3/1高浜原発クレーン事故は規定違反 規制委が認定【共同通信】高浜発電所構内におけるクレーンジブ倒壊に係る関西電力からの報告に対する評価及び今後の対応について【3/1規制委の資料4】

高浜原発クレーン事故は規定違反 規制委が認定

2017年3月1日 13時10分【東京新聞・社会】
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017030101001242.html

関西電力高浜原発(福井県)の安全対策工事の準備に使われていた大型クレーンが強風で倒れた事故で、原子力規制委員会は1日、関電が元請け会社に具体的な転倒防止策を要求していなかったことが原因として保安規定違反と認定した。

規制委は今後、保安検査などで関電の対策や破損した建屋の復旧状況を確認する。

事故は1月20日夜、高浜2号機の工事準備に使われていたクレーンが転倒、原子炉補助建屋などの外壁が壊れた。クレーンが耐えられる風速約40メートル以上の風が吹いたことが原因とみられる。

(共同)

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第65回原子力規制委員会

日時:平成29年03月01日(水) 10:30~12:00場所:原子力規制委員会(東京都港区六本木1丁目9-9 六本木ファーストビル 13階)会議室A

資料4 高浜発電所構内におけるクレーンジブ倒壊に係る関西電力からの報告に対する評価及び今後の対応について【PDF:1MB】
https://www.nsr.go.jp/data/000180576.pdf

資料4

高浜発電所構内におけるクレーンジブ倒壊に係る関西電力からの報告に対する評価及び今後の対応について
平成2 9 年3 月1 日

原子力規制庁
1.経緯
平成29年1月20日21時49分頃、関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)高浜発電所構内において、同発電所1,2号機の格納容器上部遮へい工事用に設置された大型クレーン4台のうち1台のクレーンジブ※1が倒壊し、2号機燃料取扱建屋及び補助建屋(以下「燃料取扱建屋等」という。)に倒れていることが確認された。

原子力規制庁は、同日中に関西電力から、燃料取扱建屋等の屋根の一部の変形が確認されたが、燃料取扱建屋天井からの落下物はなく、使用済燃料貯蔵槽への影響はないことを確認したとの報告を受けた。また、高浜原子力規制事務所の原子力保安検査官のほか、2名の職員を派遣して情報収集体制の強化を図った。
1月25日の原子力規制委員会での指摘を踏まえ、同日、高浜発電所に対して口頭注意、その他の発電所も含め口頭で注意喚起を行った。

その後、当庁は、2月8日に関西電力から当該事象に関する原因と対策に係る報告書を、また、2月17日に同報告書の補正版を受領し、今般、その内容を精査するとともに評価を行った。
※1:クレーンの一端を支点として荷を吊すために斜めに突き出した腕(アーム)の部分。

2.関西電力の報告の概要(詳細は添付資料1参照)

(1)建屋等の概略点検及び健全性確認の結果(添付資料2参照)燃料取扱建屋等の建屋内面では、内装ボードの一部剥離、建屋外面では、パラペット※2の一部損傷や外壁の一部剥離があったものの、点検結果から、閉じ込め及び遮へい機能維持(建屋の負圧維持を含む)並びに耐震性の機能維持に異常がないことを確認した。また、衝突荷重による燃料取扱建屋等への影響評価を行い、建屋の構造健全性に与える影響がないことを確認した。

補助建屋壁面では、電線管のへこみ、配管の変形が認められたものの電線の異常(断線)や漏えいはなかった。

なお、上記の損傷した箇所については、本年5月頃までに復旧を実施する予定である。
※2:屋上の外周部に設けられた低い立ち上がりの壁で、屋上の先端を保護し防水効果を高めるもの

(2)クレーンジブの損傷に至った原因(添付資料3,4参照)

・クレーンの待機中に発電所構内の風速が急速に強まり、クレーンジブが転倒する風速以上の風(瞬間風速約40m/s 以上)が吹いたことから、クレーンジブが転倒したと推定。風速は、地形と構造物を模擬した数値流体シミュレーション及びクレーンジブが揺れている動画から推定。
・関西電力が元請会社に対して、クレーンジブの転倒に伴う既設設備への影響評価や転倒防止策は求めていたものの、待機中における風速変化及び暴風警報等に対するクレーンジブの転倒対策などの具体的な要求になっておらず、調達要求が不十分であったため、関西電力及び元請会社は、風速変化に対するリスク管理ができていなかった。

(3)対策
・風に対するクレーンの安全対策(風速の確認方法等を含む)については、作業時は平均風速が10m/s を超える場合に作業中止とし、待機中はクレーンジブを折りたたむ等の対策を実施する。また、最大瞬間風速が30m/s を超えると予想される場合にクレーンジブを接地させる。
・風、雨、雪の悪化(警報発令など)を前提にした機材の転倒・損傷・飛散・落下等のリスク対策を調達要求前に検討することを社内標準に整備した。今後、社内標準に基づき請負会社に対してリスクに対する処置計画の策定及びそれに基づく対策の実施を要求し、確認していく。なお、自然環境の悪化以外のリスクに対する対策については、今後も対応していく。

(4)クレーンジブの転倒想定範囲の設備等への影響
・損傷したクレーンジブの転倒想定範囲には、3,4号機の重大事故等対処設備が配置されていたものの、これらには予備機等があること、また、アクセスルートは早期に復旧が可能であることを確認した。
・1,2号機については、使用済燃料貯蔵槽の健全性確保または放射性物質の閉じ込め機能を有している設備への影響が生じた可能性を否定できない。

3.当該報告に対する評価

(1)建屋等の概略点検及び健全性確認の結果等の評価

①建屋等の概略点検の評価
建屋等の概略点検結果については、燃料取扱建屋等に一部損傷がみられるが、現地原子力保安検査官も確認しており、安全上重要な機器等に異常が認められなかったと評価する。

②建屋等の健全性確認の評価
建屋等の健全性確認結果については、点検結果から、閉じ込め及び遮へい機能維持(建屋の負圧維持を含む)並びに耐震性の機能維持に異常がないこと、また、衝突荷重による燃料取扱建屋等への影響評価として、燃料取扱建屋については応力解析、補助建屋については応力評価を行うとともに、建屋の点検結果に照らして影響評価結果の妥当性を確認しており、建屋の構造健全性に与える影響がないと評価する。
また、補助建屋壁面の機器では、電線(共用機電源車用電線、1,2号機空冷式非常用発電装置用電線)の絶縁抵抗測定及び導通確認を行い異常がないこと、配管(低線量樹脂移送系統)からの漏えいがないことを確認しており、損傷した箇所については、復旧方法及び工程が示されていることから特段問題がないと評価する。

③クレーンジブの転倒想定範囲の設備等への影響の評価
クレーンジブの転倒想定範囲の設備等への影響については、3,4号には直接の影響は見られないものの、1,2号は前述の対策を適切に行うことが必要である。

(2)原因調査結果についての評価
クレーンジブの損傷に至った原因については、既設設備への影響評価等を求めたのみであり、待機中における風速変化等に対するクレーンジブの転倒対策の検討が必要であったにも関わらず、元請会社からの影響評価等を安心材料としていたこと、管理すべき風速がクレーン設置箇所のどの部分で行うかを決めておらず、地上と高所での風速の差を考慮した管理値を設けていなかったこと、関西電力と元請会社との責任や役割の明確化が図れなかったことで暴風警報を関西電力が察知しても生かせなかったことなど現場工事管理に対する安全対策への意識が希薄であった点が見受けられる。このことから、強風等に対するクレーンジブの転倒防止策の要求が不十分であったことから調達管理の不備(高浜発電所原子炉施設保安規定第3条7.4.2(1)a)調達要求事項)などに抵触するため、保安規定違反(監視)と判断する。

(3)対策についての評価
関西電力は、
①クレーンの強風対策の着実な実施、
②元請会社と一体となり、当事者意識をもった強風を含む自然環境の悪化全般へのリスク管理の実施、
③自然環境の悪化以外(①及び②以外)のリスク管理を今後も実施していくとしていることから、これらの対策の有効性を保安検査等において厳格に確認していく。

4.今後の対応

今後、関西電力による燃料取扱建屋等の復旧状況の確認、作業中及び待機中のクレーンの日々の運用状況(3.(3)①の対策)については保安調査等で確認していくこととし、また、保安検査等において、まずは現場工事管理の実施状況(3.(3)①の対策)を確認するとともに、社内標準に基づく対策の実施状況並びに調達におけるリスク管理(3.(3)②及び③の対策)についても厳格に確認していくこととする。

関西電力の報告の概要
(1)建屋等の概略点検及び健全性確認の結果(添付資料2参照)燃料取扱建屋等の建屋内面では、内装ボードの一部剥離、建屋外面では、パラペットの一部損傷や外壁の一部剥離があったものの、点検結果から、閉じ込め及び遮へい機能維持(建屋の負圧維持を含む)並びに耐震性の機能維持に異常がないことを確認した。また、衝突荷重による燃料取扱建屋等への影響評価を行い、建屋の構造健全性に与える影響がないことを確認した。
補助建屋壁面では、電線管(共用機電源車用電線、1,2号機空冷式非常用発電装置用電線)のへこみ、配管(低線量樹脂移送系統)の変形が認められたものの電線の異常(断線)や漏えいはなかった。
なお、上記の損傷した箇所については、本年5月頃までに復旧を実施する予定である。

(2)クレーンジブの損傷に至った原因調査
①設備面の調査
クレーンの強度については、クレーンは使用要求に合致した選定がされていること、クレーン部材の劣化等による強度低下がないことを確認した。クレーンの設置については、クレーン設置の際の勾配及び地盤に問題がないこと、クレーンジブの取付状態に問題がないことを確認した。
②運用面の調査
クレーンの待機中については、アンカウェイト(ワイヤのフックに取り付けるおもり)の固定に問題がないこと、クレーンジブの角度が計画どおりであり問題がないことをクレーンオペレーターの聞き取りにより確認した。
クレーン本体の転倒防止については、転倒防止のためのカウンタウェイト(クレーン本体に取り付けるおもり)は吊り上げ荷重に対してクレーンが必要とする最大積載のカウンタウェイトを使用していた。
また、元請会社へ聞き取りにより、転倒防止の検討は、社内ルールに基づき適切に実施されていたことにより、問題がないことを確認した。なお、最大瞬間風速が30m/s を超えると予想される場合は、事前にクレーンジブをたたみ、転倒防止を図る認識が元請会社にあったが、今回の事象発生時は行われていなかった。(詳細は③及び④)
③関西電力及び元請会社のルール等の調査
〇関西電力
・工事期間中にクレーンが既設設備に影響を与えないこと等の調達要求は行っていたが、クレーンの待機中における風速変化及び暴風警報等に対するクレーンジブの転倒対策の実施方法まで調達要求として、明確化されていなかったため、クレーンの待機中での同対策の実施方法の確認ができなかった。なお、一般的な工事管理と安全管理については、実施・確認していた。
〇元請会社
・元請会社の全社共通ルールでは、作業中に平均風速が10m/s を超えるときに作業を中止すること、待機中も含めて最大瞬間風速が30m/s を超えると予想されるときに作業閉鎖の処置(クレーンジブを折りたたむ安全処置)を行うことが定められていたが、元請会社の高浜発電所構内の作業所では、作業中及び待機中とも作業閉鎖の処置については明確化されていなかった。
④関係者からの聞き取り調査の結果
〇関西電力
・1月20日午前中に強風注意報が発令され、20日夜遅くまでに暴風警報に切り替わる可能性が高いという予報が出ていたにもかかわらず、自然環境の悪化(警報発令など)を想定したリスクの議論を社内で実施していなかった。
・暴風警報が発令されたことを20日18時頃(暴風警報発令は16時42分)に認識していたが、元請会社からのクレーンの転倒評価では瞬間風速約42m/s まで問題ないと口頭で説明を受けていたことから、問題ないと判断していた。
〇元請会社
・風に対するクレーンの安全対策として、暴風警報が発令される等、最大瞬間風速が30m/s を超えると予想される場合は、事前にクレーンジブをたたみ、転倒を防止する対策を行う認識はあったが、瞬間風速約42m/s まで問題ないという評価結果のみ関西電力へ連絡していた。
・当該クレーン作業における現場代理人及び作業者は、20日の作業時および作業終了時(16時30分頃)に風が弱かったため、特にその後の風速の変化に対して注意を払うことはなく、暴風警報発令に気づかなかった。
⑤推定メカニズム
a.クレーン設置箇所における風速(添付資料3参照)
当時、高浜町を含む福井県内には暴風警報(平均風速20m/s)が発令され、最大瞬間風速35m/s の風が吹く予報が出ていたこと、発電所構内の風速計による平均風速は約15m/s であるものの、事故後に当該クレーン設置箇所上空での平均風速を実測したところ構内風速計の約2 倍となることから、クレーン設置箇所上空では30m/s 程度と推定されること、また、発電所構内の地形と主要構造物を模擬した数値流体シミュレーションの結果および報道されている動画像からの推定から、瞬間風速が40m/s 以上であった可能性があることを確認した。
b.クレーンジブの損傷(添付資料4参照)
クレーンの主ジブ及び補ジブを計画どおりの角度にし、アンカウェイトで保持し待機中としていたが、発電所構内の風速計によると当日21 時20分頃から風速が急速に強まり、クレーンジブが前後に振動を繰り返した。21 時49 分頃、クレーンに瞬間的に強風が吹きつけたことにより、主ジブを支えている支柱に過大な応力が加わり支柱が座屈し、支えがなくなった主ジブがクレーン後方に倒れ、燃料取扱建屋等に接触した。
(3)推定原因
・クレーンの待機中に発電所構内の風速が急速に強まり、クレーンジブが転倒する風速以上の風(瞬間風速約40m/s 以上)が吹いたことから、クレーンジブが転倒したと推定。
・関西電力は元請会社に対して、クレーンジブの転倒に伴う既設設備への影響評価や転倒防止策は求めていたものの、待機中における風速変化及び暴風警報等に対するクレーンジブの転倒防止対策などの具体的な要求になっておらず、調達要求が不十分であった。このため、関西電力はクレーンの待機中での強風対策を確認できていなかった。また、元請会社は、最大瞬間風速が30m/s を超えると予想される時、作業閉鎖の処置を行うことを認識していたものの、作業所のルールになっていないことから関西電力と協議せず、当日の現場の風速だけで判断し、その後の風速の変化に注意が払えなかった。このため両者は風速の変化に対するリスク管理ができていなかった
(4)対策
・風に対するクレーンの安全対策(風速の確認方法等を含む)については、作業時は平均風速が10m/s を超える場合に作業中止とし、待機中はクレーンジブを折りたたむ等の対策を実施する。また、暴風警報発令など最大瞬間風速が30m/s を超えると予想される場合にクレーンジブを接地させる。
・風、雨、雪の悪化(警報発令など)を前提にした機材の転倒・損傷・飛散・落下等のリスク対策を調達要求前に検討することについて、既存の社内標準に追記して整備した。今後は、本社内標準に基づき請負会社に対してリスクに対する処置計画の策定及びそれに基づく対策の実施を要求し、確認していく。
・自然環境の悪化に関する情報を積極的に入手し、気象状況が急変する恐れのある場合は、請負会社を含めた所内関係者間で情報共有し、事前に定めた処置を計画どおり実施していることを確認する。
・クレーンの倒壊に関わらず、自然環境の悪化以外のリスクに対する対策については、今後も対応していく。

(5)クレーンジブの転倒想定範囲の設備等への影響
・損傷したクレーンジブの転倒想定範囲には、3,4号機の重大事故等対処設備が配置されていたものの、これらには予備機等があること、また、アクセスルートは早期に復旧が可能であることを確認した。
1,2号機については、使用済燃料貯蔵槽の健全性確保または放射性物質の閉じ込め機能を有している設備への影響が生じた可能性を否定できない

添付資料2
クレーンジブの倒壊状況及び概略点検結果(クレーンジブ撤去前)
(関西電力報告書に基づき作成)

燃料取扱建屋等の詳細点検結果(クレーンジブ撤去後)
kisei0301_01

(関西電力報告書に基づき作成)
クレーンジブ倒壊時の風速について
kisei0301_02ukisei0301_02d

添付資料3

クレーンジブ倒壊の過程について
添付資料4

kisei0301_03ukisei0301_03d
(関西電力報告書より抜粋)

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