3/3福島・浪江町の除染工事で収賄疑い 環境省職員ら逮捕【東京新聞・社会】

福島・浪江町の除染工事で収賄疑い 環境省職員ら逮捕

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201703/CK2017030302000137.html
2017年3月3日 朝刊【東京新聞・社会】

除染作業を巡る汚職事件で環境省福島環境再生事務所の支所に家宅捜索に入る捜査員=2日午後、福島県南相馬市で

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東京電力福島第一原発事故で汚染された福島県浪江町の除染工事に参入させる見返りに業者から接待を受けたとして、福島県警と警視庁は二日、収賄の疑いで、環境省福島環境再生事務所の専門官、鈴木雄二容疑者(56)=福島県南相馬市原町区=を逮捕した。原発事故の除染を巡る贈収賄事件は全国で初めて。

贈賄の疑いで、土木建築会社「大開工業」元社長の小杉幹雄容疑者(63)=富山県高岡市角=も逮捕した。

逮捕容疑では二〇一五年九月~一六年六月、浪江町での除染の下請けに入れる見返りや謝礼として、南相馬市内での飲食や高岡市への旅行など数十万円の接待があったとされる。警視庁捜査二課によると、いずれも「間違いない」と容疑を認めている。

二課は、鈴木容疑者の元請け会社などへの働き掛けで、大開工業が二次下請けに入り、数千万円を得たとみている。

放射線量が高い十一市町村の除染は、出先機関の福島環境再生事務所が発注し、元請けの大手ゼネコンが全国から集めた業者が、下請けで作業をしている。同事務所によると、鈴木容疑者は一五年四月に任期付きの職員で採用され、南相馬市の浜通り北支所に勤務。作業の監督をしていた。

入札資料によると、浪江町の除染は一三年十一月に始まり、大手ゼネコン安藤ハザマが筆頭の共同企業体(JV)が毎年度、一般競争入札で受注。契約総額は七百六十六億円。容疑対象となった一五年度は、四百七十億円で落札していた。

◆「氷山の一角、許せない」 被災者憤り

多くの住民の生活を狂わせた東京電力福島第一原発の事故から間もなく六年。除染事業を巡る汚職事件が二日発覚し、環境省の職員が逮捕される事態となった。住民らは「国は責任の重さを知るべきだ」と憤る。

一部地域の避難指示が三月末に解除される福島県浪江町。復興に関する町の検証チームのメンバーを務める行政区長会の佐藤秀三会長は、除染や廃棄物の中間貯蔵施設への搬出は、環境省と住民の間に信頼関係があってこそ可能な事業だと指摘。「こうした事件が起きると信頼性に疑問が生じてしまう」と苦言を呈した。

浪江町を離れて、避難生活を送る高校三年の男子生徒(18)は「除染は復興の一番の基盤。放射線量が下がらないと人も戻れないし事業も始められない。国と業者は、責任の重さを認識してほしい」と訴えた。

福島県の地元業者は「氷山の一角だ」とつぶやいた。技術力がそれほど必要なく、多額の公費が投入される除染はうまみが大きいとされる。

この業者は「汚職のうわさはよく聞く。不公正な手段で仕事を取るのは許せない」と憤った。

◆環境相「極めて残念」

環境省の福島環境再生本部は二日、「福島、国民の皆さまの信頼を大きく損ね深くおわびする」と謝罪。山本公一環境相も「極めて残念だ。厳正に対処する」とのコメントを出した。

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