3/10忘れられない 3・11の夜空 きょう上映開始「被災者思い知って」【日刊県民福井】福井市のセーレンプラネットで

忘れられない 3・11の夜空 きょう上映開始「被災者思い知って」

2017年3月10日【日刊県民福井】
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2017031002000211.html

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セーレンプラネット・長谷川分館長 当時、仙台市天文台の職員

停電で街の明かりが消え、無数のきらめく星が現れた-。東日本大震災が発生した二〇一一年三月十一日の被災地の夜空を再現したプラネタリウム番組「星空とともに」が十日から、JR福井駅西口にある福井市自然史博物館分館「セーレンプラネット」で無料上映される。分館長の長谷川哲郎さん(54)は当時、仙台市天文台の職員で、番組制作にも携わった。「あの夜、いろいろな思いで空を見上げていた被災者がいることを知ってほしい」と願う。 (梶山佑)

東日本大震災被災地の夜空を再現したプラネタリウム番組の上映を計画する長谷川哲郎さん=福井市のセーレンプラネットで
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長谷川さんは金沢市出身。プラネタリウム製造最大手「五藤光学研究所」(東京)の社員として震災の一年ほど前から仙台市天文台で勤務し、発生時は事務室にいた。停電は数日続いたが、十一日だけは雪雲の切れ目から夜空が見えたという。

「ただただ、きれいだった」。長谷川さんは、あの空が忘れられない。思えば震災前、星空解説で「街の明かりがなければこれだけの星が見えます」と口にしてきた。だがこの言葉が、想像も付かない震災によって「現実になった」と表情を曇らせる。単身赴任の自宅アパートは余震のたびに物が散乱。家族を亡くした同僚もいた。

天文台は一カ月後に再開。翌年、満天の星に刻まれた被災者の記憶を残すための番組を三カ月かけて制作した。被災者が地元紙やブログに投稿した言葉を引用し、職員の声で収録。長谷川さんも作家の佐伯一麦さんが地元紙の河北新報に載せた文章を朗読した。星空投映に合わせる形式の四十分の番組が完成した。

「その輝きが無残に命が奪われた多くの人たちの悔し涙のような気がして切なくなった」「道しるべになりましたか。五年間私たちの孫でいてくれてありがとう」「あふれる光で私を奮い立たせてくれました」

悲痛な声が収録された番組は、次第に全国のプラネタリウムで上映されるようになった。

長谷川さんは昨年四月、五藤光学研究所が指定管理するセーレンプラネットの分館長に就任。開館後初めて迎える3・11に合わせ、上映を決めた。

長谷川さん自身は「今も、あの星空に意味を持たせることはできない」と語る。「福井地震を経験した人にも見てもらいたい。何か共感してもらえるはず」。語り部役をプラネタリウムに託す。

上映は十~十二日の午後一時からと同四時から。定員は各回百五十人程度。(問)セーレンプラネット=0776(43)1622

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