統領令に対する批判が国際社会で高まる中、安倍晋三首相は「コメントする立場にない」と静観を決め込む。日本在住のイスラム教徒の間には、トランプ氏への憤りと安倍首相への不信感が渦巻く。そもそも日本は難民の受け入れに極めて消極的だ。さらに言えば、普通に暮らす在日コリアンの渡航の自由を制限してきた。トランプ砲は、「人権後進国・日本」の姿をあらためて浮かび上がらせつつある。 (池田悌一、沢田千秋)

 

「モスク大塚」の前で信す.務局長のハールーン・クレイシさん=31日、東京都豊島区で

(左)29日、トランプ米大統領の難民受け入れ凍結などの大統領令に抗議し、デモ行進するニューヨークの人たち=グッティ・共同

(右)北朝鮮に対する独自制裁の決定直後、朝鮮籍者に示されたとされる誓約書のコピー=在日本朝鮮人人件協会提供

 

三十一日午後三時すぎ、肌の色の違う男性ら約二十人が東京都豊島区のビル二階に集まってきた。日本イスラーム文化センターが運営する礼拝所「モスク大塚」。片言の日本語ではしゃぐ幼子の姿もある。

「アッラーフアクバル(神は偉大なり)」

男性の一人が、イスラム教の祈りの言葉を唱えた。ほかの人たちはメッカの方角を向いて一列に並び、両手両膝を床に付くと、頭を深く下げる。きぬ擦れの音しかしないような厳かな空気の中、何度も祈りの言葉が繰り返された。

礼拝が終わると、和やかな表情に戻って談笑する信者たち。しかし、同センター事務局長でパキスタン出身のハールーン・クレイシさん(五0)の顔つきは険しい。「なぜトランプ氏は特定の宗教や国を排除しようとするのか。確かにテロを企てるような悪い人がいれば、厳しく対処すべきだが、入国禁止で被害を受けるのは、普通に暮らしている一般の人たちだ。こんな差別が許されるわけがない」

モスク大塚には、イスラム圏などから来日した二十カ国以上の人が訪れ、金曜の礼拝には約二百人が足を運ぶ。その中にはトランプ氏が大統領令で入国を禁止したシリアなどの出身者もいる。当然、動揺が広がっている。

シリア出身の男性は大統領令が出された後、クレイシさんに「『米国に行けば人生をやり直せる』と期待していたシリア人も多い。あまりにも残念だ」とこぼした。クレイシさんは「イスラム教徒への偏見が広がるのが心配だ。争いがこれ以上増えなければいいが・・・」と気をもむ。

礼拝に来ていたバングラデシュ出身のモバロッコ・フセインさん(二三)は「コーランの教えを守っている人は、絶対に悪いことをしないのにおかしい」。パキスタンから来日して半世紀になるアキール・シディキさん(七二)は「テロには厳しく臨むべきだが、大統領令は無関係の国や人も巻き込んでいる。イスラム教徒はみんなで助け合いながら生きようとしているのに、『悪いことをやりそう』というレッテルを貼るのは間違っている」と訴える。

シディキさんは日本政府の対応にも首をひねる。イスラム諸国だけでなく、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領が相次いで大統領令に反対の立場を表明する一方、安倍首相は、三十一日の参院予算委員会でも「コメントすることは控えたい」「入国管理政策はその国が判断すること」と論評を避けた。

「『おかしいことはおかしい』と一言うことが、同盟国としての役目なのに、日本は果たしていない。このままではトランプ氏と同じ考えなのかもしれないと心配になってしまう。安倍首相はきちんとしたメッセージを出してほしい」

 

浮かぶ日本の排外主義

トランプ氏 批判できる立場にない

在日コリアン誓約書

 

日本の現状をかんがみる時、難民への狭量さはトランプ氏に引けを取らない。

法務省によると、ニO一五年の難民申請者約七千五百人のうち認定はわずか二十七人、一六年も認定は九月末時点で六人。難民支援協会の広報部コーディネーター田中志穂氏は「トランプ氏は入国禁止措置に加え、難民の受け入れ数も大幅に減らす方針で、世界の難民対策の後退が懸念される」と強調した上で、「日本の難民受け入れ制度も課題は山積みだ」と明言する。

なるほど、日本の難民認定基準は厳格だ。一昨年の不認定例によると、本国で差別を受けた少数民族は「差別にとどまり迫害には当たらない」、民族紛争の被害者は「迫害主体が政府ではない」、本国で反政府活動を行った人は「一般メンバーにすぎない」などの理由で申請を却下された。

田中氏は「日本の厳しい基準はガラパゴス的だ」とあきれる。「反政府活動を行い、政府から狙われていても目立ったリーダーでなければ特定個人への迫害でないとして、日本では難民認定されにくい。他国では、シリアのアサド政権から逃れ海外で難民申請をしただけで難民と認める国もあるのに・・・」

日本の他民族への排他的扱いは、国内の「朝鮮籍」に対しても顕著だ。政府は北朝鮮への制裁措置の一環として昨年二月上旬から五月下旬までの間、出国する朝鮮籍者に「北朝鮮に渡航しない」などの誓約書への署名を求めていた。当事者らに抗議され、「朝鮮籍者の負担軽減のため」(法務省)として中止した。

関西国際空港で署名を迫られた大阪市の弁護士鄭文哲-チョンムンチョル-氏は、大統領令について「適法なビザを持つ人を拘束するなど、とても法治国家とは思えない。しかし、特定の少数者に対する処遇は欧州や日本とて例外ではない」と指摘した上で、「自分も正規の旅券を持っていながら不当に移動を制限されそうになった。国籍や宗教など個人ではどうにもならないことを理由とした人件侵害はあってはならない」と力を込めた。

在日本朝鮮人人権協会の金東鶴-キントンハク-事務局長も「トランプ氏のように公然と社会的弱者を攻撃して一部の支持を得る政治家が世界中で増えつつあり、日本の排外主義も加速しないか危倶している」と明かす。「誓約書があった時は、朝鮮籍者は一生祖国に行けなくなるかもしれないと不安にかられた。トランプ氏が迫害対象とする人々も、生活基盤を失い肉親と寸断される不安を抱いているだろう。宗教や国籍、民族で十把ひとからげにし不合理な理由で、生身の人間の移動の自由を奪うのは、およそ理性の世界ではない」

全国難民弁護団連絡会議の代表世話人である渡辺彰悟弁護士は「日本の難民対策はすでにトランプ方式だ」と断言する。安倍首相の暖昧な態度には「日本はトランプ氏を批判できる立場にない。『おまえが言うな』と怒られるだろう。各国が数万人の難民を受り入れる中、日本は毎年数十人。トランプ氏のように差別的な理由を挙げていないだけで、今の日本はトランプ氏が目指す姿だ」と突っ込む傍ら、大統領令を「われわれにとって好機」とみる。

「トランプ氏を批判できない日本の現状に国内外の大勢が目を向けるだろう。日本が世界の難民問題で何もしてこなかったことが浮き彫りになる」

 

デスクメモ

安倍首相が「コメントする立場にない」のは、永田町的な解説によれば、二月十日の日米首脳会談を前に「波風を立てたくないから」らしい。では、トランプ氏に面と向かって「テロとの戦いは、イスラム教徒ら難民の受け入れを禁止する言い訳にはならない」と意見できるだろうか。(圭)  2017・2・1

 

「終末時計」残り2分半に トランプ氏の勝利など受け

2017年1月27日07時30分【朝日新聞デジタル】ワシントン=小林哲
http://www.asahi.com/articles/ASK1W1RZ8K1WUHBI001.html

米国の科学者らが毎年公表している地球滅亡までの残り時間を示す「終末時計」が2年ぶりに30秒進められ、残り2分半になった。核兵器増強を主張するトランプ米大統領の就任や北朝鮮の核実験、地球温暖化などを重く見た。米国と旧ソ連が対立した冷戦時代以来の深刻さという。

米科学誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」(「核科学者紀要」の意味)が26日、発表した。考慮した昨年の出来事として、北朝鮮が2度の核実験を実施▽核戦力の大幅な増強や日本や韓国の核武装容認を示唆したトランプ氏の勝利▽シリアやウクライナ問題をめぐる国際情勢の不安定化▽地球温暖化の影響などを挙げた。

終末時計は、原爆を開発したマンハッタン計画に参加した物理学者らの呼びかけで、1947年に始まった。滅亡の日を深夜0時に見立て、核戦争の危機が高まると針を進め、遠のくと戻してきた。米ソの水爆開発が本格化した1953年に過去最悪となる「残り2分」まで進んだことがある。

ワシントンで記者会見したローレンス・クラウス博士(宇宙物理学)は、「世界の指導者たちは、核戦争や気候変動の危機に十分に対処できないばかりか、挑発的な発言や行動でリスクを高めてしまっている」などと指摘した。(ワシントン=小林哲)

◆終末時計の残り時間と評価した主な出来事(抜粋)

1947年 7分前  終末時計が登場

53年 2分前  米国が前年に水爆実験

63年 12分前  米英ソが部分的核実験禁止条約調印

84年 3分前  米ソの軍拡競争が激化

90年 10分前  冷戦が終わる

91年 17分前  米ソが軍縮条約に調印

98年 9分前  インド・パキスタンが核実験

2002年 7分前  テロリストによる核使用危機

07年 5分前  北朝鮮・イランの核開発問題

10年 6分前  オバマ大統領による核軍縮

12年 5分前  核軍縮の停滞、福島原発事故の影響

15年 3分前  ウクライナ危機、地球温暖化の懸念

17年 2分半前 トランプ政権誕生、北朝鮮の核実験

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