2/13第88 回原子力安全専門委員会 議事概要【福井県】

やっとWeb上にあがりました。クレーンの話題はボールド文字にしてみた。

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第88 回原子力安全専門委員会 議事概要

(全ての発言者のコメントを踏まえた上で、後日、正式版を公開します)

1. 日 時 :平成29 年2月13 日(月) 13:00 ~ 15:25

2. 場 所 :福井県庁6階大会議室

3. 出席者 :
(委員)
中川委員長、三島委員、田島委員、西本委員、山本委員、泉委員、大堀委員、望月委員、近藤委員、玉川委員、釜江委員
(原子力規制庁)
地域原子力規制総括調整官(福井担当) 小山田 巧
安全規制管理官(PWR 担当)付管理官補佐(高経年化対策担当) 関 雅之
安全規制管理官(PWR 担当)付安全審査官(高経年化対策担当) 中野 光行
(関西電力 原子力事業本部)
副事業本部長 大塚 茂樹
原子力安全部長 吉原 健介
高経年対策グループ チーフマネジャー 南 安彦
プラント・保全技術グループ マネジャー 出野 利文
プラント・保全技術グループ マネジャー 石黒 崇三
プラント・保全技術グループ マネジャー 久我 徹
機械設備グループ リーダー 田中 翔
(事務局:福井県)
清水安全環境部部長、木村安全環境部危機対策監、坪川安全環境部企画幹、野路原子力安全対策課課長

4. 会議次第:
・ 美浜発電所3号機の運転期間延長認可について
・ 福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策の実施状況等について

5. 配付資料:
・会議次第
・出席者および説明者
・資料 No.1 関西電力㈱美浜発電所3号炉の運転期間延長認可の概要 [原子力規制庁]
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai88kai/No.1.pdf
・資料No.2 福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策の実施状況等について [関西電力㈱]
http://www.atom.pref.fukui.jp/senmon/dai88kai/No.2.pdf

6.概要
○原子力規制庁より、資料No.1「関西電力㈱美浜発電所3号炉の運転期間延長認可の概要」を説明

(西本委員)
・ 二相ステンレス鋼の熱脆化の評価に関して、「材料が最大劣化したときを想定」との記載があるが、“熱脆化によって材料が最大脆化”というのは、どのような状態を想定されているのか。

(原子力規制庁:中野 安全審査官)
・ 二相ステンレスの熱時効というものは、ステンレス鋼が高温の温度を受けて脆化していく状態であるが、これは時間が経過すると、ある程度飽和していく傾向があり、本来であれば年数に応じた予測をすべきところではあるが、今回は年数と関係なく、それ以上進まないというところまで最大限に脆化が進行したとして評価している。

(西本委員)
・ 表現の内容から察するとそういうことだが、具合的にはどのような評価をされたのか。
・ α相とγ相の二相混相だが、例えば、α相が全く靱性を持たないような状況を最大脆化として評価したのか。

(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)
・ 関西電力から少し補足させていただく。一次冷却材配管の一部は、ステンレスの鋳造材でできており、フェライト相が10~20%程度含まれている。配管の各部位ごとにフェライト量が違うが、これについては過去から熱時効に対する試験をやっており、フェライト量、温度等を考慮した上でH3Tモデルと称しているが、時間、熱、フェライト量に応じて靱性が落ちていくことをモデル化している。
・ その上で、十分ばらつきも考慮した評価式を作っている。実際は、この脆化要因となる475℃脆化は実機運転温度では脆化の進み度が少ないが、現時点において、それぞれのフェライト量に応じた脆性の底値を使って、想定されるき裂に対して不安定破壊するかどうかを弾塑性破壊力学を使った評価で行った。

(西本委員)
・ 運転温度でフェライト相が最大限脆化したという状態を想定して評価したとの理解でよいか。

(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)
・ そうである。

(中川委員長)
・ これは、材料の問題であるのか。

(関西電力:南 高経年対策グループ チーフマネジャー)
・ 運転温度での材料の性質変化ということである。二相ステンレス鋼が使われている配管の部位について、フェライト量がどの程度含まれているかをしっかり把握しており、フェライト量に応じてどこまで劣化するかについて、時間経過を考慮せず、底値までフェライト部が熱時効、スピノーダル分解により相分離し、脆化しきる状況を仮定して健全性評価を行っている。

(三島委員)
・ 先ほどの説明の最後に、これから長期保守管理方針に従って事業者が継続的に保守管理業務を適切に実施することが重要とのことであったが、それに対して規制庁の検査制度が変わろうとしている。適切に実施されていることを具体的にどのように確認するのか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 今後の確認はどうあるべきだという話だと理解している。これについては、まず保安検査で確認をしていくところには尽きるが、まず40 年制度では、どうしても評価の中で、今後20 年を仮定するところがある。
・ 高浜の長期保守管理方針の中で出てきたが、例えば配管の取替えが必要であるとか、ケーブル交換が必要な事項については、保安規定の中で取替えるということを明記することを求めている。そうすることで、保安規定の中で必ず事業者としては実施すると宣言し、それを保安規定に定めてもらうことがまず一点である。我々がそれを求めることにより、将来確実にやるということを担保している。
・ それから、今後の保安検査であるが、保安規定にこれらが定められるため、実施状況について、長期保守管理方針が適切に行われているかどうかを中心に適切な時期にその実行状況について確認していくことにより、確実にフォローしていきたいと考えている。
・ 新検査制度については、まだ高経年化の部分まで具体的な検査内容をまだ決めているわけではないが、大きいところでは、事業者に一義的な責任を持ってやっていただく中で、どのように確認し、フォローしていくのかという制度に移っていく。
・ そのような方針の中で高経年化についてどう確認してくか引き続き検討し、適切に実施していきたいと考えている。

(三島委員)
・ 高経年化の審査の中で、これまでの実績を踏まえて様々な評価をされていると思うが、本当にこれまでの実績の延長線上にあるのかどうかというのは、やはり現状を見ながら確認する必要があると思う。
・ それは事業者の第一義的な責任で実施されるのは当然であるが、規制庁としては、今までの評価とずれたところがないかどうか等、現場の方にも目を向けて、適切に管理されているかどうかを監視していっていただきたい。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 高経年化制度は10 年毎に評価するものであるが、普段の保守管理、保全計画、それに基づく保守管理業務の中で、高経年化評価に基づいた評価内容がずれていないかということも着眼点としており、我々としてもフォローしていく。

(中川委員長)
・ 保安規定に書かれているところだけではなくて、時々刻々と変化していくことに関しても、きっちり対応していただきたい。

(釜江委員)
・ 18 ページのコンクリートの強度低下の定性的な話は非常によくわかるが、定量的なところで、教えていただきたい。
・ プラント運転について40 年の歴史があるため、中性化速度等が当然推定された上で60年を仮定した評価ということであるが、場所によっては、かぶりの違いもある。
・ ケースバイケースではあるが、資料には60 年時点を予測し、鉄筋腐食の可能性を判断したとあるが、これはどれくらいを見積もられているのかということと、どの程度裕度があるのか。定量的に分かれば教えていただきたい。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 定量的な数字は持ち合わせていないが、まず評価の前に特別点検で現状を確認することになっている。コンクリートの中性化の部分については、二酸化炭素量の多いところであるとか、ガイドの中で厳しいところを取るということにしている。
・ もう一つは評価の中で、もう少し保守的な評価を求めているが、鉄筋かぶり量から2.2cm程度の箇所は、保守的に見て手前側にきている等を確認している。
・ ここについては、一番下の審査結果に少し保守的なところを書いている。

(釜江委員)
・ おそらく60 年になるまでに定期的に様々な調査をされるであろうから、スピードが少し速まっても、事前にキャッチされてということだと理解した。

(中川委員長)
・ 現時点では十分に低いということと、また60 年時点を予測するためには、それなりに定量的に予測できる数式のようなものがあるのか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 参考資料(審査結果)の、22 ページのところをご覧いただきたい。
・ 21 ページの下のところから、コンクリートの強度低下(中性化)に書いてある。
・ (3)の評価の②の評価手法で、中性化深さの推定について、学会や学会論文等で実績のある森永式や岸谷式、√t 式を用いている。先ほど説明したかぶり深さに2cm を加えた値の保守性については、建築学会等で出ている指針に基づいて評価をすることにより、できるだけ科学的かつ一定の保守性を見込んでいるというところを私たちは重要視している。

(泉委員)
・ 資料の4ページおよび7~10 ページで、特別点検について触れられている。その中で、要領書の策定や、測定機器の管理が行われている。これは書面上でチェックできるが、要員の力量の確認というのは、7~10 ページにかけても同じように出てくる。要員の力量について、実際には様々な検査をするときに何か資格を課している等、具体的なことはあるのか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ この部分については、超音波探傷検査等、それなり力量が必要なところがあり、例えば非破壊検査の評価の資格や、普段、我々が定期検査等々で要員の力量管理というものを元々事業者に求めている。その中で、特別点検についても同様に資格を持っている人が実施することや、原子炉格納容器の点検については、あまり関連する資格はないため、社内で教育訓練のプログラムを組んだ上で研修を受講して、さらに力量があるということを実値等で確認しているかなどを確認している。

(泉委員)
・ 特別点検だからといって、特別な要求項目ではなく普段通りということだと思う。もう一つは、力量の確認については、かなり定性的な部分も聞こえてくるが、基準として、規制庁としてこういう部分はクリアしないといけない等の判断基準があるのか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 普通のようにと聞こえてしまうのは、品質管理上の要求事項として申しあげると、やはり適正な力量を持った者がやるというところが定性的に聞こえてしまうと考えている。
・ 例えば、審査結果等々をみていただくと、それぞれ試験毎に要員力量についてそれぞれどのように考えているのかということが書いている。例えば原子炉容器の母材および溶接部であれば、3ページの3ポツ目に書いてあるが、当然、力量管理をした上で技術的なところは、非破壊検査協会による非破壊検査技術者資格の超音波探傷検査レベル2以上の資格を有する者というところが、テクニカル的に求めた根拠である。
・ また、炉内計装筒もみていただくと、同様に4ページ目の2ポツ目に非破壊試験の要員認証、JIS Z 2305 のところの視力の要求事項を満足する者や非破壊検査のレベル2以上である等、それぞれ特別点検の技術的内容に即した形で、しっかり技量を有した者であることを確認した。

(中川委員長)
・ 資格認定のようなものがあるものは、資格を有していることを調べる。そういうものがないケースについては研修実績等を踏まえるという回答でよろしいか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ その通りである。

(望月委員)
・ 22 ページの最後のところで、規制委員会は保安検査をはじめ、各種の検査、審査でこれからも厳正に確認していくというところをまとめられているが、ちょうど安全性向上評価書の提出というのがこれから出てくる。まとめている最中であり、まだ把握できていないが、例えば、自主的安全性の向上という単語も入っている。
・ 逆に規制庁の指示かもしれないが、高経年化に関わって、何か新たな知見が出たときには、当然それらについても反映して、審査確認が進んでいくということで理解してよいか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ その通りである。いわゆるFSAR、安全性向上評価については、まだ仕掛かりの制度であり、事業者自身がこれからプラントを運転する中で提出することになるが、当然この中には経年劣化のパートがある。この中で実施されることは、法定で行う高経年化技術評価に自主的な取組みを更にプラスすることにより、自主的な取組みを促す制度である。
・ このような自主的な取組みも含めて、評価書の中に記載することで、事業者自身が高経年化評価だけにとらわれずしっかりやっていただきたい。
・ 規制庁は評価書を受け取った後で中身を確認するが、そういう取組みの中で今後、事業者がどう取り組むべきか等、議論することではないかと考えている。
・ 高経年化対策に係る規制庁の最新知見の取組みであるが、当然、事業者のFSAR の中の自主的な取組みの中で行われていることも、参考にしていきたいと考えている。
・ また、それ以前の話として、海外のトラブル事例等々について、規制庁自身が調査や情報収集を行っており、事業者とは別に規制庁として取り組まなければいけない話があれば、FSAR に頼ることなく実施していく。

(中川委員長)
・ 今の意見に関しては、これまでの委員会でも何回も出てきている。様々な情報収集、新しい知見の取り込みを積極的に進めていくことは、事業者でも実施しており、規制庁の方もそういうことを行っているが、規制庁と事業者の間で情報を共有するようなシステムは構築されているのか。

(原子力規制庁:関 管理官補佐)
・ 情報共有の在り方がどうかということに関して規制委員会として言えることはないが、まずは、規制上やらなければならないという判断は事業者に頼ることなく規制側として実施しなければいけないと考えており、やるべき最低限については情報収集していくことが一点ある。
・ それから、事業者の取り組みについて情報交換をしていくという点は、これからFSARを行っていくため、それらの中で事業者の取り組みを確認しながら、今後どうあるべきかを含めて議論していくのではないだろうか。

(山本委員)
・ 今の情報共有の点について、少し補足させていただく。現在、規制委員会の方では、NRCやIAEA からトラブル情報を入手しており、それを規制庁の方で一次スクリーニングという形で規制事項に反映することがあるかどうかというのを確認している。その内容を原子炉安全専門審査会と核燃料安全専門審査会で確認するということになっている。
・ さらにその内容については、私が聞いているところでは、JANSI を通じて、事業者の方にすべて提供されていて、それを事業者の方で内容を確認して、自主的に対応をするところがあればするという形になっていると聞いている。

(中川委員長)
・ 新しい知見等が得られた場合、規制庁もしくは規制委員会として法と基準に沿って判断していくと思うが、これらに変化を加えていくような事項に関しては、事業者にも周知することは必要である。山本委員によるとそのようなシステムが作られているということである。
○関西電力㈱より、資料No.2「福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策の実施状況等について」を説明

(山本委員)
・ 3点質問がある。一点目は、15 ページによると下部キャビティの防護壁を設置されるということだが、防護壁の材質は何か。耐熱材料なのか。

(関西電力:田中 機械設備グループ リーダー)
・ 資料16 ページを見ていただきたい。右側の方に断面図が載っており、緑でハッチングしている部分が防護壁本体だが、グラウトというモルタルのようなもので溶融炉心とライナープレートの接触を防止しているというものである。

(山本委員)
・ 耐熱材料ではないのか。

(関西電力:田中 機械設備グループ リーダー)
・ 30cm の厚さが全くびくともしないかというとそうではなく、コンクリートが溶融炉心と接触することにより、若干の侵食がある。ただ、保守的に評価しても侵食量が5mm 程度と考えており、それに対して30cm の厚さがあるため、十分ライナープレートへの接触防止が図られていると考えている。

(山本委員)
・ その5mm というのは、どういう手法で評価されたのか。

(関西電力:田中 機械設備グループ リーダー)
・ MAAP という解析コードを用いて、溶融炉心とコンクリートの相互作用を解析評価している。

(山本委員)
・ 二点目、26 ページに特定重大事故等対処施設の話について、新規制基準の策定の時の議論において、直流電源の3系統目を付けるという話があった。ここに書いてある電源設備は2系統目のものが含まれていると考えているが、3系統目についてはどのような状況になっているのか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 3系統目の直流電源については、特定重大事故等対処施設と同様に工事計画認可から5年までに設置することを要求されており、(この設備は)設置許可が当然必要であり、申請の準備をしているところである。
・ 高浜3、4号機についても、(すでに猶予期間である)5年のスタートを切っており、もう何年か経っているが、現在、申請の準備をしているという状況である。

(山本委員)
・ その申請をいつ行うかは検討中ということか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 今、検討中であるが、できるだけ早期に申請をしたいと考えている。

(山本委員)
・ 最後はコメントになるが、先ほどトラブル情報の共有の話があり、今、規制委員会で、NRC やIAEA から海外のトラブル情報などを入手して分析していることや、それを原子炉安全専門審査会や核燃料安全専門審査会で議論をしており、その情報が公開されているということもご存じだと思う。
・ そのトラブル情報の中身を見ると、例えば、仮設の重機が倒壊して外部電源喪失を引き起こしたとか人的ミスによって熱交換器で海水の内部溢水を起こした。後者は女川であったと思うが、日本で起こったようなトラブルと似たような事例がある。
・ 規制庁では、基本的に規制基準に反映することがないかという観点でスクリーニングを行っており、事業者の自主的安全性向上とは当然切り口が違う。その意味で、規制委員会が公開している資料では、一次でスクリーニングアウトされているが、事業者の分析はさらに踏み込んでやるべきだと思っている。
・ JANSI を通じてそのような情報は共有されており、それをよく見ていただくことで、今後の安全性向上に役立てることがかなりあると思っている。今後、機会があれば教えていただきたい。

(田島委員)
・ 前回も質問したイグナイタの件だが、前回の説明で分かったことは、ジルコニウムが100%反応すればこの容器だと(水素濃度が)水素爆発の限界の13%に達するが、実際には(ジルコニウムの反応が)75%という実績の数値を使って、これはこれでよいのかもしれないが、評価している。このイグナイタは(水素濃度が)4%になると発火する。前回も質問したが、14 台のイグナイタは、水素は軽く天井付近に集まると予想しているため天井付近にも設置されているが、全体的には原子炉の壁側に設置している。
・ 1つ目の質問は、イグナイタが発火すると、その発火が原子炉全体に拡散してしまうことがあるのか。
・ 2つ目は、この前の質問だが、水素ガスの放出速度が速ければ拡散速度が遅くなり、不幸にもイグナイタのあるところではなく、(格納容器の)中央付近で13%を超える水素濃度が溜まるという危険な状態は起こり得ないのか。
・ 九州の川内原発はジルコニウムが100%反応したとして計算しており、ここではその替わりにイグナイタを使うということだが、その点を伺いたい。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ まず一点目は、イグナイタが着火したときに格納容器全体に燃え広がるのかどうかという話だが、水素濃度が4%を超えると水素がイグナイタによって熱せられて着火する。濃度により拡散の仕方が違うが、濃度が4%程度だと上方向に拡散し、濃度が高くなると横方向や下方向にも拡散する。そのような拡散も考慮して、イグナイタの付近には安全上重要な機器はないことを確認している。
・ 水素が全体に拡散するわけではなく、濃度が低いうちに(水素を)燃やせば極近傍あるいは若干の上方向に燃え広がる程度であり、イグナイタ自体は濃度の低い所から処理を進めていくため、いきなり全体に燃え広がることはない。
・ もう一点、水素の拡散の点だが、水素が発生するような状況というのは燃料の冷却がなくなった状況であり、蒸気が非常に大量に発生するような状況である。格納容器の中では、原子炉内や下部キャビティなど格納容器の下部で蒸気が非常に大量に放出され、格納容器の上方向に蒸気が拡散していく。格納容器の上方では、スプレイにより水を降らせており、蒸気が上方で凝縮して下部に戻ってくるため、非常に流動が大きい状況である。そのような中で水素が放出されるため、一箇所に(水素が)溜まることは非常に考えにくく、解析でも確認している。
・ 仮に拡散が遅い状況で水素が放出されると濃度が高くなるのではないかという話であるが、(スクリーン画面に表示された)表にイグナイタの設置場所をまとめている。表の下から4つ目に各ループ室とあるが、例えば一次冷却材の配管が破断して水または蒸気が流れ出し、水素もそこから流れ出すことを想定し、水素が放出される箇所や、それ以外にも加圧器室や炉内の核計装シンブル配管などの水素が放出されると想定される場所にイグナイタを設置してある。
・ 加えて、格納容器のドーム内の頂部にも設置しているが、放出される場所の近くにイグナイタを設置することで、そのようなところで濃度が高くなって、爆轟領域というか、13%を超える濃度に至らないよう配慮をしている。
・ 解析の結果、放出直後には、一部で13%を超える数値が多少出ているが、蒸気も一緒に放出され、蒸気が55%以上あるような状況では水素が燃焼しない。
・ また、非常に細長い線状のところで着火が起きると火炎が加速され、一方向に火炎が伝播して爆轟が起こりやすくなるが、そのような区画がないことも確認しており、爆轟に至ることはないと確認している。

(中川委員長)
・ 水素再結合装置も同時に設置しているが、これは4%に到達する前に再結合で水素を減らす働きがあるのか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 水素再結合装置は4%に至る前から再結合を行うが、処理速度が燃焼装置に比べると多少遅いため、水素再結合装置だけで4%を超えないようにはできない。
・ 水素再結合装置は炉内のジルコニウムの75%が反応しても格納容器内の水素濃度が13%を超えないようにする。水素再結合装置だけでそのような水素濃度に維持することは確認している。

(中川委員長)
・ 結局、イグナイタは必要ということか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 75%のジルコニウムが反応すると考えた場合は、イグナイタは必要なく、水素は13%に満たない。ただし、大飯3、4号機では、先ほど説明したように、水素発生の不確かさとして、溶融炉心と下部キャビティのコンクリートとの反応で水素が発生すると仮定した場合、13%を超える可能性があるため、その場合はイグナイタを期待して13%に至らないようにする。
・ 特に今回大飯3、4号機でペネトレーションの多重化を実施するのは、大飯3、4号機はイグナイタの重要性が他のプラントと比べて異なるためである。

(中川委員長)
・ 美浜3号機はどうか。(スクリーン画面に表示された)表を見るとほとんど同じようだが。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 美浜3号機の場合は、溶融炉心とコンクリートの相互作用による水素の発生を考慮しても、水素再結合装置だけで13%に至らない濃度に抑えられる。ただし、イグナイタ自体は美浜3号機にも設置されている。

(中川委員長)
・ ほとんど同じような形で入っているのか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ スライドの表の個数の欄を見ると、各ループ室では美浜3号機は3ループであり3つ、大飯3、4号機は4ループであり4つ、それ以外のところは同じようにイグナイタを配置している。

(中川委員長)
・ いずれにしても、水素が滞留する可能性は払拭しきれないということか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 行き止まりの箇所や放出された箇所では、水素濃度が高くなる可能性もあるが、そのような場所を想定して水素再結合装置やイグナイタを設置している。また、格納容器の中では、実際は蒸気が非常に大量に出ており、それが冷やされることで大きな対流が起きるため、多少の差はあるが、一箇所で非常に高濃度にはならないと考えている。

(中川委員長)
・ 滞留箇所があり得るとして、そのときに起きる爆轟により格納容器がどういう影響を受け得るかということは評価できないのか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 格納容器全体に爆轟が伝播する状況は考え難く、局所的に13%を超える箇所があったとしても、そこから着火して格納容器自体を破壊することがあるのかというと、全体的な平均濃度でみると13%より低いため、爆轟が伝播して壁までということは非常に考え難い。評価する手法がないのかと言われると、非常に難しいところではあるが。

(中川委員長)
・ 定性的に言われても本当かという印象である。どれくらいの爆轟が起こるかは評価できるのではないか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ それは確認するが、我々は解析コードを用いて計算しており、その中で爆轟は起きないと評価しているため、どのような爆轟が起きるかという評価がはたしてできるのかが難しいと思う。

(中川委員長)
・ いずれにしても、局所的なところの問題であり、全体では起こらないことは分かる。局所的でも爆轟が起こった場合に、格納容器にどういう影響が出るかは評価可能だと思う。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 13%を超えるおそれがある区画は、ループ室など(配管などが)破断した場所の近くと下部キャビティの2箇所であり、ループ室では蒸気も当然出るので、水蒸気濃度が55%以上あれば爆轟が起こらない状況である。また、下部キャビティは広い区画であるため、爆轟が起こらないと考えている。
・ 13%を超える区画が解析上は出てきておらず、どのような爆轟が起きるかという評価をどうすればよいのか難しい。

(中川委員長)
・ 水素の濃度や水素と酸素の量から爆轟をシミュレートすることはできると思う。その衝撃波が格納容器壁に及ぼす影響は評価できるのではないか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ (それは)13%を超えて着火したという条件かと思う。実際に(水素が)燃えることで熱が発生し、それによる格納容器への静的な圧力荷重は評価しており、格納容器の健全性が十分に保たれることは評価している。

(中川委員長)
・ 静的な圧力に関して、問題ないという評価はしているということか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ それは実施している。

(三島委員)
・ 下部キャビティで発生した水素は徐々に上昇するが、コンパートメントで濃度が上昇しないことは確認しているのか。
・ (格納容器の)上部は広く、説明のとおりになると思うが、下部から水素が上昇する途中でコンパートメント等があるため、その部屋の気流により、水素の濃度が局所的に上がることがないと確認しているのか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 蒸気発生器の部屋や加圧器の部屋は区画になっており、区画を模擬して水素濃度を確認している。また、そのような区画には静的触媒式の水素再結合装置を付けて水素濃度が上がらないように対策をしている。

(三島委員)
・ 水素の発生量に関して、下部キャビティの防護壁をグラウトで設置すると、溶融炉心と反応が起こると説明があった。これは下部キャビティに水を張っている場合とドライの場合で水素の発生の仕方はずいぶん変わり、グラウトがどれくらい反応するかで量も変わってくるのではないかと思う。先ほど(グラウトの侵食の厚さは)5㎜くらいと説明していたが、どういう状況で計算したのか。

(関西電力:田中 機械設備グループ リーダー)
・ 先ほどの評価に関して、各プラントには下部キャビティへの注水設備が設けられており、水がある状況で溶融炉心が落下してくることを前提として評価している。

(三島委員)
・ アクシデントマネジメントとしては、溶融炉心が下部キャビティに届く前に注水することが前提ということでよいか。
・ 防護壁の高さが1.2m ということだが、全炉心が下部キャビティに落ちたという前提か。それとも他の仮定があるのか。

(関西電力:田中 機械設備グループ リーダー)
・ 防護壁の高さについては、炉心燃料が100%溶融して落ちた場合を想定している。溶融炉心の体積高さを0.8m 程度と見積っており、それに余裕を見た1.2m を壁の高さとして設定している。

(泉委員)
・ クレーン倒壊の件について、まず暴風警報を認識していなかったとの説明を伺って少し驚きがある。
・ 教訓としては今後、自然環境悪化に関する情報を積極的に入手するとしており、防災に関する情報を入手することは非常に有用だと思うが、そもそも事業本部内あるいは各サイトの中央制御室で、そのような情報を普通に入手できるシステムになっていないといけないのではないか。おそらくは今までそうではなかったということだろう。設備的にも非常に簡単なことだと思うが、今後そのような導入の予定があるのか。
・ もう一点、今回はこのような倒れ方だったわけだが、風向きはどちらの方向になるかは分からない。クレーンのジブをたたむのは当然だと思う。
・ シビアアクシデント対策として設置した(空冷式非常用発電機の)ケーブルは問題なかったようだがケーブル管が損傷しているなど、非常にまずい状況だと注目している。
・ クレーンのジブをたたむのにどれくらいの時間がかかるのか。例えば、数時間かかるものではなく、30 分から1時間程度のものであり、実際にジブをたたむことは可能だということでいいのか。
・ これは質問ではなくコメントとしてだが、今後きっちりやっていただきたい。
・ また、資料を見ると、各発電所の現場では様々な安全性向上対策工事を行っている。図面を見ると、高浜に関しても様々な工事を行っているとあるが、工程管理はどのようになっているのか。
・ 以前の専門委員会でも、一般の労働災害も含めて(事故は)あってはならないと申し上げた。そして、今回このようなことがあった。
・ 美浜は工程検討中となっているが、今回の件により高浜発電所の工程の見直しはあるのか。作業が干渉し合う箇所が出てくると思うが、そのあたりをどのように洗い出して検討していくのか予定を教えていただきたい。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ まず、警報情報の入手方法に関してだが、日本気象協会との契約で竜巻警報などは中央制御室で連絡を受けることになっていたが、暴風警報がその中に含まれていなかった。
・ 今後、暴風警報も含めて日本気象協会から情報を入手するよう契約を見直す方向である。
・ その他、アプリのようなものでタイムリーに(気象情報を)入手する方法も考えている。
・ また、ゼネコンではクレーンの設置場所に新たに風速計を設置して、作業を行っていない時間帯も含めて構内の詰所に24 時間作業員を待機させ、風の強さを監視するということも対策として考えている。
・ ジブをたたむ時間だが、今回の対策として毎日ジブをたたむこととしているが、30 分程度でたためる。
・ クレーンの状況に関して、今後の工事工程がどうなるかとの質問だが、今回クレーンだけでなく足場設置などで様々な重機を使用している。また、屋内でも様々な工事を行っており、それらの工事により持ち込む仮置きの機材や材料等が自然環境の悪化に伴って設備に悪影響を与えないかということをもう一度しっかり評価をして、その上で工事工程がどうなるのかも踏まえてこれから進めていく。

(泉委員)
・ その点、くれぐれもよろしくお願いしたい。
・ 今回の件だけではないが、原子力発電所が止まった状況において、失礼ながらいわゆる安全意識が劣化しているのではないかと疑いたくなってしまう。
・ 発電所が稼働している状況では非常に緊張感を持っていると思いたいが、停止している状況においても同様に緊張感を持ち、安全意識を常に全社で共有していただきたい。

(三島委員)
・ 私も泉委員の意見に賛成する。
・ 仮に暴風警報などが発令されたことを認識しても、それが現場にどういったリスクを生むのかという意識が無ければ、結局その情報が活かされないのではないか。
・ 今回の教訓としてそういったことがあったのではないか。気象等の状況が変化した場合に、それが現場の作業や安全性にどのような影響を与えるのかという観点から常に気を付ける必要があるのではないか。
・ つまり、ただ単に情報を得るだけではなく、その情報を現場の状況に結び付けるというような、常に安全に気を付ける意識が必要である。これは、事業者だけではなく、協力会社も含めてそういった意識が必要だと思う。
・ もう一つ、風速42m/s でも問題ないという評価はどのようにされたのか。
・ 例えば、定常的に42m/s の風が吹いた場合と、瞬間的に42m/s の風が吹くなど風速が変動するような場合では、クレーンのジブの揺れは変わってくるのではないかと思うが。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ リスクの意識だが、しっかりと自然環境への悪化に関してリスク評価を行うということが事業者の一義的な責任だと思っている。施工前の計画段階から、リスクの抽出を行い関係会社へ指導する。また、工事中であっても日々の自然情報を入手し、絶えず危険が迫っていないかどうかの感度を持って対応していく。
・ 42m/s の評価だが、これは単に風力と風力によりアームが受けるモーメントを比較して、倒れる耐力を計算したところ、42m/s であったということである。

(三島委員)
・ 資料の図を見ると、かなりクレーンの上方に重心がある。そのような場合に、定常的に42m/s の風が吹くのと、風速が変動する場合とでは、上方では揺れ方がかなり変わってくるのではないか。この場合、まさにそのようなことが起こったような感じである。
・ 42m/s に耐えると思わず、変動する風速も考慮し、安全を見て、もう少し風の弱い段階でジブをたたむなどの配慮も必要だと思う。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ 平均風速の1.5 倍程度が、瞬間最大風速になると考えている。
・ 今回の場合も、実際は約20m/s、低い地点では15m/s 程度であったが、やはり高さなど局所的に風速のばらつきは大きくなるため、ご指摘のとおり早め早めに対応すべきだと我々も思っている。
・ 暴風警報は平均風速で20m/s であり、その場合、瞬間風速では30m/s になるため、その段階ではジブを地面まで下ろすといったような早めの対策をとっていきたい。

(釜江委員)
・ ナウキャストが運用されていたと思うが、これで何か入手できるものはなかったのか。
・ ナウキャストは積乱雲や雷を見るものであり、暴風警報がどのような形で入っているのか、また特別なサービスなのかは分からないが、低気圧の関係で雷注意報が出ていたのではないか。
・ ナウキャストでヒットしなかったのかどうか、もう一度確認していただきたい。
・ また、美浜3号機のフリースタンディングラックについて詳細に説明していただき、工事中でも十分に離隔距離を取っているということだが、一点確認したい。
・ E-ディフェンスで試験されたとのことだが、基準地震動の波で試験を行ったのか、どのような波で試験を行ったのか。
・ また、資料4ページに許容すべり量が540mm との記載があるが、これは設置した時の離隔距離なのか。
・ 最後に地震関係の話として、以前から新たな知見が得られた場合の随時見直しをお願いしていたところだが、その一つとして熊本の地震についても知見が得られれば、それらの内容についても話を伺いたい。
・ これについては規制委員会でも独自に調査されているとのことなので、(新たな知見が)今後出てくれば、そのような話も今後していただけるのではないかと思っている。
・ これに関連して、大深度ボーリングで地震観測をされていると思うが、昨年の鳥取地震に関しても、少し離れてはいるが有用なデータは得られているのか。もしそうであれば、これまで(地盤特性等に関して)減衰の議論や他の懸案事項もあったことから、今後説明いただきたい。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ ナウキャストの運用を含め、警報情報の収集については確認する。
・ また、フリースタンディングラックに関するE-ディフェンスの試験は、PWR が立地するサイトの各種基準地震動を包絡したような形で1G程度の入力波で試験を行ったと聞いている。
・ 540mm の許容すべり量に関しては、ご指摘のとおり最終的に設置した時の許容値としている。最小の幅は900mm とっているが、それに対して余裕を見て540mm を基準としている。
・ 大深度地震観測計については、既に高浜と美浜に設置しており、一番深い箇所で1km 程度であり(深さ方向に)5ヶ所設置した観測記録があるため、まとめて報告できればと思っている。

(関西電力:久我 プラント・保全技術グループ マネジャー)
・ 許容すべり量に関して補足する。
・ この許容値にはいくつか条件があり、例えば壁にぶつからないということや、ピット壁のコンクリートのγ発熱について評価を行っている。あまり近づきすぎると、燃料によってγ発熱が大きくなるため、いくつかの条件設定を行い、540mm という許容値を設定している。

(近藤委員)
・ 一部について分からないところもあったが、技術的に様々な安全対策を行っていることは分かった。
・ クレーン倒壊や、昨年2月の弁からの水漏れ等の問題があったが、これらに関しては書類上問題なく実施していたが実際には弁が確実に締められていなかったということであり、人の安全面への意識の低さを感じる。
・ 現在、長期間原子炉が止まっている中で、全体的に線量も下がっている。現場で働いている作業員への放射線の安全管理として、放射線障害防止法等で定められている教育は行っていると思うが、それ以外に関西電力独自で行っている教育訓練はあるのか。
・ また、外部の協力会社に対して、どのような教育をされているのかといった観点からの安全性向上は講じているのか。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ プラントの運転如何に関わらず、新しく入所する作業員に対しては放射線管理教育を実施した上で、作業に従事していただくことを基本としている。
・ また、作業の前には毎回ツールボックスミーティングを行い、その際に無用な被ばくを受けないよう被ばく予知トレーニングを実施している。
・ 発電所毎に協力会社と当社が安全衛生協議会を設けており、毎月会合を開いている。この協議会の下部にある放射線管理部会では、協力会社の放管専任者、当社の放管課が集まり、放射線管理をいかに適切に行っていくかということを話し合っている。この部会で、注意事項などを各協力会社へ展開していくということが特徴的な活動だと思う。

(近藤委員)
・ 関西電力が直接協力会社に教育するという理解でよいか。それとも、関西電力が協力会社に伝え、協力会社がその社員に伝えていくのか。

(関西電力:大塚 副事業本部長)
・ 一方通行ではなくフラットな立場で各専門家が会合の中で、被ばく管理の向上という観点から意見を出し合い、そこで出された対策等を各協力会社へ伝達していただくといった活動である。

(中川委員長)
・ 規制庁に二点お伺いする。
・ 一つは先ほどから議論している(炉心溶融時に発生する)水素の問題に関して、関西電力が行っている現状の対策に規制庁は審査結果を出しているが、委員から出ている疑問について規制庁としてはどのように考えているのか。
・ もう一点、昨年の2月21 日に発生した高浜4号機の発電機トリップに伴う原子炉自動停止に関して、その原因と対策が練られており、規制庁はそのあたりを保安検査等で確認していくとしていたが、その後、どのようなフォローを行っているのか。

(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)
・ 水素の件だが、美浜3号機の審査書の中で、水素も含めて格納容器破壊防止対策に関して記載がある。
・ 例えば、解析を用いてより厳しい条件を設定しているとのことで、高圧注入系や低圧注入系等の機能を喪失した系統の復旧を期待しない条件で評価を行っている。実際にはそのような系統は機能するだろうということだが。
・ また、前回お答えできなかった水素がどのように滞留するかということに関しては、関西電力が先ほど説明したように、水素が格納容器頂部に成層化する可能性を考慮して必要な箇所にイグナイタを設置することを確認した。
・ さらに、静的水素再結合装置については、水の放射線分解で発生する水素を考慮した場合においても、水素再結合装置の効果によって水素濃度が徐々に低下し、格納容器内を安定状態に導くことを確認した。これらの内容が審査書に記載されている。
・ もう一点、昨年の高浜4号機の自動停止の件だが、これまで3回の保安検査が実施されており、昨年5~6月に行った保安検査では、主に直接原因に対する不適合管理が適切になされているかを確認している。
・ その後の2回の保安検査でも同様の確認を行っているが、特に11~12 月の第3回目の保安検査では、事業者が行った根本原因分析に対する取り組み状況を確認している。
・ 具体的には、調達管理の問題があったため、必要な調達に関する着眼点が要領書に明記されているか、あるいは、調達をレビューする際にそれがしっかりなされているか、潜在リスクの抽出等を含め、調達の中で確実に行われているかを確認している。

(中川委員長)
・ 今後もフォローは続けていくということになるのか。

(原子力規制庁:小山田 地域原子力規制総括調整官)
・ 今後、事業者が対策の有効性を確認していくとのことであり、引き続きその点に関してフォローしていくことになろうかと思う。

(田島委員)
・ 水素爆発の件について、前回もそうだが、話を伺うと定性的には何となく理解できるが、委員長が言われたように、格納容器内でどのような爆発が起こり得り、定量的にどれだけ影響するのかということが示されないと納得できないため、定量的に計算していただきたい。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 様々な国内外で行われている爆轟実験等と、今回の評価によって得られた水素濃度や格納容器内の形状などを比較して、爆轟が起きないことを審査の中で説明しているので、そういった観点で一度ご説明させていただければと思う。

(中川委員長)
・ 爆轟が起きないという話は定性的には分かる。
・ しかし、爆轟が起きる可能性が全くないのかということに関しては、関西電力からの説明でも、部分的には起こり得るとの説明であったと思う。部分的に起こるのであればどういった影響があるのかというところまで解析すべきではないか。
・ 水素爆轟の実験は至るところで行われていると思うので、どれくらいの水素の滞留があって、それが爆轟を起こした場合にどのような力が周囲に及ぶかということくらいは分かりそうに思うが。そのあたりはどうか。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 検討する。形状に影響される部分が大きいため、形状を模擬した解析がどの程度できるのかどうかも含めて考えたい。

(中川委員長)
・ 形状というよりも滞留する箇所に非常に依存するとは思う。
・ 滞留する可能性がある箇所はいくつか挙げていただいたので、各箇所についてどうなるか等について、もう少し定量的に説明していただきたい。
・ 格納容器の健全性に対しては問題ないと思うが、それに数値的なものが与えられれば、より安心できるということであるので、検討していただきたい。

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 承知した。

(近藤委員)
・ 緊急時対策所の7日間で100mSv はどのような想定をしているのか。
・ 通常の放射線作業従事者であれば実効線量限度は年間で50mSv であり、緊急作業従事中の場合※は100mSv と定められているが、この7日間の100mSv で十分なのか。
※原子力緊急事態、またはそれに至るおそれの高い事態が発生した場合を除く

(関西電力:吉原 原子力安全部長)
・ 福島第一原子力発電所事故では一時期250mSv という制限もあったが、現在、我々は7日間で100mSv が基準になっている。
・ これは、重大事故が発生して格納容器から放射性物質が大量に放出されることを想定して、7日間緊急時対策所に留まった場合、緊急時対策所外にある線源から受ける線量、あるいは、緊急時対策所内はフィルターを通して外気を取り入れるためフィルターで取り除けないものを考慮している。
・ また、実際プルームが通過する場合は、汚染された空気が内部に入ってこないように緊急時対策所内を陽圧にするといった措置をとるが、それらを考慮して7日間居続けた場合にどの程度の線量を浴びるかということを評価している。
・ この評価において7日間で100mSv 以内という値が基準であり、この基準値に対して、具体的な数値は分からないが、60mSv 程度の十分低い値であることを確認している。

(中川委員長)
・ 本日は、原子力規制庁の方から美浜3号機の運転期間延長許可の審査結果について、説明を受けた。また、関西電力から各発電所の安全性向上対策の実施状況について説明を受けた。
・ 議題1に関して、委員からは、
 二相ステンレスのデータの処理の仕方だが、これは材料の問題であると説明された。
 規制庁に対し保守管理の確認方法の質問があり、保安規定および保安検査で対応していくとのことだが、新しい検査制度というものが今後検討されていくということで、この保守管理ないしは検査に関しても、今後方針が変わっていくであろうという話であった。
 コンクリートに関するいくつかの質問では、中性化という部分でも評価の仕方が定量的になりきっていないという点はあったが、保守的な評価で今の状態になっているという答えだった。
 要員の力量に関しては、資格が必要なものに対しては、その資格を持っているということ、それ以外の部分に関しても、必ず研修等を受けているとのことで、その力量の判断をしているという答えであった。
・ その他、いくつかご意見があったがここでは省略させていただく。
・ 議題2に関しては、
 原子炉容器下部の防護壁として、グラウトを材料として作るということで、防護壁の安全性についての説明があった。
 トラブル情報に関しては、この委員会でも以前から議論しているが、国内外の様々な事象に係る情報を集めることに関して、事業者と規制側との間で、どこまで共有されているかということが少し問題となった。これについては委員の方からも説明があり、様々なルートを通して、情報共有する基盤のようなものができてきているとのことであった。
 水素の発生に対しては、イグナイタと静的再結合装置で爆轟領域になるということは避けられるということで理解できるが、それでも滞留箇所が部分的にある可能性は消えていない。そういう場合、滞留箇所で何かの原因で発火した場合、どのような影響があり得るかということに関しては、まだ十分な説明がされていないということが委員の意見である。この点については、また、検討いただきたい。
 高浜発電所のクレーンの倒壊の問題に関して、ある意味では論外という感じもある。普通風が出ているとき、作業が終わればクレーンはたたむものである。今回の対策として、風のある無しに関わらずジブは倒す、たたむということを決めるということであり、その問題はそれでよい。ただ、この問題が起こった根本的なところ、結局一つは様々な自然情報、警報等の取り込みのシステム、その共有システム、そういうものが関西電力の中でできていなかったという問題がひとつある。
 また、様々な工事をやっていく中での労働災害を含めた工程管理に関しての考慮が関西電力の中で不足していた。それが協力会社にも波及して、今回のようなトラブルにつながった。トラブルそのものはほとんど片付いており、今後はジブをたたむということで終わっているが、このような安全管理等については、更に他の問題が様々あるわけであり、現場の意識や、それをきちんと維持するための事業者としての立ち位置、そして、それを協力会社の職員にもきちんと広めていくことをやらないといけない。このあたりに関して、いずれ一度まとめ直してみる必要がある。
 地震の問題やフリースタンディングラックの使用済燃料貯蔵の方法に関して、様々な議論があった。本日、関西電力の方から説明を頂いたが、今日の議論も参考にして安全な方向で考えていただきたい。
 最後にあった意見は、放射線管理に関して意識が低くなっているのではないかという話であり、これは発電所が長期間停止している中で、放射線管理だけではないと思うが、安全管理に関する意識の低下が起きる可能性は十分にあるので、事業者として、十分気を引き締めてやっていただきたい。
・ 一つ一つのトラブルは解決できても、そういうものが次々起こってくると、我々としても不安を感じざるを得ない。小さなトラブルも起こさないよう、全体として管理していく体制を整えていただきたい。
・ 本委員会としては、引き続き県内発電所の安全性向上対策の実施状況を確認していきたい。また、規制庁の方からも様々な節目において、規制の状態について説明を受けていきたい。
・ 今日は、長時間にわたりありがとうございました。

以 上

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