3/8帰還政策で「国内難民」 避難者への住宅提供打ち切りヘ 福島原発事故 被害者ら会見「国際社会の勧告無視」【東京新聞・特報・右】

帰還政策で「国内難民」

 避難者への住宅提供打ち切りヘ

  福島原発事故 被害者ら会見「国際社会の勧告無視」

2017年3月8日【東京新聞・こちら特報部・右サイド】

東京電力福島第一原発故から六年となるのを前に、事故の被害者や非政府組織(NGO)関係者が七日、日本外国特派員協会で記者会見し、「日本政府の対応が深刻な人権侵害を引き起こしている」と指摘した。被ばくの低減などを求める国際機関の勧告に従い、住宅支援の継続などで改善するよう求めている。(橋本誠)

「まだまだ放射線が高い。原発事故が収束しない限り、子どもたちは帰せない」

事故当時十二歳だった娘と福島県郡山市から川崎市に避難している松本徳子さん(五五)は、この六年間に積もった思いを海外メディアに訴えた。

福島県では今月三十一日に浪江、川俣町と飯舘村で、四月一日に富岡町で、居住制限区域と避難指示解除準備区域が解除される。

「被ばくを防ぐために避難した区域外の住民も、強制的に避難を余儀なくされた区域内の住民も今春からは自己責任とされ『国内難民」となる。国は国策として進めてきた原子力事故の責任を果たしておらず、つらい思いをしている。私たちは見捨てられています」

今月末には、避難区域外から避難した「自主避難者」への住宅の無償提供が打ち切られる。こうした政策は居住や健康の権利をおびやかすものという。

国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」シニア・グローバル・エネルギー担当のケンドラ・ウルリッチ氏は「原子力産はチェルノブイリ原発事故によって、広大な立ち入り禁止区域があることが事業の妨げになることを学んだ。原発事故は取り返しがつかないことを思い出させるからだ。住宅支援の打ち切りや来年の賠償打ち切りは、安倍政権による帰還推進にほかならない」と指摘した。

そのうえで、被災者の損害に対し、住宅支援の継続を含む全面的な賠償をするよう提言。放射線量や除染活動の範囲について情報提供すること、被害者が自分の医療記録と検査結果を容易に閲覧できるようにすることも求めた。

NPO法人「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は「無償の住宅提供の打ち切りで、避難している方が経済的事情から汚染された地域に戻らなければならない状況に追いやられる」と批判。国連「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏がニO一三年に公衆被ばくの年間一ミリシーベルト未満への低減などを日本政府に勧告したのに改善がみられないとし、「国際社会の勧告を無視している。事故の影響を受けている人々、とくに何の罪もない子どもたちを見捨てる人権侵害を許してはならない」と強調した。

原発事故から六年の日本を海外メディアはどう見ているのか。

会見後、英紙ガーディアン東京特派員のジヤスティン・マッカリー氏は「こちら特報部」の取材に対し、一五年九月に避難指示が解除された福島県楢葉町でも、元の人口の一割しか帰還していないことを指摘。「政府や東電がいくらきちんと除染できたと言っても、小さい子どもがいる家族は健康のことを心配して戻れないと思う」として、こう語った。

「生活サポートが切れて、戻らなくてはいけない家族が大勢いるのは良くない。政府は避難区域外から避難している人たちと、これからどうするかを直接話し合わなければならない」

日本外国特派員協会で原発事故被害者の人権を訴える(左から)松本徳子氏、伊藤和子氏、ケンドラ・ウルリッチ氏=7日、東京都千代田区で

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