3/1原発後始末40兆円 国民1人当たり32万円/【3/1-3東京新聞・経済・連載<原発からの請求書>】(1) 福島事故賠償 検針票のどこに? (2)特例で電気料金高いまま 福島第一廃炉費 (3)電気代上乗せの税を流用 福島事故除染費

原発後始末40兆円 国民1人当たり32万円

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201703/CK2017030102000203.html
2017年3月1日 朝刊【東京新聞・経済】

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福島第一原発をはじめとする廃炉や使用済み燃料再利用など原発の後始末にかかる費用は、本紙が政府推計や予算資料を集計したところ、総額で最低40兆円、国民1人当たりで32万円に上る。原発は税金を投入し、電力会社間の競争も長年制限して保護してきた国策産業。だが、いまやこの形が「あだ」となり、事業が難航。税金や電気代上乗せで国民負担が重くなる負の循環に入ろうとしている。 (池尾伸一)

ここ数年の原発関連の費用の膨張は福島事故の被害が深刻で、廃炉費や被災者への損害賠償などが拡大していることが要因だ。

しかしそれ以外の原発関連事業も軒並み難航している。政府は使用済み燃料は埋めるのではなく再利用する政策を取るが、青森県六ケ所村の再処理工場はトラブル続きで十兆円をかけても軌道に乗っていない。再処理の結果、出てくる「高レベル放射性廃棄物」の最終処分場も候補地はみつからず、立地のコストは政府が見込む三・七兆円を超える可能性がある。世界的に安全基準が厳しくなる中、東芝の苦境に象徴されるように原発建設費や運営費も上昇している。

これらのコストは電気代などで最終的にほとんどが国民負担になる。少子高齢化で国民の負担力が低下する中、政府の言い分を信じてさらに原発を推進し続けるのか。国のエネルギー政策は重要な岐路に立っている。

 

<原発からの請求書>(1) 福島事故賠償 検針票のどこに?

【東京新聞・経済】2017年3月1日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201703/CK2017030102000132.html

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東京電力福島第一原発事故からまもなく六年になります。同原発の処理や核燃料サイクルなど原発の後始末の費用は本紙集計で四十兆円に膨張、家計負担も増えています。しかし、負担の実額は不明確。毎月、電力会社から届く使用量と代金の記載された「検針票」を手掛かりに負担の実態を探ります。お手元の検針票と比較しながら、エネルギー政策を考えてみませんか。 (吉田通夫、池尾伸一)

Q 電気代に原発の費用は入っていますか。

A 原発の運営費が含まれるのは当然ですが、さまざまな経費が電気代や、電線で電気を送るための「託送料」に上乗せされています。託送料には核燃料の再利用や自治体への補助金も乗っています。これらは電力会社が送ってくる検針票に記載されています。送らない会社もありますが、ネットではみられます。

Q これからさらに福島原発の処理費が加わってくるのですか。

A いいえ。すでに被災者への賠償費については大手電力の利用者は払っています。当初五兆四千億円と推計された賠償費は事故を起こした東電が負担することになっています。

しかし東電の利益が低迷し、政府は二〇一一年からほかの電力会社も含めて「将来の事故への備え」の名目で年間千六百三十億円を集金、賠償に充てています。仮にこのまま全額を賠償に充てるなら、約三十年かかる計算。大半の電力会社はこれを電気代にそのまま上乗せしており、東電の場合、年間五百六十七億円を上乗せしています。

Q 家庭の負担は。

A 販売電力量で計算すると、月三百五十九キロワット時を使った夫婦子供二人の家庭(図のケース)では九十円。月二百六十キロワット時を使う東電の平均家庭は月六十五円で年間七百八十円。賠償金に達する三十年の合計では二万三千四百円払うことになります。

Q 毎月の負担は少なくみえても累積すれば多額の負担ですね。

A それだけではありません。政府は昨年末、賠償が二兆四千億円膨らむとして、追加分は託送料に上乗せして二〇二〇年から四十年かけて工面すると決めました。一キロワット時〇・〇七円として、図の世帯では月二十五円。平均家庭は月十八円、年間二百十六円の負担で従来負担と合わせると年九百九十六円になります。三十年分の従来負担と四十年分の追加負担を足した総額は三万二千四十円に達します。

Q 太陽光の会社に切り替えればよい?

A 追加分は新電力の利用者も含まれます。

Q なぜ原発を利用していない人まで払う必要が。

A 政府は事故に備えたお金は、一九六〇年代から積み立てておくべきだったと主張。国民は格安価格で原発の恩恵を受けていたとして、不足分を全国民に請求すると言っているのです。これから生まれてくる子どもたちも「過去に原発の電気を本来より安く使った」と払わせられるのです。時空を超えた、あり得ない請求書といえます。

Q 本来のあり方は。

A ルールに従い東電を破綻させ、株主や貸し手の銀行に負担させるのが筋との意見が根強いです。託送料は国会のチェックもなく、経済産業省の認可だけで引き上げ可能。電力会社と政府が責任を置き去りにして、安易に国民に負担転嫁する姿勢が濃厚です。

(次回は福島原発廃炉費)

原発政策と電気代についての疑問、意見をお寄せください。ツイッター上からハッシュタグ #原発からの請求書 をつけて投稿してください。メールは keizai@tokyo-np.co.jp ファクスは03(3595)6914

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<原発からの請求書>(2)特例で電気料金高いまま 福島第一廃炉費

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201703/CK2017030202000129.html
【東京新聞・経済】 2017年3月2日 朝刊

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Q 東京電力福島第一原発の廃炉にはいくらかかるのですか。

A 当初二兆円のはずでしたが、経済産業省は昨年末、八兆円に膨らむ見通しを公表しました。

Q なぜそれほど膨らんだのですか。

A 政府の予想以上に事故がひどかったためです。炉心がメルトダウンしており、核燃料が下に堆積しています。放射線レベルが高く人が近づけば即死するほど危険な物質。それを全て取り出す必要があるのです。東電は二月にロボットで原子炉内を調べようとしましたが失敗。出足からつまずいています。廃炉作業がいつ終わるかや、いくらかかるのかは不明なのが実情です。

Q だれが払う?

A 経産省は「東電のリストラで費用捻出する」と言っています。

Q 国民にツケ回ししないということですか。

A カラクリが隠れています。電気代には、電力の通り道である送電線の使用料が「託送料」として含まれています。託送料は検針票の裏に記載されています。現在、東電では一キロワット時あたり九・二六円。三百五十九キロワット時使った家庭(図のケース)では三千三百二十四円と、電気代の四割ほども占めます。この託送料に特別ルールが設けられるのです。

Q どんなルールですか。

A 送電線は東電のものですが、電力販売に新しく参入したガス会社や通信会社なども電気を家庭や企業に送るのに使っています。東電が託送料を高くすると、東電ばかりもうかり競争が制限されてしまうので、経産省がチェックし、コストが下がったときは下げさせます。例えば電線の原材料価格が下がれば、託送料も下げるルールです。

ところが、経産省は東電については原材料などが安くなっても「託送料を下げなくてよい」という特例を三年後をめどに導入します。「もうけすぎ」を容認することで、浮いた利益を廃炉に充てるわけです。

Q それでは電気代はいつも高いままで利用者が負担しているのと同じでは。

A そうなります。

Q 東電から別の会社に乗り換えればよい?

A 確かに消費者も昨春から大手電力以外の電力会社と契約できるようになりました。しかし、説明した通り、電気は大手電力の送電線を通って家庭にきます。電線使用料は託送料として消費者に転嫁されるので結局、関東の人ならだれでも廃炉費を実質負担することになるのです。

Q 事故の原因は東電の安全対策不備なのにどうも納得できません。

A この手法では国民がいくら負担しているかも見えにくくなる。廃炉費はさらに膨らむ可能性もあり、識者からはもっと透明で責任が明確になる負担方法が望ましいとの意見は根強いです。 (吉田通夫)

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<原発からの請求書>(3)電気代上乗せの税を流用 福島事故除染費

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201703/CK2017030302000147.html
【東京新聞・経済】2017年3月3日 朝刊

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Q 福島第一原発事故では廃炉・賠償のほかにも費用がかかりますね。

A 汚染された土壌を取り除く除染にお金がかかります。広範な地域で土を削ったり側溝の泥をすくったり膨大な作業です。政府は昨年末に、当初の二兆五千億円が四兆円に拡大する見通しを公表しました。

Q だれが、負担しますか?

A 環境汚染は汚染物質を出した企業が払う汚染者負担が法律上の大原則。しかし、東電は利益状況が厳しく払えないと主張し、国民負担が増えています。

Q 例えば。

A 汚染土をためておく中間貯蔵施設の建設・運営には電気代に上乗せされている電源開発促進税(電促税)を流用しています。本来は原発のある自治体振興に使われる税ですが、政府は毎年三千二百億円入る同税収の約15%を三十五年間流用し、必要な一兆六千億円を工面する算段です。

Q 家庭の負担は。

A 電促税相当額として「一キロワット時〇・四〇六円」が徴収されており、約三百六十キロワット時使った家庭(サンプル)は月百四十六円を負担。東電の平均家庭(毎月二百六十キロワット時使用と想定)は月百五円、年間千二百六十六円を払っている計算です。この15%が流用されるとすると消費税分を除き年百七十六円、三十五年で六千百四十二円が貯蔵施設に使われる計算です。そんなに流用できるなら、もともと電促税は取られすぎだったとの批判もあります。

Q 除染自体の負担は。

A 政府は住民が帰れない区域に「特定復興拠点」を設け、優先的に除染し五年後をめどに避難解除すると決定。こうした地域は税金で除染すると決め、二〇一七年度予算で三百億円を投入します。税金投入は最終的に数千億円に上る見通しです。

Q それ以外の除染は。

A 総額四兆円の経費は政府が一兆円を投入して過半を購入した東電の株式を売って工面すると説明しています。四兆円の売却益を得るには現在四百円程度の東電株が四倍の千五百円超に上がる必要があります。

Q 非現実的ですね。

A 経産省は「不足するなら負担のあり方を検討する」といいます。政府の皮算用が外れ、仮に全額を全国から電気代で徴収するなら一世帯当たり一万五千六百円。これが何年かに分け電気代で上乗せ徴収される懸念があります。

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