2/16「名門」東芝存続の危機 再生の道 光見えず【東京新聞・特報】

反原発の立場上、東芝はつぶれたらいいと思っているけれど、カレイドスコープのハリマオ氏が福島第一の2号機のロボットは東芝製だと書いておられた。ちょっと困る。
それ以外には、東芝の社員に若い友人がいるから言いにくい。
「公費投入難しく  つぶれれば金融危機の恐れも」あるから、皆戦々恐々としているわけだ。

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「名門」東芝存続の危機 再生の道 光見えず

2017年2月16日【東京新聞・特報】

昨年末時点で、1912億円の債務超過に陥った東芝は、米原子力事業を巡るゴタゴタが一向に収束せず、決算発表の延期に追い込まれた。今後、半導体事業の売却により資金を調達する方針だが、活路を見いだせるのか。明治期創業の「名門」だけに「つぶせない」という声もあるが、先行きは暗い。もし、東芝が破綻したら、日本経済にどんな影響があるのか-。 (木村留美、白名正和)

 

破滅リスク示す「ゴーイング コンサーン」

 -決算に付記なら信用低下

   ⇒追加融資 厳しく

 

東芝は十四日正午に、二O一六年四~十二月期連結決算の発表を予定していた。しかし、できなかった。米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の事業絡みで問題があり、監査法人が決算を承認しなかったからだ。

結局、決算発表は最長一カ月間の延期となり、東芝はこの日、代わりに「業績見通し」を公表した。原発事業関連の損失は七千百二十五億円で、昨年末時点で千九百十二億円の債務超過に陥っていたという。

この「業績見通し」にはこんなただし書きが付いている。「財務数値は、独立監査人によるレビュー手続中であり、大きく修正される可能性があります」。正式な決算発表では、債務超過額が二千億円以上に膨らんでいてもおかしくないわけだ。

加えて、東芝の今回の決算には、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」が付くとみられている。企業活動を続けることができるか「短大な疑義」があり、破綻するリスクが高まっていることを意味するものだ。

最近では、自動車エアバッグのリコール問題で経営が悪化したタカタが十日に発表した一六年四~六月期連結決算で、「注記」を付けた。米国での訴訟等に関連して多額の費用を負担する可能性があることなどが記載されている。

一四年七月には、格安航空会社(LCC)との競争激化や人件費増などで赤字になったスカイマークが、同年四~六月期決算で、「注記」を付け、旅客機購入を巡りエアバスから多額の違約金支払いを求められていると説明した。その後、経営は上向かず、スカイマークは一五年一月、民事再生法の適用を申請した。

東芝も同じ道を歩むことになるのか。

東京商工リサーチ情報本部の増田和史課長は「東芝の決算に『注記』が付くのは避けられない状況だ」とみる。信用が低下し、「一般論では、金融機関の追加融資が、難しくなることが考えられる」と言う。

実は、東芝の信用は既に低下している。米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先月二十四日、東芝の格付けを、現時点で債務が不履行になる蓋然性が高い「トリプルCプラス」に引き下げている。

東芝は十五日、取引のある銀行団に対し、三月末までの協調融資継続を求めた。三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の主力三行はあらためて支援の方針を示したが、不満を抱える地銀もいる。

増田氏は「ゴーイングコンサーンの注記が付いたから倒産するわりではない」とも説明した。ちなみに東京商工リサーチの調べでは、二八年九月の中間決算で、「注記」が二十社に付いていたが、倒産した企業はない。ただし、「倒産した企業はほぼ百パーセント、注記が付いていた企業だったとはいえる」という。

 

「稼ぎ頭」の半導体 完全売却も視野

 -今後も重くのしかかる原発事業

  公費投入難しく  つぶれれば金融危機の恐れも

 

東芝は、一六年三月期決で千百億円の営業利益があった半導体事業を売却して資金を捻出する方針だ。当初は分社化して株式の二割未満を売却する予定だったが、綱川智社長は十四日、「(全株式の売却も)あり得る」と発言した。

経済ジャーナリストの町田徹氏は「半導体事業全体の売却価格はざっくりと利益の十年分、一兆円になってもおかしくない」と話す。ただし、東芝は「最後の収益の柱」を失うことになる。残るエレベーターや空調などのインフラ事業で収益を出せるのか。

「売却益で当面は生き残れるだろうが、今後はどうやって利益を出すのか。インフラ事業も半導体ほどの利益は出ない。まるで、来年のための種もみを食べてしまうような、切なさを感じる」(町田氏)

七千億円以上の損失を出した原発事業は、今後も重くのしかかる。新規受注から撤退するものの、米国と中国で原発八基を建設中だ。工期の遅れなどによって再び巨額の損失を出すような事態になれば、企業としてもたないだろう。東芝がもし、つぶれてしまったら、日本経済に与える影響はどれほどなのか。

町田氏は「影響を見通すことは難しい」とした上で、「従業員数で言えば最大規模の破綻ではないか。経済成長率にも影響するし、取引先も数多く、貸し込んでいる銀行にとっては償却も大変なはずだ。相当な衝撃になることは間違いない」と話す。

tkho170216_toshiba(図)東芝の事業所別従業員数と売上高

東芝グループの従業員は全世界で約十八万七千人。事業別では、原発などを手掛ける「電力・社会インフラ」で約五万四千人、半導体などの「電子デバイス」で約三万四千人が働く。帝国データバンクによると、日本国内では約一万三千六百社が東芝やグループ企業と取引をしている。

政財界で、「東芝ほどの企業をつぶせないだろう」と言う声が聞かれるのも、うなずける数字だ。

経済ジャーナリストの松崎隆司氏は「消費者も『東芝』という名前に愛着を持っている。日本を代表する会社だ。つぶれた場合の心理的衝撃はあまりに大きいだろう」と話す。「銀行側はつぶさないことを前提に相当な額を貸している。つぶれれば回収できないことになり、金融危機的な事態が起きる恐れもある」

一O年一月に経営破綻した日本航空(JAL)を、政府は三千五百億円の公的資金で支援した。航空交通を担う企業のため、つぶせないという判断だった。その後、JALは再建し、再上場を果たした。同じように、東芝も国民の税金で救うことになるのか。

「東芝は福島第一原発の廃炉作業に関わっている。インフラを担っているともいえ、公的資金で救済という可能性も否定はできない」(松崎氏)

だが、BNPパリバ証券の中空麻奈・投資調査本部長は「JALは交通を担うという公共性があり、成長も見込めたため企業再生支援機構が資金を出せたが、東芝の場合はなじまない」と否定的な意見だ。

経済ジャーナリストの磯山友幸氏も「決算もできない現在の状況で、公的資金を注入しても消えるだけ。絶対にやってはいけない」と話す。一方で、再建の見通しもないのに追加融資をした場合、銀行の経営陣が株主から責任を追及される恐れがあると指摘する。

磯山氏は「早期に法的整理をし、不採算事業を切り捨てるなどして再スタートすべきだ」と強調する。成長を見込めるメディカル事業を売却し、今度は半導体事業を売却する予定だが、「このままでは東芝に何も残らない。債務超過にしないためにと考えてのことだろうが、本来あるべき方法とは逆だ」と指摘した。

デスクメモ

ダイヤモンド・ヒューマンリソースによる大学生の就職先人気企業ランキング(理系男子部門)で、東芝は二O一五年まで三年間、ベスト5に入っていたが、昨年は九十八位。今年は圏外だろう。「Leading Innovation」のカを取り戻す日は、やって来るのか。(文) 2017・2・16

(写真)
東芝の本社ビル=東京都港区で、本社ヘリ「まなづる」から

記者会見場を後にする東芝の綱川智社長=14日、東芝本社で

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